集団責任4(アメリカによるテロ指定1)

サイバーテロを宣戦布告と見なしたからと言って、アメリカは中国をイラクのように爆撃する勇気がないし、経済制裁する経済的条件が熟していないこと知っているから中国が強気に出ているのではないでしょうか?
中国は相手が反撃出来ないと見ると、どんな不正なことでもやってのける傾向・習性が見えます。
アメリカは対中国では取引相手国が多く規模も大きいためにイランのような金融制裁が出来ないまでも、宣戦布告行為とまで言明している以上は、相応の仕返しに向けて水面下の動きだけではなく正面から動き始めています。
7月2日日経新聞夕刊3pによれば、アメリカ国防省の軍事戦略目標の発表には、北朝鮮・イラン・ロシアに続いて中国を名指しで「アメリカの安全保障を脅かす国家」として明記し、「日本などと共同で対処して行く」決して後に引かないと言う決意表明したと報道されています。
金融制裁その他の不利益を強制することによって不利益を受ける国民が政権に対して、軍事力を背景に対外的理不尽・強硬なことをしないように民主的圧力がかかる・・この種の期待すること自体悪いことではありません。
ただしこれは民族的自尊心を傷つけるようなやり方の場合逆効果です。
また、国民が一定の力を持っている場合に有効であって、相手が、非民主国家の場合(政権は民族問題に転嫁するでしょうから)、この種の圧力は全く効き目がないことも北朝鮮やイランの例で証明されています。
ロシアも多分その例に入るでしょう。
先進国では、ちょっとしたインフラ網の損壊でも大騒ぎですが、後進国では元々交易率が低く輸出入が急減しても金融取引が不便になってもさしたる影響がないことが強みです。
電車が止まったり銀行が休んでも、生活に及ぼす影響度が農家と都会人では、大きな違いがあること考えれば分りよいでしょう。
この辺でも、ロシアに対する金融制裁は実は一般国民に大した影響を与えません。
ロシアの主要輸出品は資源系ですので、資源=政府関係者しか損しない・・一般国民は直接利益を得ていないので気にならないでしょう。
貿易黒字・政府収入が減って、回り回って税収が減りますが、財政赤字でも凌いで行けば(日本の財政赤字の例を見ても分るように5年や10年どうってことはありません)なんとかなるので、国民には当面直接関係ない話です。
貧富化格差の大きい国での庶民は、元々最低生活しているのでそんなに影響がない・・富裕層の方が影響を大きく受けます。
金融制裁は庶民よりは国外出入りの大きい政権支持層に大きな影響があるので、(中国でも裸官と言われるように政府高官の方が海外に巨額資金を持っています)ロシアに対する全面制裁ではなく、プーチン氏の周辺人物を名指しして欧米が金融制裁を実施しているのはその意味では、的を射ているとも言えます。
しかし、彼らの海外逃避資金は、(中国の裸官と同様に政府高官の国外巨額資金は元々イザというときの亡命資金であって、生活資金ではないし)解決する・ほとぼりが冷めるまで5年や10年海外旅行しなければ良いだけですから、その間預金を下ろせないくらい生活に何の影響もありません。
アメリカは取引禁止=凍結するだけであって、没収することは出来ないので、その内円満解決すれば、また使えます。
まして、今はプーチンの側近層として信頼されている人物中心の制裁ですから、(信頼されているからこそ欧米が狙い撃ちしているのですから)失脚しない限り海外逃避資金の具体的必要性がないので、今のところ忠誠を尽くすしかないので、政権には何の痛痒も感じないでしょう。
プーチンと仲違いして国外逃亡する人だけが必要になる資金ですから、そんな資金を凍結してもプーチンには関係がないことです。
ロシア等に対する金融制裁は国民一般には、短期的直接的影響をあまり与えないことが確かですが、経済取引が発達している国の国民にとっては、短期間で大きな影響を与えます。
刑事制裁あるいは国際間ですぐに武力行使出来ない場合、婉曲的間接的影響力行使・直接行為者の周辺を含めた不利益効果は必要な実力行為と言うべきです。
企業間や個人消費者も行政取締まで求めないまでも、個人的にその製品を敬遠するなどの行動で影響を与えるしかないことはいくらでもあります。
近代法の原理・・証拠のある犯人だけ検挙すべきだ・・関係ない者をまとめて不利益扱いするのは良くない・・「江戸の敵を長崎で・・」となるのを非難だけしていれば良いと言う訳には行きません。
「日本人はいい人だが◯◯政権が悪い」と使い分ける常套文句は無理が出て来ているでしょう。

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