韓国はどこへ行く?2(親中・北政策の蹉跌1)

清朝からの独立を認められた下関講和条約翌年の1896年2月に、高宗はロシア公館へ(亡命?)こもります。
露館播遷に関するhttps://ja.wikipedia.org/wiki/の記述です。
露館播遷

高宗がロシア公使館で政務を執り行った結果、ロシアは年表に示す利権を獲得し、他の欧米列強も同等の利権を獲得することになった。 また、これは国としての自主性を放棄するのに等しい行為であり、後に日露戦争時に中立を宣言したが日露両国から無視されるような結果となった。

上記の結果世界的に独立国を名乗る能力がない・国家として認められていない状態になっていた・・世界中のに対し自主性を放棄しても良いが、ともかく日本と対等になるのだけは嫌だったらしいのです。
戦後は朝鮮戦争の結果助けてくれたアメリカに従属したままでこれが嫌でたまらなかったでしょうが、頼りたくて仕方のない中国がようやく力をつけてきたし対中貿易の方が対米貿易より大きくなったので、「頃や良し!」とばかりに、正面から日本に喧嘩を売り千年以上許せないと啖呵を切ってしまったと思われます。
https://www.j-cast.com/2013/03/04168068.html?p=all

朴大統領「被害者の立場、千年不変」と主張 韓国に「いつまで謝罪し続ければいいんだ」の声
2013/3/ 4 18:50
演説は2013年3月1日、1919年に起こった「三・一独立運動」を記念する式典の中で行われた。朴大統領は、
「(日本と韓国の)加害者と被害者という歴史的立場は、千年の歴史が流れても変わることがない」

と大げさな演説をした上で反日運動に邁進していたので、日本では「陰口おばさん」と揶揄されるようになっていました。
以下は陰口外交に関するウイキペデイアの記事です。

告げ口外交(つげぐちがいこう)とは、2013年に韓国大統領の朴槿恵(パク・クネ)が行った、日韓の歴史問題に関する外交政策で、日韓以外の第三国に日本の悪口を言い触らして回ることに対して日本の各メディアによって用いられる俗語である。「言いつけ外交」[1]、「おばさん外交」[2]とも呼ばれる。

その勢いに乗って西側諸国一致してボイコットしていた中国の抗日戦争勝利記念式典に唯一の西側諸国首脳として出席し、習近平からロシアプーチンに次ぐ序列3位(冊封体制下では朝貢使節がどういう序列で出席できるかは最重要事項でした)?のもてなしを受けて、対日敵対意識のみならず今後は、米国の意向など問題にしない態度を露骨に示しました。
https://www.bbc.com/japanese/34136088

中国で大規模軍事パレード、抗日戦争70周年記念
2015年09月3日
出席した外国首脳、欠席した首脳
来賓の中には、ロシアのプーチン大統領、韓国の朴槿恵大統領、国連の潘基文事務総長などが肩を並べる。しかし潘氏の出席は批判を呼び、米・英・豪・日の政府首脳は欠席している。
「日中関係が難しい状態にあり、アジア太平洋地域の軍事的緊張が悪化している中で、国家指導者の中には、中国の国家主義的な反日大会に参加することへのためらいがある」とニール氏は話す。

この頃の韓国国民感情は19世紀末以来欧米の顔色を窺うしかなかった朝鮮族が、今後ようやく中国の保護下で安心して生きていける(しかも冷たい利害で結びつくロシアを除けば実質序列1位の地位獲得で、歴史上初の栄誉です)と、国内が盛りがっていた・・昂揚感が高まっていたと思われます。
この歓喜の頂点において、あれほど日本批判をしていた朴政権は慰安婦問題に関して日韓合意に踏みきりました。
負け戦発表の潮時をはかるために中国べったりで国民歓喜・・支持率の上がったところでの収束を図ったのかもしれませんが、これが裏目に出ました。
(国内的にはアメリかの不当圧力でやむなく・・という弁明でしょう)
(国内的にはアメリかの不当圧力でやむなく・・という弁明でしょう)
実質はいかに告げ口外交して歩いても国際社会では韓国の主張する慰安婦問題が受け入れられなくなったことにより曖昧解決でごまかすしかなくなったことが主たる原因でしょう。
(逆に日本では「せっかく韓国を追い込んだのにここで曖昧合意だと明白な決着をつけるまでやらないと禍根を残す」という批判が渦巻いていたことは周知のとおりですが、何やかやと言ってもトップの決めたことには最後は従う度量が国民にあります)
パク大統領がどういう言い訳をしようとも内政失敗に対する国内不満をそらすため近隣国にいちゃもんをつけて独裁者が侵略戦争に踏み切って無残に負けて帰ってきたような体たらくでした。
今の文政権が国内無策の隠蔽のために反日拡大と北朝鮮との和解成立に政治生命を賭けきたのですが、米朝決裂によって無残に失敗したのもこの繰り返しです。
そもそもアメリカを見限って旧宗主国への寝返り、その帰参がかなったという国際宣伝のために中国が上記式典を盛大に行った(そもそも中韓関係誇示のためにいきなり開いたものです)のに、その直後にアメリカの圧力で止む無く日韓合意せざるを得なかったというストーリー自体が矛盾ですから、表面だって言ってないでしょうが・・。
上記思い切った行動にアメリカが本気で怒って、相応の脅しが入ったのかも?
日韓合意だけではなく続けて宗主国様への裏切りと評価される中国の最も嫌がる米国のサード配備を受け入れたことにより中国の怒りを買って、ロッテに始まり各種分野で露骨な嫌ガラセを受けるようになってしまい、史上最大の栄誉どころではなくなりました。
ろうそく集会エネルギーの源泉は、国民感情を裏切った朴政権に対する怒りが基本であり、パク大統領の特定人物に対する厚遇に対する不満はそのきっかけ・あるいは表向きの主張に過ぎなかったと私は理解しています・・・。
以下中国抗日戦勝利式典(15年9月)日韓合意(15年12月)〜サード配備決定(16年7月)〜ろうそく集会(16年10月28日)〜日韓軍事情報保護協定(GSOMIA)(16年11月23日)の時系列で明日以降見て1きます。

サムスン頼りで良いか?2

半導体設計といえば最近英アームのファーウエイに対する供給停止に発表のニュースが世界を駆け巡ったばかりです。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO45419600Z20C19A5910M00/

英アーム副社長「米規制を順守」、ファーウェイ取引中止を示唆 2019/5/29 18:03
日本経済新聞 電子版
台北=伊原健作】英半導体設計大手のアーム・ホールディングスのイアン・スミス副社長が29日、台湾・台北市で日本経済新聞の取材に応じ、米の輸出禁止措置を受けた中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)との取引について「米の規制を順守しなければならない」と述べた。ファーウェイを「価値あるパートナー」としつつ、取引を停止したことを示唆した。

ファーウエイは、米国の遮断があっても自力でなんとかできると発表直後の冷水を浴びせる発表でした。
アームの設計抜きにはファーウエイが自力対応はほぼ不可能だろうというのが大方の当時の解説でした。
ただし供与済みの契約は使えるだろうが、日進月歩の設計対応ができないとすぐに行き詰まるということのようです。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00002/052300376/

広岡 延隆 上海支局長 2019年5月23日
「米国製と同様の半導体チップを製造する能力はある」
21日、華為技術(ファーウェイ)の任正非CEO(最高経営責任者)は中国メディアの取材に応じてこう述べた時、その翌日に半導体製造の開発・設計の前提がひっくり返るとは思っていなかっただろうか。
米調査会社のIDCによれば2019年第1四半期のファーウェイのスマートフォン世界シェアは米アップルを抜き、韓国サムスン電子に続く2位。だが、ARMの技術が利用できなくなれば、ファーウェイのスマートフォン事業は大きな打撃を受ける可能性が高い。グーグルによるOS(基本ソフト)「アンドロイド」の輸出禁止に際しても「ずっと開発してきた独自OSを提供すればよい」と動じなかったファーウェイだが、ARMの技術だけは当面代替が不可能だとみられるからだ。  ARMは省電力半導体設計に強みを持ち、現在のスマートフォン向け半導体チップの大半は同社技術を採用している。米クアルコムや米アップル、韓国サムスン電子、台湾メディアテックなど、半導体チップメーカーはARMの設計情報のライセンスを受けずには事実上ビジネスを継続できない。そしてファーウェイの半導体開発を担う中核子会社、海思半導体(ハイシリコン)もARMの技術に頼っていた一社だ

6月1日日経新聞朝刊10pには、米半導体設計支援ソフト世界大手米シノプシスの供給停止発表が報じられています。
同記事によれば、知名度は低いが半導体設計支援ソフトでは世界標準を握る企業らしく各種技術は日進月歩の現在、昔のように数十年で大きな差が出るような悠長なことではなくなっています。
同記事では、「ソフトは高度で複雑な半導体設計には不可欠で、精度を高めるために毎週のように更新され保守サービスが止まれば、設計にトラブルが生じかねない」と書いています。
日本の京浜急行沿線(蒲田付近)の数〜10人規模の町工場の製品が世界の有名製品の部品になっているという話題が時折紹介されますが、今はこの種のサプライチェーンが網の目のようになっているので、大手さえ支配すれば勝負ありという時代ではなくなっています。
大震災や風水害等でサプライチェーンが寸断されると大量部品供給企業だけトヨタなど大手が目配りしていても、この種の(価格的に大したことのない)微細な仕入先まで災害対応していなかったのでそこが止まってしまう(例えば山間の小さな工場が土砂崩れで全壊したり従業員が被災すると)と全体の製造が止まってしまうような例が言われていました。
資源で言えば、鉄鉱石や原油は重要ですが、微細な利用しかないレアアースがないと電池も何も動かないというのと同じで目につく大量資源だけが重要ではありません。
人間も五臓六腑だけでなく、ちょっとした血管や神経の異常でも歩けなくなります。
企業はトップや優秀営業マンだけでなくいろんな役割の人(きちんとエレベータ保守するなど縁の下の力もち)で成り立っている・人間皆平等の理念が現実化し始めた時代突入です。
サムスンは電子系総合企業でしょうが、半導体でその儲けの大部分を占めていると言われ、半導体産業のようなイメージですが半導体でも色々あり、その中でもいろんな分野に専門分化していることがわかります。
特化した部門が時流の追い風に乗って成長することが多いのですが、その中で大企業にまで成長できるのは、その分野の消費量が多い分野で成功した場合のようです。
時流に乗ってもあくまでニッチの場合、世界の9割を占めても一般知名度も低いし、何十万人も雇用し国家貿易額の何%も占める大企業にはなり得ません。
サムスンは資源で言えば鉄鋼石や原油のような「産業のコメ」と言われた半導体製造で成功したので世界企業になれたのです。
ファーウエイはサムスンより後で世に出た分、半導体製造に足場がなくソフトから始まっている分、スマホその他のサービス分野での食いつきが早いというかサムスンよりも敏捷なイメージで、あっという間にサムスンスマホを追い越す勢いを示していました。
それだけに米国に危険視されることになったのですが、私が2019-5-22「徴用工訴訟と国内法論理(米中対決の相似形?)2」で、サムスンが米中対決の漁夫の利を享受できるのではないか?と憶測を書いていましたが、私同様の憶測する人が多いらしく、瀕死状態だったサムスン復活期待感で株式相場が5月24日に反発していたようです。
ファーウエイの失速が一時的なもので、自力更生の逆バネ効果でサプライチェーン自前構築に成功し、却って先進国からの輸入に頼らなくてもやれるようになる・飛躍のバネになるか?
ファーウエイ失速の隙をついてサムスンが漁夫の利を得て開発の遅れを取り戻せるか・・ただライバルの窮地に喜んでいるうち、ファーウエイが復活したり他のライバルが現れて再びうろたえることになるかはサムスンの能力次第です。
たまたまファーウエイに追いつき追い越されかけただけなのか、サムスンの人材では今までは世界の流れにやっとついて行けたが、この先の開発能力がない・・あと半年〜1年の時間があっても競争参加できないかの問題です。

企業利益と社会の負担2(高層マンションとスラム街)

今日は写真の引用が多いですが、ご容赦ください。
文字表現によるスラムの定義では、概ね貧困層が集中して住む地域というようですが、これでは韓国のスラムと日本の安アパート集中地域が同じになってしまいます。
どんな豊かな社会も貧富の差があるので貧困層がいるのですが、大通りと路地裏があることがいけないのではなく、大通りと理事裏の綺麗さの格差、一般人と貧困層のレベル差こそが重要なのにその点を捨象して日本にもスラムや路地裏があるという言語でひとくくりしてしまうのは間違いです。
一般的に文書表現よりも、グラフや表がスッキリするのと同様で、日本のスラム?との違いをはっきりするには写真の表現力は抜群です。
以下は14年・16年の古い写真のようですが、以下引用するように街は小ざっぱりしていて韓国のスラムとの差は歴然です。
写真前後の説明文は著者前原和裕氏の解説です。
以下の引用する書き出しを見れば、釜ヶ崎だけでなく東京にも酷い状態が広がる?のを前提しているようですが、日本では生活困窮者に対しては生活保護受給者に囲い込み?が進んでいるので、貧困層が減る一方・現在ではもっと良くなっているのではないでしょうか?
なんとなく安く泊まれるだけの町のように見えますが・・・。
https://maeharakazuhiro.com/kamagasaki/#i-6

日本で唯一暴動が起こる街。日本のスラム街と言われる大阪・釜ヶ崎を旅してきました。

今回は地元大阪の人も踏み入れないというこの日本で一番最悪な街と言われる釜ヶ崎の様子を紹介します。
いま現在は東京も豊かですが、これから格差が広がれば東京にもこんな場所が新宿とかにできるかもしれませんので、社会科見学として見ておくべきです。

2014年8月13日 / 2016年7月1日
釜ヶ崎は日雇い労働者の宿場(ドヤ街)として発展しました。なので、ここには日本と思えない値段で泊まれる場所がゴロゴロしています。

釜ヶ崎 27  釜ヶ崎 28

あ、1000円があった 900円で泊まれるって、もはや日本でなくて東南アジアレベルです。

釜ヶ崎 49

ぼくが泊まった部屋は1,750円でこんな感じでした。想像してたより悪くなかったです。

宿も安ければ、スーパーと自販機も安い

釜ヶ崎 08   釜ヶ崎 10

ジュース一本100円は釜ヶ崎物価だと高いです。

48円の天ぷらを売っているスーパー玉出。地元の人から通称「スー玉」と呼ばれてます。安過ぎて怖いです。

釜ヶ崎玉出天ぷら.jpg

釜ヶ崎 14   釜ヶ崎 30

 

釜ヶ崎 32  釜ヶ崎の人口は99.5%が男性です。しかも大部分をオッサンが占めます。女性は飲み屋のスタッフしか見ませんでした。

釜ヶ崎 20 仕事は派遣労働者の街 しかし現在は生活保護の街でもある。

上記のように行政サービスも機能しているし、市街は小ざっぱりしていますので上記各写真だけで「スラム街の写真です」と言われてもピンとこない人が多いのではないでしょうか?

バカに物価の安い町か?というイメージです。
ついでにインドのスラム街を見ておくと以下のようです。
https://blog.tirakita.com/2015/03/
2015年3月26日

上記引用写真で比較すれば歴然ですが、よその国のスラム街と日本スラム街とは大違いです。
大統領といってもインドやドイツの大統領とアメリカやロシアの大統領とは権限がまるで違うし、首相と言っても中韓の首相と日本の首相とでは権限がまるで違うのと同じです。

輸出→現地進出→現地生産→利益還流2

(誰も支持しないかもしれませんが昨日書いた)私の考える独自の発展ステージ論によれば、貿易収支黒字に頼らなくなりつつある日本経済は発展ステージが上がっているので、めでたい事実ですが、これをいかにもマイナスイメージで報道するのが大手メデイアでした。
従来の報道では、まず貿易赤字になるとこれを大きなテーマで書いていて資金還流によって補填できる構造になっている事実を言い訳程度にちょこっと書いていることが多かったのですが、昨日引用記事ではいつの間にか、(私の20年来の意見同様に)主客逆転した書き方に変わってきました。
現地生産・消費地直近での生産は経済合理性がある上に、フードスタンプ配布のような貧困国援助よりも現地人も職につける・生活力向上メリットが大きいので、国内生産は国内消費に必要な限度に落ち着かせ、国内需要に必要な食料.資源等の輸入代金等は現地生産による収益で賄うのが国際正義上も合理的です。
その先に進むと、収益が外国に収奪される仕組みが不正義だという国際議論が起きてくるリスクを15年ほど前に国際平準化論シリーズで書いたことがありますが、ここでは省きます。
さらに海外生産が進むと日系企業の逆輸入が増えて、国内需要分も輸入に頼る・貿易赤字化進行となるのでしょう。
私の発展ステージ論によれば、輸出製品生産に必要なエルギーや完成品に組み込むための資源輸入が不要となり国内消費に必要な限度になって行きますから輸入額も減っていきます。
内需に必要な限度の国内生産になるので、GDPは輸出用国内生産が減るのでこの分だけGDPが縮小するし、労働力も生産用からサービス産業向けに変わっていきます。
女性の地位向上という理念や政治運動によるのではなく、業態変化が女性の地位向上に大きな影響を及ぼすでしょう。
個々人で見れば、衣食住の最低生活を満たすのに必死の時期には、まず空腹にならずに済む生活費を稼ぐのが最重要でこのお金を稼ぐ人の立場が強いでしょうが、一定水準を超えると室内のしつらえやおしゃれな生活を営む能力の必要性が高まります。
日本の場合、急激な国内生産縮小は国内雇用のミスマッチになるため輸出用生産を段階的に減らしていったので、所得収支と貿易黒字双方の巨額黒字蓄積・・年間約20兆円弱で約20年間推移してきました。
一方で上記の通り生活水準向上に向けて内需拡大にも努めてきた結果、GDPが減少するどころか、じわじわと上昇してきたのが現実です。
メデイアは日本のGDP前年比アップ率が諸外国より低率であることを大変なことのように喧伝し「失われた20年」とイメージ主張し、いかに中韓の成長力が高いか・・中国が日本を追い越したか韓国が追い上げているとかの報道に終始してきました。
私の発展ステージ論によれば、GDP競争の段階を日本は疾うに卒業しているのですから、こんな比較は意味がないことがわかるでしょう。
食事をするにも空腹を満たす目的9割と雰囲気を重視するのが9割では生産高では大きな違いがでてきます。
庭の草花の手入れに費やす時間は至福のときですが、GDP統計では大した貢献度がないのでしょう。
今でもガムシャラに働いて成功した人が成功者としてメデイアで賞賛されますが、国家全体としてはこういう人も必要ですが、その人の人生としての意味ではまた別でしょう。
カリスマ的経営者のいる会社では、創業者に畏敬の念を持ってみんな接するでしょうし、対面する人もすごいですね!と賞賛することはあっても「いい加減に家庭を大事にしたら!」と忠告する人はいなくなるのでしょう。
GE元会長が日経新聞に連載した「私の履歴書」ではGE会長としてカクカクたる成果をあげた彼が、その過程で成功にこだわる彼を見限って別れて行った元妻のことを切々と書いているくだりがあります。
原稿依頼した新聞社の方は、いかにして成功したかの履歴を書いて欲しくて執筆依頼しているのでこれを受けた以上、まさか仕事一筋で人生失敗したと書けないものの、老境に入った彼としては、暖かな家庭を失った悔悟の念・・自分の一生はなんであったのか?の気持ちが滲み出す文章です。
GE会長より小型ですが、家庭より仕事という考えで事業成功をした人が老境に入って孤独をかみしめるようになったのか?30年ほど前に別れた妻子に会いたいという人がいます。
妻子の方はそれぞれ現在落ち着いた生活をしているので、(昔流行した言葉ですが)プチブル的平和を楽しむ娘らにとっては、父親がどういう父親であったかが重要で現在事業で成功しているかどうかは関係ないようです。
父親の方は成功している姿を娘らに自慢したいし、娘らはそんなことに価値を置いていない・・このギャップをどうするかで悩むのが私の仕事です。
私も後期高齢者になったので、80歳前後で人生の整理・終活?をしたい人がこの数年私の周辺で増えてきました。
ある家庭で消費する量や品質がその家庭の豊かさであり、飲食店経営者が、飲食店で消費する食材の量を含めた消費量が近隣の一般家庭より多くとも自慢にならないでしょう。
25日に書いたステージ④ランクになった国は、輸出産業が大量仕入れ(輸入)大量輸出しているので見た目にはGDPが上昇しているのですが、外形的に大きく商品が動くだけで自家消費量は少ない・内実が乏しい状態です。
脱サラ.創業直後は睡眠を削り家庭をそっちのけで頑張る時期があってもいいでしょうが、ある程度成功すれば、家庭や文化面に時間をさくように物事にはライフサイクルがあります。
前年度比売り上げ増での競争・・GDP比でランク付けするのは同じステージ④にある国同士の将来性のランク付けとして機能するでしょうが、この段階を卒業して次のステージに移行している国と比較する指標ではありません。
大規模輸入して大量加工して大規模輸出する国は一見活気がありますが、物流センターのように物流がぐるぐる回っているだけで内実が貧しいステージにある・・中韓等の経済段階というべきでしょうか?
あるいはレストランに顧客用の立派なテーブルがいっぱいあって一般家庭のダイニングルームより立派でも、店主一家が裏手の薄くらい汚い部屋で食事している場合、どちらが豊かか?ということです。
生産業で言えば、工場兼自宅で千〜数千坪の大きな敷地内で生活している場合、一見大きな塀に囲まれた中の主人一家ですが、実際の居住空間が狭い上に工場内なので騒音振動臭気など環境が劣悪です。
工場の国外移転は、工場と自宅分離の国際版です。
ちょっと東京の地名を冠した企業名を思い出すだけでも、石川島播磨、東京電力、東芝、カネボウ(鐘ヶ淵紡績)など企業名でも分かるように東京都内に多くの工場が混在していました。
中央大学や教育大学その他大手大学の多くも学部別に郊外へ移転しましたが、いまでは逆に都心回帰を目指す方向になっています。
これらの工場や大学が各地に出て行くことによって、東京が衰退するどころか逆に発展する一方です。
東京と地方を比べて、東京には生産工場がほとんどない・もう東京はダメだと思う人は滅多にいないでしょう。
1000万の都市人口を養うにしても、国外収益等の送金で生活する先進国都会・特に東京は清潔です。
いわば、室内で石油等を燃やす暖房の代わりに、遠隔地の火力発電で都会はクリーンエネルギーによる冷暖房を満喫する関係です。
企業オーナーも主力工場を地方に移転させても、首脳部の自宅は高級住宅街のある東京や(元は船場・道修町発のオーナーの場合)芦屋等に移転するのが一般的歴史です。
本社の集中する丸の内などは工場騒音等もなく従業員もおしゃれな街で働けるので昔から人気エリアです。
英国は19世紀に世界の工場を引き受けて煙の都ロンドンになり、日本も一時高度成長期世界の工場化して公害に悩まされましたが、この数十年では輸出するよりは需要地・現地生産化して、先進国は内需分中心に国内生産するだけになりつつあります。
・・日本は資源を輸入に頼るしかないので、まだ自国内の必要物資を買うための代金捻出のために輸出していますが、(この数年では貿易収支はまだ原則的に黒字・たまに赤字になる程度)将来的には自国にない資源や食料等の国内消費に必要な資金は海外生産による利益配当や知財・技術料収入等で賄っていく方にシフトして行くのでしょう。
こういう時代に進んでいるのに国内生産量の増加率・GDP増減率で自慢しあっているのは、数十年遅れの価値基準で売り上げ自慢しているようなものです。
成金がいかに儲けたかを自慢し、下品な調度品を自慢し合っているような世界を、メデイアがいつまでも重視するのか不思議です。
企業は自国政府の保護(産業育成)を背景にして大きくなっている内弁慶ではなく、自国政府の後押しのない海外生産で利益を上げられてこそ世界でやっていける企業というべきです。
海外進出してうまくいかない企業しかない・・輸出で黒字を稼ぐしかない国って、実質競争力が弱くないですか?
韓国現代自動車は長年の自動車輸入規制によって、国内独占を利用して法外な?高価格で国民に売りその儲けを原資にして国外で安値販売しているパターンでした。
これは4〜5年前だったか?に米韓FTA協定によって米国製あれば高関税をかけられなくなったので、日系その他が米国生産車の投入が可能になりました。
米韓FTAによって現代自動車の国内利益が減少し、国外ダンピング輸出や現地進出原資がなくなるので、今後輸出や国外展開は苦しくなるだろうと当時言われていました。
ここ数年顕在化してきた現代自動車や韓国企業の苦境は、実はこの時に始まっているかもしれません。

徴用工訴訟と国内法論理(米中対決の相似形?)2

韓国に思い知らせてやれ!という嫌韓感情論者が気にいるような結果になるかは、米中対決の激化によって韓国の対中輸出激減方向ですので韓国輸出企業生産が落ち込むこの時期はチャンス・・韓国経由の対中輸出製品への部品組み込みが減る・・韓国内で工場を維持するメリットが減るこのチャンスを先取りするかどうか程度のことになります。
5月21日の日経新聞3pによれば、ファーウエィの中国国外でのスマホ出荷台数は、全体のほぼ半分を占めるダントツ(ただし欧州ではサムスンが首位)であるが、ドイツ半導体企業がファーウエィ向け部材供給の一部を停止したと出ていて、その影響を書いています。
上記記事を見ると日本にとってのファーウエィ規制に対する意味合いは、ファーウエイにどんどん追い抜かれ始めて経営不振に陥りかけているサムスンの売り上げ増になり米中対決は韓国に有利に働く面があり、強気にさせる側面があるということです。
・・ただし日本の半導体設備企業がドイツに倣ってサムスンへの供給停止するとどうなるか・そうなればサムスンは上記ドイツ企業に供給を依頼する可能性が高いでしょう。
ドイツ企業にとってはファーウエィ向け輸出がなくなった穴埋めになるので、積極的にサムスンへの売り込みを図ってもおかしくない状況です。
ドイツから売り込み競争激化の真っ最中に、その防戦に努める日本企業が供給停止できるかの疑問です。
玉突き現象の究極のババを引くのは、日本かもしれません。
米中対決による中国の対米輸出激減の影響・・対中輸出比率が世界一高い韓国が一番影響を受ける・・工場稼働率激減というのがマクロ的見方でしょうが、個別にみると意外に複雑です。
複雑化の原因は、日系現地工場の大さにも比例します。
資本収支で言えば、工場や店舗投資はホットマネーと違うと言われる所以です。
韓国の対日依存度低下を主張する小塩氏意見に対して、今は現地生産が進んでいるので貿易収支だけで見るのは間違いだと書いてきましたが、実は対中関係でも現地生産化が進んでいるので、日本や韓国の対中貿易依存度だけでなく中国現地生産の規模も合わせて読む必要があります。
韓国の対中貿易が25%を占め世界最大比率としても、現地生産比率と合わせないと総合的影響度がわかりません。
今朝の日経新聞1pでは日系企業の米国向け輸出品の中国での現地生産額(例えば任天堂のゲーム機の米国向け製品は100%中国生産らしいです)は約1兆円と出ています。
韓国が輸出に比べて対中投資比率が少ないとすれば、日本の方が現地投資規模が大きいとすれば、輸出先振替と違い簡単に工場移転できないので、日本の方が受ける悪影響が大きいことになります。
工場移転による納入業者の経営悪化や雇用環境悪化等については、輸出に頼らない日本の方が影響が少ないでしょうが、企業利益としては工場は簡単に動けないので打撃が大きいのです。
先の読みは別として、韓国輸出の25%を占める対中輸出が減れば、韓国内工場稼動率が下がる→韓国内の輸出企業向け部品供給を目的に進出していた日系企業の工場も稼動率が下がります。
韓国企業自体米国向け輸出のために中国での組み立て工場の稼働率を下げるかやめるしかないので、ベトナム等へ工場移転するしかないのと同様に、韓国内日本系工場もアジア諸国へ分散方向になります。
結局は嫌韓か反中どうかの感情論ではなく、経済合理性が勝負を決めることになります。
今朝の日経新聞にも出ていますが、25%の関税でもすぐに中国を出て行く選択肢は多くの企業にとっては難しいので、各企業のおかれた状況によって対応が違うのは当然です。
単なる輸出先であれば販売相手の新規開拓でいいのですが、工場進出している場合長期的視野でないと安易に工場移転はできません。
中国も必死に引き止めているでしょうから、これを振り切って出て行くと将来に禍根を残します。
いつ米中和解ができるかも不明なので、移転した直後に米中和解で関税がなくなると大損するリスクがあります。
新規工場進出するのは、現在の25%関税が元に戻ってもベトナム等でやっていける成算がないと簡単に動けないでしょうし、一方で米中対決がいつ解決するかわからないのにその間赤字経営を続けられないというジレンマです。
以下紹介しますが、韓国、中国から出て行く、あるいは生産の一部移転を発表する企業が出れば待ってましたとばかりに嫌韓、反中系ネットで拡散しますが、これらはもともと長期ビジョンの一環で計画していた実施時期がたまたまこの時期に当ったと場合が多いと見るべきでしょう。
東南アジアに多くの進出工場を持っている日本企業の場合、韓国や中国内工場をすぐ閉鎖するのではなく当面タイやベトナム等に分散している工場の生産比率を上げてそこから米国向けに(中国国内工場製品は米国向け以外に振り向けるのは、物流系の再編などもちろん大変ですが一応容易です。
元々韓国から移転計画があった場合やチャイナプラスワンを計画中の企業は計画の後押しになるでしょうが、何も予定していなかった企業にとっては降って湧いた災難で、どうして良いか不明でいきなり動けないし、焦って動けば大損失になるので様子見という現状維持にとどまるしかないでしょうから大変です。
こういう企業経営陣は運が悪かったというよりは、危機管理能力が低かったので右往左往していただけだったとの評価になる可能性があります。
今朝の日経新聞では25%の関税上げそのままではゲーム機であれ、テレビであれ売れなくなるがメーカー負担では持たないが、この時点だ大規模な工場移転となれば、巨額費用がかかるので
「25%のコスト増」どころではない・・かといって25%負担では採算割れになる・・動くに動けないジレンマに困っている企業が大多数であるような意見を書いていました。
要は見通しが悪くて「機敏対応」できない企業が多いという意味でしょうか?
環境激変時に腰を抜かしてみているような企業が99%の時に機を見るに敏な人が時代激変後のリーダーになっていくし、(渋沢栄一のような人?)時代変化をぼんやり見ているだけで時代に取り残され没落していく旧時代人との違いです。
活力を以て変化を生き抜け!という元気を出すための意見ではなく、どちらかといえば困っている人が多い・・トランプ氏の強引な行動は中国が困るだけでなく日本企業にとっても迷惑だという中国寄りのイメージ主張のようです。

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