近代法理の変容2(有産階級と意思重視)

被後見制度が15年ほど前に改正されるまでは「禁治産制度(・・財産管理能力の制限)」となっていたことを12/15/02「成年被後見人(民法22)」前後で紹介しました。
ナポレオン法典・近代法では、有産階級・ブルジョアジーのための制度であったことから、現有財産・既得権益保全が中心だったからです。
現在は消費社会化が進んで無産階層もカード等で借金出来る時代ですから、有産階層だけ守ればいい時代ではありません。
そこで禁治産制度から(資産管理だけではない・・無資産者も高齢化すると野たれ死にすれば良いのはなく、介護制度が発達したように身上監護が必要です)被後見制度に変わったことになります。
大衆社会化が進むと無産階層も重要な社会構成員として認識されるようになり、無資産者が、「失うものがないから怖いもの無し・・何をしても勝手」と言うアウトロウの住人ではなく、ルールを守って生きてもらわないと社会が混乱します。
工業生産が社会の主力になって来ると生産の担い手としての庶民大衆のレベルそのものが製品品質差→国際競争力を分ける時代ですし、ひいては無産庶民大衆が如何に大事にされているかによって、国民間の信頼関係の醸成・国内治安・・町の綺麗さなど生活グレードを決めます。
日本人は約束をきっちり守る信用性の高さ・・基礎レベルの高さが国際社会で賞讃され・信用されている結果、米中韓による長期にわたる対日誹謗中傷があっても、国際社会がこれを信用しない状態・・むしろ陰口をきく国の方がおかしいのじゃないかと思われるような状態になって来ています。
中韓の日本誹謗行為は、米国が背後で操っているのではないか?・・と多くの日本人が怪しみだしたので、アメリカも遂に「日本軍による慰安婦強制連行の証拠がなかった」と言う調査結果を数日前に発表していました。
アメリカは自己の正当化のために、東京裁判を始め、如何に日本軍が酷かったかの宣伝に努めていましたので、占領初期に日本の旧悪を暴くために必死に証拠集めをしていたにも関わらず、当時慰安婦強制連行の証拠がないどころか、逆に彼女達は巨額の儲けを蓄えていた調査結果・・性奴隷ではなく売春婦として商売していた事実が出ていたにも拘らず、これを発表せずに、背後で日本の国力を殺ぐために韓国を煽り国連決議を演出して来た疑いがもたれ始めました。
我慢強い日本人が遂に怒り出したので、朝日新聞の遅過ぎた記事訂正同様に已むなくアメリカが調査結果を発表したと言うところです。
大衆社会に戻しますと、庶民の多くが生活不安定・・借金で夜逃げしたり自殺するようでは、社会基盤が乱れ、活力喪失に繋がって、国際競争力を阻害するので政府としては放置出来ません。
彼ら無産者にも健全な社会生活を営んで貰う・・将来に希望を持ってまじめに働いて貰い、社会秩序維持のためには、能力が低いことによるマイナス資産化することからも守ってやる必要が出て来ました。
弁護士会が高校、中学等へ出張して無償で消費者教育に力を入れているのは、(こういうことは本来国費でやるべきでしょうが、弁護士会は無償=弁護士会の費用でやっています・・その流れで理解でき社会変化にあっています・・この意味で消費者系弁護士の頑張りに賛同しています。
長寿社会の弊害をマスコミが力説していますが、社会全体では若死にする方がマイナスが大きいのは明らかですから、高齢化→健康人生の維持・健康管理は重要です。
高齢化しても健康人生期間を長くするには、出来るだけ医師にかからなくて済むように子供のころから健康教育をして行く必要があるのと弁護士による消費者教育の重要性は同じレベルと言えるでしょう。
未成年者や被後見人等の無能力制度については12/14/02「無能力制度 2(民法21)」前後で連載しました。
意思能力のある人の意思表示でも意思表示に(強迫による意思表示など)瑕疵があった場合の効果・・無効や取り消しのシステムが用意されています。
ここまでは、意思表示に責任を求める以上は表示するについて誤解や瑕疵があれば効力を修正しようとする制度で一貫しています。

近代法理の変容1

日弁連や専門家の共謀罪反対論は、国際条約の決め方・議論経過にどう言う問題があったかすら明らかにしないで、(私の理解不足もあるでしょうが・・)理由もなく(近代刑法に反すると言っていますが、これまで書いているように合理的な理由になっていません)実行阻止の主張をしているだけのように見えます。
近代刑法の理念と言っても、国民の利益のために理念が決まって来たのですから中2階の概念を振り回すよりは、共謀罪新設が国民にどう言う利害があるのかを具体的に分析解説して行く方が合理的です。
近代刑法の理念と言う中2階の概念を振り回しているだけでは、素人は何も分らなくて良いから「・・専門家の言うことを信用して!」と言うスタンスに帰するようです。
高度な医療でさえ、インフォームドコンセントが重要と言われているように、今では、「あなたは無知蒙昧だから分らなくていいのだよ・・・・」と言われて、専門家の言うとおりで満足している国民は少ないのではないでしょうか?
医療の場合、いろいろ説明されてから、「よく分らないのでお任せしますのでよろしくお願いします」と言うのが普通ですが、だから何の説明もいらない・・無駄と言う解釈は社会的に容認されていません。
「近代刑法の精神違反」と言う抽象論だけでは今や何も解決出来ない時代・・具体的な効果分析が重要なことを、10月20〜21日ころから書いてきました。
それだけではなく、近代法の理念・・抽象論自体も20世紀に入ってから大幅に変容されて来ています。
たとえば、近代精神は自由な意思活動とそのもたらした結果に責任を負う・・法律効果が生じる意思責任主義が基本です。
近代法理の権化であるナポレオン法典の系譜を引く我が国の民法では、意思表示を法律行為と言い、意思表示に法律効果が生じる原理を採用しています。

民法

(任意規定と異なる意思表示)
第九十一条  法律行為の当事者が法令中の公の秩序に関しない規定と異なる意思を表示したときは、その意思に従う。

上記のように意思責任主義を原則にして、意思表示すれば法律効果がそのまま生じる仕組みです。
難しい言葉を日常用語・・卑近な例で言えば、1個100円で売っているパンを見て、「このパンを下さい」と意思表示すれば100円でそのパンを買う意思表示したことになり、そのとおりの法律効果が生じる・・パンを受け取れる代わりに100円支払う法律義務が生じると言う意味です。
充分な意思能力のない未成年者や被後見人等が自由に意思表示すると貴重な財産を安売りしてしまうかもしれないので、資産保全のために、一律に法律行為無能力者として法定代理人が代わって意思表示する制度設計になっています。
未成年者・子供が家屋敷を売る契約をしても法定代理人がこれを取り消せることになっています。
 民法
 第二節 行為能力

(成年)
第四条  年齢二十歳をもって、成年とする。
(未成年者の法律行為)
第五条  未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2  前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3  第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

思想表現の自由と限界(外患)

報道や思想表現の自由は、自国や自民族を窮地に陥れるために重視されているのではなく、トキの政権や時流と意見が違ってもいろんな意見の存在がその民族のためになるから、許容すべきだと言うものです。
製品苦情は、その多くが品質向上ヒントを含んでいることが多いことからも分るように、大事にする必要があるように、政治批判も一見現政権妨害のように見えても何かの役に立つことが多いことによります。
公害反対運動が、結果的に公害排出削減に寄与したのもその1種です。
製品に問題がないのに言いがかりをつけてお金を脅し取ろうとしている人や企業イメージダウンを目的にして事実に基づかない誹謗中傷している人の意見は毒にこそなれ、メリットはありません。
事実に基づかない企業イメージダウン目的の場合は、場合によっては名誉毀損や業務妨害罪等の取締対象であって(自由権の濫用)言論の自由の範囲を超えています。
韓国や中国人になったつもりで(中韓に対する忠誠心を持って)飽くなき日本批判や沖縄の分離独立運動をけしかけて応援している場合・・・国家・民族に対する攻撃被害の場合は、背任や業務妨害にも名誉毀損にもなりません。
国家・民族批判は、公害問題同様に将来何かの役に立つこともあると言うことで、その言論が誰の利益を目的にしているかの判別が難しいこともあって、私人相手の攻撃に比べて許容性の幅が広くあるべしと言うことでしょう。
意見の合わない相手を非国民とレッテル貼りすれば、有用な言論まで全て封殺されてしまうリスクがありますから、いわゆる利敵行為を泳がせて敵の動きを先読みすることに使う程度の度量が必要でしょう。
中韓やアメリカ等の代弁者だとすれば、そのやり方や、主張を見れば、中韓や米国の意図を推測する手がかりになるメリットがあるので、泳がせておけば、将来に向けた準備を出来る良い面があります。
ちなみに、利敵行為だから外患罪適用と一足飛びの主張しているネット議論も見かけますが、戦後だけではなく、戦前においても外患罪はこのような漠然とした行為を対象にしていません。
戦前の有名なゾルゲ事件でも外患罪の適用が見送られたように、(ソ連とは不可侵条約を結んでいたので、敵国とは言えなかったでしょう)我が国では、適用が難し過ぎて実際の適用事例が1件もありません。
共謀罪が成立しても、実際には簡単に立件出来ないと書いてきましたが、司法権の独立が戦前から機能しているので、証拠上の判断で立件すら出来なかったのです。
自国民を窮地に陥れるような行動は、そのことを理由に立件出来ないからと言って、検挙出来ないだろう=違法でさえなければ何を言ってもやっても良いと言う発想は、日常生活を見れば分りますが、マトモな国民や組織のやることではありません。
ひとの陰口をきいていても、犯罪とはなりませんが、信頼されない人には違いないでしょう。
外患罪になるかどうかではなく「外患」行為は良くないことです。
ところで日本を貶める行為をすれば外患罪かのように誤解している人が多いようですので、この際、条文推移を紹介しておきましょう。
以下のように外患罪は、滅多に成立しない・成立出来ない犯罪です。
例えば、明からさまに中国のために自分が行動していると明言している人がいても、外患罪にはなりません。
戦前の条文でも「敵国」の認定が必須ですが、宣戦布告していない状態では、政府が中国を「敵国」と明言することは不可能でしょうから「利敵罪」にはあたりません。
自分は韓国のためによかれと思ってやって慰安婦報道していると明言する政治評論家がいても(証拠があっても)、政府は韓国を敵国と明言することは不可能ですから事件に出来ません。
勿論「政治家や官僚がアメリカの手先です」と明言しても、まさかメリカが敵国だとは政府は言えないでしょう。
戦後の条文になると武力行使関係に関与しない限り成立しないのですから、なおさら適用の余地がありません。
以下ウイキペデイアによります。(括弧書きの戦後・・現行法と言う文字は私の書き込みです)

刑法新旧条文の比較は以下の通り。
旧条文
第81条[外患誘致] 外國ニ通謀シテ帝國ニ對シ戰端ヲ開カシメ又ハ敵國ニ與シテ帝國ニ抗敵シタル者ハ死刑ニ處(処)ス
第82条[外患援助] 要塞、陣營、軍隊、艦船其他軍用ニ供スル場所又ハ建造物ヲ敵國ニ交附シタル者ハ死刑ニ處ス
兵器、彈藥其他軍用ニ供スル物ヲ敵國ニ交附シタル者ハ死刑又ハ無期懲役ニ處ス
第83条[通謀利敵] 敵國ヲ利スル爲、要塞、陣營、艦船、兵器、彈藥、汽車、電車、鐵道、電線其他軍用ニ供スル場所又ハ物ヲ損壊シ若クハ使用スルコト能ハサルニ至ラシメタル者ハ死刑又ハ無期懲役ニ處ス
第84条[同前] 帝國ノ軍用ニ供セサル兵器、彈藥其他直接ニ戰闘ノ用ニ供ス可キ物ヲ敵國ニ交附シタル者ハ無期又ハ三年以上ノ懲役ニ處ス
第85条[同前] 敵國ノ爲メニ間諜ヲ爲シ又ハ敵國ノ間諜ヲ幇助シタル者ハ死刑又ハ無期若クハ五年以上ノ懲役ニ處ス
軍事上ノ機密ヲ敵國ニ漏泄シタル者亦同シ
第86条[同前] 前五條ニ記載シタル以外ノ方法ヲ以テ敵國ニ軍事上ノ利益ヲ與ヘ又ハ帝國ノ軍事上ノ利益ヲ害シタル者ハ二年以上ノ有期懲役ニ處ス
第87条[未遂] 第八十一条及び第八十二条の罪の未遂は、罰する。
第88条[外患予備・陰謀] 第八十一條乃至八十六條ニ記載シタル罪ノ豫備又ハ陰謀ヲ爲シタル者ハ一年以上十年以下ノ懲役ニ處ス
第89条[戰時同盟國ニ対スル行爲] 本章ノ規定ハ戰時同盟國ニ對スル行爲ニ亦之ヲ適用ス

新条文(戦後・・現行法です)
第81条[外患誘致] 外国と通謀して日本国に対し武力を行使させた者は、死刑に処する。
第82条[外患援助] 日本国に対して外国から武力の行使があったときに、これに加担して、その軍務に服し、その他これに軍事上の利益を与えた者は、死刑又は無期若しくは二年以上の懲役に処する。
第83条乃至第86条 削除
第87条[未遂] 第八十一条及び第八十二条の罪の未遂は、罰する。
第88条[外患予備・陰謀] 第八十一条又は第八十二条の罪の予備又は陰謀をした者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
第89条 削除

政治と受益者2

共謀罪反対論に戻ります。
賛否の立場を離れて考えると、条約は出来てしまっているし、これに反対する意味・・論理構成が分かりません。
10月23日のコラムで日弁連は今後条約自体に(「近代刑法の精神違反と?)反対しないで、我が国には、銃刀法所持禁止等の準備行為段階の処罰規定があるので、国内法整備不要論を展開して行くと書いていることを紹介しました。
一旦署名した条約自体を、反古にするのは無理と判断したのでしょう。
署名した条約に今更反対出来ない以上、後は国内法を整備するか、しないかだけですが、条約履行のための法整備反対も条約結果実現反対と同じですから、法理論的に無理があります。
国内法で言えば、法律が出来てしまったのに、施行のための規則制定作業をサボタージュしろと言うのと同じレベルの問題です。
これをやっていると条約反対と同じですから、日本の国際信用をなくしてしまい、国際孤立が待っているでしょう。
たとえばTTP交渉は特定産業が有利になり、関税で守られている特定産業が不利ですから、それぞれの政治目的・擁護する利益集団が明確です。
犯罪の共謀自体を処罰すると、どの集団が損をするのか、どの集団利益を守ろうとしているのか不明です。
まさかテロ予備軍の利益を守ろうとしているとは思えません・・・。
そもそも共謀罪に関する国際条約は、日本をターゲットにした日本だけが不利益を被るような不平等条約ではありませんから、日本だけが条約履行しないことによって、国際社会でどのような地位を得ようとしているのか?どのような国益に寄与するための反対か理解不明です。
共謀罪や秘密保護法が出来たら人権を守れる訳がないと言いますが、日本の人権だけではなく世界中の多くの国がこの条約を履行しているのです。
世界に通用しない理屈で開き直るよりは、秘密保護法で言えば、秘密指定の決め方・・ルール策定に参加して秘密指定が野方図に広がるのを阻止したり、共謀罪の運用手続法や証拠法則の合理化等を主張提言して人権擁護努力すべきが実務家・専門家の仕事ではないでしょうか?
法律専門家集団としての地道な役割を放棄して、政治で決まった結果そのものの不当性(本当に不当としてもそれは政治が解決することです)を政治面で飽くまでも主張して行くのは専門技術集団の役割ではありません。
意見の合う人たちで日弁連ではない別の政治集団を結成するならば、政治運動する権利があることを否定するものではありません。
ところで、政治運動と言うものは必ず何らかの現世的結果をもたらすことを目的にしているもの・・何らかの利害・結果を求めてやっているものです。
共謀罪法制化反対の政治運動するについては、その集団が何らかの利害の代弁していると見るべきですが、目指す現世的結果・・実現したい集団利益は何でしょうか?
世界中で共謀段階で規制する必要があると認めて立法化が進んでいる現在、(10月22日に紹介したように「2013年6月現在、署名国は147、締約国は176」)事前段階の処罰や摘発を日本だけが野放しにすべきだと言う結果を求めていることになりますが、これが国際的にどう言う利害結果を目指しているのでしょうか?
この段階で日本だけテロ集団の共謀を野放しにしておくべきだと言う主張が国際的に通用するかと言う疑問です。
(制定反対し続ければ、制定までの間、そう言う結果を我が国にもたらすことになります)
国内政治と違い、国際政治は、反対運動していれば遠慮してくれる仕組みではありません。
国際社会では、相手にされないか、その何倍もの仕返しが待っています。
共謀罪制定反対論者は、国際条約の履行に反対して国内法整備をいつまでも日本がしない場合・・出来ない場合の、国際社会における日本の利害損失をどう考えているのでしょうか?
まさか日本民族を世界で窮地に陥らせるため・・反日のための政治運動をしているとは思えませんが、その運動目的が理解出来ません。
朝日新聞が何故か日本を国際的に窮地に陥らせるための報道を世界中で継続していたことが分りましたが、日弁連にも共通の基礎土壌があると思われないか心配です。
朝日新聞や社会党等の日本批判が勢いを失ったときにこそ、「ここに◯◯あり!」と旗を立てて応援しなくっちゃ・・と言う意識で頑張っているとすれば仕方のないことですが・・。

政治と受益者1

会内政治政治勢力の動きについては、千葉県弁護士会のことしか知りませんが、昭和5〜60年代ころには代々木系と社会党系や民社党系・自民党系弁護士の色分けが進んでいて、仲良く順送り的に執行部をやっていて、私のようなノンポリは偶発的に執行部に入る時代でした。
当時私の事務所に来ていた修習生が、「先生みたいな(ノンポリ)が何故執行部に入っているのか不思議だ」と言っていたのを思い出します。
この20年くらいで見ると、(バックの政党が凋落してしまったこともあって)共産党系か社会党系か民社系かの色分けがなくなり、大雑把に見れば従来の革新系が大同団結に近いような結果になったようにも見えます。
昭和の終わりころまで公害反対運動や労働運動に関与していた革新系弁護士の多くが、公害や組織的労使紛争が減ったこともあって、平成に入ったころから消費者系の運動に注力するようになってきました。
憲法改正反対や労働運動、公害反対等と違って、政党色がはっきりしない分、ノンポリ系弁護士が参加し易い面がある上に、紹介で繋がる顧客基盤の少ない若手にとっては、魅力があることから多くの若手を引きつけて今では大勢力になっています。
ノンポリ系が多く入るようになって、既に10年以上経過していますので、消費者系は文字どおり消費社会での弱者救済に特化して行って特定の政党支持色を感じなくなりました。
数日前から大学自治会や弁護士会の委員会にノンポリ系が入れなくなっている弊害を書いてきましたが、消費者系委員会に関しては大量にノンポリを参入させて勢力拡大した結果、かえって中庸化して良い結果になっているように思われます。
各政党色が消えて、今では消費者系・民暴系など委員会系列別に違った組織化(専門化が進んで良い面もありました)が進んできました。
系列化進行が全国的に進んだ結果、弁護士大増員で苦しくなった若手・・消費者系の支持を受けた宇都宮健児氏が5〜6年前に日弁連会長になりました。
ただ宇都宮氏は上記中庸化する前からの古参ですから、日弁連会長を辞めた後の都知事選では旧来の革新系政党・・社共両党の主張そのままを体現するかのような政策で立候補していましたが、今の消費者系弁護士が皆こう言う政治意見ではなさそうです。
千葉県弁護士会では、平成の初めころまでは、各弁護士の政党色が明らかでありながら呉越同舟的に執行部形成して来たことから、お互いの政党色を出さないように自制して来たものでしたが、ココ10数年くらいその遠慮がなくなって来たように見えます。
近年(バックになる政党自体ズタズタですから)表面から政党色が消えたことが、革新系同士の鞘当てがなくなり、却って弁護士会での政治活動に遠慮がなくなってきた原因かも知れません。
この10年以上の動き・・憲法改正反対、放射能被害を救済する→原発再稼働反対・・ヘイトスピーチ反対・・沖縄基地存在自体の反対、オスプレイ反対・・秘密保護法反対、共謀罪法反対、その他各種政治的動きは全て、是是非の動きではなく、従来の社共系政治勢力の目指していたものといつも同じになっているのは偶然でしょうか?
平和憲法護持・・非武装論貫徹で誰・どこが得するのか?
沖縄から米軍がいなくなったり反対運動激化で弱体化することで、どこのどう言う勢力が得するか?
同じ米軍基地のある三沢、岩国その他で激しい反対運動がないのに、何故地政学的重要性のある沖縄だけで「少なくとも県外へ!となるのか?
秘密ダダ漏れで得するのは誰か、オスプレイ反対で誰が得するか(尖閣諸島その他離島防衛に関しては航続距離の長い機種選定は死活的重要性がありますが、この配備が出来ないとどこの国が得するか)沖縄で反日運動・反基地運動も確かに人権に関係がありますが、盛り上がれば誰(どこの国)が得するかなどなど・・。
戦闘機等の騒音被害も人権擁護には違いがないですが、戦闘機なら良くてオスプレイ導入に反対するには関係が遠過ぎます・・。
あまり遠い関係まで人権擁護と言い出せば、消費税増税可否も高齢者医療費負担率の改正も全て弱者の人権擁護問題になり全ての政治運動をすることが可能になります。
日弁連や単位会では、「人権擁護の検討をしていると偶然そうなっているだけです」と言うことでしょうが、共謀の認定は多くの外形証拠が必要と書いてきましたが、世間は結果・外形→誰が得する結果を求めているか・・その組織の主張を取り入れたり紛争激化によっていつもどの集団や国が得するようになっているか・共通項の外形で理解するのではないでしょうか?

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