サムスン頼りで良いか?1

自動車業界全体売り上げが年間7、8%も減れば、株価大幅下落材料でしょう・・自動車系韓国代表企業である現代自動車だけで見ると9、3%減と大幅ですし、27日のデータでは営業利益率も激減状態ですが株価大幅安のニュースを見かけないのが不思議です。
ちなみに米中対決の結果、世界経済大激震といっても、最大の悪影響を受ける中国に与えるマイナス影響が1%か?という予測が出ていますが、この程度で世界中が大騒ぎです。
たとえば以下の予測です。
https://www.msn.com/ja-jp/news/money/
ダイヤモンド編集部,竹田孝洋
2019/05/09 06:00

米中貿易の25%関税、「全面対決」なら中国の成長率は1%低下する

上記に比較すれば雇用創出力の大きい自動車生産業界が、7、8%もの生産減であれば、本来大騒ぎになっても良い規模です。
韓国では問題の根源がニュースにならないものの、国内は大学新卒の就職難で大変だし、家計負債増加が激しく徳政令が次々と出る状態が続いている様子です。
18年までの販売縮小の流れと違って、19年にはいってから国内車の売れ行きだけが伸びているのは不思議です。
製品の品質・競争力向上ならば、国外でも伸びるはずなのに国外減少傾向が続いているのですから、昨年来の低迷危機感による政府の景気テコ入れ策が効いたのかもしれません。
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=61617?site=nli

韓国の経済成長率がマイナス0.3%に(速報)10年ぶりの最低値を記録
生活研究部 准主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 金 明中
韓国銀行が4月25日に発表した「2019年第1四半期実質国内総生産(GDP)速報」によると、2019年第1四半期の経済成長率は対前期比マイナス 0.3%と、世界金融危機だった2008年第4四半期の経済成長率がマイナス3.3%になった以降、およそ10年ぶりの最低値を記録した。
民間および政府の消費支出は対前期比それぞれ0.1%と0.3%ずつ増加したものの、輸出は半導体をはじめとする主力製品の不振が続いた結果2.6%も減少し、さらに設備投資は10.8%も減少した。

May 6, 2019,「家計債務膨張3(韓国15)」で貿易黒字を紹介した時に、貿易黒字というのは輸出が増えて景気が良い場合もあるが輸出が減っても国内消費・内需がそれ以上減ったことで黒字になることがあるという前提の意見を書きましたが、韓国代表企業・・現代自動車の連続業績低迷・他産業も似たようなものでしょうから、ついにGDPにその結果が出ました。
今まで韓国代表企業である現代自動車の業績推移・・低迷を見てきたように、韓国経済は日本をコケにしたことによって何となく成長限界が来たようです。
財政出動・・補助金等で国内景気維持→売上げが持ち直している→国外で売れなくなっているのでは、韓国人にとっては将来が不安でしょう。
ただしこれらは造船業界の破綻に始まる20世紀型産業の衰退であり、新たにサムスンに代表される電子系産業が躍進している(特に米中対決でサムスンは漁夫の利を占める?期待がある)ので韓国は大丈夫という見方もあるでしょう。
しかし上記日生基礎研究所のレポートには以下のような指摘があります。

半導体メモリー分野ではサムスン電子とSKハイニックスが健在し、韓国企業の世界シェアはDRAMが70%以上、NANDフラッシュメモリーが40%以上を占めている。しかしながら、非メモリー半導体分野における韓国企業のシェアは3~4%で、世界1位の米国(60~70%)はもちろん、ヨーロッパや台湾にもおされている。
半導体メモリーがデータを記憶して保存する機能があることに比べて、非メモリー半導体はデータを処理して演算・制御する機能を持っている。従って、今後各国政府が自律走行、AIなど第4次産業革命をさらに推進することを考慮すると、半導体メモリーより非メモリー半導体の成長可能性が高いと言える。サムスン電子は非メモリー半導体分野での劣勢を乗り越えるために、今年の4月に、2030年前までに非メモリー半導体分野に133兆ウォン(約13兆円)を投資すると発表した。

上記によると、今後の成長分野である非メモリ半導体シェアーがわずか3〜4%に過ぎない弱点が指摘されています。
資金投入さえすれば成功するならば、大企業は勝ち続けるはずですが、そうは行かないのが現実です。
非メモリ半導体関連をもう少し見ておきます。
http://mottokorea.com/mottoKoreaW/KoreaNow_list.do?bbsBasketType=R&seq=83058

韓国半導体の弱点…非メモリ市場、シェアわずか4%
サムスン、非メモリ部門に133兆投資
市場調査会社のIHSによると、中国の非メモリ市場でのシェアは2013年の3.1%から昨年は5%に、5年のあいだに1.9%ポイント跳躍するあいだに、韓国国内メーカーのシェアは6.3%から4.1%に、むしろ2.2%ポイント下落した。韓国が「半導体強国」と自負するが、しかし実際に考えてみれば「メモリ大国」にとどまっているという指摘だ。
非メモリ半導体産業にはファウンドリ(受託生産)とファブレス(設計専門企業)、モバイルアプリケーションプロセッサ(AP)、イメージセンサーなどが含まれる。
しかし、ファブレスの競争力は米国と日本はもちろん、中国にも遅れている状況だ。ファブレスは韓国が競争力を持つメモリー半導体とは性格が全く異なる。メモリー半導体は大規模な設備投資が必要なデバイス産業の特性を持っている一方で、ファブレスは創造的な回路設計能力が要求される。
ICインサイツによると、米インテルや米クアルコムなどを保有している米国は、2010年以降はずっと70%に近いシェアを維持しており、中国は2010年に5%から昨年は13%に8年間で3倍近くにシェアを引き上げた。

売上げ基準では世界のファブレス企業の上位10社のうちの2社が中国企業だが、韓国企業は上位50社に入ったところが1社に過ぎないほど規模は零細だ。韓国最大のファブレス企業であるLGシリコンワークスは昨年、7918億ウォンの売り上げを記録するにとどまった。それすらもこれまで着実に製品を発売してきたイメージセンサー部門で比較的善戦しているだけだ。
市場調査会社のIHSマークィットによると、昨年のイメージセンサー市場でサムスン電子は売上げ基準で19.6%の市場シェアを示し、日本のソニー(49.9%)に次いで2位に上がったと推定される。

徴用工訴訟と国内法論理(相似形?)4

韓国過去5年間と1年間のデータ・結果としての流れを見ておきます
https://jp.tradingeconomics.com/south-korea/balance-of-tradeからの引用です。
South Korea Balance of Trade

South Korea Balance of Trade

上記によると、14年からは右肩上がりでしたが、17年終盤から下落停滞傾向が見え、年始に下がるのは例年のことのようですが、19年の落ち込みが深くその後の反発力が18年より弱くすぐに下落傾向に入っているようです。
これが韓国固有(韓国衰退)傾向かは国際比較しないと分かりません。
同時期の日本のグラフがあれば同時引用したいのですが、世界ネタ帳は17年までのグラフしかなく直近の傾向比較ができません。
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL16HFW_W9A410C1000000
2019/4/17 8:59

財務省が17日発表した3月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は5285億円の黒字だった。黒字は2カ月連続。QUICKがまとめた民間予測の中央値は3800億円の黒字だった。

上記は増減率で具体的数字でないので韓国データと比較しづらいですが、一応見ておきます。
17年以降日本が前年同月比マイナスになったのは、原則的に18年末から19年1月だけですが、韓国の過去5年のグラフで17年と18年を比べると18年で17年を超える月はほとんどない・・概ね前年比マイナス傾向にあったことが分かります。
19年1月は、日本も前年比6〜7%前後マイナスですが、韓国の場合18年1月の3800前後から19年1月は1200〜1300程度におよそ50%以上も下がっています。
最直近19年3月で比較すると、日本は前年比2、4%減ですが、韓国は(目視ですが)3月頃は18年6200〜6300程度に対し18年3月はおよそ5000前後で20数%減です。
世界平均のデータまで探す暇がありませんでしたが、日韓だけ比較した過去約1年の推移では、韓国の方が落ち込みが大きいようです。
ただし昨日書いたように、韓国も輸出に頼らず現地生産化を進めたので輸出入規模が減ったのかも知れず、一部統計の推移だけでは断定できません。
現地生産化の進行は母国産業構造の空洞化に直結する場合もあれば、日本のように高度部品や知財収入の還流で経常収支では総合的に黒字維持できる場合もあれば、後進国では日本の部品購入で現地生産していた(独自技術の少ない)場合もあります。
例えば、韓国民族資本企業の工場が(日本または日系あるいは外資系韓国工場から8〜9割部品供給に頼っている場合)ベトナム等へ移転するとそこへ供給する部品輸出の大部分を韓国現地生産していた日系企業は韓国現地生産量削減→撤退縮小になります。
最終または後工程組み立て企業が多い国が海外進出すると国内空洞化に直面する仕組みです。

徴用工訴訟と国内法論理(相似形?)3

韓国で現地生産中の日系企業の撤退記事が出て来ました。
嫌韓派待望の記事?です。
どこの新聞記事に書いているのか出典がみあたらないのですが、以下に紹介するように別の人が別の角度から(企業紹介)書いているので多分事実には相違ないのでしょう。
https://blog.goo.ne.jp/kanchan1949bz/e/2bd00dc924e5e5a69a5272fddb1b5d83

2019年04月17日 01時43分35秒 | 日記
韓国の司法制度を信ずることができないので韓国での事業から撤退するというニュースが飛び込んできました。
新聞記事は下記の通りです。
半導体関連メーカーのフェローテックホールディングス(本社東京)は16日、韓国子会社での半導体製造装置部材の開発・製造・販売事業から撤退すると発表した。
韓国の司法判断に対する懸念が背景にあり、進出企業の事業継続に影響を与えた形だ。
子会社をめぐっては、元従業員3人が2月、営業機密侵害などの罪で韓国検察当局に起訴された。フェローテックは「昨今の韓国における日系企業に対する司法判断などに鑑みると、司法の独立性が完全に担保されない懸念があり、潜在的なリスクを現段階で最小化することが最も適切と判断した」と説明した。
韓国の原告企業からの訴状に対して無罪を訴えても日本企業だからという理由で公平な判決を下さないだろうから無罪を訴えず、司法判断に委ねるというのが結論です。
当初は無実を訴えて裁判に臨むような姿勢みせていましたが、徴用工訴訟の判決のように訴えた原告の韓国企業に有利な判決を下すのは目に見えているので無理に争わないとの結論でしょうか?
韓国は訴訟社会ですので、大金をせしめるために日系企業を訴える輩が増えるのは困った問題です。
ますます韓国へ投資する外資を含む日本企業は激減するでしょうし、上記企業のように撤退する日系企業が増加するかもしれません。韓国経済に悪影響を及ぼすことは必至です。みずほ銀行までもが韓銀への融資拒否なんて事態ならーーー。

上記は今回の徴用工事件とは別に、韓国で日系企業が訴えられるとおよそ勝ち目がないというリスクに不満を持って撤退決断するようになったようです。
同一企業撤退に関する別人の記事です。
https://matome.naver.jp/odai/2150160397338771801

メインディッシュの半導体企業が韓国撤退
株式会社フェローテックホールディングスは社員数が連結で5600人、売上高が連結で738億円の東京にある中堅企業だ。
主な事業は半導体装置関連事業などで、半導体装置向け真空シールでは世界シェア7割を誇っている。
賠償判決に対する。懸念があるというのが主な理由だが、他にも元従業員が機密情報を侵害するなど実害を被っていたことから決断をしたようだ。
撤退に伴う損失は最大で6億円とのことだが、連結売上高は738億円なので切り傷のようなものだろう。

世界シェアー7割の企業とすれば、サムスンや韓国企業は上記工場移転して遠くなってもそこから買うしかないでしょう。
今後韓国に工場を構えるメリットがない・・見込みないと思っても撤退に伴うコストが重要です。
上記企業の他に以下の撤退記事が紹介されています。
引用の続きです
https://matome.naver.jp/odai/2150160397338771801

富士ゼロックスの韓国工場閉鎖で韓国の従業員850人が解雇へ
富士ゼロックスの韓国法人、韓国富士ゼロックスが、複写機などを生産するソウル近郊の仁川工場(仁川市)を2019年3月31日に閉鎖する。同社はNNAに対し「生産拠点の見直しの一環だ」としている。海外の生産拠点は中国2カ所とベトナム1カ所の計3カ所に縮小する。
三菱重工は今年春、グループ会社の韓国現地法人を精算
もともと事業分野別に本社事業の整理を進める一環として、本社グループ会社の韓国現地法人を清算しております。これは徴用工の訴訟とは直接関係はありません。新たに韓国で立ちあげた法人もあります。(韓国に対する投資縮小は)現時点ではとくにありません」

と説明する。だが、同社の子会社である三菱重工コンプレッサが三菱商事と合弁で新たに韓国に設立した「MHI Compressor Korea, Ltd.(MCO-K)」(資本金1億円)は10月に開業したものの、社長以下社員わずか4人のアフターサービスの会社だ。

この他米国GMの群山工場閉鎖問題は昨年来大きなニュースになっていました。
このように韓国脱出が雪崩を打つようになると(かどうかは別として・・もともと韓国進出日系企業が中国へ輸出していたのを韓国経由しないで中国現地生産する流れが始まっていたようです)韓国にいてもメリットがないという流れに乗ればいいのですから、日本国民感情に反してあえて韓国にとどまる必要がなくなる・・チャンスが巡ってくるでしょう。
このように見ると撤退の動きは韓国の経済状態に比例するしかない・儲かれば定着したいし、儲けられなければ嫌韓だろうと親韓だろうとやることは同じです。
米中対決強化が韓国輸出産業の低迷につながれば、日系企業撤退の抵抗がなくなるし、米中対決でサムスンの他韓国企業に漁夫の利があり韓国国内景気が良くなれば日系企業は韓国から出て行かないなど、結局は韓国経済の強さが日韓関係の方向性も決めて行くように見えます。
中韓に対しては進出企業数が多いので、いつでも撤退・縮小企業があり他方で新たに進出したり既存工場の生産拡大企業もあるので、たまたま撤退企業をいくつ拾い出しても全体は見えません・・年単位の統計で動向を見るしかないでしょう。
でもそれでは先の動向は読めません。
韓国に関しては米中対決と別にしても、今後対中輸出が減少方向になるのか・・・過去1〜半年の韓国の輸出増減傾向と韓国の国外進出企業の現地生産の増減の組み合わせ(輸出企業が現地生産拡大すれば輸出減少するのは当たり前です)トータル縮小傾向としても一過性の政治問題によるのかなど見ないと動向がわかりません。
例えば中韓関係はサード配備以降韓国制裁?で冷え込んでいるのですが、米中対決によって中国は味方が欲しいので韓国に対しいきなり韓国に対し優しくする可能性もあります。

徴用工訴訟と国内法論理(米中対決の相似形?)2

韓国に思い知らせてやれ!という嫌韓感情論者が気にいるような結果になるかは、米中対決の激化によって韓国の対中輸出激減方向ですので韓国輸出企業生産が落ち込むこの時期はチャンス・・韓国経由の対中輸出製品への部品組み込みが減る・・韓国内で工場を維持するメリットが減るこのチャンスを先取りするかどうか程度のことになります。
5月21日の日経新聞3pによれば、ファーウエィの中国国外でのスマホ出荷台数は、全体のほぼ半分を占めるダントツ(ただし欧州ではサムスンが首位)であるが、ドイツ半導体企業がファーウエィ向け部材供給の一部を停止したと出ていて、その影響を書いています。
上記記事を見ると日本にとってのファーウエィ規制に対する意味合いは、ファーウエイにどんどん追い抜かれ始めて経営不振に陥りかけているサムスンの売り上げ増になり米中対決は韓国に有利に働く面があり、強気にさせる側面があるということです。
・・ただし日本の半導体設備企業がドイツに倣ってサムスンへの供給停止するとどうなるか・そうなればサムスンは上記ドイツ企業に供給を依頼する可能性が高いでしょう。
ドイツ企業にとってはファーウエィ向け輸出がなくなった穴埋めになるので、積極的にサムスンへの売り込みを図ってもおかしくない状況です。
ドイツから売り込み競争激化の真っ最中に、その防戦に努める日本企業が供給停止できるかの疑問です。
玉突き現象の究極のババを引くのは、日本かもしれません。
米中対決による中国の対米輸出激減の影響・・対中輸出比率が世界一高い韓国が一番影響を受ける・・工場稼働率激減というのがマクロ的見方でしょうが、個別にみると意外に複雑です。
複雑化の原因は、日系現地工場の大さにも比例します。
資本収支で言えば、工場や店舗投資はホットマネーと違うと言われる所以です。
韓国の対日依存度低下を主張する小塩氏意見に対して、今は現地生産が進んでいるので貿易収支だけで見るのは間違いだと書いてきましたが、実は対中関係でも現地生産化が進んでいるので、日本や韓国の対中貿易依存度だけでなく中国現地生産の規模も合わせて読む必要があります。
韓国の対中貿易が25%を占め世界最大比率としても、現地生産比率と合わせないと総合的影響度がわかりません。
今朝の日経新聞1pでは日系企業の米国向け輸出品の中国での現地生産額(例えば任天堂のゲーム機の米国向け製品は100%中国生産らしいです)は約1兆円と出ています。
韓国が輸出に比べて対中投資比率が少ないとすれば、日本の方が現地投資規模が大きいとすれば、輸出先振替と違い簡単に工場移転できないので、日本の方が受ける悪影響が大きいことになります。
工場移転による納入業者の経営悪化や雇用環境悪化等については、輸出に頼らない日本の方が影響が少ないでしょうが、企業利益としては工場は簡単に動けないので打撃が大きいのです。
先の読みは別として、韓国輸出の25%を占める対中輸出が減れば、韓国内工場稼動率が下がる→韓国内の輸出企業向け部品供給を目的に進出していた日系企業の工場も稼動率が下がります。
韓国企業自体米国向け輸出のために中国での組み立て工場の稼働率を下げるかやめるしかないので、ベトナム等へ工場移転するしかないのと同様に、韓国内日本系工場もアジア諸国へ分散方向になります。
結局は嫌韓か反中どうかの感情論ではなく、経済合理性が勝負を決めることになります。
今朝の日経新聞にも出ていますが、25%の関税でもすぐに中国を出て行く選択肢は多くの企業にとっては難しいので、各企業のおかれた状況によって対応が違うのは当然です。
単なる輸出先であれば販売相手の新規開拓でいいのですが、工場進出している場合長期的視野でないと安易に工場移転はできません。
中国も必死に引き止めているでしょうから、これを振り切って出て行くと将来に禍根を残します。
いつ米中和解ができるかも不明なので、移転した直後に米中和解で関税がなくなると大損するリスクがあります。
新規工場進出するのは、現在の25%関税が元に戻ってもベトナム等でやっていける成算がないと簡単に動けないでしょうし、一方で米中対決がいつ解決するかわからないのにその間赤字経営を続けられないというジレンマです。
以下紹介しますが、韓国、中国から出て行く、あるいは生産の一部移転を発表する企業が出れば待ってましたとばかりに嫌韓、反中系ネットで拡散しますが、これらはもともと長期ビジョンの一環で計画していた実施時期がたまたまこの時期に当ったと場合が多いと見るべきでしょう。
東南アジアに多くの進出工場を持っている日本企業の場合、韓国や中国内工場をすぐ閉鎖するのではなく当面タイやベトナム等に分散している工場の生産比率を上げてそこから米国向けに(中国国内工場製品は米国向け以外に振り向けるのは、物流系の再編などもちろん大変ですが一応容易です。
元々韓国から移転計画があった場合やチャイナプラスワンを計画中の企業は計画の後押しになるでしょうが、何も予定していなかった企業にとっては降って湧いた災難で、どうして良いか不明でいきなり動けないし、焦って動けば大損失になるので様子見という現状維持にとどまるしかないでしょうから大変です。
こういう企業経営陣は運が悪かったというよりは、危機管理能力が低かったので右往左往していただけだったとの評価になる可能性があります。
今朝の日経新聞では25%の関税上げそのままではゲーム機であれ、テレビであれ売れなくなるがメーカー負担では持たないが、この時点だ大規模な工場移転となれば、巨額費用がかかるので
「25%のコスト増」どころではない・・かといって25%負担では採算割れになる・・動くに動けないジレンマに困っている企業が大多数であるような意見を書いていました。
要は見通しが悪くて「機敏対応」できない企業が多いという意味でしょうか?
環境激変時に腰を抜かしてみているような企業が99%の時に機を見るに敏な人が時代激変後のリーダーになっていくし、(渋沢栄一のような人?)時代変化をぼんやり見ているだけで時代に取り残され没落していく旧時代人との違いです。
活力を以て変化を生き抜け!という元気を出すための意見ではなく、どちらかといえば困っている人が多い・・トランプ氏の強引な行動は中国が困るだけでなく日本企業にとっても迷惑だという中国寄りのイメージ主張のようです。

徴用工と国内法論理(米中対決の相似形?)1

現在の米中対決もこの種の議論・中国の米国追い上げに対する米国の危機感によるというのが一般的で、韓国と日本の対立激化とどこか相似形です。
解説メデイアが同じだから、同じ視点の関心で事実調査し意見を書くからでしょうか?
米国時間5月10日午前0時01分以来の新規関税上げに続いて15日頃のファーウエィに対する取引原則禁止発表へと大規模経済対決が始まり、ファーウエィの方は自力で半導体等を賄えるので痛手ではないという同社会長の強気発言が19日頃の日経新聞に出ていました。
アメリカが規制発表するには、当然ファーウエィーの自己開発力や調達力等その後の動きの吟味を経た上でのことでしょうし、情報戦でしょうから双方の意見を鵜呑みにはできませんが、日本と韓国の対立も貿易制限に発展するには同じようなチェックが必要です。
対日依存度低下論に感情で反発するのではなく、データによる反論・解説が必要です。
本当に米国が対中締め出しで勝てるか?ファーウエィ締め出して却って米国の発展が阻害されるかは、ファーウエィの潜在能力如何にかかります。
これらの疑問に答える必要同様に、日本もネットで盛んな「韓国相手にせず論」で大丈夫かの分析が必須です。
日本企業の韓国外し・日本企業が韓国企業に供給している部品等の資本材輸出を禁止〜縮小して行くことが可能か自分の首を締めるかの分析意見が欲しいところです。
米中対決の場合は、米国の与国の多くが米国の締め出しに協力するでしょうから、冷戦時代のココム・チンコムの再来が可能か?の問題と、当時に比べて西側諸国と中国との関係はもっと入り組んでいるので再来自体が変質するので、その効果の見極めが複雑です。
ただし、メルケル氏が中国へ8回ほど訪問しているの日本へは1回も来ない・批判の強さに放置できなくなって仕方なしに、日本へ半日ほど立ち寄ったことを紹介したことがありますが、一時期に比べてドイツひいてはEUの中国一辺倒が目に見えるように弱ってきました。
ドイツやフランス政府の対中批判が増えてきたのは、日本撤退の穴埋めを狙って中国へ進出してみたが、甘言につられて進出して数年〜4〜5年経ってみるとひどい目にあったと不満を抱いている企業が多くなってきたからでしょう。
これに対し日韓規制競争の場合には、日韓だけの問題で日本は西欧諸国に正面から協力を求めるのは困難でしょう。
せいぜい同調的立場を取ってもらうのがやっとで、中国の反日暴動時同様に西側先進国は日本の抜けた穴埋めにチャンスとばかりに韓国に進出する方に傾くでしょうから、いま韓国が日本製品に頼っていると言っても部材の品質レベルが高いだけのことで、ドイツ等の技術導入で数%くらい使い勝手が悪くともあるいは故障が多くてもほぼ同様の製品を作れないことはありません。
世界競争は数%でも品質が悪いと市場では売上が3〜4割も変わることがあるので、日本は韓国へ供給を止めた余力を次順位レベルの国に技術供与に成功するかどうかにかかってきます。
そしてこれを狙っているのが中国企業でしょう。
中国は、日本→韓国→中国への製造回路を日本→中国への直線回路にする方法を狙って韓国いじめを展開中とこれまで書いてきましたが、日本の嫌韓感情を煽って韓国の中抜きを奪おうとしている状態下での米中対決突入ですから、なおさら日本との直接関係パイプを広げたいのは目に見えています。
日本は米国への遠慮があって中国への技術移転はしにくいでしょうが、半導体装置等最先端技術ではない中レベル技術なら米国の規制に触れないので、今後韓国抜きの関係が進みそうです。
このような半端な関係は西欧諸国も同様でしょうから、米国の中国に対する発展阻害策は全面戦争状態ではないだけに、複雑関係になっていることがわかります。
戦国大名成立過程・・越後国や尾張国などの国内統一戦国大名成立過程で、国内諸豪族が自分に着くか敵に着くか、中立を決め込むかなどの読みが必須だったのと同じです。
米中対決でも品質競争に過ぎないから同じといえば同じですが、日本に同調して輸出制限に協力する国が皆無どころか日本が抜けた隙に食い込みたい国の方が多い(アメリカのように違反すると制裁する脅す力がない)点が日本の弱みです。
アメリカだって、中国が米国産小麦を買わないで中南米小麦を買っても文句言えないのと似てるいますが・・・。
戦争開始前に彼我の兵力を図るように、経済戦争では貿易制限が相手に与える被害と自国企業に与える影響を図らないで単に勇ましいことを言ってれば 済むものではありません。
ところで小塩氏の韓国の対日依存度低下論は貿易収支のみを比較して論じていますが、韓国の対日依存度低下の実態は、日本企業の現地化方針に基づいて韓国への工場進出によって高度部品資材等を韓国内で現地生産するようになった結果、部品輸入が減った面が大きい筈ですから、対日依存度低下は貿易統計だけではわかりません。
韓国進出企業が訴訟リスクを理由に韓国内工場を閉鎖あるいは縮小して東南アジアに転出可能か?
可能としても、韓国内の日系工場で経験を積んだ韓国人労働者を使えば韓国が国産化可能か、あるいは日本がダメならドイツ等他の先進国技術導入でなんとかなるかによってきます。
既存技術の国産化は可能でしょうが、技術は日進月歩ですので、日本企業撤退時の技術で止まってしまうかどうかが運命の分かれ目です。
北朝鮮が日本敗戦時に日本製の先端工場を丸々入手したにも関わらず、その後何ら発展せず同じ機械を使い続けるだけで修理すらまともにできないで終わった経験が痛いでしょう。
反日暴動時の中国がもはや日本から得るべき技術移転が終わったと豪語して松下の工場焼撃ちをそそのかしていたのですが、既存技術の移転が終わったとしてもその後新たな技術が日本から入らなくなって困ってしまって、(ドイツに頼ったのですがうまくいかなかったようです)15〜6年頃から再び日本に擦り寄り始めた経過を見てもわかるでしょう。
米中対決同様に、日韓対決を考えるにあたっても韓国進出の日本企業が韓国から引き上げて東南アジア等に工場移転する覚悟があるかが第一の問題になります。
せっかく現地に根付いている企業としては撤退となれば大きな被害になるので、反日暴動のような激しい問題が起きないで、徴用工の給与未払い請求程度(1企業仮に数千万〜1億程度飲むしりとられるだけでは撤退の判断ができないのが難点です。
戦後企業には自分は対象にならないので日系企業全部の問題ではなく被害がまだら模様の問題があります。
結局はチャイナプラスワン同様に、韓国での操業メリットが低くなり企業判断で東南アジアに転進するべきかどうか迷っている状態であれば、この機会に脱出しようとなるのでしょう。
結果的に政治リスクあるいは後押しは超短期の変数に過ぎず、企業の行動合理性の赴くところ・・市場原理の範囲内に尽きるようです。

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