雇用喪失と移民増に対する米国の不満

NAFTA署名の92年当時といえば、1992年のEU発足と同時期ですから西欧が地域ブロック経済で米国に対抗するならば米国はこれに対する対抗心からもともと自分の裏庭と自負する北米地域で北米統一市場を企図した動きのように見えます。
もともとメキシコは米国にとっては、裏庭ともいうべきお膝元であり当時のメキシコ経済は近代工業製品輸出国ではなく工業製品を売りさばく市場そのものでしたから、米国はEUに対抗して米国の裏庭にあたる市場を囲い込み・支配独占を確かなものにする日本の高度成長期には意識に基づく政策だったと思われます。92年当時のメキシコの経済力を見るために当時から現在に至るGDPや貿易額推移を世界ネタ帳でGDPを見ておきます。
https://ecodb.net/country/MX/imf_gdp.html

メキシコの名目GDP(USドル)の推移

メキシコ輸出額の推移

上記両グラフによれば92年NAFTA署名〜94年発効以降を見ると、GDPや貿易量が急激に伸びています。
FTA・・貿易自由化の徹底は後発国(韓国や中国を含め)が先進国に追いつくには、後進国に有利な制度であったことがわかります。
19世紀型植民地支配は、被支配地域に工業生産を許さず先進国の輸出市場としか扱っていませんでしたが、戦後ほぼ独立してしまい植民地支配が出来なくなりました。
先進国間で戦後復興が終わり市場争奪戦が再開されると、(似たような生産ラインでの競争である以上)より安い賃金・安い地代等総合的低コスト地域に立地した方が同業者や競争国との価格競争に勝てるので、現地進出競争が始まりました。
日本の場合も中国が改革解放されると現地生産指導のコストをかけても、農産物等の価格が10〜20分の1の値段で仕入れできれば競争相手・同業者に勝てるので、中国現地に出向き日本人向き蔬菜づくりの現地指導に乗り出す競争が起きていました。
毒餃子事件で知られるように日本の食品メーカーは競って中国進出していましたし、食品は日常庶民の目につくので目立っていただけで、その他各種産業は中国から安く仕入れる競争時代が始まっていました。
米国とメキシコの関係もこれに似たようなものだったと推測できます。
米国としては市場囲い込みのつもり・EU理念に負けない市場一体化・もしかしたら北米全体をEU理念同様にアメリカ合衆国を拡大する意気込みもあったのでしょう?
その理念の事実上(EUのシェンゲン条約のように公文書ではっきりさせませんでしたが)人的移動の自由化も緩やかになる一方だった気分の実現として、米国企業が強者の論理で遠慮なく内国並みに自由自在に進出し、メキシコも中国のように進出企業に民族資本との合弁強制や知財移転要求などのイチャモンをつけずこれを受け入れていた状態を推測出来ます。

韓国はどこへ行く?3(親中・北政策の蹉跌2)

前パク大統領の親米〜親中〜米陣営復帰〜弾劾への流れを見ておきましょう。
パク大統領は、出自と大統領になる前の行動から、親日親米思考体質プラス軍を背景にした対北朝鮮強硬思考が基本体質とみられており、当初日本でも同氏の大統領当選を関係改善につながる期待で受け止めていたものです。
パク氏は当初未来志向の動きだったように見えますが、米国頼りでは6カ国協議が停滞したままで北のエスカレートする挑発を止められないことから、北に強大な影響力を持つと見られた中国の力に頼ることに変更したものとみられます。
北が核兵器を持てば、米軍駐留が続いても米軍が核兵器による米本土攻撃の脅迫を受けると韓国を守ってくれなくなる・・「北から韓国を守る・核兵器開発中断させるには中国の圧力に頼るしかない」という大義の選択だったと思われます。
韓国の方が経済力もあるし、北と親密にするより韓国と親密にした方がメリットが大きいというセールスポイントも利用したでしょう・・北のパトロンを奪取しようという魂胆に見えましたが・・。もちろん韓国の方も米国に義理立てするよりは対米貿易より対中貿易額の方が大きくなっているという韓国のメリットもあり、一見ウインウインの関係とも言えました。
ただし、中国の方は自国技術力アップ中で、すぐにも韓国企業に追いつき競合するのが目に見えていたので、中期的に見て韓国企業優遇どころか、排斥相手にしたい関係でしたので米国陣営から寝返る・来るのは拒まないが・・という程度だった点で思惑が違いました。
中国としては、招待したら来た程度で何の義理も感じないし約束もしないとい程度の客扱いだったようです。
一方的にのめり込み盲目的恋愛のように中国にすり寄ってしまった韓国は、西側諸国からの反発覚悟のかなりの犠牲を払って中国の抗日式典に参加し、日米がボイコットしている中国の世界支配の基本構想である一帯一路構想の基盤となるAIIBにも参加し、トップ間のホットライン設置するなど最大限の誠意を示しました。
慰安婦騒動激化もその誠意の一態様と見るべきでしょう。
ちなみに当時国際的な慰安婦運動は韓国名義でやっていましたが、例えば米国の慰安婦像設置運動を見ると韓国人社会が実際には動いておらず背後で操っているのは、中国の資金と中国人脈によるロビー活動によるのでないか?という噂が一般的でした。
慰安婦像設置は住民投票によるのではなく、持ち周りの市長?市議会?がいきなり設置を決めたような経緯です。
民主社会という美名を信じて日系人が如何にビラ配りなどの運動しても公園の一部施設を選挙で決めるものではない・日本でも公園の備品・ベンチを置くかなど)のですから、ロビー活動で負けるとどうなるものではありません。
中国は改革開放直後から将来的にはGDPや軍事力で日本を追い越すことがわかっていても、最後は文化度の競争ですから、長期戦略として日本文化評価をじわじわ貶めて行く長期戦略があるものと思われます。
韓国政府の中国傾斜が始まると中国の要請によるのか勝手に忖度したのか?朴政権が日清戦争以降縁が切れていた中国陣営帰参の引き出物にしたのか不明ですが、自ら慰安婦問題をあおり告げ口外交をするようになったので、これは本当に韓国政府肝いりで行なっているというお墨付きを世界に与えたような関係になったように見えます。
翌16年1月に起きた北朝鮮の核実験に対する抑制依頼のためにせっかく設けたホットラインで習近平に直接電話しようとしても中国はその電話にすら出ないで何もしてくれなかったので、国内的に反米親中政策がなんだったのかの(親米派による)批判噴出に見舞われたと思われます。
国際環境の変化・慰安婦騒動に関して韓国支持国がなくなって来たことによって(パク大統領の外交は中国へは一方的擦り寄りにすぎず実は何も得たものがなかったのです)親米派勢力の不満(アメリカの巻き返しもあって)を背景に日韓合意となります。
日韓「不可逆的」合意に関するウイキペデイアの記事からです。

2015年(平成27年)12月28日に大韓民国(通称:韓国)ソウルの外交部で行われた日本の岸田文雄外務大臣と韓国の尹炳世外交部長官による外相会談後の共同記者発表で[1]、両外相は「日韓間の慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と表明[2]。韓国政府が元慰安婦支援のため設立する財団に日本政府が10億円を拠出し、両国が協力していくことを確認した

その後も北朝鮮による核実験やロケット発射の連続に対して何もしてくれない無視を決め込む中国への不満が高まる中で自国を守るためには米国に頼る軍備増強しかないという16年7月のサード配備決定でした。
https://business.nikkei.com/atcl/report/15/226331/071900059

「中国陣営入り」寸前で踏みとどまった韓国
THAAD配備巡り米中代理戦争
鈴置 高史  2016年7月21日
7月8日、在韓米軍へのTHAAD配備が正式に決まりました。
配備拒否派が世論を盛り上げて朴槿恵(パク・クンヘ)大統領を動かそうとした。慌てた賛成派が巻き返し、大統領の裁可を取り付け急きょ発表に持ち込んだのです。

「配備」の正式な発表を受け、中央日報は解説記事の見出しを

「苦悩の末に……朴槿恵政権、韓米同盟を選んだ」(7月9日、韓国語版)
日本語版もほぼ同様で「配備拒否か賛成かは、米国との同盟を拒否するか続けるかの選択だった」

との前提です。
これが多くの韓国人の実感でしょう。
中共政府の抗日戦勝利集会に参加して支配下に入ったはずの韓国の裏切り(と言えるかな?)に中国は(権威を示すために)怒り、土地提供したロッテに対する中国の報復、現代自動車への嫌がらせ等々(もともと自国企業と競合する進出企業潰しの口実)が今だに続いています。
この間オバマの日韓仲裁などを経て16年10月28日のろうそく集会後の日韓軍事情報保護協定(GSOMIA)(11月23日)に進んだのですが、これがさらに反米親中派を刺激しました。
この時点でのろうそく集会はスキャンダル批判だったので朴政権は甘く見たのでしょうか。

韓国はどこへ行く?2(親中・北政策の蹉跌1)

清朝からの独立を認められた下関講和条約翌年の1896年2月に、高宗はロシア公館へ(亡命?)こもります。
露館播遷に関するhttps://ja.wikipedia.org/wiki/の記述です。
露館播遷

高宗がロシア公使館で政務を執り行った結果、ロシアは年表に示す利権を獲得し、他の欧米列強も同等の利権を獲得することになった。 また、これは国としての自主性を放棄するのに等しい行為であり、後に日露戦争時に中立を宣言したが日露両国から無視されるような結果となった。

上記の結果世界的に独立国を名乗る能力がない・国家として認められていない状態になっていた・・世界中のに対し自主性を放棄しても良いが、ともかく日本と対等になるのだけは嫌だったらしいのです。
戦後は朝鮮戦争の結果助けてくれたアメリカに従属したままでこれが嫌でたまらなかったでしょうが、頼りたくて仕方のない中国がようやく力をつけてきたし対中貿易の方が対米貿易より大きくなったので、「頃や良し!」とばかりに、正面から日本に喧嘩を売り千年以上許せないと啖呵を切ってしまったと思われます。
https://www.j-cast.com/2013/03/04168068.html?p=all

朴大統領「被害者の立場、千年不変」と主張 韓国に「いつまで謝罪し続ければいいんだ」の声
2013/3/ 4 18:50
演説は2013年3月1日、1919年に起こった「三・一独立運動」を記念する式典の中で行われた。朴大統領は、
「(日本と韓国の)加害者と被害者という歴史的立場は、千年の歴史が流れても変わることがない」

と大げさな演説をした上で反日運動に邁進していたので、日本では「陰口おばさん」と揶揄されるようになっていました。
以下は陰口外交に関するウイキペデイアの記事です。

告げ口外交(つげぐちがいこう)とは、2013年に韓国大統領の朴槿恵(パク・クネ)が行った、日韓の歴史問題に関する外交政策で、日韓以外の第三国に日本の悪口を言い触らして回ることに対して日本の各メディアによって用いられる俗語である。「言いつけ外交」[1]、「おばさん外交」[2]とも呼ばれる。

その勢いに乗って西側諸国一致してボイコットしていた中国の抗日戦争勝利記念式典に唯一の西側諸国首脳として出席し、習近平からロシアプーチンに次ぐ序列3位(冊封体制下では朝貢使節がどういう序列で出席できるかは最重要事項でした)?のもてなしを受けて、対日敵対意識のみならず今後は、米国の意向など問題にしない態度を露骨に示しました。
https://www.bbc.com/japanese/34136088

中国で大規模軍事パレード、抗日戦争70周年記念
2015年09月3日
出席した外国首脳、欠席した首脳
来賓の中には、ロシアのプーチン大統領、韓国の朴槿恵大統領、国連の潘基文事務総長などが肩を並べる。しかし潘氏の出席は批判を呼び、米・英・豪・日の政府首脳は欠席している。
「日中関係が難しい状態にあり、アジア太平洋地域の軍事的緊張が悪化している中で、国家指導者の中には、中国の国家主義的な反日大会に参加することへのためらいがある」とニール氏は話す。

この頃の韓国国民感情は19世紀末以来欧米の顔色を窺うしかなかった朝鮮族が、今後ようやく中国の保護下で安心して生きていける(しかも冷たい利害で結びつくロシアを除けば実質序列1位の地位獲得で、歴史上初の栄誉です)と、国内が盛りがっていた・・昂揚感が高まっていたと思われます。
この歓喜の頂点において、あれほど日本批判をしていた朴政権は慰安婦問題に関して日韓合意に踏みきりました。
負け戦発表の潮時をはかるために中国べったりで国民歓喜・・支持率の上がったところでの収束を図ったのかもしれませんが、これが裏目に出ました。
(国内的にはアメリかの不当圧力でやむなく・・という弁明でしょう)
(国内的にはアメリかの不当圧力でやむなく・・という弁明でしょう)
実質はいかに告げ口外交して歩いても国際社会では韓国の主張する慰安婦問題が受け入れられなくなったことにより曖昧解決でごまかすしかなくなったことが主たる原因でしょう。
(逆に日本では「せっかく韓国を追い込んだのにここで曖昧合意だと明白な決着をつけるまでやらないと禍根を残す」という批判が渦巻いていたことは周知のとおりですが、何やかやと言ってもトップの決めたことには最後は従う度量が国民にあります)
パク大統領がどういう言い訳をしようとも内政失敗に対する国内不満をそらすため近隣国にいちゃもんをつけて独裁者が侵略戦争に踏み切って無残に負けて帰ってきたような体たらくでした。
今の文政権が国内無策の隠蔽のために反日拡大と北朝鮮との和解成立に政治生命を賭けきたのですが、米朝決裂によって無残に失敗したのもこの繰り返しです。
そもそもアメリカを見限って旧宗主国への寝返り、その帰参がかなったという国際宣伝のために中国が上記式典を盛大に行った(そもそも中韓関係誇示のためにいきなり開いたものです)のに、その直後にアメリカの圧力で止む無く日韓合意せざるを得なかったというストーリー自体が矛盾ですから、表面だって言ってないでしょうが・・。
上記思い切った行動にアメリカが本気で怒って、相応の脅しが入ったのかも?
日韓合意だけではなく続けて宗主国様への裏切りと評価される中国の最も嫌がる米国のサード配備を受け入れたことにより中国の怒りを買って、ロッテに始まり各種分野で露骨な嫌ガラセを受けるようになってしまい、史上最大の栄誉どころではなくなりました。
ろうそく集会エネルギーの源泉は、国民感情を裏切った朴政権に対する怒りが基本であり、パク大統領の特定人物に対する厚遇に対する不満はそのきっかけ・あるいは表向きの主張に過ぎなかったと私は理解しています・・・。
以下中国抗日戦勝利式典(15年9月)日韓合意(15年12月)〜サード配備決定(16年7月)〜ろうそく集会(16年10月28日)〜日韓軍事情報保護協定(GSOMIA)(16年11月23日)の時系列で明日以降見て1きます。

集団自衛権に対する国民意識(設問によって回答が変わる)

集団自衛権に対する国民意識(設問によって回答が変わる)

ところで、17日に見た通り朝日新聞調査回答者中自衛隊合憲論者だけで見れば、集団自衛権は違憲という意見が19人中8人で過半数に足りないのですが、朝日新聞はもともとの違憲論(違憲運動している者の回答率が高くなるのは当然です)を合わせて7割が集団自衛権を違憲と言っていると発表していたことが17日の紹介記事でわかりました。
このカラクリを知られたくないから?朝日新聞は基礎になる自衛隊合憲違憲のデータを第三者に指摘されるまで公開しなかった疑いが持たれます。
アンケートの一般的方式/ルールで言えば、「前問で『自衛隊合憲』と答えた人のみ次の問い(こういう場合にも合憲ですか、違憲ですか?という問い)に答えてください」とするのが普通の方式です。
朝日の調査では、前問で「自衛隊違憲」と答えた人にも、次の問い(集団自衛権の合憲違憲)に答えさせていることになります。
前問で違憲回答した人に、次問で集団自衛権の合憲違憲を聞けば違憲の回答になるのが論理的帰結です。
虚偽報道ではないとしても国民を誤解させかねない調査報道の仕方ではないでしょうか?
正確には自衛隊合憲論者の半分近くが違憲と言っているという発表であるべきですし、自衛隊を合憲と考えている8割の国民は自衛隊合憲論者がどう考えているかを知りたがっているのです。
元々の自衛隊違憲論者が集団自衛権になおさら反対しているのは当然すぎますから、彼らが(違憲論者が)違憲と考えているか知りたい国民は滅多にいません。
学者相手ではない集団自衛権賛否の一般的調査では以下の通りです。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39362によれば以下の通りです。

2014、5、26 髙橋 洋一
5月19日の産経新聞「7割が集団的自衛権を容認」、12日の読売新聞「集団的自衛権、行使容認71%」、19日の毎日新聞「集団的自衛権 憲法解釈変更…反対56%」、4月22日の朝日新聞「今国会で憲法解釈変更『不要』68%」
集団的自衛権行使に積極な二紙では賛成が多く、消極的な二紙では逆に反対が多いという、絵に描いたような世論調査結果だ。
もっとも、その理由は明快だ。
世論調査の際、集団的自衛権の定義の違いと答えに「最小必要限度」を入れるか、どうかである。
まず、集団的自衛権の定義では、産経・読売では「密接な関係」「反撃」となっているが、毎日・朝日では「同盟」「戦う」と表現が違っている。
ただし、「日本への攻撃とみなして」は共通だ。答えに「最小必要限度」を入れるかについては、産経・読売は、「最小必要限度」の限定的な行使を含めているが、毎日・朝日は含めず二者択一だ。
必要最小限度」を入れるか否かで結果は変わる
集団的自衛権については、そもそも論から考えたほうがいい。4月28日付(→こちら)と先週の本コラム(→こちら)において、国際法では、国家間の個別的・集団的自衛権は国内の個人間の正当防衛と同じで、英語では自衛も正当防衛もともに self defenseということを紹介した。
日本の刑法36条をみれば、「急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない」(第1項)と、他人を守ることも含まれており、これは世界共通だ。この「他人」を「他国」と置き換えれば集団的自衛権である。もちろん、個別的・集団的を問わず自衛でも、正当防衛で過剰防衛になっていけなのと同じように、いろいろな制約がある。この意味で、集団的自衛権(もちろん個別的自衛権も)は、「必要最小限度」で限定的なものだ。
こうした国際法の観点から見ると、産経・読売のほうがまともにみえる。毎日・朝日の集団的自衛権は、戦争そのものととらえているのではないか。正当防衛を認めず、人に反撃を加えるだけで、傷害罪・殺人罪を適用するといっているのに等しい。」

上記によると、一般国民は、集団自衛権であっても質問方法によっては7割も必要としているというのです。
もしも自衛隊そのものの合憲・違憲の世論調査をすれば、合憲意見がその上を行くことは明らかです。
このように調査設問するには、具体的条件設定の重要性がわかります。
自衛隊違憲合憲の意識調査では、周辺状態の危険性は常識ですからメデイアが設問方法でごまかせないから、実態に合わせた常識的意見になっているのではないでしょうか?
朝日新聞や憲法学者は(無制限に戦争参加できるかのような質問形式)前提なしの違憲論を宣伝しているように見えます。
ところで、国民の8割が自衛隊合憲と一般化されていますが、ネット検索する限り(検索能力が低いから)メデイアの世論調査結果がなかなか出てきません。
内閣府による自衛隊に関する意識調査の変遷です。
https://survey.gov-online.go.jp/h26/h26-bouei/gairyaku.pdf

(2) 日本の安全を守るための方法
問13 では,あなたは日本の安全を守るためにはどのような方法をとるべきだと思いますか。
この中から1つだけお答えください。
現状どおり日米の安全保障体制と自衛隊で日本の安全を守る
平成24 年1月     平成27 年1月
82.3%   →   84.6%
日米安全保障条約をやめて,自衛隊だけで日本の安全を守る
7.8 →      6.6%
日米安全保障条約をやめて,自衛隊も縮小または廃止する
2.2% →      2.6%

ようやく内閣府の調査が出てきましたが、(ちょっと古いですが)これによれば上記の通り国民の97%以上が自衛隊存在を前提に回答していることからも自衛隊違憲論は少数であることが推測されます。
一般的に国民の自衛隊支持率は8割以上と言われていますが、どこにデータがあるか世論調査がネットには簡単に出てきません。
政党では共産党しか違憲主張がないのに国民の2割も違憲論があると言う一般化自体おかしいように思っていましたが、上記調査では自衛隊縮小論が2、6%となっており、この中には自衛隊違憲論者多数と見るべきでしょうが、国民の2割もいません。
以下に紹介する共産等プラス社民党支持率とほぼ一致しています。
https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_pol_politics-support-politicalparty

政党支持率、自民は28.1%=時事世論調査※記事などの内容は2018年1月19日掲載時のものです

中国の脅威4(細胞浸透作戦+取引国に対する言論規制)

中ソ対立の原因端緒を9月27日に見ておきましたが、ソ連がスターリン批判で路線修正したのに毛沢東中国がスターリン路線修正に反対して路線対立になったものです。
中国共産党は旧スターリン主義を良しとして当時圧倒的軍事力格差のあるソ連に楯突つく・・戦車隊による蹂躙される危険を冒してまで守って来た粛清思想その他スターリンの政治性姿勢を守ってきた国ですから、中国の改革解放後もあくまで同調を拒否して従来型共産主義政治を墨守すると宣言して現在に至る北朝鮮の独裁・恐怖政治体制と本質的同一性があります。
中国の改革開放政策はスターリン主義を守りながら表面上西側諸国を油断させるためにいわゆる韜光養晦政策をとっているだけであって、スターリンの本質的野望を捨てていないと見るべきでしょう。
ネット上で中国を大朝鮮と言う呼称がある所以です。
中国がフルシチョフのスターリン批判を受け付けない・・このためには、圧倒的軍事力を誇るソ連との戦争さえ辞さないということは、スターリン政治の一部だけの否定ではない・・スターリンの国際的に相手国内工作していく国際政治運動方式を承継していることになると読むべきでしょう。
スターリンはトロツキーの世界同時革命論から1国共産主義革命主義に変更したと表向き言われていますが、まずは資本主義国同士を戦わせて疲弊させる戦略上、資本主義国を欺く方便に過ぎなかったことは明白です。
スターリンに関するウィキペデアの記述では以下の通りです
「スターリンはドイツと米英仏が戦争で疲弊した後ドイツを滅ぼせば一気にヨーロッパを共産化できるものと考え、ドイツにヴェルサイユ条約が禁止する航空機・戦車部隊の技術提携、バルト海沿岸の港の使用やイギリス空爆のためのレーダー技術の提供などを行い、さらにソ連に亡命してきたドイツの共産主義者を強制送還までさせてヒトラーの侵攻を擁護した。」
「不可侵条約締結後のカクテルパーティーでドイツの外務大臣のリッベントロップに対し「名誉にかけてソ連はパートナーを騙すようなことはしない」と誓ったスターリンだが、ドイツとの蜜月が長くは続かないとも考えていた[97]。上記のバルト諸国やポーランド東部占領で領土を広め首都モスクワと距離を広げ、ドイツと接する国境付近の兵力は増強され続けた」
日米戦争もこの戦略によって、ルーズベルトに接近してけしかけたものです。
いわゆる漁夫の利を狙う戦略で欧州戦線では戦争が終わってみれば中東欧諸国のほとんどを占領し、日本がポツダム宣言受諾後ソ連に対する防衛意欲を99%喪失後の数日間にいきなり参戦して満州から樺太千島まで奪ったのです。
以下の通り公式にはコミンテルンは解散していますが、ソ連共産党の指導力は隠然たるものがありました。
http://www.y-history.net/appendix/wh1501-108.htmlからの引用です
「独ソ戦の激戦が続くなか、スターリンは、コミンテルンの解散を決定した。それは、連合国と協調する上で、従来資本主義諸国のなかに、ソ連共産党がコミンテルンをつうじて共産主義革命を起こすように仕組んでいると考えられ、ソ連に対する敵視の原因を除去する必要があると判断したからであった。しかしその裏の事情には次のような指摘もある。」
後に紹介するホーチミンのスターリンへの拝謁?で象徴されるように、日本の共産主義者幹部を含めて世界中の共産主義者がスターリンと面会拝謁?出来ることが最大の栄誉でした。
面会したという名誉だけではなく各国共産党指導者に対しその国での浸透資金が出ていたとことが、公然の秘密・・性質上証拠はないでしょうが・・何かで読んだ記憶です。
フルシチョフのスターリン批判に関しては、September 16, 2017に詳細を引用しておきましたが、日本人にとってはシベリア抑留被害と相まって、粛清政治の恐怖感が行き渡っていた結果日本人にとってはようやく粛清政治が終るのだなあ!と言う実感が強烈・メデイア戦略に違和感ががなかったのです。
日本メディアは中国に対してできるだけマイナスイメージ出ないように報道し、日本への共産主義細胞浸透を報道しない傾向があるので、スターリンの粛清政治を支持してソ連と対立していたかのように流布させています。
しかし中ソ対立はそんな国内政治のあり方で起きたとは思えません。
日本のメデイアがスターリンの恐怖政治の承継だけは遠慮なく報道するのは、中国政府黙認報道?になっている印象です。
中国政府は天安門事件で欧米から批判を受けた後の今でも、香港で民主化運動した人物はいつのまにか不明になるなど・公然と拉致を行うことで、支持を失う心配は一切ない・・人民の自由な言論を萎縮させるのに有効と考えている様子です。
ですから日本メデイアが中国政府の怖さを報道してくれるのは、却って好都合・・「中国に楯突くと怖いぞ!という日本に対する脅しにもなるとして黙認または推奨しているのでしょう。
欧米のような人権批判に対しては、「日本国民には遅れて追いつく国だから仕方がない」とイメージ操作すれば良いくらいに考えてると思われます。
時々日本人がスパイ容疑で捕まるのも「中国は怖いぞ!」という脅しのつもりでしょう。
知財や技術を盗む段階を卒業したこの数年では、「技術移転しないと工場進出を許可しない」という強引な方法・いわば強盗を合法化する制度設計を始めたのと平仄を合わせています。
改革開放時には国力がなかったので泥棒国家と言われても黙っていましたが、国力がついてくると堂々と公海に基地を作り国際司法裁判所判決を「紙くずに過ぎない」と豪語し、尖閣諸島の実力侵奪の意思を公然とと示し始めました。
知財剽窃が批判されると今度は国内制度上外国企業は知財や先端技術を提供しないと国内生産できないようにしてしまう・・国内制度で剽窃ではなくなったのですから取り締まる義務がありません。
主権国家を盾にどんな法制度にしよう/泥棒を処罰しないどころか技術を公開しろ」という法制度にしても勝手という論理です。
言わば開き直りに徹して来たのです。
日本人から見れば、「中国は怖い国のイメージを定着させるのは中国にとって損な政策」のような気がしますが、中国政府としては人民を日頃から脅して黙らせているように日本国民に対する脅しになると思っているようです。
例えば日産トヨタ社員などが中国赴任を命じられた時に、普段から「中国批判していると赴任した時にどういう目に遭うか分からないぞ!」というメッセージ担っているでしょう。
中国市場に参入している企業やこれから参入検討企業経営者にとっては、日頃から対中言論を慎むようにならざるを得ません。
メデイアの仕事は文字どおり情報収集が職務ですから、いつでもスパイ容疑で検挙されても誰も驚かないでしょうから中国に睨まらたら最後・身の危険があります。
中国関連報道は中国政府「よいしょ」の記事しか書けない仕組みです。
日韓が緊張していた数年前に産経ソウル支局長が言いがかりで刑事起訴されたことがありました。
韓国大手新聞記事を現地情勢として日本へ現地報告したのが名誉毀損になるという刑事立件ですから、表現の自由を保障する民主国家と言えるのか?不思議な事件でしたが、いざとなれば韓国の民族レベルがまだこの程度の国なのです。
幸いその後日韓合意が成立したので無罪判決になりましたが、これが現在の文政権になってからの判決だとどうなっていたか分からないところでした。
一般企業もうっかり中国の現状をありのママ日本でいうと大変ですから、コマツその他中国関連企業関係者の意見が新聞にときどき出ますが、「今の中国は力強い・・バブル崩壊は既に始まっているがうまくやっているから何も心配がない」という決まり切った方向性しか言えない仕組みです。
同じことは、欧米企業やこれを抱えている西欧政治家の中国に対する批判的発言自粛にもなっているようです。

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