解釈改憲1

憲法改正は、革命的動乱がない限り実現するには5〜10年以上の歳月が必要で、急場の対応には間に合わないし現実的ではないことを(9月9日「憲法改正の時間軸」で書きました)直視する必要があります。
まして我が国ではアメリカ応援を得ている護憲勢力によって、改正手続法の施行制定自体に強力な反対が続いていましたが、漸く平成19年5月に手続法が制定されたばかりです。
日本国憲法の改正手続に関する法律(平成19年5月18日法律第51号)これは公布後3年経過で施行するとされていましたので平成22(2010)年から施行されていることになります。
憲法制定後約65年近くも改正手続法がなかった・・この間実質的な国民主権国家とは言えなかったことになります。
非武装平和論者は平和憲法を守れと主張して憲法改正手続法の制定にさえ反対していて、制定された後も施行延期を求めるなど、何が護憲勢力か意味不明です。
護憲勢力と言う以上は、国民の意見が反映した憲法にするべきです。
この後に書いて行きますが、弁護士会の自治を主張する以上は自治に値する内容を維持しないと却って自治権が失われてしまいます。
以下はウイキペデイアからの引用です。

「社会民主党は、国民投票法について「戦後60年間、平和国家としての土台となっていた日本国憲法を変える法案」とした上[1]で、「憲法改悪の道へひきずりこむ改憲手続法案は絶対に廃案にすべきである」として、国民投票法の制定そのものを批判した[2]。
民主党国会対策委員長の高木義明は国民投票法の成立を受けて、「安倍総理のための実績づくりを急いだという印象が拭えない」との認識を示した[3]。このことに関して、自民党政調会長の中川昭一は「反対は民主党の党利党略である」と批判した[4]。
日弁連会長の宇都宮健児は、2010年4月14日、「選挙権を有する者の年齢、成年年齢、公務員の政治的行為に対する制限のいずれについても、いまだ必要な措置が講じられて」いないこと(同法附則3条および同法附則11条)、また成年年齢・最低投票率・テレビ・ラジオの有料広告規制の三点について必要な検討が加えられていないこと(同法附帯決議)、さらに、同連合会が2009年11月8日付の憲法改正手続法の見直しを求める意見書で指摘していた8項目にわたる問題点について[5]、「附則及び附帯決議が求めている検討がほとんどなされておらず、必要な法制上の措置が講じられていない」ことなどを理由に、同法の施行延期を求める会長声明を発表した[6]。」

・・この後で書くようにアメリカは解釈改憲には応援しますが、憲法自体(戦後秩序)の改変には反対ですから、この点ではソ連中共よりの左翼・文化人と意見が一致していました。
民主国家では国民多数の意見で法令を改廃出来る仕組みになっているからこそ、法令遵守を求め違反者を処罰出来る正当性があるのです。
一旦作った法令(しかも占領軍が強制して作らせた憲法を)の改廃手続法がない状態・・手続法制定に反対していた護憲勢力は憲法の正統性の根拠を否定しているに等しい存在になります。
憲法改廃手続法が制定されない限り、民意を合法的に憲法に反映する方法がないままですから、憲法に国民主権を謳っていても実際の国民主権・民主国家とは言えません。
日常法令の改廃手続き・・普通選挙法と国会があるので、国民は何となく民主国家になっていると誤解しているものの、国の根幹を決める憲法に関しては、占領軍の作った憲法・・植民地が宗主国に従うしかないような基本法・・の改廃が出来ないようにされたままでした。
植民地が独立を認められたと言っても、憲法で軍隊は旧宗主国が従来とおり駐留して国を守るので自前の軍を持つことを禁止し、このシステム・憲法の改正を禁止すると言う憲法を制定しているようなものです。
武装解除されたママ70年も来た日本を、世界に誇れる平和憲法とはよう言ったもので、この論理によれば、軍事侵略されて武装解除された国はみんな平和国家となります。
彼らの論理によれば、ウイグル人やチベット人も自前の武力を持たないので、平和国家の名誉を得て、世界一幸せな国民となる理屈でしょう。
我が国や香港の場合、独立を認められた植民地が自由に決められるのは憲法の下位の国内法の改廃だけで、旧宗主国の決定が上位規範であると言う原則を定めた憲法改正が禁止されている・いたようなものです。
血を流した独立戦争で独立を勝ち取らない限り、宗主国は根幹的権限を残そうとするので、こう言う半端な状態になります。
今騒乱状態にある香港にあたるのが日本で、アメリカが中国本土政府みたいな状態です。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC