精神障害判断(エピソード重視リスク)2

社会防衛の話題からコロナウイルス対策に長く入っていましたが、この辺で5月21日以来書いてきたコロナ対策第一幕の総括を(再度緊急事態宣言があった場合やその時の話題の都合で触れることが合あるかもしれませんが)一旦終了します。
March 8, 2020 12:00 am「精神障害判断(エピソード重視リスク)1」の続き・・精神障害と隔離に戻ります。
精神病関係は伝染性疾患ではないのですが、・・「自傷他害の恐れ」という社会防衛思想が前面に出る点で人権侵害と隣り合わせになる点が違います。
これまでの受任事件(障碍者が傷害事件等を起こすのは入院していない在宅の場合が普通)では20年ほど前までには親が70台以上になり子供が40台での事件が多かったのですが、最近(と言ってもこの4〜5年医療観察法事件をやっていません)では80台前後の親に4〜50台の息子というパターンが増えてきた印象です。
経験的印象では統合失調症系の事件は服薬その他の病状管理が行き届かなくなる場合が中心の印象ですが、発達障害等は(人間関係の障害ですので)子供の年齢上昇に比例して家庭内暴力が多くなります。
父親に体力があって抑え込める時期には暴発控え目だった息子が、体力逆転してくると親の威厳だけで管理しきれなくなるのと息子の病状が高年齢化に比例して悪くなる相乗効果かもしれませんが、対外事件に発展して表沙汰になる(弁護士として知るのは氷山の一角)ことが多いようです。
昨年元農水次官が発達障害の息子を自分の手にかけた事件は、高年齢化による将来不安の境界年齢で「自分に体力あるうち・・」にという決断が背を押したものと思われます。
横にそれましたが、親の自助努力・責任感に頼る「保護義務者の同意」という制度に無理が来たので、保護義務者制度ををなくして家族の同意と広げたようですが、今後子供の兄弟が減る一方ですのでこれもすぐに破綻するでしょう。
ところで、本人以外の状況説明に頼る点では救急車出動の場合も付近にいた人の直前状況説明と、客観状況判断、脈や呼吸状態把握し瞬時の判断をしますし、交通事故等事件性の場合、受傷箇所特定など状況説明が重要な端緒です。
精神障害の場合医療申し込みは本人名義で行うものの実は関係者同行・関係者に連れてこられる(受け身であることが多い)点が救急患者と似ていますが、救急患者の場合、第三者の説明だけでなくバイタルデータに決定的意味があるのですが、精神障害の場合、本当にあったかどうか検証余地のない10〜20年前からのエピソードに頼る比重の高い点が大違いです。
20年3月7日の日経新聞朝刊1面には、全国の介護度認定のばらつきを大きなテーマにした記事が出ています。
客観データのない過去の生活状況説明に頼る弊害(客観性欠如の問題)が出ているというべきでしょう。
以下介護認定の実務の紹介は10年ほど前まで後見人等選任申し立て事件や、民事事件の争点・・契約当時の高齢者がどの程度の判断力を有していたかの必要があって介護認定表を参考にしていたころの私個人の経験ですので今はかなり変わっているかもしれませんのでそのつもりでお読みください。
最近では禁治産宣告制度から被後見制度に変わった結果によるのか、高齢化進展により後見制度活用が急膨張してきた結果?後見人選任申立用の診断書様式が簡易になって、精神科専門医でないかかりつけ医に行ってもすぐに、いわゆる長谷川式簡易テスト程度で(付き添って行った妻や娘などから日頃の様子を参考に聞く程度?)すぐに診断書を作ってくれるようです。
(これはこの1年〜2年半ほどの間における複数事件の経験です)
現行民法の制度は被後見人等の能力制限が目的ではなく被後見人等の身上看護や財産保護等に主眼が置かれるようになった制度目的の変更が影響しているのでしょう。
以上の次第で、今では介護認定データを見る機会が減っていますので様式もだいぶ変わっているかもしれませんので、そのつもりでお読みください。
介護認定表では日常行動として自分で何ができるか、時々どういう忘れものがあるか道に迷ったことがあるかちょっとした買い物ができるかなどのチェック表があって介護している近親者等からの日常生活の聞き取り中心で認定している実態があります。
調査担当者が調査事案ごとに実際に買い物について行く実験やお風呂やトイレに入ってもらう?似たような再実験をするのは時間、コスト的に無理でしょう。
親族や介護事業者等からの聞き取りやチェック項目記載結果を総合して医師を中心とする認定会議で介護度を決めているので、大げさにいう人と控え見に言う人との個性差や、利にさとい地域差が大きく出る仕組みだからこそ、政府も地域差が気になって、3月7日に紹介したような都道府県別の認定格差表(その関心で事前データ集計など行い)を公表したのでしょう。
7日の新聞の結果を見ても都道府県別健康保険利用・医療費データとほぼ同じような傾向が出ているような印象を受けました。
医療保険では濫診濫療問題が古くからありますが、受診のためには仕事を休むデメリットや、それなりに痛い思いをする他、無職高齢者の場合家族に送迎してもらうなど負担がある外1〜3割負担などの自費支出が発生します。
経済デメリットが全くないので合理的チェックが働かないのが、生活保護者利用の乱診乱療問題です。
介護関連制度は保険適用外のサービスが介護度のレベルアップになれば自費負担が減る一方でなんらの負担も増えない関係ですから、医療の濫診濫療よりブレーキが効きにくくなる傾向があります。
より高度な介護支援を保険適用にしてほしいという利害では、家族にとってオーバー表現に走るのは合理的行動でしょうが、制度本来の介護必要度の認定と、介護認定が一人歩きして人権侵害に連動する危険という面では割り引いた謙抑的認定が必要ですが、厳し目に割り引いて認定するとこんなに大変なのに介護度が2〜3なのか?あるいは要支援のママなのか?という不満が出ます。
利害対立者の一方が目の前にいない・保険赤字負担する国民は抽象的存在でしかなく直接応援してくれないので、目前の強い声に押されがちになるようなイメージです。
認定される本人も家族に家計負担かけない方が気楽なので、「そんなことくらいできるよ!と反論しないでうなづいて済ます傾向があります。
施設入所者あるいはデイサービス利用者の介護度ランク上げも同様で介護事業者にとっては、保険適用外サービスで顧客に対する自費負担・費用請求額アップよりは介護保険適用サービスになって自費負担が1〜2割になった方が営業的に楽です。
医師や、医薬品業界が、新薬等について保険適用を求める利害団体になるのと同じでしょう。
認定を受ける高齢者もこれが将来自分に対する人権侵害に使われる「万1」の可能性など気にしませんので、問診あるいは調査担当者に対して親族に経済負担をかけない方向へ協力する傾向が高まります。

精神障害判断(エピソード重視リスク)1

精神病以外の病気の場合、診断や手術ミスかの認定には医師単独で完結しない多くの関与者作成の手術直前の時系列に従った客観データ・体温や脈拍、血圧・血液検査の結果数値や画像の外検体自体が残っていることが多いのですが、精神病の認定や隔離入院判断の場合客観補強データとしては利害関係者のエピソード供述しかなく、診断にあたって、本当に過去にそう言うエピソードがあったかの関心で医師が補強証拠を検討しているように見えません。
一般医療の現場で考えれば、「昨日何時ころからどこそこが痛み始めて今朝我慢できなくなってきました」という説明が嘘かどうかで検証している暇がないし痛くてきている本人の説明を疑う必要もないのでどこそこが「痛い」という説明を信じてその説明に応じた診察(触診や検査)を始めるしかないのが現実ですからそれで良いのでしょう。
精神障害による強制入院のうち措置入院の場合、文字通り強制収容(人権侵害の最たるもの)ですのでいわゆる自傷他害の要件該当性判断が必須で、多くは具体的近隣相手の暴力行為があって警察通報に始まる事件が中心ですので、エピソード自体の客観性が事実上保障されていますし、障害があることにより自傷他害の恐れの認定に際し指定医2名の判断が必要なので判断自体の客観性もある程度担保されています。
問題は入院の大多数を占める同意や保護入院です。
まず措置入院制度を紹介しておきます。
これだけ始まりが厳重な制度設計でも一旦強制入院させたら永久入院で良いのではなく、実務上数ヶ月経過での再審査が必要になっています。

精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)
第五章 医療及び保護
第一節 任意入院
第二十条 精神科病院の管理者は、精神障害者を入院させる場合においては、本人の同意に基づいて入院が行われるように努めなければならない。
第二十九条 都道府県知事は、第二十七条の規定による診察の結果、その診察を受けた者が精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めたときは、その者を国等の設置した精神科病院又は指定病院に入院させることができる。
2 前項の場合において都道府県知事がその者を入院させるには、その指定する二人以上の指定医の診察を経て、その者が精神障害者であり、かつ、医療及び保護のために入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認めることについて、各指定医の診察の結果が一致した場合でなければならない。
3 都道府県知事は、第一項の規定による措置を採る場合においては、当該精神障害者に対し、当該入院措置を採る旨、第三十八条の四の規定による退院等の請求に関することその他厚生労働省令で定める事項を書面で知らせなければならない。
4 国等の設置した精神科病院及び指定病院の管理者は、病床(病院の一部について第十九条の八の指定を受けている指定病院にあつてはその指定に係る病床)に既に第一項又は次条第一項の規定により入院をさせた者がいるため余裕がない場合のほかは、第一項の精神障害者を入院させなければならない。
第二十九条の二 都道府県知事は、前条第一項の要件に該当すると認められる精神障害者又はその疑いのある者について、急速を要し、第二十七条、第二十八条及び前条の規定による手続を採ることができない場合において、その指定する指定医をして診察をさせた結果、その者が精神障害者であり、かつ、直ちに入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人を害するおそれが著しいと認めたときは、その者を前条第一項に規定する精神科病院又は指定病院に入院させることができる。
2 都道府県知事は、前項の措置をとつたときは、すみやかに、その者につき、前条第一項の規定による入院措置をとるかどうかを決定しなければならない。
3 第一項の規定による入院の期間は、七十二時間を超えることができない
第二十九条の四 都道府県知事は、第二十九条第一項の規定により入院した者(以下「措置入院者」という。)が、入院を継続しなくてもその精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがないと認められるに至つたときは、直ちに、その者を退院させなければならない。この場合においては、都道府県知事は、あらかじめ、その者を入院させている精神科病院又は指定病院の管理者の意見を聞くものとする。

ガイドラインでは概ね3ヶ月に一回この判断のための診察をするようになっているようです。
医療観察法の事件で医師と面談した時に聞いたのかいつ聞いたか不明ですが、自傷他害の恐れは興奮状態のものなので、興奮を鎮める薬投与(が発達しているの)ですぐ興奮は治るので3ヶ月もたってまだ恐れがあるというのは一般的に無理があるが服薬をやめるとすぐ再発する可能性がある・・問題は退院後も服薬指導に応じるかどうかが重要とのことでした。
医療観察法による強制入院の場合、退院後の強制通院制度もあるので素人的には完全体制のような印象でしたが、同意という名の任意や準任意入院の場合、服薬を嫌がる人の場合、どうして良いかの制度問題があるというイメージでした。
違法収容されていると主張して治療に不満がある場合、退院できれば服薬指導に応じないのが普通ですので、これが悩みの種でもあるようです。
無罪主張で判決が有罪認定になった場合、犯罪を冒した反省の情がないことを理由に刑が重くなるのと似た関係です。
実数で言えば、本当の人権侵害事件は万に一つあるかないかで本当に精神障害があるのに病状を自覚しない患者の方が多いのでしょうが、(自覚していても入院生活に不満な場合も多いでしょう・狭い空間に拘束されて気持ちの良い人はいません)だからと言って、患者とはそういうものだと決めつけるのも危険です。
20条で同意入院原則が書かれていますが、実際に自分から進んで入院したい人が少ない前提で医療保護入院という制度が用意されています。
従来保護義務者同意でしたが最近家族一人の同意でも良くなり、これも身寄りのない者などの例外も揃っています。

中国の脅威5(恐怖政治と世襲化)

中国としては、「中国はこわいぞ!」という強面の側面は日本でいくら宣伝してくれても良いが、時間をかけて日本にメデイア等に浸透して国内分断作戦を継続・・コミンテルン政策の継続にこだわっている国であることまでは知られたくないのでしょう。
中ソ対立に戻りますと、政敵を粛清するかどうかは国内治安問題であってソ連がやめても中国の国内運営に関係のないことです。
ソ連の国内治安維持のあり方に過ぎないことに関して、中国が戦争の危機を冒してまで批判し対立する必要がありません。
本当の対立は、国際共産主義運動方針・世界革命路線に関する根本的対立にあった・この場合ソ連の新方針に従うか無視するか2択しかないので深刻な対立になります。
ソ連の国際戦略変更に従わないとなれば、共産主義国家は一枚岩という世界宣伝に大きな亀裂が入りますので、ソ連は解散したとはいうものの事実上コミンテルン/コミンフォルムを通じた世界共産主義運動の総本山であり、指導者・ヘゲモニーを失うので黙認できません。
中ソ対立は、共産圏内限定とは言えかなり力をつけた中国が、ソ連の威信に真っ向から挑戦する・・今で言えばさらに力をつけた中国が世界覇権を握るアメリカの「鼎の軽重」を南シナ海で問おうとしていることの走りだったことになります。
中国の粗暴な挑戦に世界の警察官を自任してきたアメリカがどこまで格好を付けられるかでしたが、時々埋立地近くを航行するくらいしかできない・・強盗被害者が110番しても警官が時々巡回するだけで強盗を排除してくれないのでは強盗のいうとおりに従うしかない・・フィリッピン始め周辺国は中国のいいなりになるしかないでしょう。
南シナ海問題でアメリカはこの程度しかできない・・中国はアメリカが怖くないことを世界にアッピールする・・この辺の意図は北朝鮮の今回の挑戦にアメリカが何もできないのと同じです。
スターリンは表向き世界革命戦略を放棄していましたが、内実は違っていました。
中ソ対立までの世界の共産主義活動家は、モスクワの指導/指令に従っていました。
ベトナム戦争を指導したホー・チミンの逸話は以下のとおりです。
以下はスターリンに関するウィキペデアの記述からです。
「猜疑心の強いスターリンはホー・チ・ミンと初めて出会ったとき、スパイと疑っていた。ホー・チ・ミンはスターリンに会えた感激の余り、スターリンにサインを求めた。スターリンはこれに不承不承に応じた。
しかし、部下に命じてホー・チ・ミンの留守中にサインを強奪して取り戻し、ホー・チ・ミンが、サインがないことに気付いて慌てていた様子を聞いて喜んでいたという。」
日本のメデイアは中国贔屓が強いので、中ソ対立の本質・・スターリン批判後も中国に限っては従来のコミンテルン・・資本主義国に細胞を根付かせて撹乱して行く・国際展開思想を捨てていないことを一般に知られたくないので粛清政治の決別に反対したことだけを紹介しているのでしょうか?
実際にはルーズベルト政権中枢に食い込んでいた事実を見れば、コミンテルンの世界革命達成(という名のソ連による世界制覇)の野望を捨てていなかったこと・・西欧諸国へ浸透するタメに表向き解散して安心させる方便性は明らかでしょう。
浸透作戦は憶測の域を出ないので、証拠・裏付けの必要なニュース世界ではデモ等の弾圧や粛清しか出ませんが、この動きだけ見てもスターリン主義固執→文化大革命という吊るし上げ政治・気に入らない者を吊るし上げて失脚させる政治に発展した流れが中国で続きます。
毛沢東崇拝復活を目ざし汚職退治という名目で粛清に次ぐ粛清をして政敵を抹殺して来た習近平氏の路線は、まさに粛清の鬼スターリン政治再来を目指すものでしょうか。
スターリンは反党分子という名目で何十万という人材を処刑してきましたし、富農という烙印で何百万もの農民をシベリア流刑し称す民族の強制移住をしてきましたが、今のところ習近平氏の党内粛清の方法は汚職・共産党規律違反という名目の政敵処刑限定ですが、ほぼスターリンと同様です。
スターリンの処刑の酷さはスターリンに関するウィキペデアによれば以下の通りです。
「キーロフが暗殺されると、スターリンは、トロツキー、カーメネフ、ジノヴィエフを含めた自身の反対勢力者たちを、陰謀に巻き込むための構想を抱いた[38]。調査と裁判は拡大していった[39]。1934年1月の第17回党議会においては過半数の代議員が彼の言いなりであった[35]。見せしめの裁判あるいはトロツキーやレニングラードの政治局員セルゲイ・キーロフの暗殺のあとに法律を改定する[35]。この党大会で選出された党中央委員会の委員および中央委員候補139人のうち、98人が逮捕・銃殺された。党大会の党員1,956人のうちの1,108人が、「人民の敵」(ロシア語враг народа, “vrag narodaヴラグ ナロ-ダ”)(en:Enemy of the people) という烙印を貼られ、秘密裁判で死刑判決を受けると直ちに処刑された。スターリンは、裁判所に対して「人民の敵」と判断した者には死刑判決を下すこと、そして直ちに死刑を執行するよう命令していた。取り調べの際には「肉体的圧迫」、すなわち拷問を用いることを認め、罪を認めない者には拷問によって力ずくで「罪」を認めさせた。
公開されたソビエトの公文書と公式のデータによれば1937年には353,074人、1938年には328,612人(歴史家はほぼ700,000人と見積もっている)[51]もの「普通の」ソビエト国民…労働者、農民、教師、司祭、音楽家、軍人、年金受給者、バレリーナ、乞食が処刑された[52][53]。一部の専門家は、公開されたソビエトの公文書は、数字が控えめか、不完全か、頼りにならないと考えている[54][55][56][57]。例えば、ロバート・コンクエストは大粛清で処刑された人数は681,692人ではなく、その約2.5倍であったと示している。」
粛清の実行者である秘密警察職員ですら例外ではなく、ゲンリフ・ヤゴーダからニコライ・エジョフ、ラヴレンチー・ベリヤへと長官が変わるなかでNKVD職員たちも何万人と粛清された。例えばエジョフの場合、NKVDを掌握した時点で前任者であるヤゴーダやメンジンスキーの息がかかった職員を大勢粛清して組織内での自分の立場を強化している。ほどなくヤゴーダ自身も粛清されることとなるが、エジョフも最終的にはヤゴーダと同じようにベリヤに取って代わられ、粛清されている[63]。ベリヤも権力を握った時点でエジョフと同じようにNKVD内のエジョフ派幹部らを粛清しているが、ベリヤ自身もスターリン死後の権力闘争で敗れて粛清されている。当然のように、この時もNKVD内の親ベリヤ派と目されていた側近達が新体制によってベリヤと共に粛清されている。」
スターリン治世下では、高官が代わるととその部下の粛清へと際限ない殺戮の連鎖になってしまいました。
中国でも習近平政権になると、江沢民の側近・あるいはその人脈と目された政府・党幹部あるいは軍高官が党規律違反という名目で次々と失脚しています。
この小型版が、民主主義国家であるはずの韓国大統交代の都度行われる前大統領の追及騒動です・民主政体か否かによるのではなくまだ民度が大人の知恵にまで成熟していないということでしょう。
スターリン恐怖政治の再来のように見えますが、中国に場合には毛沢東時代の粛清を反省して粛清連鎖を断つために中国共産党中央政治局常務委員などの高官に対してはどんな追及もしないという不文律がおこなわれてきましたが、習近平氏がこれを破ってどしどしと粛清を始めました。
政治局常務委員に関するウィキペデアの記事からです。
「党内の権力闘争の激化を避けるために最高指導部である政治局常務委員経験者の刑事責任は追及しない党内の不文律「刑不上常委」があり、文化大革命終了以降は政治局常務委員経験者が刑事訴追された例はなかったが[6]、2015年4月に周永康の刑事訴追されたことが中国国営メディアによって報じられ、「刑不上常委」は破られた。」
以後軍のトップその他次々です。
習近平氏は、元どんな功績のある人でも粛清できる権力を行使し始めたことになります。
一旦歯止めのない粛清を始めると任期満了後の仕返しが怖いので終身化するしか無くなる・その内その周辺人物にとっては、終身権力者死亡後次期権力者による報復が怖いので、取り巻きが先代からの権力を維持できる無能な2代目を担ぐ世襲制を望むようになります。
こうして出来上がったのが北朝鮮の将軍様世襲制です。
もしかすると中国は北朝鮮にいろんなことをやらせて世界の反応を実験しているのかもしれません。

資金環流2とルール変更リスク1

今後日本の対米直接投資が進み他方でアメリカの対外直接投資が日本より少なくなって来ると、多分資本自由化に関するルール変更を仕掛けて来るでしょう。
そこまで行かなくとも・全世界ではアメリカの投資残の方がまだ大きくても、日米だけの所得収支・・日本の対米投資の方が大きくなって日本への収益送金の方が大きくなった場合に直ぐに問題化するでしょう。
トヨタなどが儲けてもその儲けを日本へ送金しないで更に新工場建設など再投資している限り問題化しませんが・・日本も苦しくなって本国送金が増えた場合の話です。
大分前に日本は今後物造り→貿易黒字で稼ぐのではなく、貿易赤字を所得収支で穴埋めする国になって行くとその頃にはルール変更リスクがあることを少し書いたことがあります。
今のところ、日本は貿易収支も黒字ですから、所得収支黒字分は再投資=資本収支が赤字になる仕組みですから、資本還流の方が多ければアメリカは不満がないでしょう。
この何年か国際的テーマになっているタクスヘブン騒動や、法人税減税競争はこのリスクの始まりを表しています。
進出されている国が現地企業利益の本社吸い上げを権力的に妨害をしていませんが、(中国が外貨準備減少に直面して日本企業への送金妨害していると言われていますが・・)アメリカが送金する側に回るとどうなるか分りません。
現在進出されている多くの国は新興国でもと被植民地国が多い・・ナセル中佐によるスエズ運河接収のような力を持っていないのですが、税制その他のソフト面の理由で結果的に現地進出先での儲けが現地滞留している・・本国送金障壁になっている点は同じです。
今後地産地消と言うかけ声・・「地元での儲けは地元で使おう・・還元しましょう」と言う声が高まりこそすれ、縮小することはないでしょう。
アメリカが折角海外で儲けた資金が進出先に滞留したままになっている点を、アメリカで問題にしていることが時おりニュースに出ています。
昨日アメリカの対外投資残が突出して大きいことを紹介しましたが、投資しっぱなしで儲けが送金されないままでは、絵に描いた餅です。
本国送金時に法人税がかかる・・結果、アメリカの世界企業が、儲けの本国送金を先送りする・・儲けを出先現地国で再投資を繰り返す運用になっているらしい報道です。
日本の租税条約や税制を見ても(私の能力では)そう言う条文を探し切れないので引用出来ませんが、(日本ではやっていないアメリカだけの税制かも知れません)もしも条約ではなくアメリカ国内法の問題であれば、不都合ならば勝手に法律改正すれば良いので国際問題化する必要がありません。
これをしないでアメリカが困っている理由が分りません。
ブッシュ政権のときだったかに、期間限定で(例えば200X年までに)国内送金すれば、この期間だけ免税または減税すると言う法律で還流を図って一時的にかなりの資金環流があったと言われています。
http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/09/eu-39.php
米アップルは、アイルランドから受けている税制優遇措置が欧州連合(EU)から違法とされ、追徴税の支払いを求められた。この問題の副次的影響の1つとして、米企業が海外に滞留させている利益を本国に戻す動きが促進されるならば、ドルにとっては一方的なプラス材料になるだろう。
米企業の海外留保利益は、推定で2兆1000億ドルに上る。そして大統領選を争う共和党候補ドナルド・トランプ氏とヒラリー・クリントン氏はいずれも、こうした利益の還流を促す措置を打ち出すと公約している。
2005年には当時のジョージ・ブッシュ政権が制定した本国投資法で資金還流への適用税率が大きく引き下げられたため、約3000億ドルの海外留保利益が米国に戻った。この間、資金還流がどの程度為替レートに影響したかについて議論はあるものの、ドルはユーロで10%程度、対円で15%それぞれ上昇した。」
アメリカの税制については、以下の解説が見つかりました。
アメリカの条文に直截当たる能力が私にはありませんので、一応名の知られたプロの解説ですから、正しいものとしてお読み下さい。
https://tax.tkfd.or.jp/?post_type=article&p=190
日付:2017/01/24
森信茂樹 東京財団上席研究員/税・社会保障調査会座長
「米国は、全世界所得課税方式をとっており、海外での税引き後利益を配当として米国に還流させると、米国税率との差額を追加的に米国で課税される。このため企業は、米国に還流せず海外の低税率国・タックスヘイブンに利益を留保するという行動に出る。
具体例を見てみよう。昨年末に大きな問題となったのは、アイルランドがアップルに対してほとんど税金を払わなくてよいスキームを用意していたことである。アップルの実質的な法人税税負担率は、2003年に1%、2014年には0.005%に低下しているという。
これに対しわが国を含む多くの先進国は、「国外所得免除方式」をとっており、子会社が海外で稼ぎその国で税を支払えば、配当としてわが国に還流させても非課税としている。 – See more at: https://tax.tkfd.or.jp/?post_type=article&p=190#sthash.Y1qfGmMd.dpuf」
以上によれば、アメリカだけが現地よりアメリカの法人税率が高い場合に、アメリカではその差額を払わせる仕組みになっていることが分ります。
抗すれば、法人税の安い国に逃がしても何にもならないだろう・・と言う小手先の智恵ですが、そうすると資本家は本国へ儲けを持ち帰れらなくなってしまったジレンマです。
この法制度のために資金環流が進まない・・1つには、法人税を下げればそう言う懸念がなくなるので、法人税減税論が解決すべき政治テーマになります。
ブッシュ政権のときの例によれば、法人税の差額を取るのをやめれば解決する・あるいは法人税を新興国同様に低くする競争に参加すれば済むことですが、それをしたくないから相手国への滞留を問題視していることが分ります。
資本や技術のない国は土地を安く提供したり固定資産税を一定期間免除するなど税制面で優遇することによって資本や技術を導入するのが普通ですが、進出企業が儲けた金を権力で没収出来ない代わりに同じく法人税下げで対抗する・・そうすれば先進国資本家は儲けを本国へ持ち帰らずその国での再投資資金に使ってくれます。
腕力で技術者を拉致したり武力で接収する必要のないソフトなやり方です。
法人税下げ競争は、アップル本社誘致のためにアイルランドが無茶安くしていた上記の例を見れば、貿易に関する為替引き下げ競争を資本争奪競争に応用したような・・変形版になります。
タクスヘイブンが何故成り立つかと言えば、どうせ何も来ない寒村よりは設立登記手続その他複雑な帳簿作成事務作業が増える(アップル本社の文書作成コストは半端ではない筈)だけでも、その土地では大きな収入になると言われています。
別にダンピングではない・・ただ見たいな田舎の土地でただみたいなコストであれば・・不当な競争とも言えません。
資金や技術はコストの少ない方に集まる原理をアメリカや先進国が腕力で変えようとするのは無理があります。
国際的法人税減税競争をここで書くつもりがありませんのでこの程度にします。

2項対立6と 集団自衛権

ばい菌の浸透に戻ります。
先進国では(政治資金規正法があるように)何事も不明朗資金利用が許されませんが、実際政治・・マスコミで言えば、情報をとるには領収書の出ない手土産や工作資金その他が必要ですが、そうなるとヤミ資金利用出来る中韓工作員の独壇場・・簡単にマスコミを牛耳り政治を動かせるようになっているようです。
ダーテイ資金をいくらでも出せる国が、国際政治を裏で操れる変な結果・社会になっています。
このトガメが出て来たのがオリンピック委員会などのスポーツ組織・・国連の各委員会ではないでしょうか?
国内では真偽不明ですが、パチンコ業界が巨額のアングラマネー供給源になっていて、出所不明資金の必要な?政界に影響力を行使しているとも噂されています。
現在の世界的話題では、トランプ氏がプーチンに秘密を握られていると言う噂と選挙結果を左右するべく様々な情報操作がロシア政府によって行なわれたとも言われています。
現在進行中のフランス大統領選でも同じことが危惧されています。
2月24日午前のmsnニュースからです。
毎日新聞14時間前
【パリ賀有勇】4~5月のフランス大統領選(2回投票制)を巡り、超党派の市民運動を率いて出馬するマクロン前経済相の陣営が、ロシアからサイバー攻撃を受けたと非難するなど、米大統領選で介入が指摘されたロシアに対する懸念が強まっている。」
従来から政敵を追い落とすために怪文書情報流布が行なわれていましたが、今度は根拠なきネット情報の拡散ですから道具立てが現在的になっただけで手法としては同じです。
ただ怪文書は紙媒体でしかもマスメデイアが相手にしないチラシ配布の手作業でしたから配布先数も限られていましたが、ネット拡散では、元々政治無関心層も簡単に目にし、刺激を受ける・・広がりが半端ではないので、これが煽動に乗り易い大衆を巻き込む大きなネルギーになると◯◯旋風の言動力になります。
極右と言われるルペンだったかもう1つの極右団体だったかはっきり覚えていませんが、公式にロシア系の資金団体が名を連ねているともいつかの日経新聞記事で読んだ記憶です。
ソモソモ何を持って極右と言うのか全く不明・・マスコミの一方的色づけ・レッテル貼り報道自体が偏っていることを書いたことがあります。
民族主義者を極右と言うのかも知れませんが、英語で「◯◯ファースト」と言うようになって分りよくなって来ましたが、小池知事の政治姿勢に関して数日前に書きましたが、外国や他所の自治体のために働く政治家はいないので、全て◯◯ファーストに決まっています・・。
都政も国政も◯◯ファーストに決まっていますし、誰もが平和を守りたいのは変わりませんが、軍備不要論だけが平和主義のようなマスコミの刷り込みは間違い・・誤導というべきで、慰安婦騒動も朝日新聞の意図的?誤導に始まりました・・平和論では平和を如何にして確保するかの方法論コソが重要ですし、民族主義・・国益を露骨に要求すると単細胞には分りよいですが、多様な利害を含めた複雑交渉能力こそが、真の国益擁護の決め手になるとトランプ政治に関して連載して来ました。
方法論なしの結果だけの単純主張勢力・・複雑な利害調整し如何にして国益や自治体利益を実現するかの複雑経路の戦略がなくて、平和を守れとか・◯◯ファーストと言う結果だけ強調すれば平和主義者や愛国者・民族主義者と言う仕分けをしているようにみえます。
単純主張に同調しないと、軍国主義者や売国奴になってしまう変な切り分けです。
この傾向は何でも「人権を守れ」と言って反対すれば、正義の味方になるような風潮の醸成も同じです。
低レベル国民に訴求するのに便利だからか、マスコミ報道の仕方はレッテル貼り・・2択的分類・単純化し過ぎる傾向があります。
この単純化の方向を見ると中韓系利益擁護には有利に、反中韓系に不利に単純化する傾向が見えます。
最近、欧米の◯◯ファーストを持ち上げるようになったのは、ロシアにとっては◯◯ファースト政党を支持すれば、ロシア制裁に消極化すると言う読みなのでしょうか?
多角的協定や連帯は、自国に一定の不利なことでも引き受けることを前提にしていますが、(例えば軍事同盟すれば、自国が攻撃されていないのに応援に行き、犠牲を払うのがその典型です)◯◯ファースト主義とは付き合いで目先の割を食わない方が良いと言う主張ですから、トランプ流の1対1の目に見える損得だけが基準になります。
欧州諸国でも◯◯ファースト主義政権にドンドン変わって行けば、独仏にとっては欧州の辺境のウクライナ・リトアニアやポーランドはどうなってもいい・・アメリカンファーストではアジアでは金を出さない限り日本の面倒を見てられないと言う方向になりますから、ロシアや中国が◯◯ファースト主義のトランプを応援していた理由です。
これを引き戻したのが安倍総理のトランプ氏との2月11日ころの会談でした。
要は多角的利害の損得まで頭の回らないレベル・・低レベル大衆に訴える社会のことです。
日本でも日米安保・集団自衛権反対論者は、アメリカの戦争に巻き込まれると言い、一人でも負傷者が出たらどうするのだと言います。
ソマリア、スーダン(日米安保によるのではなく国連軍派遣ですが・・)その他に付き合いで1〜2個中隊レベルの派遣して仮に数人以上の犠牲が出たとしても、日本有事の死活的状況で放っておけば何万と言う犠牲の出る可能性が起きてもどこも応援してくれないのと、日頃の付き合いの御陰でイザとなれば、その何百倍もの応援してくれるのとどちらがトクかの判断がつかないレベルです。
この種の議論は一人でも怪我しないかとかその危険がないかがテーマはなく、自国が危険に瀕したときに応援してくれる国かどうか・その国と同盟していてイザと言うときに応援してもらったら、仮想敵が退散するほど強いクニかどうかのチェックでしょう。
中世のいわゆる「頼うだる人」と決めたら・その人(主人)に忠義を尽くす・・「危険なら行きません」と言うならば、自分が危険なときに助けてくれとは言えません・・。
元々武士団・・系列化の進行は、自衛武士団だけでは荘園を守り切れないときに近隣から応援を頼む相互関係から始まったと思われます。
城は、一定時間で応援が来る前提の時間稼ぎの備えであって、応援の予定がない篭城は意味がない・・いつかは食糧切れなどで負けてしまいます。
日米戦の敗因は、どこかで「水入にしてくれる」仲裁役を用意出来なかったことにあります。
ソ連を当てにしていて土壇場で裏切られた・・本当は信用していなかったでしょうが利用出来る国はソ連しかなかった・・準備不足だったことは周知のとおりです。
相互応援関係→自分が襲われていなくとも応援に駆けつけて戦闘参加するのは当然・・「怪我のリスクがあるからイヤだ」などと言っていては、相互防衛関係は成り立ちません。
集団自衛権の可否の議論で必要なテーマは「Aと結ぶとどう言うマイナスがあって、どう言うプラスがあるか」が、判断基準であって、何事も自分は「 舌を出すのもイヤ」と言うのでは契約・・友人関係でも成り立ちません。

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