NAFTA見直し決着の影響

メキシコでの1~2月の生産・輸出台数を詳細に見てみると、トランプ氏への対応の違いがはっきり出た。米フォード・モーターや本田技研工業(ホンダ)は生産・輸出台数を減らした。
フォードの生産台数は前年同期比41.2%減、輸出台数は44.2%減と大幅に減少した。フォードは米国での雇用を奪われるというトランプ氏の批判を受け、いち早くメキシコでの新工場計画を取り消した。
米国に生産拠点を集約するためメキシコ工場の生産を縮小しており、今後、メキシコから撤退するのではないかと推測されている。
ホンダの生産台数は24.4%減で輸出台数は16.3%減。ミドルサイズの「CR-V」の生産分をメキシコ工場から米インディア工場に移管したことによる。1月6日付ロイターは、ホンダのメキシコ戦略の変更を、こう報じた。
「関係者によれば、ホンダは日本で生産する米国向け小型車『フィット』をメキシコ生産に集約する計画だったが、日本からの輸出を今まで通り続ける。また、今年からメキシコで増産する計画のある米国向け多目的スポーツ車(SUV)『HR-V(日本名:ヴェゼル)』も、日本からの輸出を検討している」
メキシコでの新工場建設をトランプ氏からツイッターで名指し批判されたトヨタ自動車は、生産台数が12.7%増、輸出台数は10.5%増だった。
マツダの生産台数は9.2%増、輸出は52.5%増と大きく伸びた。マツダは米国で販売する自動車の約3割がメキシコでの生産車となっている。

https://www.kanzei.or.jp/topic/international/2018/for20180921_1.htm

米国とメキシコ両政府がNAFTA見直しで大枠合意(USTR)
米通商代表部(USTR)は、2018年8月27日、米国とメキシコ両国政府が北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉の結果、協定内容を見直し、大枠で暫定的な合意に達したことを発表した。この協定見直しの再交渉は2017年8月16日に開始されたもので、合意内容は多岐にわたっている。合意された主な項目には、原産地ルール、物品の市場アクセス、繊維品、農産品、知的財産、デジタル貿易、少額貨物の扱い、金融サービス、労働、環境の分野が含まれ、USTRはその発表の中で合意内容の中には現行のNAFTAや環太平洋パートナーシップ(TPP)協定を越えるものもあるとしている。

と言うのですが具体論次第なので、実はメキシコ生産をどうして良いか不明なので現地撤収の動きが見えています。
本田の場合です。
https://jp.reuters.com/article/honda-production-shift-idJPKCN1N01AD

2018年10月26日 / 19:27 / 1年前
[東京 26日 ロイター] – ホンダ(7267.T)は米国市場向け小型車「フィット」について、次期モデルからメキシコでの生産を中止し、日本からの輸出に切り替える方向で検討を始めた。複数の関係者が明らかにした。米国、メキシコ、カナダ間の新たな北米貿易協定で関税免除の条件が厳しくなり、現地生産のコストが中長期的に上昇する懸念がある。さらに、フィットの米国販売が低迷していることも踏まえ、生産集約による効率化も狙う

https://www.canon-igs.org/column/macroeconomics/20180918_5244.html
には以下の意見が見られます。
トランプのNAFTA見直しで何が変わるのか-米国の雇用は拡大しない。日本の自動車メーカーに不利はない  研究主幹 山下 一仁

論拠については直接お読みください。

25%の関税に挙げられるなら挙げてみろ!逆に米国内企業が高いものを買わされるだけで、結果的にメキシコは困らないし日本も困らないはず!結果的に米国のメキシコ恫喝は、読んだ印象では「大山鳴動鼠一匹」の結果に終わるという読みのようです。
こういう結末可能性は対中交渉も同じで、「実力による生産力向上の動きを力づくで止められるものではない」という一例のように読めます。
向上がどの程度まで行くかは別問題ですが、民度によって60点止まり〜70点までいくなどの限界線があるでしょうが、上がり始めた以上は民度限界までいくのを邪魔しても仕方ないことです。
トヨタはトランプ氏の名指し批判にひるむこなく堂々と反論するなど「どん」と腰を据えた対応をしている印象ですが、メキシコ現地生産戦略に関してホンダは何となくジタバタしている印象です。
ジタバタうろたえるような対応は、長期的に見てジリ貧の元です。

NAFTA→雇用喪失と移民増3

機械化による効率化・生産性向上が進むと人件費率が上がるより下がる方向へ作用します。
ロボットなどの製造工場に合理化・生産性向上分の多くが吸い上げられる構造です。
宅急便の荷物仕分け物流センターの機械化も同様で、100人の作業員が10人で済む・・あるいは恒常的残業時間がへる方向になり手取り収入が減ります。
企業は元々白人に対する高額賃金では国内に1工場も残せないから低賃金労働者を入れて平均コストを下げて何とかしているとした場合で考えます。
外国人労働がないと工場の維持ができない=白人の職場がゼロになる関係・・例えば千人の工場に200人働いているから白人の職が200奪われているのではなく、200人いないと800人の白人の職場がそっくりなくなる関係とすれば、逆恨みも良いところです。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO44975010Y9A510C1000000/

トヨタ「輸入車規制は逆効果」 トランプ氏に反論
2019/5/18 7:10
トヨタの米国法人がコメントを出した。同社が60年以上にわたって米国に根付き、工場や販売店で50万人近い雇用を生んでいると主張。「今日の声明から、トヨタの米国への投資や従業員の貢献が評価されていないというメッセージを受け取った」と不満を表明した。トヨタが米政権を批判するのは珍しい。
トランプ大統領は同日、日本車を含む輸入車への追加関税の判断を180日延長することを決めた。一方で自動車の輸入増を「国家安全保障上の脅威だ」と指摘し、期限内に合意できなければ「追加措置を取る」とした。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50272150W9A920C1MM8000/
2019/9/26 22:35  日本経済新聞 電子版

【ニューヨーク=飛田臨太郎、辻隆史】日米両政府による貿易交渉は25日(日本時間26日)、閣僚級協議の開始から実質半年という短期間で決着した。日本は最大の懸案だった米国への自動車輸出の高関税や数量規制を回避。中国と対立を深める米政権は2020年の大統領選を控え、牛肉や豚肉の関税削減を確保した。安倍晋三首相は「ウィンウィンの結論」と評したが、先送りした懸案も多い。

先送り感は否めないものの、政治というものはいつも先送りであり、いつ蒸し返されるかしれない本質を持つものです。
当面危機回避できたことは良いことです。
トランプ氏の移民抑制とNAFTA見直し宣言は、高度成長期に日本からの輸入増大による職場を失う不満が、ハンマーでの日系製品叩き壊しパフォーマンスになったのと同じ方向のエネルギーを汲み取った政策と見るべきでしょう。
トランプ氏がNAFTA再交渉宣言とメキシコとの国境の壁設置を同時主張している所以です。
ここでメキシコの発展経過を見ると、日本の中国に対する関係同様にNAFTAをキッカケに米国企業の現地進出の動きが始まったので、現地人が工場労働経験を積み(規則正しい勤務になれるなど)製造工程の機械化が進めば進むほど個々人の技能差に頼る率が少なくなり、米国内生産と品質面でそれほどの遜色なくなっていきます。
メキシコ人労働者が経験を積みサプライチェン関連のインフラも整ってきたのを見て、日系企業も進出してもモノになると踏んで?日系企業進出が始まると、現地人工場労働技術習得に加速度がついた印象です。
11日見た車生産台数のグラフでは、日系進出が始まった11年の翌12年以降急激に車生産が増えています。
18年には韓国の生産台数を追い越してしまったニュースを見ました。https://www.globalnote.jp/post-3184.htmlによると18年ランキングでは、メキシコはドイツの次・・世界6位で韓国7位でした。
こうなると、メキシコを米国の独占市場にするどころか、米国の方がメキシコの製品の販売市場になって輸入国に逆転してきたのがこの4〜5年ということでしょうか?
こうした傾向は米国の対中関係でも同様です。
米国は冷戦勝利の余波を駆って中国の門戸をこじ開ければ、中国市場席巻の予定だったでしょうが、(実際に大量の米企業が進出しある程度成功しています)逆に中国からの輸入の方が増える一方メキシコ同様に予定が外れ、トランプ氏の不満が炸裂しました。
11日冒頭にアップルの例を紹介した通り、最終完成品を中国から輸入する仕組みでは貿易収支で見れば、自国初の発注製品でさえ米国の方が赤字になるのは必然です。
要は最終製品輸出国は貿易黒字になりやすいのです。
米国にとって中国のように覇権争いをしませんが、経済的に見れば中国同様に目障りになった段階かもしれません。
グローバル化に成功してみたら自国が損をすることが分かって、ちゃぶ台返しを始めたのでしょう。
米国覇権を狙うのを許せないのは共和、民主共通ですのでトランプ氏に限らず対中政策強化は一致のようですが、メキシコは米国覇権を否定しようとしていないので、共和、民主の立ち位置による評価の違いが出ているのでしょうか?
メキシコやカナダは米国覇権に挑戦する気持ちがないので、あっさり米国の要求に応じてNAFTA見直しに応じ米墨の紛争(メキシコからの輸出環境不明のままだと日本などのメキシコへの進出計画が立たず・・投資停滞・経済活動停滞リスク)が長引くことによる貿易関係不確実性除去に早期成功しました。
トランプ氏の恫喝によるメキシコに対する影響は以下の通りです。
https://biz-journal.jp/2017/03/post_18439.html
2017.03.24

ドナルド・トランプ米大統領は、北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しを打ち出し、メキシコで生産された自動車に高関税を課す考えを示した。今後の交渉次第では、メキシコからの輸出に影響が出かねない。

NAFTA→雇用喪失と移民増2

日本大手メデイア好みの移民問題に対する理解・人道主義的理解・オバマ礼賛オンリーでは日本は誤ります。
かと言って、トランプ氏の過激政策(壁を建設するなど)は選挙対策的には意味があるでしょうが、基本的に無理筋のイメージです。
企業が出て行けばその分野の雇用が減る(製造業が国内立地の場合不採算事業を国外に移せば、)その分野の雇用が減るのは理の当然ですし、企業が国外活動すれば自国民が出かけるだけでなく外国人も入ってくる関係になります。
これが気にくわないと当たり散らしてもどうなるものではありません。
人件費が割に合わないならば、一部国外進出どころか潔くその事業を全部やめればいいのですが、フォードやクライスラーが国内全面撤退すると政府が怒るので企業が付き合いで国内に止まるには赤字にならない程度の割安労働力が必要です。
ところが、低賃金あるいは3K部門のやり手がないのでそれを嫌がらず担当するメキシコ系の移民導入が進んだのではないでしょうか?
日本では不法就労外国人だからといって賃金単価を差別することは出来ないので米国も同じと思われるのですが、なぜ外国人に低賃金職場が奪われるかのような不満が起きるかといえば、労働者不足の場合経済原理からいえばその分野の人件費が上がるべきなのに上がらないのは低賃金参入があって下支えをするから上がらない・この不満を古典的表現で「低賃金職場が奪われる白人の不満」とメデイアが表現しているのではないでしょうか?
実際に米国では好景気でほぼ百%雇用状態と言うのですから、不法移民が白人の職を奪っているのではなく、不満があるとしたら好景気なのに給与が上がらない・格差が縮まらない不満というべきでしょう。
日本の介護士不足のコラムでだいぶ前に書いたことがありますが、本当に不足しているならば経済原理に委ねれば時給単価が上がり労働環境の改善が進むはずなのに上がらないのは、低賃金政策があるからではないか?
待遇改善したくない力学が働いているという意見を以前このコラムで書いたことがあります。(下書きに書いてそのままになっているかも?)
完全雇用下で市場原理に委ねると単価的に近い接続職場・・従来の3K職場や非正規雇用者との人員争奪になり膨大な裾野労働者の人件費引き上げに連動していきます。
今の人件費体系で辛うじて生き残っている(ギリギリの採算で)旧来型製造工場サービス業等が軒並み国際競争力を失う結果になるからでしょう。
これをやってしまったのが韓国最低賃金強制引き上げによる零細事業の廃業続出現象です。
医師、介護士や看護師給与は一見市場原理のようでいて、国民皆保険制度の結果、薬価同様に点数次第で基本枠組みが決まるのでその枠内での業界内の自由競争でしかなく、実事実上の国定賃金です。
本当に保育士や介護士を増やしたいならば、競合する居酒屋やコンビニバイトより単価を上げれば済む話です。
それが出来ないのは一波万波を呼び・・競合接続業界から順次人件費引き上げ連動が起きて、最後は国内製造業の工賃単価に及び、辛うじて生き残っている限界企業が国外移転するしかなくなる・・雇用縮小に見舞われるのが怖いからです。
100%雇用状態とは言い換えれば国際競争できる人件費水準であり、これを仮に2割あげるとたちまち競争力がなくなり職場がなくなり失業の嵐になるでしょう。
為替相場で円を2割高にする政策と同じです。
保育士や介護士がコンビニや回転すしチェーンや居酒屋より重要だというならば、現行の賃金体系の序列を変更して、保育士介護士などの賃金をあげるが日本全体の賃金底上げに連動しない・・(そんな法律は作れないので)国民合意しかないでしょう。
100%市場原理で雇用している宅急便やコンビニ居酒屋等の場合、人手不足→競合他社より人件費待遇改善すれば自社だけ人を増やして労働時間短縮できるはずです。
しかし、他社と生産性が同じであれば他社より高い賃金では採算が取れない→自社だけ単価を上げると客が逃げる・・業界横並びで賃金アップ→商品単価アップすれば他業界に客が逃げる(スーパー業界が談合で単価を1割上げればデパートやコンビニに負けるなどで他社や他業界との生産性比較の問題です。
人手不足とは人が足りないのではなく、その業界が他業界から人材を引き抜けない・・これ以上給与を上げられない→単価を上げれば競合類似業界に客を取られる・・生産性の低さの言い訳に帰することがわかります。
売り上げ減を補うための単価値下げ競争は(回転すしのように合理化による単価下げは意味がありますが、)消耗戦に過ぎないのは知られていますが、生産性アップを伴わない待遇改善競争→客単価の値上げしかない・これも値下げ競争同質の消耗戦です。
寿司業界が回転寿司業態を開発して生産性で大飛躍しましたが、人手足を嘆く業界は、生産性アップ努力で他業界に遅れていることを自白をしていることになります。
回転寿司のような画期的業態変化は滅多にできないので、国内で低賃金が不満なら安い人件費でも喜んで働いてくれる後進国へ逃げて国内生産にとどまる競合を圧倒する安直戦略が流行りました。
サービス業は海外に逃げられない(コンビニや建設業も海外展開していますが国内分野ゼロでは国民が困るので)ので、待った無しの生産性アップ努力が問われるようになったのです。
そこで介護ロボットの工夫・医療現場のIT化など進み、コンビニ・スーパーなどでのセルフレジ化)介護化看護師等の負担軽減努力が進んで来たのですが、その程度では足りない・・待遇改善だけではなく給与そのものアップが必要です。
企業とすれば、10人必要なレジ係が最新設備によって3人で足りるようになれば、7人分の人件費が浮くのですが、その代わり機器導入費負担がかかるのでストレートな人件費アップになりません。
このような構造変化が進む結果、労働分配率が下がり続けているのですが、メデイアが時々この種の批判論をキャンペインするのをこのコラムで批判してきました。
回転すしで言えば従来20年前後徒弟奉公したベテランしか握れなかった寿司を、短期間講習で握れるように単純工程化した結果、人件費単価が急激に下がりましたが、この場合企業の大きなコストは回転チェーンの設備投資と立地経費、仕入れ単価が多くを占めるのであって、労働分配率が下がるのは当たり前です。

オバマ政権の移民政策(DACA制度論争)2

2019年11月14日「オバマ政権の移民政策」の続きです。
米国はメキシコ(ひいては中米諸国)から安い労働力を輸入しながらその対価・日本の地方交付金みたいな分配をしない・・この無理押しを見ぬふりをしているので移民政策に関する米国世論の混迷につながっていると思います。
中米移民に頼る米国経済の現状です。
https://news.yahoo.co.jp/byline/maeshimakazuhiro/20170918-00075900/

(3)不法移民をめぐる意見の対立
ピュー・リサーチセンターによると、2014年現在、アメリカにいる不法移民の数は1100万人程度と推計されている。アメリカの人口が約3億人強であるため、人口の3.5%を超える。だが、不法移民の数は1990年には350万人程度だった。その後、ヒスパニック系を中心に合法移民だけでなく、不法移民も急増して今に至る(リーマンショック前の2007年が不法移民の数は1200万人程度とピークだったが、ここ数年、微減ではある)
・・・・・不法移民はアメリカ経済の急伸に伴い、低賃金労働者として経済を支えてきた。
不法移民はメキシコ国境の各州に集中する。同じくピュー・リサーチセンターによると、カリフォルニア州の労働人口の9%、ネバダ州は10.4%、テキサス州8.5%と特定の州の場合には産業構造上、不法移民なしで動けないような状況になっている。
・・・不法移民は低賃金労働者として必要だったため、農業やサービス業などの一部の産業界からは規制に反対する声も強かった。さらに、人権的な配慮から全米各地の群や市の自治体約200は「聖域都市(サンクチュアリ・シティ)」として、若者に限らず、不法移民そのもの摘発を行わない寛容政策を取り続けてきた。
不法移民の強制送還は連邦政府の役割だが、連邦政府機関の取締りに「聖域都市」では地元警察は協力しないことを宣言してきた。また、「聖域都市」に限らず、不法入国した若者についても、高校までの公教育は無償で提供されてきた。

このように膨大な移民労働力にたよる・人材の一体化がどんどん進行すれば、なくてはならない労働力ではあるが、どこか気に入らない面がじわっと広がってきた状態をトランプ氏が支持者獲得のために機敏に煽ったのだと思われます。
https://www.bbc.com/japanese/41170136

トランプ米政権、若い移民救済制度を撤廃へ オバマ氏が批判
2017年09月6日
子供の時に親に連れられて米国で不法移民となり、そのまま米国で暮らす若者をただちに強制退去させないオバマ前米政権による救済制度について、ジェフ・セッションズ米司法長官は5日、撤廃する方針を発表した。米国で生活する約80万人が影響を受ける恐れがあり、バラク・オバマ前大統領はこの決定を「残酷」で「間違っている」と批判した。

オバマの主張は人道論一色のようですが、(日本ではそういう議論ばかり紹介されているのかもしれませんが・・)地についた議論としては、国内産業維持のために必要な外国人労働力をどう位置付けるかの議論であるべきです。
人種差別意識の低層心理があって、黒人奴隷の焼き直し的地位を想定して議論しているのではないでしょうか?
EUの場合、中世以来別々の王国に別れていたとはいえ、キリスト教徒としての民度レベル文化歴史もほぼ共通の土台の再構成なのに対して、米国とメキシコとの関係は人種由来的にEU中核・独仏と西欧周辺国との関係に似ています。
EU拡大に伴い最西端に位置する英国が東欧からの自由な国境移動(イギリスにはポーランド人労働者が多く流れ込んでいると言われます)に我慢できなくなり、ドイツや東欧諸国のトルコ・南欧を通じる中東・アフリカ系移民に対する不満)その他でEU域外からの移民増大に不満が出てきたのと、アメリカの対メキシコ(中南米からメキシコ経由で米国入国を目指す人々への)感情とは根底の感情が同じでしょう。
西欧でもドイツの場合、世界企業が多いのですが、工場労働者といっても一定の熟練の技を重視する傾向の強いので、アメリカがメキシコへ移転したような南欧諸国等への工場移転の動きはありません。
ドイツの場合自国にきた個々の移民を訓練する社会ですから、米国のように直ちに製造業空洞化による国内雇用喪失の不満は起きません。
EUの移民に対する不満は移民に職を奪われるとか異文化人が身近にゴロゴロ住み着くことに対する社会の軋轢増大を底辺層の身近な不満として取り上げるメデイアの解説が当たっています。
米国の場合、基本的に熟練技術を求めない・自国民自身労働の質が高くないことから、制度上の規制・・現地生産のハンディ・・進出に対する後進国の法障害さえなくなると、企業・製造工場の方が北米地域内で気軽に移動してしまう傾向があります。
関税や法規制による進出障害に対する内政干渉まがいの攻撃(今回の対中攻撃も中国による外資に対する規制に対する攻撃が基本です)が多い所以です。
米国ではもともと異文化人が隣近所にいること自体には慣れていることと、地元工場の募集数が同じで個々人が職場を奪い合う不満以前に、職場自体がメキシコに移動して行くので、米国内製造業の国外流出による製造業空洞化恐怖の方が大きいのではないでしょうか?
ですからメデイアが西欧に妥当する移民排撃機運を米国に当てはめて、米国底辺層が職を奪われることに対する不満に過ぎないと・トランプ氏支持層は底辺層白人というキャンペインもこの一種・・バカにするのは間違いです。
日本が米国への工場進出に応じたのはこの心理に応じた正攻法で、現在の日米蜜月の基礎を導いた基本構造です。
トヨタがトランプ氏に名指し批判を受けた時に日系企業は、米国雇用に多大の貢献をしていると応じたのは、相手の直球をまともに打ち返した見事な説明であり、トランプ氏は黙ってしまった様子です。
トヨタ進出で潤っている地元政界の援護が厚かったとも言われます。

国(くに)とは?6

親(日本で言えば国民を守るべき政府・親同然)にいじめ殺されそうな児童が国家権力(もっと上位の米国や国際世論)による庇護を必要としているような状態でしょうか?
ここまでくると、中国が香港人やウイグル人を統治すべき正統政府と言えるかの疑問が生じます。
政府とは何か?ですが、国民の生命財産等を守るのが第一の使命でしょう。
政府を守るために人民を戦車で踏み潰すのを意に介しない政府とは?
いずれにせよ、中国では政府側としては支配対象人民とは敵対すべき関係で同胞意識など全くないし、民主主義・人民が政治参画を考えることすらできない状態でやってきました。
中国共産党や朝鮮人民共和国のいう人民とは古代社会からの用語・・支配対象としての人民であってリンカーンのいう政治に主体的に参加するようになった人民ではありません。
https://jp.wsj.com/articles/SB12636345258602743387504586016293987967186

香港デモ再び緊迫、大学が新たな主戦場に
By Jing Yang and Stella Yifan Xie
2019 年 11 月 14 日 11:02 JST 更新
【香港】医師のチュー氏は患者に縫合処置を施すのに、普段より手間取っていた。香港中文大学(CUHK)の体育館内に設置された簡易治療所で同氏が手当てしていたのは、デモ隊と警察との衝突で負傷した若い学生だった。
飛んできた催涙ガスの弾筒で頭部を負傷したその女子学生は、膝を抱えて痛みに耐えていた。チュー医師は、ボランティアが握っている懐中電灯の明かりを頼りに、麻酔なしで学生の頭部を4針縫った。医師は自身に影響が及ぶことを恐れ、姓名は明らかにしなかった。
中文大学では12日、終日にわたり…https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/11/ha-2.php
香港デモ隊と警察がもう暴力を止められない理由
2019年11月12日(火)18時25分
ジェームズ・パーマー(フォーリン・ポリシー誌シニアエディター)
<腹を撃たれて倒れたデモ参加者、親中派の男性に火を付けたデモ参加者──世界の香港に対するイメージは一日にして暴力的なものに変わった。これからどうなるのか>
──警察とデモ隊の両方が暴力に訴えるようになっているようだ
上記原稿記載から一ヶ月以上先送りになっていましたが、この間香港で区議会選挙が行われ、中国政府の思惑に反して自由を求める勢力が圧勝したようです。
その後高等裁判所は、「行政府による覆面禁止条例制定は違法である」との判断が示され、中国政府は法の解釈権は政府にあるという声明を出したようですが、ここまでくると文字通り中国政府が国際常識から追い詰められた様相です。
司法権の決定に行政府が優越すると宣言するのでは、一国二制度の返還条約を守っていることになるのでしょうか?
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52338310Z11C19A1MM0000/
中国「覆面禁止は適法」 香港高裁判決を批判

2019/11/19 13:24
【北京=羽田野主】中国の国会に相当する全国人民代表大会常務委員会法制工作委員会の蔵鉄偉報道官は19日、香港でデモ隊がマスクや覆面で顔を隠すことを禁じる「覆面禁止規則」について「(香港の憲法に相当する)香港基本法に適合している」と指摘する談話を出した。香港の高等法院(高裁)が覆面禁止は「違反している」と初の判断をしたばかりで、波紋が広がりそうだ。
https://www.sankei.com/world/news/191209/wor1912090022-n1.html
8日の大規模デモを経て抗議活動はどこに向かい、中国当局はどう対応するのか。
「昨日の疆蔵(きょうぞう)」「今日の香港」「明日の台湾」-。
8日のデモ行進で掲げられていたのぼりである。「中国の新疆(しんきょう)ウイグル自治区やチベット地方で起きた問題は、香港で起きつつあり、台湾でもこれから起きうる」といった意味だ。

https://www.sankei.com/world/news/191216/wor1912160010-n1.html

中国首相、香港デモを批判 一層の取り締まり指示
2019.12.16 13:51
香港では15日夜から16日未明にかけて政府に抗議するデモ隊と警官隊が衝突、地元紙によると、少なくとも16人が拘束された。警察は物を投げるなどの過激な行動を取っていない参加者にも催涙弾を発射し、より強硬な姿勢を示した。過激デモは沈静化の兆しを見せていたが、市民の反発は強まっており、年末にかけて衝突が激化する懸念もある。

このところ体調悪く過去の書きダメ原稿そのままの掲載になっていますので、現時点の香港状況とは様変わりですが当時の記録としてお読みください

免責事項:

私は弁護士ですが、このコラムは帰宅後ちょっとした時間にニュース等に触発されて思いつくまま随想的に書いているだけで、「弁護士としての専門的見地からの意見」ではありません。

私がその時に知っている曖昧な知識を下に書いているだけで、それぞれのテーマについて裏付け的調査・判例や政省令〜規則ガイドライン等を調べる時間もないので、うろ覚えのまま書いていることがほとんどです。

引用データ等もネット検索で出たものを安易に引用することが多く、吟味検証されたものでないために一方の立場に偏っている場合もあり、記憶だけで書いたものはデータや指導的判例学説等と違っている場合もあります。

一言でいえば、ここで書いた意見は「仕事」として書いているのではありませんので、『責任』を持てません。

また、個別の法律相談の回答ではありませんので、具体的事件処理にあたってはこのコラムの意見がそのまま通用しませんので、必ず別の弁護士等に依頼してその弁護士の意見に従って処理されるようにしてください。

このコラムは法律家ではあるが私の主観的関心・印象をそのまま書いている程度・客観的裏付けに基づかない雑感に過ぎないレベルと理解してお読みください。