米国領土拡張・人口吸収政策の限界3と対中攻撃

失業率の上下にビクビクしているのは中国よりアメリカの方です。
周期的に存在する景気変動による失業率増加程度は時の政権支持率に不利に働く程度でしょうが、長期低迷・・歴史上経験のない事態に突入してくると、United States 「連合」を組む意味があるのか?Unitedのタガが緩むリスクの方が大きいでしょう。
米国自身の弱みを中国の弱みにスリかえて国際宣伝しているように見えます。
連合国United Statesの解体を防ぐにはUnited States創設の原初にもどり外敵が必須・・外敵向けの一致団結を訴えるしかない・星条旗の元に参集する状況作出が過去の米国政治でした。
今回の新型コロナウイルス禍がどういう形で収束するか不明ですが、いつもアクセルを吹かし続けないと生き残れない・・あくせくした成長社会モデルが終わりを告げて江戸時代のような落ち着いた社会・・安定社会に戻る印象を受けますが、いかがでしょうか?
安定社会・・成長を追い求めない歴史経験がないのが米国の特徴です。
米国は第二次世界大戦後、朝鮮戦争に始まり(これは北朝鮮による一方的侵略によるものでしたが・・)その後もベトナム戦争など絶え間なく戦争をして国民の亜kん芯を引きつけて来ましたが、アフガン〜イラクに始まる中東へ侵攻は出口が見えず撤退するしかない状態です。
次なる標的は米中対決ですが、相手が大きすぎて軍事衝突に踏み切れません。
トランプ氏の意を受けた政治好きの人は中国脅威論・・・中国が生物兵器製造に失敗して工場から武漢市内に漏れたのが原因とツイッター等で広め・5Gのような先端技術の中国締め出しの既存方向をさらに拡大してマスク製造のような低賃金国特化生産品でさえも中国に頼るのは危険だと煽っています。
中国側も負けずに事もあろうに報道官が(記者会見での公式意見ではないものの個々人のツイッターが厳しく政府に規制されている中国で、報道官の個人意見とはいえこのような重大発言を公開したのは、政府中央の許可・・非公式発言をさせたと見るのが国際常識です)アメリカが中国でウイルスをばら撒いたと言い返しました。
アメリカの猛反撃に驚いたのか?報道官なのに3週間ほど全く表に顔を出せないでいて、ようやく報道官としての登板では個人的義憤で表明したと釈明し政府と関係ない個人の意思かのような発言です。
この義憤とは、日本の海上保安庁役人が義憤で尖閣諸島での中国の横暴な行動を画像で公開した事件を想起させる表現です。
中国人民にとっては、アメリカが国内政治上駆け引きのために中国という敵を意図的にでっち上げているという義憤があるのでしょう。
中国報道官のツイッター公開は、日本で言えば真珠湾攻撃を政府として行ったことで、ルーズベルト大統領が待ち焦がれた対日宣戦布告の口実にされたようなものです。
これに怒った米国の反応・米国・トランプ政権は敵を求めていたので待ってましたと言う反応に驚いた中国はその火消しに必死でしたが、中国政府の政治感覚はこの程度のものか?と政治能力を世界中が認識したようにも見えるし、日本の真珠湾攻撃のように政府が表立って反論しないで報道官の個人ツイッターでやらせた分だけ大人の対応が進んでいるとも言えます。
いずれにせよ米国の攻撃目標にされると怖い!と再認識した人が多いでしょう。
米国は続けて中国の生物研究所からの流出でないか?と言うネット風聞を政府高官が公式にこう言う風聞があると取り上げたことが報道されていました。
さらに追い討ちをかけるようにマスクその他医療機器部品等を中国に頼るのは危険だとか言って国内回帰を言い出して欧米ではこの動きが一般化してきました。
さらにはWHOが中国に偏りすぎているのを検証するまで基金拠出を停止したりと、対中攻撃策繰り出しが矢継ぎ早です。
日本庶民の方は、流言飛語・・社会に否定的影響を与える根拠ない情報バラマキはいけないとしても希望を持たせる拡散ならいいだろう式の庶民の知恵中心のようです。
・・「納豆を食べる人は感染しない」とかお茶が良いとか、お国自慢が出てくるかと思えば、ちょっと科学的な意見?BCG接種した国との違い(納豆菌がウイルスを食ってしまうというのも科学論の一種でしょうか?)によるなどの、ちょっとした知的装い論程度です。
米国メデイアの場合は、トランプ氏が目の敵にする民主党系のメデイアはお得意の格差批判の我田引水が目立ちます。
アメリカの感染被害が多いというが、本来のアメリカ人は強いのだ?という白人擁護を兼ねた?格差社会論・・貧困層が感染や死者の大多数を占めている→民主党政権の国民皆保険制度創設が必須という主張に結びつける論をばら撒きます。
人種差別に結びつけたい人は、格差社会批判の発展形?で今回の被害拡大は黒人が圧倒的に多い・「奴らは・・もともとどうしょうもない奴らだ!と言いたい?ような非難攻勢も言われるようになりました。
武漢での新型肺炎拡大初期には、アジア人特有の感染症であるかのような欧米の人種差別的意見が流布されて、欧米では黄色人種系アジア人というだけで露骨な差別を受けるようになっていると報道されるようになっていました。
3月中旬以降イタリアを筆頭に欧米の方が感染数、死者ともに圧倒的に多くなるとアジア人蔑視がなくなったのかと思っていたのですが、このコラムを書くために検索するとこの傾向は4月になって、逆にアジア人と見ると嫌な顔をしてそむけたり露骨に席を立つ人が多くなっている・「アジア系女性が一人で買い物に出ると危険」とすら言われ夫婦同伴で買い物するしかないような日本人在住者のレポートがあります。
特にトランプ氏が「中国ウイルス」と言うようになってから、逆に激しくなった傾向があるようです。
日本の嫌中系ネット記事で「ザマーミロ」的記事が多いですが、日本人在住者も中国人と間違われて危害を受けそうな社会になっている状況が報告されるほどの嫌中感情の過熱ぶりです。
こうなると5Gに代表される科学技術や経済で中国に押され気味のアメリカの対中不満が、(これまで連載してきたように米国建国以来の膨張主義のDNAの限界がきただけのとですが)市民の不満はけ口として何でも中国を八つ当たり対象にしたい口実にコロナを利用する政権の扇動に乗る人が増えているおそるべき社会になりつつあるようです。
ナチスの扇動にドイツ国民が便乗してしまったような状態になりつつあるのでしょうか?

米国領土拡張・人口吸収政策の限界2

これはいわゆるワスプを満足させたでしょうが、奴隷に変わる低賃金労働力として受け入れられた新流入人口はあくまで生産要員・牛馬→黒人奴隷→低賃金労働と代替品にされたままで、その恩恵のおこぼれしか与えられていません。
アメリカ独立後次々と新規参入者が入って来るので誤魔化しが利いたのですが、下積みが入ってこなくなり万年下積み・・ニューカマーのままでは不満がたまるのは当然です。
成長期の頃・・新規店舗続々開店・・急拡大中企業の場合数年すると新入社員が部下になり何年かでどこかの店長という夢のような?就職説明会が普通でした。
企業拡張が止まって何年たっても新卒採用がなく自分が新米ペーペーのままという時代が来た場合を想像すればわかるでしょう。
この結果今の格差不満に発達したものです。
当初は、牛馬よりマシなレベル程度低賃金労働力(これが家畜同様待遇の黒人奴隷誕生の経済的背景)・黒人奴隷導入に始まり、今の中国のように低賃金国を脱し工業化離陸すると・アフリカ系超低賃金奴隷労働力不要になりワンランク上のアイルランドなどの西欧系労働力が入り続いてアジア系労働力移入が始まりました。
4月20日引用した「アメリカ合衆国の歴史」からの引用続きです

19世紀後半からヨーロッパで人口が急増し、食糧難が頻発した。
このため新天地アメリカを目指して多くの移民が発生した。1880年代からは南欧や東欧からの移民が増加し、彼らは都市部で未熟練労働者として働いたため、低所得者として都市中心部でスラム街を形成した。
彼ら新移民はカトリック・正教会やユダヤ教信者であったため、それ以前からの旧移民との間で偏見と摩擦が起こり、しばしば抗争に発展した。
こういった新移民にフォード・モーターが技術・言語教育を施し、大量生産方式に組み入れていった。また、清や日本からも移民が発生した。
急増した日本移民は低所得労働者として都市各地で活動したため、人種差別感情に基づいた、彼らに対する排斥運動が起こった。

4月19日に大陸横断鉄道建設に必要な労働力は中国人労働者が担ったことを紹介しました。
これが中国人苦力(クーリー)の誕生であり、これに続く日本人労働者の参入が始まると白人労働者の職を奪う・黄禍論誕生となり日本人排斥法の誕生です。
排日移民法 ウイキペデイアの解説です。

排日移民法(はいにちいみんほう)は、1924年7月1日に施行されたアメリカ合衆国の法律の日本における通称である。正確には1924年移民法(Immigration Act of 1924)、またはジョンソン=リード法(Johnson–Reed Act)であり、日本人移民のみを排除した法律ではない。この法律では、各国からの移民の年間受け入れ上限数を、1890年の国勢調査時にアメリカに住んでいた各国出身者数を基準に、その2%以下にするもので、1890年以後に大規模な移民の始まった東ヨーロッパ出身者・南ヨーロッパ出身者・アジア出身者を厳しく制限することを目的としていた。
独立した法律があるわけではなく、既存の移民・帰化法に第13条C項(移民制限規定)を修正・追加するために制定された「移民法の一部改正法」のことを指す。
特にアジア出身者については全面的に移民を禁止する条項が設けられ、当時アジアからの移民の大半を占めていた日本人が排除されることになり、アメリカ政府に対し日系人移民への排斥を行わないよう求めていた日本政府に衝撃を与えた。

排日移民法は現在のトランプ氏によるアラブ系標的の移民規制と同じです。
アメリカは領土拡張に応じた国内生産拡大に必要な低廉労働者確保のために移民労働者に長年頼ってきたところ、徐々にアジア人が増えてくる危機感を背景にして第一次世界大戦後の不況が始まったことで国内失業問題が起きた時以降黄禍論をあおったことや戦後日本の急速な大国化に対する警戒心・現在対中警戒心を煽っているのと同じ流れによります。
アメリカは増収分の労資分配には慣れていますが、マイナス成長の痛みの分配経験が乏しいと思われます。
日本は同胞社会ですので大災害等があると助け合い精神が本能的に湧き出す社会ですが、米国の場合警察権力が無能力化したと見るとすぐに略奪が起きるので軍の出動が最初です。
格差社会が批判されていても、今だに国民皆保険制度が成立できないのがその象徴でしょう。
要は利害調整能力がない・利益の分配ばかりで、損失負担・利害調節機能が弱い社会です。
アメリカは自己の弱みを相手に類推する・中国は選挙もない・正統性がないので利益分配で政権が何とかなっている・・7%成長が生命線で、7%以下になると人民の暴動を抑え込めなくなるといい、19年頃からは6%成長が生命線とも言われましたが、ジリジリと成長率が下がってもどうもなっていません。
多くの批判論は批判論者の内面鏡です。
ロシアはクリミヤ併合による欧州からの経済制裁を受けて農産物輸入ができなくなっている時であるにも関わらず、数年前にトルコとロシア関係が険悪化した時に、トルコへの観光客削減や農産物輸入削減の実行をしました。
この時に貧者と富者のどちらが経済制裁に抵抗力があるかという意見を書きましたが、貧しい方は直接的な生存の危機がない限り南方のおいしい果実や花が入荷しなくとも、貧しさにもともと慣れているので耐性が強く経済制裁の打ち合いには貧しい方が強いと書きました。
結果はその通りになり、トルコがすぐに屈服して宿敵ロシアへの接近策が始まり中東・シリア解決混迷原因の一つになって現在に続いています。

USA=領土拡張と人口吸収政策の限界1

米国に戻ります。
国際競争優位が米国団結・UNITEDのメリットであり、その果実を得る手段としてグローバリズム推進だったのが、対中競争で優位性を失っていくと留学生に始まり上位層の流入と底辺労働者双方の流入が縮小します。
トランプ氏の移民制限はランク分けして技能労働者優遇政策ですが、国力の将来性がなくなってからのランク分け流入期待は(移民の方も選ぶ権利があるので)現場労働力でさえ二流人材3流人材化していきます。
連合UNITEDの本質・利益がある限度で連合を組むものですから、言わば現金な関係です。
国の成り立ちは国家構成員同士の絆の成り立ちでもあります。
メリットで集まった人間関係は利に聡く脆弱です。
日本の縄文時代あるいは伝統的国家は、地元にない特殊品だけの例外的交易によって地域を運営してきた社会ですので、いわゆる鎖国制度はどうってことのない社会ですが、アメリカの場合建国当初から地元にないものの交易でなく、人の移動を含めたグローバル展開によって経済が回ってきた社会・・国内の需要以上のものを生産しないと回っていかない社会です。
アメリカンファーストというのは「外国から物品を買ってやらないぞ!という脅しにはなりますが、本当に鎖国競争になると米国の方が中国よりも国内基盤が脆弱です。
1929年大恐慌からの脱却は、TVAで知られるニューデイール政策によったかのようにアメリカは宣伝していて、高校時代の英語教科書英文でこれを賛美するような英文を授業で習った記憶でしたが、実は対日戦争開始成功による戦時経済化によってようやく経済下降を食い止め、日欧に対する戦後復興援助(輸出増)によってプラス成長になったものでした。
ナチスが軍需産業化によって経済成長下のと似ていませんか?
大恐慌に関するウイキペディアの記事からです。

1936-38年にはGDP比5.5%の財政赤字を解消した。しかしこの1937年の財政支出大幅削減予算により1938年は不況になり、実質GDPは11%下がり失業率は4%上昇し[35]、「ルーズベルト不況」と呼ばれることになる。
アメリカのGDPは1936年に恐慌前の水準に回復したものの37年不況により再び34年の水準まで逆戻りして、1941年まで恐慌前の水準に回復することができなかった[36]。ニューディール期間中財政支出赤字の対GNP比が10%を超えた年は2度である。アメリカ経済の本格的な回復はその後の第二次世界大戦参戦による莫大な軍需景気を待つこととなる。
太平洋戦争が起こり、連邦政府はようやく見境のない財政支出を開始し、また国民も戦費国債の購入で積極財政を強力に支援した。1943年には赤字が30%を超えたが失業率は41年の9.1%から44年には1.2%に下がった[37]。しかしダウ平均株価は1954年11月まで1929年の水準に戻らなかった。

戦後世界の工場が壊滅したが、戦禍を免れた米国だけが工業製品や食料・資源供給国になって突出した国力を誇れたのです。
戦前の大恐慌対策は世界中がブロック経済化による国際貿易量の急激縮小でしたが、トランプ氏のアメリカンファースト政策は米国だけの孤立化政策です。
モンロー宣言の時代にはまだ米国の規模が小さく南北アメリカ内で交流すれば孤立しても成り立ったでしょうが、今は中南米も世界経済に参加していて、米国と一緒の経済圏に止まる保証はありません。
(中国ソ連が孤立しても70年間も頑張れたのは交易経済にそれほど頼っていなかったからですし、国土の狭い北朝鮮も同様で、領土の広さではありません。)
トランプ氏はアメリカンファーストと言ってモンロー主義の再来をイメージしているようですが、中南米は棍棒外交で米国に散々苦しめられてきたので米国と心中する気持ちはありません。
TPPの創立的メンバーがカナダ、メキシコを含め太平洋沿岸の中南米で、米国が脱退してもそのまま進める方向・ついに米国抜きで発効してしまいました。
米国が無茶すれば足元の南北大陸内でも孤立する方向が確定し、モンロー主義の再来どころではありません。
日本はTPPのほか日欧FTAや東アジア地域包括的経済連携RCEPなどをドシドシ進めて行く方向なので、戦前のような孤立化はしないと思われますが、自国の力に恃みすぎる米国の方が長期的に孤立化が進むように見えます。
一見米国べったりに見える安倍外交は、巧みに上記各経済協定を推し進めているほか、中国にも恩を着せているので、米中対決がどうなろうとも米国の顔を立てながら、米国の国際経済仲間入り・復帰の筋道を立ててやる重要な役割を担うことになりそうです。
安倍総理が習近平の国賓待遇招待に踏み切るかのような姿勢を示していたことに対して右翼の安倍離れを起こしていますが、日韓慰安婦合意が後で役に立ったように、同様に政治というものは後々の効果も考えて複々線の行動が必要です。
NITED・連合とは、主として利によって一時的に結びつく関係を言いますが、成長期待がなくなれば米国留学希望が減るように、北米大陸内の連合を維持するご利益がなくなれば、軍事連合など組む意味がない・United Statesである必要があるか?と思う米国民が増えるでしょう。
ここで米国が独立後破竹の勢いで拡張を続けられた要因を見ておきましょう。
独立時の東部13州が今の領域になるまでの目覚ましい領土拡張によって、豊かな資源を入手したもののこれら資源を利用しきれない少ない人口・・労働力不足に困る状態が続いていました。
国土急拡張に人口が追いつかなかったのです。
低廉な労働力導入政策・・移民受け入れ国として世界に門戸を開くイメージアップに成功し、一方で人口の急拡大で国力増大・白人の生活レベルが飛躍的に上がり続けた満足感を国民に提供することによって、国家運営がスムースに進んだからではないでしょうか。

予防と事後対応制度の限界2(家電蓄電方式)

発電所からの送電が止まっても各電柱が一定時間下流への送電可能にすれば家庭での停電開始が遅れ末端消費地の耐久性が増します。
(いきなり全ての電柱は無理としても町内入り口ごとの基幹的電柱を作り、そこに域外からの送電が途絶えても最低数時間〜10時間その先の家庭への送電をできるようにしておけば家電の自給発動開始が遅れるので家電利用時間・消費者の対応チャンスが増えます。
最末端の家庭引き込み口の電柱も1時間程度送電できるようにしておけば、さらに利用時間が伸びます。
現在のシステムでは送電線が切れた場所が家庭から50〜100キロ先であるとしても、その下流全部停電するように思われ(正確に知りません・電流はプラス→マイナスの出口がないと流れないのでA→B→C→D→E~Xの送電設備がある場合、BC間の電線が切れた場合B点以下が停電するイメージで書いています。)ますが、このような簡易基地を数キロごとに設けておいて、上流からの送電が途絶えても各基地で下流に対して5時間分自力送電ができるとした場合、X地域までの間に10基地があれば50時間は停電しない計算です。
こうすれば自宅から10メートルの電柱が倒れたら、即停電→家庭内家電の自給開始ですから地域住民は地域内電柱の保守管理に関心を持つでしょう。
今のように自分らの手の届かない遠距離の電柱管理不十分の影響をストレートに受けるの電線維持に関する関心を持ちにくいですが、地域内自給制度ができれば自治会ごとにあの電線は大丈夫か?などの関心が向くし、地域を大切にする気持ち・共同体意識の育成にもなるでしょう。
鉄道の場合も、相互乗り入れの結果、立川方面で人身事故があっても千葉の電車が止まったり大幅遅延するようなことが日常化しいますが、・相互乗り入れ前に元の終点駅付近にあった折り返し運転用の線路等を撤去し広大な車両基地をマンション用地等に売却してしまったのが直接的原因でないか?思っています。
今回台風後の電車の乱れの例で言えば、京成電車本線が長時間不通やダイヤの乱れが続きましたが、私の自宅と事務所往復に使っている千葉〜津田沼間の枝線の方は、上野行きの直通が少なくほとんどが津田沼との折り返し運転ですので、11時頃に家を出て自宅近くの駅に行くとほぼ通常通り電車がきました。
他の路線で樹木が倒れ込んでも千葉津田沼間で事故がなければ、ほとんど影響がなく運行できていたのは京成津田沼駅に大きな車両基地があるからできたことでしょう。
台風後約10日後に柏市から事務所に来られた人がまだ鉄道が混乱しているというのには驚いたのですが、いくつも乗り換えて来るのには、あちこちダイヤが乱れているので大変だったようです。
遠距離直通運転の場合、経路の一箇所でも倒木等の障害物があると京成全線どころか相互乗り入れしている地下鉄その先の京浜急行などまで影響が拡大します。
電気に戻しますと今回の台風では携帯やスマホ自体が不通になってしまいましたが、各家電が停電後でも1時間前後使えれば、仮に最末端電柱が倒れた場合でも被災直後通報ができるので市町村でも被害状況把握も速やかだったでしょう。
ところで今回あちこちの民家屋上に見かける太陽光発電を設置していたので停電せずに助かったという報道を見かけない(だけですが・・)ところを見ると、自宅で発電した電気を東電の電線網を通じないと自宅に通電しない仕組みになっていたのでしょうか?
せっかく自宅で発電しているのにいざという時に自宅で使えないで、冷蔵庫が止まりスマホの充電もできないのではなんのために「自家発電」を設置していたの?という印象です。
電柱ごとの備蓄は技術的に容易ではないとしても太陽光発電をそのまま自宅で使えるようにするには、電気系統の工夫次第でどうにかなるように思いますので、それをして宣伝材料にすれば、設置家庭が増えるのではないでしょうか?
水道も電気がないとポンプが動かず送水できないとのことでしたが、電気や水が4〜5時間供給できる仕組みの場合、その間にお風呂などに水を満タンにしておけば、飲用外の水だけはかなり長く使えます。
飲用ペットボトルの買いだめ程度の自助努力は大した手間ではないですが、(一回だけ買えばあとは順次古い順位使っていくだけです)困っているのはトイレや風呂食器洗い等に必要な大量の水です。
マンション戸建てを問わずそれぞれ規模に応じた井戸を掘っておけば・・・・飲用にしておくにはしょっちゅう水質検査等が必要ですが、そこまでしなくとも当面トイレ、洗濯、食器洗いや入浴に使えるだけでも大助かりです。
電気がすぐ止まる→モーターが同時に止まってしまう現状を前提に、いざという時のために井戸を掘っておく人がいなくなっています。
モーターが非常時にも最低5時間は動くなどの性能になってれば、井戸の有用性が増すでしょう。
一定規模以上のビルや人の集積場所(鉄道駅)などでは、管理者所有者に最低10日分程度の電気や必要量の水の自給(備蓄)体制を義務付けるなどの法令整備が優先事項でしょうか?
マンションでは、各人個別保有に努力するのは数日分としても一定規模以上マンションでは別に2週間程度の電気や水の備蓄(ないし自家発電装置)すべきでしょう。
焦点が災害対応にズレましたが、現在の法制度があらゆる方面で、問題が起きるのを待ってからの対応を原則としていた点の修正が必要になっている関心に戻ります。
19世紀に確立した司法制度は「事件が起きてないのに権力が介入するのを許さない」犯罪検挙は実行行為があるまで待つのが原則・社会防衛思想禁遏化の基本設計でした。
小泉改革(構造改革・規制緩和)では日本の事前チェック型→許認可制度から米国型の事後処理型→問題が起きたら、訴訟で決着する方向への転換をしきりにメデイアが宣伝していました。
単純思考の私は今後の社会はそうなるのか!くらい・何をするにも許認可基準に合わないとできない・・雁字搦めでは新しい発想で何か始める前に疲れてしまうよな!程度で受けとめていましたが・・。
その時に弁護士大増員の司法改革もセットになっていたのですが、要は、今後事後係争社会になると訴訟が激増するので弁護士大増員必要との説明もされていた記憶です。

予防と事後対応制度の限界

訴訟実務家は訴訟で実績を上げて本当に社会的意義があればその結果・・19世紀型理念の破綻をどうすべきかの問題提起・・社会が考えることではないでしょうか?
サイバーテロやサウジへの無人機攻撃による国防のあり方など、攻める方法は日進月歩ですから19世型自衛概念論争・・敵国が巡航ミサイルやロケットを我が国に向けて発車しても領海侵入あるまでは何の自衛もできないのでは意味がなくなっていることは周知の通りです。
個人間の正当防衛で言えば、殺してやるなどと怒声をあげて刀を抜いて駆け寄ってきたら、走り寄ってくる相手を抜き打ちざまに相手の足を払ったら(駆け寄った方からまだ直接斬りかかられていないので)正当防衛にならないのかということでしょう。
よほど実力差のある関係でない限り斬りかかってきてからの応戦ではその間1秒あるかないかですので)先に斬りかかった方が勝つのが普通(このため相撲では同時の立会いが基本ルールです・全てのスポーツはホイッスル等による同時開始を前提にしています)ですから、素手の相撲の場合立ち上がった段階→刀槍による戦いの場合で言えば鞘を払った段階を起点にすべきでしょう。
戦闘機の場合照準を合わせるレーダー照射まで進めば瞬時に発射可能・0、何秒でも先に発車した方が勝つ精巧な戦い・誘導弾で相手機を追尾する機能があるので、射手の腕や戦闘機操縦能力の技術差による違いが大幅に下がっていて、空振り率の高い時代と違ウノで滅多にない時代にはいっていますので、相手が発射するのを待ってられません。
実際に誘導弾を発射するまで待たないで応戦すべきが標準になっていると言われます。
これが韓国機による昨年頃に発生した日本機に対するレーダー照射事件でした。
9月26日日経新聞朝刊1面には、フェイスブックの創業者「ザッカーバーグ氏に聞く」という表題で、今後は「問題が起きてから対処ではもう通じず」という副題があって、問題が起きてからでは一旦失った信頼回復が困難・・損害が巨大になるために事前の対策が必要という意見が出ています。
弁護士業務関連でも弱者救済対応としては被害相談がくるのを待っているのではなく、〇〇110番という電話相談を弁護士会が開設する積極対応が目立ってきました。
9月9日未明の千葉県を中心とする台風被害では広域停電の結果、メールはもとより電話も通じなかったことから現地(市町村自体が被害把握に手間取り)からの被害情報の収集を待っていた県の対応では後手にまわり過ぎた批判や反省の意見が頻りです。
電子機器の発達以来、リアルタイムの対応に慣れてきたこともあって何周亜kんという長期停電には何をしているの?という驚きが非難の原動力でしょうか?
いずれにせよ、「ことが起きるのを待って対処する態度がはおかしい」という風潮が一般化して来たことは確かでしょう。
ここで話題の方向性がズレますが、被害者からの救援依頼を待つのではなくプッシュ型災害対応がこの数年前から言われてはいるものの、今回の東電や政府対応を非難するのはムード的風潮に便乗した行きすぎでしょう。
どこにどういう被害が発生しているか不明の状態でまず食料を送って良いのか?復旧要因も倒壊原因によって職種・準備する機械などが違いますので、どういう援助が必要か不明のまま出動すべきと言われても政府も困るでしょう。
停電と言えば、送電システムのどこかに問題が生じて電力のプロが故障箇所・理由を見つけて応急処置すればいいという従来型回復を想定していたところ、時間経過でわかったことは、房総半島のあちこちで電柱が大量倒壊していて倒壊原因が多様な原因による結果、復旧作業が多様化したために期間がかかった原因であることがわかってきました。
電柱自体が強風で倒れた程度までは、電柱設置取り替え業者の本来業務に近い(住宅で言えば、建築業者と解体撤去業とは違いますが一応近縁業種です)ので想定内作業だったでしょうが、山林の大きな樹木が倒れかかっているので樹木の伐採が必要な場合、東電が日常的発注している業界外の発注作業になります。
電気技師や電柱建て替え業者でなく林業関係者の出番・樹木が太い場合手作業的電動ノコギリではなくチェンソーなど本格的道具が必要ですし、一定の長さに切断した樹木をクレーン等で撤去する作業車も必要です。
その上電柱の倒壊回復には現場へ辿り着くべき山道が土砂崩れなどで不通になっていたなど、東電単体の作業領域を大幅に超えていたことで自衛隊出動の必要性となったのですが、大量の電柱倒壊が多様な原因によるのでどういう原因によるかなどの状況把握なしには、どの専門業者がどこへ出動すべきかも決められません。
こういう場合プッシュ型災害出動という掛け声ばかりで、メデイアが政府=県知事の対応が緩いと政府批判しても始まりません。
今回の台風対策は初めてか2回目か知りませんが、ともかく走れるだけ走って、これ以上は危険となったら「その時点で運行打ち切り」というデタラメ的?パターンが原則でしたが、首都圏の電車等を台風来襲予測時間前から全面運休して翌朝始発から運休し8時頃から再開き予定という画期的対応をしていました。この結果出勤時の大混乱を避けられたし、企業等も午前中の勤務を中止して午後からの勤務に変えていたと思われます。
千葉県弁護士会からは午後一時からの開館とネット通知がありました。
災害は毎回同じ種類によるとは限らないので、どんな災害にも耐え得る基本体力として、まずできることからやるとすれば、各自が一定の基礎的災害耐久力をつけることが先決ではないでしょうか。
数日〜10日分以上の水や食料貯蔵(日々食べるものであれば買いだめして古い順に消費する))は、各自がその気になればだれでもすぐ備蓄可能なことです。
電気備蓄・・各家庭での自家発電装置は高価な上に維持管理に無理があるので当面不可能でしょうが、一般家庭でも車のバッテリーのような蓄電設備を備えるための開発を促進すべきではないでしょうか?
家電製品については製造段階で停電があっても一定時間は運転持続できるような製品を業界で開発していく努力も必要です。
その機能のある家電設備の方が売れ行きが良いでしょうから、業界に過大な負担を強いるものではないでしょう。
当初10分〜20分程度の製品しか開発できなくとも徐々に3時間〜5〜24時間〜2日〜5日間へと伸びていくように思われます。

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