先進国技術移転を求める中韓(強制移転と米中対決)

企業にとっては儲けられそうなところに投資するという鉄則が働きます。
樹木で言えば元の木が根元から腐り始めて遠くに散らばった種子が新たな森を形成するのは良いことです。
サムスンで言えば韓国内で新鋭工場を作るよりも、日本や米国で作ればフッ化水素等や資材も自由に供給を受けられますし技術導入も容易ですし、他方需要地の中国に工場を持てば商品は売れるものの技術窃取被害どころか強取被害にあいます。
先進国であり需要地でもあるアメリカに工場を持てば、技術移転を受けられるばかりか現地需要もあり競争上有利です。
しかし、新興国企業が先進国への進出する場合には、本国生産→輸出の場合にあった低賃金による競争優位性がなくなります。
隠れ補助金や低賃金等による下駄を履かない裸の競争力が本当にあるかの実力が試されます。
日本進出の場合ほぼ同質産業構造の上に日本に比べての技術優位性もないために低賃金以外に需要面では食い込む余地がないのでサムスンなど多くは研究所設置(何を研究するのか?日本最先端技術品をいち早く取り込みあるいは業界に参加してその動向を探りいち早く自社研究にとり込む情報収集拠点?知財取り込みに励む→ほぼ産業スパイ拠点みたいな仕事かな?)が普通です。
中国は先進国の技術移転絞り込みに対抗して需要地を抱える強み・・一人当たり購買力が高い訳ではありませんが、大量人口だけが取り柄です・・で現地進出企業に対して知財等の技術移転を法制度上強制できるようにしたことが欧米を刺激し米中対決の原因になっています。
https://www.ngb.co.jp/ip_articles/detail/1642.html

2018年米中貿易摩擦の焦点、「強制的技術移転」政策とは — 「自主創新政策」摩擦への遡り
2018/12/20
・・・・米国側が一貫して具体的な論点としているのが中国政府による「強制的技術移転(Forced Technology Transfer: FTT)政策です。USTR(米通商代表部)が2018年3月に公表した通商法301条調査報告書も主要論点の一つとしてFTT政策を明記しています。(*USTRは2018年11月20日付でその後の中国対応状況などを調査した追加報告書を公表)
【Cases and Trends】 中国、政府調達規則の一部廃止 – 米国が警戒・批判する自主創新政策で中国が譲歩? (2011/08/23)
我が国では記録的に早い梅雨明けとなった6月末から7月初めにかけ、欧米のメディア(Reuter, Forbes他)を中心に、「中国が自主創新政策を一部撤回」、「中国が米国の圧力を受け、政府調達規則を緩和」といったニュースが相次いで流れました。別のメディアでは、「北京が、政府調達プロジェクトにおける、強制的知的財産移転(Mandatory IP Transfer)を廃止」(China Briefing 7/4/2011)と報じています。

廃止を訴えていた米国商工会議所、欧州商工会議所などは、中国政府の決定を歓迎しつつも、「今回の決定はあくまで中央政府レベルのもの。さらに地方政府や国有企業レベルでも、早期に同様の措置がとられることを願う」とコメントしています。

法強制を緩和→国法から地方政府条例、規則や要綱等の運用に格下げ?したという報道を見た記憶でしたが、上記によるとすでに既に7年も経過しているようですが、移転強制の実質は同じだから米国が怒り出したのでしょう。
ただし上記の通り名目上の妥協はできても実質的な技術移転強制をやめると中国は中進国の罠にはまるので、文字通り核心的利益として、中国は存亡をかけて絶対に譲れないという強硬的態度を今も崩していません。
米中協議は昨年から決裂したり部分妥協再開きしたりの繰り返しで現在に至っていて実際にはなんの進展もないことは対北朝鮮交渉と同じです。
部分妥協といっても経済制裁圧力の一部解除したり強化したりの繰り返し(中国が反撃材料として買い付けを絞っていた小麦などを買うと表明し、米国は制裁開始を先送りするなど)で肝心の知財移転強制に関する妥結が一切なく時間を空費しているだけで、結果的に中国の時間稼ぎになっています。
この1週間ほど前に再妥協・再交渉のテーブルに乗る宣言をしたばかりです。https://jp.reuters.com/article/us-china-trade-talks-2nd-day-idJPKBN1WQ2JF

2019年10月12日 / 04:38 / 5日前
米、対中関税見送り 通商協議で部分合意
今回の「第1段階」では中国による米農産品の大規模購入のほか、一部の知的財産権、為替、金融サービスの問題などについて合意。さらに米国は15日に予定していた対中制裁関税引き上げを見送る。

北朝鮮も核開発をやめるのは国や体制の存亡をかけた戦いと位置づけていて、核戦争をも辞さない態度を示しているために決裂しそうな瀬戸際まで行くといきなり「あいつはいい奴だ!などとトランプ氏が言って見たりして、突然再交渉が始まる期待を抱かせるなど後一歩の圧力が効かない交渉を続けている点は同じです。
こういう交渉態度では、北朝鮮は核とその運搬能力の保持開発こそ命綱とする国家方針に自信を持つ一方です。
ただし、対北交渉では経済制裁に対する有効な反撃をされる心配がないのでこれを一切緩めないままですから北の国民が塗炭の苦しみに遭っているのですが、李氏朝鮮以来国民などいない・人民が再貧困下にある点を一切気にしない政体ですので、国民がいくら困窮しようとも政権にとって全く痛痒を感じないようです。
韓国の場合は市場規模が小さいので、(中国のように進出したければ)技術移転しろと強制する訳に行きません。
ちなみに日本車の韓国輸出量は以下の通りです。
https://www.asahi.com/articles/ASM944V8YM94UHBI01J.html
韓国輸入自動車協会が4日発表した8月の日本車の新規登録台数は、前年同月比56・9%減の1398台だった。7月は前年同月比17・2%減だったが、下げ幅が拡大した。韓国経済の停滞から輸入車全体でも5・6%減ったが、日本車の落ち込みが目立つ。
日本はトヨタだけで年間1000万台前後製造しているというのに、韓国では日本車全部で56%減とはいえ、トヨタ、ホンダ、日産、ダイハツスズキ、日野自動車、スバル等々その他全部で月間わずか1398台では、半分になろうと1割になろうと驚かないし、韓国市場に誰も魅力を感じていないでしょう。

サムスン頼りで良いか?1

自動車業界全体売り上げが年間7、8%も減れば、株価大幅下落材料でしょう・・自動車系韓国代表企業である現代自動車だけで見ると9、3%減と大幅ですし、27日のデータでは営業利益率も激減状態ですが株価大幅安のニュースを見かけないのが不思議です。
ちなみに米中対決の結果、世界経済大激震といっても、最大の悪影響を受ける中国に与えるマイナス影響が1%か?という予測が出ていますが、この程度で世界中が大騒ぎです。
たとえば以下の予測です。
https://www.msn.com/ja-jp/news/money/
ダイヤモンド編集部,竹田孝洋
2019/05/09 06:00

米中貿易の25%関税、「全面対決」なら中国の成長率は1%低下する

上記に比較すれば雇用創出力の大きい自動車生産業界が、7、8%もの生産減であれば、本来大騒ぎになっても良い規模です。
韓国では問題の根源がニュースにならないものの、国内は大学新卒の就職難で大変だし、家計負債増加が激しく徳政令が次々と出る状態が続いている様子です。
18年までの販売縮小の流れと違って、19年にはいってから国内車の売れ行きだけが伸びているのは不思議です。
製品の品質・競争力向上ならば、国外でも伸びるはずなのに国外減少傾向が続いているのですから、昨年来の低迷危機感による政府の景気テコ入れ策が効いたのかもしれません。
https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=61617?site=nli

韓国の経済成長率がマイナス0.3%に(速報)10年ぶりの最低値を記録
生活研究部 准主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 金 明中
韓国銀行が4月25日に発表した「2019年第1四半期実質国内総生産(GDP)速報」によると、2019年第1四半期の経済成長率は対前期比マイナス 0.3%と、世界金融危機だった2008年第4四半期の経済成長率がマイナス3.3%になった以降、およそ10年ぶりの最低値を記録した。
民間および政府の消費支出は対前期比それぞれ0.1%と0.3%ずつ増加したものの、輸出は半導体をはじめとする主力製品の不振が続いた結果2.6%も減少し、さらに設備投資は10.8%も減少した。

May 6, 2019,「家計債務膨張3(韓国15)」で貿易黒字を紹介した時に、貿易黒字というのは輸出が増えて景気が良い場合もあるが輸出が減っても国内消費・内需がそれ以上減ったことで黒字になることがあるという前提の意見を書きましたが、韓国代表企業・・現代自動車の連続業績低迷・他産業も似たようなものでしょうから、ついにGDPにその結果が出ました。
今まで韓国代表企業である現代自動車の業績推移・・低迷を見てきたように、韓国経済は日本をコケにしたことによって何となく成長限界が来たようです。
財政出動・・補助金等で国内景気維持→売上げが持ち直している→国外で売れなくなっているのでは、韓国人にとっては将来が不安でしょう。
ただしこれらは造船業界の破綻に始まる20世紀型産業の衰退であり、新たにサムスンに代表される電子系産業が躍進している(特に米中対決でサムスンは漁夫の利を占める?期待がある)ので韓国は大丈夫という見方もあるでしょう。
しかし上記日生基礎研究所のレポートには以下のような指摘があります。

半導体メモリー分野ではサムスン電子とSKハイニックスが健在し、韓国企業の世界シェアはDRAMが70%以上、NANDフラッシュメモリーが40%以上を占めている。しかしながら、非メモリー半導体分野における韓国企業のシェアは3~4%で、世界1位の米国(60~70%)はもちろん、ヨーロッパや台湾にもおされている。
半導体メモリーがデータを記憶して保存する機能があることに比べて、非メモリー半導体はデータを処理して演算・制御する機能を持っている。従って、今後各国政府が自律走行、AIなど第4次産業革命をさらに推進することを考慮すると、半導体メモリーより非メモリー半導体の成長可能性が高いと言える。サムスン電子は非メモリー半導体分野での劣勢を乗り越えるために、今年の4月に、2030年前までに非メモリー半導体分野に133兆ウォン(約13兆円)を投資すると発表した。

上記によると、今後の成長分野である非メモリ半導体シェアーがわずか3〜4%に過ぎない弱点が指摘されています。
資金投入さえすれば成功するならば、大企業は勝ち続けるはずですが、そうは行かないのが現実です。
非メモリ半導体関連をもう少し見ておきます。
http://mottokorea.com/mottoKoreaW/KoreaNow_list.do?bbsBasketType=R&seq=83058

韓国半導体の弱点…非メモリ市場、シェアわずか4%
サムスン、非メモリ部門に133兆投資
市場調査会社のIHSによると、中国の非メモリ市場でのシェアは2013年の3.1%から昨年は5%に、5年のあいだに1.9%ポイント跳躍するあいだに、韓国国内メーカーのシェアは6.3%から4.1%に、むしろ2.2%ポイント下落した。韓国が「半導体強国」と自負するが、しかし実際に考えてみれば「メモリ大国」にとどまっているという指摘だ。
非メモリ半導体産業にはファウンドリ(受託生産)とファブレス(設計専門企業)、モバイルアプリケーションプロセッサ(AP)、イメージセンサーなどが含まれる。
しかし、ファブレスの競争力は米国と日本はもちろん、中国にも遅れている状況だ。ファブレスは韓国が競争力を持つメモリー半導体とは性格が全く異なる。メモリー半導体は大規模な設備投資が必要なデバイス産業の特性を持っている一方で、ファブレスは創造的な回路設計能力が要求される。
ICインサイツによると、米インテルや米クアルコムなどを保有している米国は、2010年以降はずっと70%に近いシェアを維持しており、中国は2010年に5%から昨年は13%に8年間で3倍近くにシェアを引き上げた。

売上げ基準では世界のファブレス企業の上位10社のうちの2社が中国企業だが、韓国企業は上位50社に入ったところが1社に過ぎないほど規模は零細だ。韓国最大のファブレス企業であるLGシリコンワークスは昨年、7918億ウォンの売り上げを記録するにとどまった。それすらもこれまで着実に製品を発売してきたイメージセンサー部門で比較的善戦しているだけだ。
市場調査会社のIHSマークィットによると、昨年のイメージセンサー市場でサムスン電子は売上げ基準で19.6%の市場シェアを示し、日本のソニー(49.9%)に次いで2位に上がったと推定される。

徴用工訴訟と国内法論理(米中対決の相似形?)2

韓国に思い知らせてやれ!という嫌韓感情論者が気にいるような結果になるかは、米中対決の激化によって韓国の対中輸出激減方向ですので韓国輸出企業生産が落ち込むこの時期はチャンス・・韓国経由の対中輸出製品への部品組み込みが減る・・韓国内で工場を維持するメリットが減るこのチャンスを先取りするかどうか程度のことになります。
5月21日の日経新聞3pによれば、ファーウエィの中国国外でのスマホ出荷台数は、全体のほぼ半分を占めるダントツ(ただし欧州ではサムスンが首位)であるが、ドイツ半導体企業がファーウエィ向け部材供給の一部を停止したと出ていて、その影響を書いています。
上記記事を見ると日本にとってのファーウエィ規制に対する意味合いは、ファーウエイにどんどん追い抜かれ始めて経営不振に陥りかけているサムスンの売り上げ増になり米中対決は韓国に有利に働く面があり、強気にさせる側面があるということです。
・・ただし日本の半導体設備企業がドイツに倣ってサムスンへの供給停止するとどうなるか・そうなればサムスンは上記ドイツ企業に供給を依頼する可能性が高いでしょう。
ドイツ企業にとってはファーウエィ向け輸出がなくなった穴埋めになるので、積極的にサムスンへの売り込みを図ってもおかしくない状況です。
ドイツから売り込み競争激化の真っ最中に、その防戦に努める日本企業が供給停止できるかの疑問です。
玉突き現象の究極のババを引くのは、日本かもしれません。
米中対決による中国の対米輸出激減の影響・・対中輸出比率が世界一高い韓国が一番影響を受ける・・工場稼働率激減というのがマクロ的見方でしょうが、個別にみると意外に複雑です。
複雑化の原因は、日系現地工場の大さにも比例します。
資本収支で言えば、工場や店舗投資はホットマネーと違うと言われる所以です。
韓国の対日依存度低下を主張する小塩氏意見に対して、今は現地生産が進んでいるので貿易収支だけで見るのは間違いだと書いてきましたが、実は対中関係でも現地生産化が進んでいるので、日本や韓国の対中貿易依存度だけでなく中国現地生産の規模も合わせて読む必要があります。
韓国の対中貿易が25%を占め世界最大比率としても、現地生産比率と合わせないと総合的影響度がわかりません。
今朝の日経新聞1pでは日系企業の米国向け輸出品の中国での現地生産額(例えば任天堂のゲーム機の米国向け製品は100%中国生産らしいです)は約1兆円と出ています。
韓国が輸出に比べて対中投資比率が少ないとすれば、日本の方が現地投資規模が大きいとすれば、輸出先振替と違い簡単に工場移転できないので、日本の方が受ける悪影響が大きいことになります。
工場移転による納入業者の経営悪化や雇用環境悪化等については、輸出に頼らない日本の方が影響が少ないでしょうが、企業利益としては工場は簡単に動けないので打撃が大きいのです。
先の読みは別として、韓国輸出の25%を占める対中輸出が減れば、韓国内工場稼動率が下がる→韓国内の輸出企業向け部品供給を目的に進出していた日系企業の工場も稼動率が下がります。
韓国企業自体米国向け輸出のために中国での組み立て工場の稼働率を下げるかやめるしかないので、ベトナム等へ工場移転するしかないのと同様に、韓国内日本系工場もアジア諸国へ分散方向になります。
結局は嫌韓か反中どうかの感情論ではなく、経済合理性が勝負を決めることになります。
今朝の日経新聞にも出ていますが、25%の関税でもすぐに中国を出て行く選択肢は多くの企業にとっては難しいので、各企業のおかれた状況によって対応が違うのは当然です。
単なる輸出先であれば販売相手の新規開拓でいいのですが、工場進出している場合長期的視野でないと安易に工場移転はできません。
中国も必死に引き止めているでしょうから、これを振り切って出て行くと将来に禍根を残します。
いつ米中和解ができるかも不明なので、移転した直後に米中和解で関税がなくなると大損するリスクがあります。
新規工場進出するのは、現在の25%関税が元に戻ってもベトナム等でやっていける成算がないと簡単に動けないでしょうし、一方で米中対決がいつ解決するかわからないのにその間赤字経営を続けられないというジレンマです。
以下紹介しますが、韓国、中国から出て行く、あるいは生産の一部移転を発表する企業が出れば待ってましたとばかりに嫌韓、反中系ネットで拡散しますが、これらはもともと長期ビジョンの一環で計画していた実施時期がたまたまこの時期に当ったと場合が多いと見るべきでしょう。
東南アジアに多くの進出工場を持っている日本企業の場合、韓国や中国内工場をすぐ閉鎖するのではなく当面タイやベトナム等に分散している工場の生産比率を上げてそこから米国向けに(中国国内工場製品は米国向け以外に振り向けるのは、物流系の再編などもちろん大変ですが一応容易です。
元々韓国から移転計画があった場合やチャイナプラスワンを計画中の企業は計画の後押しになるでしょうが、何も予定していなかった企業にとっては降って湧いた災難で、どうして良いか不明でいきなり動けないし、焦って動けば大損失になるので様子見という現状維持にとどまるしかないでしょうから大変です。
こういう企業経営陣は運が悪かったというよりは、危機管理能力が低かったので右往左往していただけだったとの評価になる可能性があります。
今朝の日経新聞では25%の関税上げそのままではゲーム機であれ、テレビであれ売れなくなるがメーカー負担では持たないが、この時点だ大規模な工場移転となれば、巨額費用がかかるので
「25%のコスト増」どころではない・・かといって25%負担では採算割れになる・・動くに動けないジレンマに困っている企業が大多数であるような意見を書いていました。
要は見通しが悪くて「機敏対応」できない企業が多いという意味でしょうか?
環境激変時に腰を抜かしてみているような企業が99%の時に機を見るに敏な人が時代激変後のリーダーになっていくし、(渋沢栄一のような人?)時代変化をぼんやり見ているだけで時代に取り残され没落していく旧時代人との違いです。
活力を以て変化を生き抜け!という元気を出すための意見ではなく、どちらかといえば困っている人が多い・・トランプ氏の強引な行動は中国が困るだけでなく日本企業にとっても迷惑だという中国寄りのイメージ主張のようです。

徴用工と国内法論理(米中対決の相似形?)1

現在の米中対決もこの種の議論・中国の米国追い上げに対する米国の危機感によるというのが一般的で、韓国と日本の対立激化とどこか相似形です。
解説メデイアが同じだから、同じ視点の関心で事実調査し意見を書くからでしょうか?
米国時間5月10日午前0時01分以来の新規関税上げに続いて15日頃のファーウエィに対する取引原則禁止発表へと大規模経済対決が始まり、ファーウエィの方は自力で半導体等を賄えるので痛手ではないという同社会長の強気発言が19日頃の日経新聞に出ていました。
アメリカが規制発表するには、当然ファーウエィーの自己開発力や調達力等その後の動きの吟味を経た上でのことでしょうし、情報戦でしょうから双方の意見を鵜呑みにはできませんが、日本と韓国の対立も貿易制限に発展するには同じようなチェックが必要です。
対日依存度低下論に感情で反発するのではなく、データによる反論・解説が必要です。
本当に米国が対中締め出しで勝てるか?ファーウエィ締め出して却って米国の発展が阻害されるかは、ファーウエィの潜在能力如何にかかります。
これらの疑問に答える必要同様に、日本もネットで盛んな「韓国相手にせず論」で大丈夫かの分析が必須です。
日本企業の韓国外し・日本企業が韓国企業に供給している部品等の資本材輸出を禁止〜縮小して行くことが可能か自分の首を締めるかの分析意見が欲しいところです。
米中対決の場合は、米国の与国の多くが米国の締め出しに協力するでしょうから、冷戦時代のココム・チンコムの再来が可能か?の問題と、当時に比べて西側諸国と中国との関係はもっと入り組んでいるので再来自体が変質するので、その効果の見極めが複雑です。
ただし、メルケル氏が中国へ8回ほど訪問しているの日本へは1回も来ない・批判の強さに放置できなくなって仕方なしに、日本へ半日ほど立ち寄ったことを紹介したことがありますが、一時期に比べてドイツひいてはEUの中国一辺倒が目に見えるように弱ってきました。
ドイツやフランス政府の対中批判が増えてきたのは、日本撤退の穴埋めを狙って中国へ進出してみたが、甘言につられて進出して数年〜4〜5年経ってみるとひどい目にあったと不満を抱いている企業が多くなってきたからでしょう。
これに対し日韓規制競争の場合には、日韓だけの問題で日本は西欧諸国に正面から協力を求めるのは困難でしょう。
せいぜい同調的立場を取ってもらうのがやっとで、中国の反日暴動時同様に西側先進国は日本の抜けた穴埋めにチャンスとばかりに韓国に進出する方に傾くでしょうから、いま韓国が日本製品に頼っていると言っても部材の品質レベルが高いだけのことで、ドイツ等の技術導入で数%くらい使い勝手が悪くともあるいは故障が多くてもほぼ同様の製品を作れないことはありません。
世界競争は数%でも品質が悪いと市場では売上が3〜4割も変わることがあるので、日本は韓国へ供給を止めた余力を次順位レベルの国に技術供与に成功するかどうかにかかってきます。
そしてこれを狙っているのが中国企業でしょう。
中国は、日本→韓国→中国への製造回路を日本→中国への直線回路にする方法を狙って韓国いじめを展開中とこれまで書いてきましたが、日本の嫌韓感情を煽って韓国の中抜きを奪おうとしている状態下での米中対決突入ですから、なおさら日本との直接関係パイプを広げたいのは目に見えています。
日本は米国への遠慮があって中国への技術移転はしにくいでしょうが、半導体装置等最先端技術ではない中レベル技術なら米国の規制に触れないので、今後韓国抜きの関係が進みそうです。
このような半端な関係は西欧諸国も同様でしょうから、米国の中国に対する発展阻害策は全面戦争状態ではないだけに、複雑関係になっていることがわかります。
戦国大名成立過程・・越後国や尾張国などの国内統一戦国大名成立過程で、国内諸豪族が自分に着くか敵に着くか、中立を決め込むかなどの読みが必須だったのと同じです。
米中対決でも品質競争に過ぎないから同じといえば同じですが、日本に同調して輸出制限に協力する国が皆無どころか日本が抜けた隙に食い込みたい国の方が多い(アメリカのように違反すると制裁する脅す力がない)点が日本の弱みです。
アメリカだって、中国が米国産小麦を買わないで中南米小麦を買っても文句言えないのと似てるいますが・・・。
戦争開始前に彼我の兵力を図るように、経済戦争では貿易制限が相手に与える被害と自国企業に与える影響を図らないで単に勇ましいことを言ってれば 済むものではありません。
ところで小塩氏の韓国の対日依存度低下論は貿易収支のみを比較して論じていますが、韓国の対日依存度低下の実態は、日本企業の現地化方針に基づいて韓国への工場進出によって高度部品資材等を韓国内で現地生産するようになった結果、部品輸入が減った面が大きい筈ですから、対日依存度低下は貿易統計だけではわかりません。
韓国進出企業が訴訟リスクを理由に韓国内工場を閉鎖あるいは縮小して東南アジアに転出可能か?
可能としても、韓国内の日系工場で経験を積んだ韓国人労働者を使えば韓国が国産化可能か、あるいは日本がダメならドイツ等他の先進国技術導入でなんとかなるかによってきます。
既存技術の国産化は可能でしょうが、技術は日進月歩ですので、日本企業撤退時の技術で止まってしまうかどうかが運命の分かれ目です。
北朝鮮が日本敗戦時に日本製の先端工場を丸々入手したにも関わらず、その後何ら発展せず同じ機械を使い続けるだけで修理すらまともにできないで終わった経験が痛いでしょう。
反日暴動時の中国がもはや日本から得るべき技術移転が終わったと豪語して松下の工場焼撃ちをそそのかしていたのですが、既存技術の移転が終わったとしてもその後新たな技術が日本から入らなくなって困ってしまって、(ドイツに頼ったのですがうまくいかなかったようです)15〜6年頃から再び日本に擦り寄り始めた経過を見てもわかるでしょう。
米中対決同様に、日韓対決を考えるにあたっても韓国進出の日本企業が韓国から引き上げて東南アジア等に工場移転する覚悟があるかが第一の問題になります。
せっかく現地に根付いている企業としては撤退となれば大きな被害になるので、反日暴動のような激しい問題が起きないで、徴用工の給与未払い請求程度(1企業仮に数千万〜1億程度飲むしりとられるだけでは撤退の判断ができないのが難点です。
戦後企業には自分は対象にならないので日系企業全部の問題ではなく被害がまだら模様の問題があります。
結局はチャイナプラスワン同様に、韓国での操業メリットが低くなり企業判断で東南アジアに転進するべきかどうか迷っている状態であれば、この機会に脱出しようとなるのでしょう。
結果的に政治リスクあるいは後押しは超短期の変数に過ぎず、企業の行動合理性の赴くところ・・市場原理の範囲内に尽きるようです。

米中対決と周辺国への影響2

今日は昨日から書いてきた論文紹介です。
最初はグラフだけ紹介しようと思ったのですが、前提条件ど知りたい方がいるかもしれないので、検討した前提条件等を抜粋して紹介することにしました。
私の要約では微妙に間違うといけないのでそのままの抜粋ですが、そのために今日は引用が長くなってしまいました。
印象を書くと対決する米中が損をし「揉め事を起こしていると喧嘩している双方が体力を消耗し周囲が得する」ということでしょう。
第一次、第二次世界大戦の当事者になった欧州が力を落とし、第一次世界大戦や朝鮮戦争特需の恩恵を受けた日本を見ればわかります。
https://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/insight/as181226a.pdf

2018年12月26日
   みずほ総合研究所調査本部 アジア調査部
米中貿易摩擦のアジアへの影響
中国以外のアジアはネットでプラスの影響を享受
○米中貿易摩擦のアジアへの影響について、サプライチェーンを通じたマイナスの影響だけでなく、生産代替を通じたプラスの影響についても、国別かつ業種別に試算
○各国別では、いずれもネットでプラスの影響を受けると試算される、その規模は最大のメリットを受けるベトナムで0.5%程度。ただし、当面はマイナスの影響が先行する可能性
○産業別では、多くの国でPC関連と一般機械にプラスの影響が集中するなかで、ベトナムとカンボジアに関してはカバン・帽子・自転車といった低付加価値産業での生産代替が多くなる可能性
1.米中貿易摩擦によるアジアへの波及は、
マイナスとプラスの二つの経路
・・・・
以上のマイナスとプラスの影響の波及経路について、一定の前提を設定し、アジアの各国・各産業への影響を試算することが本稿の狙いである。
2.現状レベルの貿易摩擦を前提し、アジアの国・産業別に影響を試算
(1)前提条件
a.試算の全体に関する前提
・・・中国の対米輸出については2500億ドル相当、
米国の対中輸出については1100億ドル相当が制裁を受ける対象となっており、この部分について分析する(図表2)。
b.サプライチェーンを通じたマイナスの影響試算に関する前提
・・・・現実には、関税率が上昇しても、通貨の下落や製造・流通業者の利益圧縮によって販売価格への転嫁が抑制されたり、たとえ価格に転嫁されても、最終需要者が価格上昇を甘受して購買を続けたりするケースがありうる。試算を単純化するために「価格弾性値=1」としたが、マイナスの影響を大きくする厳格な前提といえる。
c.生産代替を通じたプラスの影響試算に関する前提
第一に、生産代替を通じたプラスの影響試算に関する前提貿易量の減少と同規模だけ、生産代替が行なわれる(完全代替)と前提する。つまり、米国による追加関税で、中国の対米輸出数量が25%減少する場合、それと同規模の生産が米国の追加関税を回避するために中国から第三国(ないし米国)へ代替されると前提する。
なお、代替率は0~100%の間の値を取りうるため、100%の「完全代替」はプラスの効果を最大にする楽観的な前提である。
第二に、生産代替の行先としては、世界の輸出市場における国・地域別のシェアに応じたものになると前提する。
・・・・この前提は、ADBの先行研究と同じであり・・・・世界シェアが
高い国・地域ほど中国を代替するポテンシャルが大きいと思われる。
(2)試算の手法と範囲、データベース
サプライチェーンを通じたマイナスの影響試算については、OECDの国際産業連関表(ICIO)の最新版(2011年)を用いる・・・・・・・の範囲は1次波及までとし、米中および各国・地域の輸出減少や不安心理などが内需を押し下げる二次的な波及効果は対象としない。
3.アジア各国・地域の各産業とも、ネットでプラスの影響を受ける試算結果
(1)国・地域別の影響


(2)産業別の影響
産業別にみると、サプライチェーンを通じたマイナスの影響については、台湾、マレーシア、韓国、フィリピンといったアジア各国・地域のPC関連分野で目立つ試算結果となった(図表4の赤塗りの横棒)。これらの国・地域が、特に中国とのサプライチェーンにおいて、PC関連部品のサプライヤーとして組み込まれているためである。その他の産業については、各国・地域とも目立った影響はなさそうである。
生産代替を通じたプラスの影響については、多くのアジア各国・地域でPC関連および一般機械に集中する(図表4の青塗りの横棒)。例外としては、ベトナムではPC関連と一般機械に集中するのでなく、繊維にもプラスの影響が分散する。
4.ただし、当面はマイナスの影響が先行する可能性に留意

本試算の枠組みでは、マイナスとプラスの影響がいつ現れるのかという時間の概念を示すことはできない。
以下略

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