韓国の北朝鮮化1と国際孤立2

韓国内の従北派は、日本敗戦後米国進駐以来韓国でずっと続けてきた親米政策よりは、親中の方が北の暴発を封じ込めてくれるという運動をして保守政権を米側陣営から引き離し(反日運動も米に遠慮なくやれるメリット)、親中政策への変更させるのに成功しました。
いわゆる従北勢力の究極の目標は、親中が目標ではなく北朝鮮による侵攻阻止に向けられた韓国軍の日米同盟からの引き離し・国際孤立化を図ることだったように見えます。
中国としては韓国を日米韓トライアングルから切り離し→弱体化までは自国の利益ですから、韓国の内政上の都合で朴政権が自ら保護を求めて転がり込んできたので「どうぞ」と受け入れたにすぎず、北に対する抑制を約束する必要がなかったでしょう。
(中国にとっては、韓国の軍事力弱体化だけでなく韓国が反日米運動を始めて、日米市場から締めだされ日米からの技術伝播が細り経済発展が止まれば、中国進出の韓国企業と競合し始めた中国民族資本にとって有利です)
この点では、朴政権(保守勢力)は、左派(従北派)の意図も中国の意図も読み間違っていたことになります。
ちなみに、韓国弱体化→南北融合まで目標にする親中派(正確には親北派)と中国の関係も同床異夢でした。
親中派の文政権になっても中国が韓国懲罰?をやめない・冷たいのは、中国は南北融合や統一まで望んでいないし、韓国の経済発展も望んでいない・・南北朝鮮に対する目標が違うからです。
中国としては、千年来の属国であるべき朝鮮族に経済面であっても自国に進出して来て先輩づらされたくない・・韓国からの進出企業を早く引きずり落としたい中国のプライドは想像するに余りあります。
朝鮮半島が北によって統一され核兵器と大陸間弾道弾まで有する強国となるのを中国が快く思うはずがありません。
中国にとっては朴政権やそれを操る従北派が中国にすり寄ってくるのを拒まないとしても、中国の脅威にならない程度に南北でいがみ合うのが理想の姿と見ているのでしょう。
朴政権の親中政策は、中国と何かを外交交渉をまとめたのではなく、一方的「片想い」的にすり寄ったに過ぎないので(すり寄れば悪いようにしないだろうという一方的思惑に過ぎず属国になれば「北の暴走を押さえ手やる」という約束を取り付けていないはずです)外交成果とは言えないでしょうが、抗日戦パレード参加まではパク外交は左右 (保革)両派の一致政策推進で順風満帆の外形でした。
ただし従北派に妥協した朴政権の露骨すぎる中国擦り寄りが、米国の不興を買うマイナス効果との天秤をどう考えていたか不明です。
朴政権の国内基盤が弱すぎたのでリスク承知でやむなく従北派に妥協するしかなかったと見るのが正しいかもしれません。
いわゆる従北派は浸透工作によりメデイア界を早くから制覇しただけではなく、李明博大統領時代にはすでに保守派が事実上崩壊していたという見方があるようです。
周到に準備された従北派によるパク攻撃が始まると呆気なく弾劾が成立しただけでなく刑事訴訟もあっという間に進んでしまったのは、当時メデイアに限らず警察や司法界その他あらゆる分野で従北派の支配が及び政界でも本来の保守がなくなっていた・・・総崩れ状態の最後のひと月で総崩れになったようです。
この実態をパク氏が知らないはずがなく、だからこそ周囲に腹を割って相談できる環境になかったので執務室に一人籠って決断する政治スタイルをとるしかなかったとも言えます。
反日も米国陣営内で行なっている限り「困ったものだ!」という程度の事実上黙認状態だったでしょうが、従北派の要求でその枠を超えて韓中合作の(反米を底意とする)反日プロパガンダまでするしかなくなると米国の態度が変わり、日韓不可逆的合意になってマイナス効果になってあらわれました。
あれだけ激しく日本攻撃していた慰安婦問題で日米に押される形の慰安婦合意に応じざるを得なくなったので、従北派が支配してきたメデイア界を利用してパク大統領の民族裏切りを煽り民衆がこれを受け入れていったようです。
慰安婦合意批判時点では、不満蓄積段階にすぎず爆発的政権批判の起爆剤にはならないので水面下の攻防が始まった程度でしょう。
韓中合作の北包囲網形成に対しては、北朝鮮が直後の16年1月に核兵器実験で答え、これに中国が何もしてくれないので、(従北派の筋書きどおりですが)韓国内左右両派の同床異夢(というか朴政権の妥協の限界)・ガラス細工の宴の興奮を一挙に突き崩してしまいました。
北の核実験以降従北派の甘言に騙された形(やむなく妥協)になっていた朴政権にとっては、カクカクたる外交成果を誇っていた朴政権としては、濃く任意大使雨r信用ガタ落ちですし、内心では中国に頼るべきという従北派の主張は間違いじゃないか!という従北派に対する怒りもあって銃は濃くはとの合作決裂の大義名分を得た形になったでしょう。
これによって従北派を切り捨てる形で公然と米国陣営に戻る方向へ舵を切り、米国発の北の将軍斬首作戦に同意し、その目的の特殊部隊創設まで進んだようです。
当然北の将軍は怒ったでしょうから、この時点で従北派との外形上の蜜月関係が終わり従北派によるパク大統領追い落とし工作が加速します。
これに加えて、さらに米国寄りに軸を戻し対北向けにサード配備するようになると従北派の工作が激化しこの先に待ち構えていたかのようにパク大統領友人との個人記録入手の報道→ろうそく集会になります。
政治路線の違いの批判だけではいかにメデイア界を動員して批判しても弾劾に向けた感情的な集会にならないでしょうし、これを感情爆発の点火薬にする起爆剤として何かが必要でした。
たまりに溜まった国民ストレス爆発させる起爆剤・・感情に訴える材料として個人スキャンダルを暴露して国民感情に火をつけ、爆発させるところまで持っていったようです。
このタイミングを従北勢力は虎視眈々と狙っていたようです。
この辺まで書いて、たまたま以下紹介する対談記事を見つけたのですが、これによれば、(真偽不明ですが)従北勢力が保守勢力壊滅に向けて数年かけて周到に準備して仕掛けたもののようです。
http://www.pwpa-j.net/opinion/shinro53_endo.pdf

世界平和研究 No.214 Summer 2017
対談:「ろうそく革命」の結実=文在寅政権の内実と今後の日韓関係
洪 熒
遠藤哲也

韓国はどこへ行く?5(国際孤立1)

日本の場合、古代からの合議制の慣習を踏まえた議院内閣制ですから、与党案決定過程においても党内利害対立・それぞれ支持母体による利害対立を前提に相応の事前すり合わせがあり、その途中でガス抜きや制度変更よって不利益を受ける勢力に対する修復作業等が行われます。
TPP交渉もこのような作業手順が先行して決まって行ったものです。
企業や地域自治会その他何ごとを決めるにも決定までの時間がかかると批判されますが、このような気の遠くなるような根回しが先行する社会だからです。
韓国社会の場合、利害対立する相手の意見など聞いていたら、自分の意見が通らないと興奮が高まるばかりで結局は掴み合いの喧嘩に発展し、何の解決にもならないのがオチです。
こういう社会では、誰か上位者が来て議論などしないで一方的に決める方が落ち着きの良い社会ですので国家・社会の仕組みとして、専制君主制と意思を伝える重層的官僚機構が定着したのでしょう。
韓国人や中国人同士の議論では相手が自分より上位のエリート大学卒だとそれだけで議論の勝負がついてしまう仕組みで、まともな議論にならないということらしいです。
韓国や中国社会では細かいヒエラルキーがあって、その都度自分より相手が上か下かの序列で決める方が話が早いし、恨みっこなしで物事が進むからでしょう。
こういう社会では納得するまで合議を尽くす前提の議院内閣制では機能しないので、指導者=問答無用式の専制的決定権者が必須ですが、専制権力を暴走させないために任期制を設けたのが西欧のローマ以来の統領政治です。
任期さえあれば、その間の政治が悪ければ、悪かった程度に比例して任期終了後ひどい目にあうので、任期中民意重視する=民主政治するだろうという期待によります。
日本のような議院内閣制は決定前に納得手続きを踏むのですが、米国等の民度の熟さない社会・例えばトルコやロシアなどでは大統領制が必須です。
大統領制は任期の定めがある点を除けば、トランプ氏がツイッターで何か発言すればそのまま実行力を持つすごさが分かるでしょう。
こういう社会では専制君主の焼き直しである任期制にし、議会のチェックに頼る大統領制にしないと機能しないことを議院内閣制と大統領制の違いのシリーズで書きました.
特に韓国の場合、大統領任期中の権限はほぼ専制君主並みと言われてきました。
例えば詳細を省きますが以下の通りです。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/12449

韓国大統領が「帝王的」なのは制度より文化の問題だ
澤田克己 (毎日新聞記者、元ソウル支局長)
2018年4月10日

韓国も民主化により議会がありますが、野党=議会少数派である上に落ち着いた話し合いで決めて来た歴史がないので・要は制度より文化です・・結局は多数決で押し切る→乱闘国会が状態化していました。
今年春にも以下の記事です。
https://www.zakzak.co.jp/soc/news/190426/soc1904260023-n1.html

妄言”韓国・文議長、今度はセクハラ疑惑! 国会でもみ合い…女性議員のおなかや顔に触る
2019.4.26
《韓国国会、徹夜座り込み→もみ合い→セクハラ批判→ショック入院→見舞い…》(中央日報・日本語版)
《いざこざで文議長、女性議員の顔に触れて「セクハラ」抗議受ける一幕も》(朝鮮日報・同)

企業に民主制度を取り入れると現代自動車のストライキ多発が知られているように一方的主張の衝突しかない・・相互不信が高まる一方です。
北朝鮮のように恐怖政治的独裁・・問答無用でどしどし実行していく方が国民性にあっているのでしょう。
北朝鮮では任期満了がないので、何をしても怖いものがありません。

朴政権の親中政策採用は国内左派勢力との一種の挙国一致政策でしたので、乱闘国会や反政府運動を起こされる心配もない安全パイでした。
ただし日本の各野党が共産党との共闘を怖がるのは、共闘するとシロアリのように食い込んできて事実上食われてしまう恐怖があるからですが、共闘が朴政権の足元を侵食していたようです。
国内親中親北勢力(従北というようです)の本音は北による南の支配だと思いますが、パク大統領の政治的未熟さを利用して北の脅威に対する(背後の北敵視=親日米勢力の)不安を利用して米国は当てにならないと焚き付けて親中に軸足を傾けさせるのに成功(朴政権安泰のための妥協でもあったでしょう)したように見えます。
外交的にも反日と反北を除いて親米外交から初めて親中ですから、一種の両股外交でした。
左派勢力の当面目標は、韓国の無防備化・日米韓軍事経済同盟を弱体化→相互不信→将来的には破壊し、韓国孤立・弱体化を図ることでしょう。
日本でいえば長年日米安保反対非武装論を主張してきた勢力と基本が同じです。
今でも集団自衛権反対論が強固ですが、要は中国による侵略開始時に米軍の応援を極小化したいというだけのことでしょう。
日米のバックがなければ、朝鮮戦争時同様に奇襲攻撃的侵攻開始すればすれば韓国全土を一挙全面占領するのは容易いという北の読みがあるのでしょう。
以上見て来た通り、朴政権の失敗は中国の北に対する影響力はそれほどなかったのに過大な期待をした(親北派にうまく乗せられた)のがが間違いの元でした。
弾劾の結果次に成立した文政権の方向を見ると、親中派親北派、民族統合の夢を語る勢力の本質は、武力併合される前提ではないとしても、なし崩し的に融合していき結果的南北一体化=民族国家を作るという理想の実現のようです。
なし崩し融合とは何か?ですが、北の強権支配体制温存のママとなるでしょうから、南半分の無防備の国民は恐怖政治支配下に組み込まれるしかない結果になるのは明らかです。
英国による香港返還では1国2制度は国際的合意ですが、香港で中国共産党に異論を述べるものがいると、拉致されて行方不明になる運用で条約を守っているという厚顔さです。
従北派の役割は、韓国内をシロアリのように食い破っていく内部浸透が本来の目標でしょうが、内部浸透にとどまらず保守政権である朴政権を親中政権に変質させる力を持つようになっていたことを注目すべきでしょう。

韓国はどこへ行く?4(親中・北政策の蹉跌3

以下は19年2月の記事ですが、日韓軍事情報協定に至る経過が詳しく出ていますので長くなりますが引用します。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190204-00010001-socra-int

韓国で日韓軍事情報保護協定の破棄求める声
2/4(月) 13:02配信
韓国国防部も「検討」と表明、5月が期限
韓国軍艦による「レーダー照射」問題や海自哨戒機の「低空威嚇飛行」問題などで日韓間の対立が軍事面までエスカレートしている中、韓国政界では日本との日韓軍事情報保護協定(GSOMIA)の破棄を求める声が高まっている。険悪化の一途の日韓関係のさらなる「対立の種」になりそうだ。
日韓GSOMIAとは、北朝鮮の核・ミサイルの脅威に対応するため、日韓間の2級以下の軍事秘密を米国に関係なく共有することを骨子とするもので、両国の同盟国である米国の要請で2011年から日韓政府間の交渉が始まった。翌年の2012年6月、韓国の李明博(イ・ミョンバク)政権と日本の野田佳彦政権は東京で協定式を行うことで合意したが、協定式を1時間残して韓国側が国内世論を理由に「無期限延期」を一方的に通告してドタキャンした経緯がある。
李明博政権の後を継いだ朴槿恵(パク・グネ)政権は、政権初期から慰安婦問題で日本と対立し、中国との蜜月を演出し、GSOMIA交渉再開は一切進展が見られなかった。しかし、2016年1月、北朝鮮が4度目の核実験を強行したことで朝鮮半島の緊張が高まると、米国のオバマ政権は、4月に開かれた日米韓首脳会談で日米韓同盟の重要性を強調し、日韓の首脳にGSOMIAの年内締結を要請した。
国内世論を理由に交渉再開をためらっていた朴槿恵政権は、同年9月に北朝鮮が5回目の核実験が敢行したことで、GSOMIA交渉再開にやっと乗り出した。11月23日にソウルで韓国の韓民求(ハン・ミング)国防長官と日本の長峰康久駐韓日本大使が協定に署名し、GSOMIAが正式に発効した。
当時のGSOMIA締結は中国と北朝鮮のみならず、韓国内でも「共に民主党」を中心にした野党と市民団体の激しい反発を招いた。彼らの主な主張は「韓半島(朝鮮半島)の有事の際、日本の自衛隊が侵攻できる根拠を作ることになる」ということだった。
「朴大統領は大統領ではなく日本のスパイだ」(李在明(イ・ジェミョン)、現京畿道知事)
「日本から得られる情報はなく、もっぱら韓国の情報を日本に捧げる協定だ」(禹相虎(ウ・サンホ)、共に民主党3選議員)
「過去に対する日本の謝罪が前提されない韓日軍事情報協定は国民の情緒にそぐわない」(金富謙(キム・ブギョム)、現行政安全部長官) など、野党の有力政治家たちの強い非難が飛び出し、国会では国防部長官の解任案や弾劾が建議された。

冊封体制下で宗主国宮廷での待遇・・席次がどうであったかが重要な成果であった歴史によるのか、内政がうまく行かない点を糊塗するためにか?不明ですが、民主化以降の韓国歴代大統領は対外ポジションがどうであったかを誇る傾向があります。
現文政権も外交では成功しているという国内評価だったようです。
朴政権も内政では国民不満が蓄積する一方の反動として、外交のカクカクたる成果を誇った(15年9月)中国陣営入り(序列1位か2位の栄誉)が直後に行われた北朝鮮による核実験等の威嚇抑制に何の効果もないことがわかり信用失墜しました。
反日運動では国民を煽るだけ煽理、西欧諸国歴訪しては告げ口外交の成果を誇っていたのに、同年12月には、米国の仲介を受け入れ事実上の全面敗北に等しい日韓合意をせざるを得なくなり、国民の失望を招きました。
これら不満が内向していたところへ、翌年に入ると北朝鮮による核兵器実験や長距離砲発射の連続で(中国は何もしてくれないので)追い詰められた政府は、米国の要求を受け入れて左派の反対を退けてサード配備決定(7月)をしました。
慰安婦騒動で反日運動することと親中方向政策は、左右両派一致の政策でしたが、15年の日韓合意以降左右の亀裂が始まり、サード配備で決定的反政府運動になっていきました。
(もともと中国は自国産業のレベルアップによって韓国企業が邪魔になってきたのが基本で、サード配備を口実にしているだけと思いますが)これに対する中国の報復による被害を受ける産業界の悲鳴によりもともと西側より支持母体である産業界も積極的政権支持が弱まってしまい積極的支持母体が消滅?しました。
この状況下で特定人物との密接関係が暴露されて10月のろうそく集会に発展したものです。
米国陣営に戻ったことに対する左翼親中親北系の反政府運動の激化→特定人への便宜供与に対する怒りのろうそく集会→日韓情報協定の協定に対する左翼の不満激化→これら全て政権不満に凝集していき弾劾に至ったと見ています。
ろうそく集会の過激化→弾劾に至る流れを本日現在のウイキペデイアで見ると以下の通りです。

弾劾・罷免
「崔順実ゲート事件」も参照
2016年10月末に発覚した友人崔順実の国政介入問題、いわゆる「崔順実ゲート事件」により、支持率が急落。11月初頭には5%までに下落し、伝統的な左派地盤である全羅南道では0%になった[135]。朴槿恵はこの問題に対して数度の国民向け談話を発表し、2回目の談話にて「夜も眠れず、こんなことをするために大統領に就任したのかと思うほど、辛い思いばかりしている」と悔恨の念を示した[136]。そして11月29日には3回目となる談話で大統領任期の短縮を含む自らの進退をすべて国会に委ねる意向を表明した[137]。

この表明に追い込まれたことで朴政権の命運が尽きました。
今後アメリカ一辺倒ではなく、中国へも目配りしようとして軸足を少しずらす程度であれば熟した政治家の動き・・相手の出方によっては途中方針変更も容易ですが、いきなり身も心も投げ出すような急激な擦り寄り方は、あまりも危険・政治家としては幼稚すぎでした。
私が高度な政治行動できるというのではなく、一国のトップ政治家の行動としてはお粗末過ぎなかったか?というだけのことです。
国際的政治行動としては幼稚すぎるように見えるので、女性特有の感情過多の表れか?背後の国民レベルが低いからか?という失礼な印象を持つ人が多かったと思いますが、中国接近は以下書くように左右勢力一致政策だったので慎重さを欠いた急激なのめり込みになったのでしょうか。
何事でも、全員一致というのは異論がない分、慎重さを欠いて間違いを起こしやすいものです。

韓国はどこへ行く?3(親中・北政策の蹉跌2)

前パク大統領の親米〜親中〜米陣営復帰〜弾劾への流れを見ておきましょう。
パク大統領は、出自と大統領になる前の行動から、親日親米思考体質プラス軍を背景にした対北朝鮮強硬思考が基本体質とみられており、当初日本でも同氏の大統領当選を関係改善につながる期待で受け止めていたものです。
パク氏は当初未来志向の動きだったように見えますが、米国頼りでは6カ国協議が停滞したままで北のエスカレートする挑発を止められないことから、北に強大な影響力を持つと見られた中国の力に頼ることに変更したものとみられます。
北が核兵器を持てば、米軍駐留が続いても米軍が核兵器による米本土攻撃の脅迫を受けると韓国を守ってくれなくなる・・「北から韓国を守る・核兵器開発中断させるには中国の圧力に頼るしかない」という大義の選択だったと思われます。
韓国の方が経済力もあるし、北と親密にするより韓国と親密にした方がメリットが大きいというセールスポイントも利用したでしょう・・北のパトロンを奪取しようという魂胆に見えましたが・・。もちろん韓国の方も米国に義理立てするよりは対米貿易より対中貿易額の方が大きくなっているという韓国のメリットもあり、一見ウインウインの関係とも言えました。
ただし、中国の方は自国技術力アップ中で、すぐにも韓国企業に追いつき競合するのが目に見えていたので、中期的に見て韓国企業優遇どころか、排斥相手にしたい関係でしたので米国陣営から寝返る・来るのは拒まないが・・という程度だった点で思惑が違いました。
中国としては、招待したら来た程度で何の義理も感じないし約束もしないとい程度の客扱いだったようです。
一方的にのめり込み盲目的恋愛のように中国にすり寄ってしまった韓国は、西側諸国からの反発覚悟のかなりの犠牲を払って中国の抗日式典に参加し、日米がボイコットしている中国の世界支配の基本構想である一帯一路構想の基盤となるAIIBにも参加し、トップ間のホットライン設置するなど最大限の誠意を示しました。
慰安婦騒動激化もその誠意の一態様と見るべきでしょう。
ちなみに当時国際的な慰安婦運動は韓国名義でやっていましたが、例えば米国の慰安婦像設置運動を見ると韓国人社会が実際には動いておらず背後で操っているのは、中国の資金と中国人脈によるロビー活動によるのでないか?という噂が一般的でした。
慰安婦像設置は住民投票によるのではなく、持ち周りの市長?市議会?がいきなり設置を決めたような経緯です。
民主社会という美名を信じて日系人が如何にビラ配りなどの運動しても公園の一部施設を選挙で決めるものではない・日本でも公園の備品・ベンチを置くかなど)のですから、ロビー活動で負けるとどうなるものではありません。
中国は改革開放直後から将来的にはGDPや軍事力で日本を追い越すことがわかっていても、最後は文化度の競争ですから、長期戦略として日本文化評価をじわじわ貶めて行く長期戦略があるものと思われます。
韓国政府の中国傾斜が始まると中国の要請によるのか勝手に忖度したのか?朴政権が日清戦争以降縁が切れていた中国陣営帰参の引き出物にしたのか不明ですが、自ら慰安婦問題をあおり告げ口外交をするようになったので、これは本当に韓国政府肝いりで行なっているというお墨付きを世界に与えたような関係になったように見えます。
翌16年1月に起きた北朝鮮の核実験に対する抑制依頼のためにせっかく設けたホットラインで習近平に直接電話しようとしても中国はその電話にすら出ないで何もしてくれなかったので、国内的に反米親中政策がなんだったのかの(親米派による)批判噴出に見舞われたと思われます。
国際環境の変化・慰安婦騒動に関して韓国支持国がなくなって来たことによって(パク大統領の外交は中国へは一方的擦り寄りにすぎず実は何も得たものがなかったのです)親米派勢力の不満(アメリカの巻き返しもあって)を背景に日韓合意となります。
日韓「不可逆的」合意に関するウイキペデイアの記事からです。

2015年(平成27年)12月28日に大韓民国(通称:韓国)ソウルの外交部で行われた日本の岸田文雄外務大臣と韓国の尹炳世外交部長官による外相会談後の共同記者発表で[1]、両外相は「日韓間の慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と表明[2]。韓国政府が元慰安婦支援のため設立する財団に日本政府が10億円を拠出し、両国が協力していくことを確認した

その後も北朝鮮による核実験やロケット発射の連続に対して何もしてくれない無視を決め込む中国への不満が高まる中で自国を守るためには米国に頼る軍備増強しかないという16年7月のサード配備決定でした。
https://business.nikkei.com/atcl/report/15/226331/071900059

「中国陣営入り」寸前で踏みとどまった韓国
THAAD配備巡り米中代理戦争
鈴置 高史  2016年7月21日
7月8日、在韓米軍へのTHAAD配備が正式に決まりました。
配備拒否派が世論を盛り上げて朴槿恵(パク・クンヘ)大統領を動かそうとした。慌てた賛成派が巻き返し、大統領の裁可を取り付け急きょ発表に持ち込んだのです。

「配備」の正式な発表を受け、中央日報は解説記事の見出しを

「苦悩の末に……朴槿恵政権、韓米同盟を選んだ」(7月9日、韓国語版)
日本語版もほぼ同様で「配備拒否か賛成かは、米国との同盟を拒否するか続けるかの選択だった」

との前提です。
これが多くの韓国人の実感でしょう。
中共政府の抗日戦勝利集会に参加して支配下に入ったはずの韓国の裏切り(と言えるかな?)に中国は(権威を示すために)怒り、土地提供したロッテに対する中国の報復、現代自動車への嫌がらせ等々(もともと自国企業と競合する進出企業潰しの口実)が今だに続いています。
この間オバマの日韓仲裁などを経て16年10月28日のろうそく集会後の日韓軍事情報保護協定(GSOMIA)(11月23日)に進んだのですが、これがさらに反米親中派を刺激しました。
この時点でのろうそく集会はスキャンダル批判だったので朴政権は甘く見たのでしょうか。

韓国はどこへ行く?2(親中・北政策の蹉跌1)

清朝からの独立を認められた下関講和条約翌年の1896年2月に、高宗はロシア公館へ(亡命?)こもります。
露館播遷に関するhttps://ja.wikipedia.org/wiki/の記述です。
露館播遷

高宗がロシア公使館で政務を執り行った結果、ロシアは年表に示す利権を獲得し、他の欧米列強も同等の利権を獲得することになった。 また、これは国としての自主性を放棄するのに等しい行為であり、後に日露戦争時に中立を宣言したが日露両国から無視されるような結果となった。

上記の結果世界的に独立国を名乗る能力がない・国家として認められていない状態になっていた・・世界中のに対し自主性を放棄しても良いが、ともかく日本と対等になるのだけは嫌だったらしいのです。
戦後は朝鮮戦争の結果助けてくれたアメリカに従属したままでこれが嫌でたまらなかったでしょうが、頼りたくて仕方のない中国がようやく力をつけてきたし対中貿易の方が対米貿易より大きくなったので、「頃や良し!」とばかりに、正面から日本に喧嘩を売り千年以上許せないと啖呵を切ってしまったと思われます。
https://www.j-cast.com/2013/03/04168068.html?p=all

朴大統領「被害者の立場、千年不変」と主張 韓国に「いつまで謝罪し続ければいいんだ」の声
2013/3/ 4 18:50
演説は2013年3月1日、1919年に起こった「三・一独立運動」を記念する式典の中で行われた。朴大統領は、
「(日本と韓国の)加害者と被害者という歴史的立場は、千年の歴史が流れても変わることがない」

と大げさな演説をした上で反日運動に邁進していたので、日本では「陰口おばさん」と揶揄されるようになっていました。
以下は陰口外交に関するウイキペデイアの記事です。

告げ口外交(つげぐちがいこう)とは、2013年に韓国大統領の朴槿恵(パク・クネ)が行った、日韓の歴史問題に関する外交政策で、日韓以外の第三国に日本の悪口を言い触らして回ることに対して日本の各メディアによって用いられる俗語である。「言いつけ外交」[1]、「おばさん外交」[2]とも呼ばれる。

その勢いに乗って西側諸国一致してボイコットしていた中国の抗日戦争勝利記念式典に唯一の西側諸国首脳として出席し、習近平からロシアプーチンに次ぐ序列3位(冊封体制下では朝貢使節がどういう序列で出席できるかは最重要事項でした)?のもてなしを受けて、対日敵対意識のみならず今後は、米国の意向など問題にしない態度を露骨に示しました。
https://www.bbc.com/japanese/34136088

中国で大規模軍事パレード、抗日戦争70周年記念
2015年09月3日
出席した外国首脳、欠席した首脳
来賓の中には、ロシアのプーチン大統領、韓国の朴槿恵大統領、国連の潘基文事務総長などが肩を並べる。しかし潘氏の出席は批判を呼び、米・英・豪・日の政府首脳は欠席している。
「日中関係が難しい状態にあり、アジア太平洋地域の軍事的緊張が悪化している中で、国家指導者の中には、中国の国家主義的な反日大会に参加することへのためらいがある」とニール氏は話す。

この頃の韓国国民感情は19世紀末以来欧米の顔色を窺うしかなかった朝鮮族が、今後ようやく中国の保護下で安心して生きていける(しかも冷たい利害で結びつくロシアを除けば実質序列1位の地位獲得で、歴史上初の栄誉です)と、国内が盛りがっていた・・昂揚感が高まっていたと思われます。
この歓喜の頂点において、あれほど日本批判をしていた朴政権は慰安婦問題に関して日韓合意に踏みきりました。
負け戦発表の潮時をはかるために中国べったりで国民歓喜・・支持率の上がったところでの収束を図ったのかもしれませんが、これが裏目に出ました。
(国内的にはアメリかの不当圧力でやむなく・・という弁明でしょう)
(国内的にはアメリかの不当圧力でやむなく・・という弁明でしょう)
実質はいかに告げ口外交して歩いても国際社会では韓国の主張する慰安婦問題が受け入れられなくなったことにより曖昧解決でごまかすしかなくなったことが主たる原因でしょう。
(逆に日本では「せっかく韓国を追い込んだのにここで曖昧合意だと明白な決着をつけるまでやらないと禍根を残す」という批判が渦巻いていたことは周知のとおりですが、何やかやと言ってもトップの決めたことには最後は従う度量が国民にあります)
パク大統領がどういう言い訳をしようとも内政失敗に対する国内不満をそらすため近隣国にいちゃもんをつけて独裁者が侵略戦争に踏み切って無残に負けて帰ってきたような体たらくでした。
今の文政権が国内無策の隠蔽のために反日拡大と北朝鮮との和解成立に政治生命を賭けきたのですが、米朝決裂によって無残に失敗したのもこの繰り返しです。
そもそもアメリカを見限って旧宗主国への寝返り、その帰参がかなったという国際宣伝のために中国が上記式典を盛大に行った(そもそも中韓関係誇示のためにいきなり開いたものです)のに、その直後にアメリカの圧力で止む無く日韓合意せざるを得なかったというストーリー自体が矛盾ですから、表面だって言ってないでしょうが・・。
上記思い切った行動にアメリカが本気で怒って、相応の脅しが入ったのかも?
日韓合意だけではなく続けて宗主国様への裏切りと評価される中国の最も嫌がる米国のサード配備を受け入れたことにより中国の怒りを買って、ロッテに始まり各種分野で露骨な嫌ガラセを受けるようになってしまい、史上最大の栄誉どころではなくなりました。
ろうそく集会エネルギーの源泉は、国民感情を裏切った朴政権に対する怒りが基本であり、パク大統領の特定人物に対する厚遇に対する不満はそのきっかけ・あるいは表向きの主張に過ぎなかったと私は理解しています・・・。
以下中国抗日戦勝利式典(15年9月)日韓合意(15年12月)〜サード配備決定(16年7月)〜ろうそく集会(16年10月28日)〜日韓軍事情報保護協定(GSOMIA)(16年11月23日)の時系列で明日以降見て1きます。

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