政治運動と中立組織

平和を維持するための軍備のあり方に関しては、軍関係者だけではなく、国民一般が意見を言っても良いように、いろんな事柄に国民はいろんな意見を言って良いのです。
教育のあり方に関しても教育界だけではなく、利害のある国民・・みんなが意見を言っても良いのです。
介護関連も介護業者や監督官庁だけが決めるよりは、消費者の意見も重要です。
政治運動はそのもたらす結果を期待して行なうものですから、それぞれが自分の立場を明らかにして、主張する結果何を期待しているかを明らかにするのが公平な議論になります。
中国の工場を縮小してベトナムやミャンマー等に軸足を変えて行こうとする企業にとっては日本と中国の関係悪化しても大した問題ではないでしょうが、中国に進出したばかりでこれから稼ごうとする企業にとっては、中国と仲良くして欲しい立場でいろいろ言うのは当然で、それはそれで理解出来ます。
韓国にものを売っている人も韓国と仲良くして欲しいでしょうし、それも理解出来ます。
このように政治運動はそれぞれある結果を実現して欲しい立場で行なうのは合理的ですが、中立っぽい組織が特定政治的効果の実現を目指して朝日新聞のようにデータ操作して誘導するとおかしなことになります。
朝日新聞の記事捏造事件は、原子力発電反対意識や韓国寄りの意識が強くなり過ぎていて、敢えて捏造に走らせてしまったものと思われます。
朝日自身が韓国や中国の代弁者だと旗幟鮮明にしていれば、そのつもりで読みますので、誰も怒りはしなかったでしょう。
いろんな団体が、中立のフリをして国民を特定立場に誘導して行こうとするのは、卑怯と言うよりは不正ではないでしょうか?
同様に複雑多様な利害調整を目的にした政治団体ではない・・政治目的実現の目的で設立されたものではない弁護士会や労働組合その他の団体が、如何にも中立っぽく特定集団の利益実現を目指して団体名で公式意見表明するべきものではありません。
政治決断要素は、それぞれの多様なステークホルダーがあって複雑です。
教師も教師だからと言って、無限と言える複雑な利害考量の上で決断するべき政治のあり方について、一般国民以上に特別に優れた識見がある筈がありません。
工場労働者が労働組合・団体になるとイキナリ政治問題に特別な識見があるかのように振る舞いたくなるのが不思議です。
教員や労働者が団体になると、平和問題や経済政策・産業政策に特別な発言権を有していると思うのは僭越です。
団体化しても構成員の力内容実質は変わりません。
そもそも団体化は、労働条件の交渉を個々人で行なうのでは資本家と対等に交渉出来ないので、労働者保護のため・・労働者の団結権保障のためにあるものであって、政治活動するための団体権ではありません。
教職員組合も個々の研鑽に頼るよりは、組織的研修することによって教育関係の理解が高まって教育のあり方の提言能力や教育能力が高まる有用性があります。
組織化による教育のあり方や労働条件改善のための政治運動は意味があるでしょうが、国際政治・・どの国と仲良くすべきかあるいは軍備はどの程度必要かなど、組織設立目的と遠く離れた抽象的な政治活動する団体を育成するために、労働組合法で、保護しているのではありません。
教職員組合の運動や研究は、教育や労働条件交渉に直接または密接に関連することに自主制限して行くべきです。
子供の教育のあり方と遠く離れた天下国家のあり方を論じるのが好きな人は、労組の活動とは別に個人的に政治運動すればいいし、アマチュアで飽き足らなくなれば政界に身を投じるべきであって、労働組合を政治運動の母体にするのは行き過ぎです。
政治活動に限らず、いろんな組織設立目的に直接関係ない活動はすべからく同好会方式で別に活動するのが合理的です。
子供の小さい頃に経験したことがありますが、PTAや父母会で熱心な人がいるのは良いのですが、すぐに一緒に目的外の「◯◯をしましょうと」などと、良い出すのが困りものでした。
それに参加しないと除け者になるような感じで、負担が大きくなるので父母会などの役員になる人がいなくなってしまう傾向がありました。
熱心な人が却ってPTAや町内会などの活動を衰退させている感じです。

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