アメリカの対日政策7

国際政治では、自分は平和愛好家ですと何回宣言をしても何の意味もありません。
平和を維持するにはこれを裏付ける軍事力が必須ですが、国際平和を維持するには、アメリカ一国武力では手に負えなくなって来つつあるのが現状です。
この意味でも非武装化すれば平和が来ると言う意見は、どこの世界にも現実には存在しない空論であることは、誰の目にも明らかでしょう。
国連自体が平和維持のために、加盟国の武装義務を命じていると言われています。
今回の「イスラム国」(どこの国も承認していませんが、そう言う名称を使用しているテロ組織ですが一定の支配地域を持っていますから、国を名乗ることは間違いとは言えません。)攻撃にもアメリカ単独では困難なために有志連合が必要になっているように、アメリカにとって地域ごとに信頼出来る味方が必須になってきました。
アメリカの国力は徐々に低下して来たことは誰の目にも明らかでしたが、リーマンショック以降アメリカの国力低下(・・経済力低下→軍事費削減が具体的日程に上ってきました)がはっきりして来ました。
中国がアメリカの経済縮小や軍事費削減等を見て自信を持ってしまい、周辺国に対して武力を前面に押し出しての傲慢・挑発的な態度が際立ってきました。
国際政治は正義や信義よりは、「力次第」と言う現実を露骨に示しているのが中国・ロシアであり、これに従おうとしているのが韓国です。
軍事力・経済力を露骨に前面に押し出して既成事実化しようとしている中韓両政府に親近感を示す親中韓派の文化人が、(中韓の武力増強に沈黙して)国内向けには非武装平和論に固執して、日本防衛強化に反対するのは矛盾しています。
アメリカは北朝鮮やソ連、中国との対立時代には、自分自身が強かったので日本列島がアメリカにとって浮沈空母・・列島の米軍基地を無償使用出来たり、部品や汎用兵器の供給基地・安保条約だけで充分・良かったのです。
だから軍事条約としては極く例外の一方的な条約・・アメリカ軍が日本を守るだけで日本がアメリカに軍事協力する約束が入っていませんでした。
相互条約の場合、日本の軍備を認めるしかないので、アメリカは日本の軍事力が次第に育つのがイヤだったのでしょう。
「俺が守ってやるからあんたは軍備はいらないよ!と言う殺し文句でずっとやっていたのです。
「俺が働いて十分稼ぐからあなたは家で専業主婦で良いよ!と言うのに似ています。
これが左翼のスキな非武装平和論の根拠でした。
ソ連がなくなった時点では中国はまだアメリカに従っていたし、当時ジャパンアズナンバーワンと言うホンが売れる時期でしたから、世界最強となったアメリカは、そのころから日本の台頭阻止が中心目的になりました。
これが日本のバブル期からバブル崩壊後の世界地図でしたから、日本はまさにアメリカによって、孤立させられていたし、アメリカの思惑どおりに日本は失われた20年に陥りました。
(私は経済成長しなくてもいい時期があると繰り返し書いてきたように、良いチャンスだったと思っています・・ここでは外形を書いています)
ところが、リーマンショック直前ころから、アメリカの弱体化が見えてくると中国が遠慮なく尖閣諸島侵犯行為やフィリッピンや東南アジア諸国を武力で脅迫し始めました。
今度はアメリカに対する挑戦者が中国に代わり、米中対立が表面化して来ると、これからは中国の時代だとばかりに露骨に目先の利益にすり寄る・・韓国が直ぐに中国寄りを明らかにするようになって来ました。
ちなみに韓国の行動原理を事大主義と言いますが、どこの国でも民族・個人・企業でも強い方になびくのは自然の流れであって韓国に限りません。
韓国に限って事大主義と強調されるのは、現金過ぎること・・オブラートに包む処世術の拙劣さにあるだけです。
朴大統領は今年7月ころ習近平訪韓時に今年に入って、もう5回も中韓首脳会談をやっていると中韓の関係強化を国際的に誇示したばかりです。
ところが頼ったばかりの中国が公害問題でどうにもならなくなり、同時に経済失速で中国が日本の投資を期待するしかなくなって、イキナリ対日低姿勢外交に転換してしまったので、言わばはしごを外されて大慌てになって来ました。

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