国民理解と国会議決2

昨年夏の閣議決定が大問題になっていたときの選挙後半年あまりしか経過してない現在における国民理解とは、選挙結果で推定するのが合理的ではないでしょうか?
マスコミが何の根拠で選挙と関係のない「国民理解」などを主張するようになったのか合理的理解を超えています。
世論調査は聞き方次第ですので、国民世論・・理解を知るには選挙結果に優るものはあり得ないことです。
もっとも極端なパターンで比較してみると例えば、選挙の翌日に特定法案に付いて世論調査して違う結果が出たからと言って、その法案制定に対して、国民理解がないといってマスコミが反対キャンペインすることが許されるのでしょうか?
こんなことが出来たら選挙制度自体が成り立ちません。
法案内容実質の議論を巡って、法案にどう言う問題があるのかを主張し、支持者を増やすのが野党の責務だと思いますが、これを怠って、憲法違反とか、国民が理解していないとかの空中戦ばかりでは、まじめに内容を知りたい・・文字どおり理解したい国民の方がしらけてしまいます。
代議制民主主義制は、庶民大衆の感情的な口論ではなく・・選ばれた人材が冷静合理的討論をすることを前提にしています。
以下は日経電子版の再引用です。

安保法案審議116時間、議論深まらず 違憲論争引きずる
2015/7/16 1:22日本経済新聞 電子版
 15日に衆院特別委員会で可決した安全保障関連法案の審議は約116時間に達し、これまでのところ、2005年の郵政民営化関連法に次いで歴代6番目に長い。もっとも、集団的自衛権の行使を認める内容が合憲なのか、違憲なのかをめぐる「入り口論」にかなりの時間を費やした。議論が深まったとはいいきれない。

国民が理解していない・・と言うマスコミ宣伝は、弁護相談で言えば自分の法的立場の具体的説明の代わりに「みんなが言っている」と言い募るパターンと同じです。
「みんなって誰なのよ?と突っ込みを入れたくなることがありますが・・。
国民の理解を得られないと言う宣伝にネルギーを費やすよりは、野党が自分の主張に自信があるならば、法案内容を具体的に説明して、自分達の意見の方が国民にとってどのように有益かについて野党提案内容こそをアッピールすべきではないでしょうか?
質疑を通して・・これがマスコミ等で報じられて、国民の理解が進むのですから、問題点を明らかにする質疑能力がないことを自己告白しているようなものです。
内容の質疑をおろそかにして、憲法違反などと言うばかりでは、国民が内容を理解し難いのはあたり前です。
民主的議論に負けそうだからと空中戦ばかりに精出して、最後は強行採決は許されないと退席してしまうのでは、国会議員の職責放棄憲法違反ですし、民主制の否定です。
成熟した民主国家とは、議論を尽くした後は採決に応じることであると19日ころのコラムで書きました。
冷静な議論に負けそうになるとマスコミ連動でどの政党支持者を言うのか不明ですが)「国民の理解がない」と言う場外運動ばかりでマトモな議論や採決に応じないのでは何のために選挙制度があるのか分りません。
裁判で負けそうだからとマトモニ主張しないで、裁判引き延ばしばかりしていると弁護士の信用に関わります。
民主党の辻元清美氏だったか蓮舫氏だったかが国会特別委員会でいつまでも質問をしないでだらだらと発言しているので、安倍総理が、「早く質問しろ」と言うヤジを飛ばしたことが、マスコミで問題視されていますが、これは本末顛倒の批判でしょう。
野党議員は疑問があるならば、質疑して国民の疑問を質して行くべきですが、この権利を事実上放棄して関連のない自己意見ばかり述べているのでは職責放棄です。
質疑すべき時間に質疑しないで充分な審議がされていないとか国民の理解がないと言うのでは、自己矛盾ではないでしょうか?
強行採決時に委員長席に詰め寄っている写真が公開されていて、涙声で何かを叫んでいたとも報道されていますが、(もっと具体的に良いコトを言ってるのが報道されないだけかも知れませんが・・)代議制民主主義は冷静な議論しないで、泣いたり騒いだりするために「憲法上)あるのではありません。
民主党が自分だけが知っていると言わんばかりの態度で、主張する立憲主義・代議制民主主義を理解していない行動です。

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