二項対立と騙し合い社会2(賄賂の基礎1)

政府と国民の関係は長い異民族支配の歴史もあって、中国の場合「上に政策あれば下に対策あり」と言われる社会で政府支配力が弱い・・弱いから専制支配・・強そうなこけ脅しが必要・悪循環ですが歴代王朝の強権政治の裏に徴税率が低いことが知られています。
中国国民はしぶとい・・政府が適当に国民を騙す以上は国民も裏の動きを嗅ぎ取る能力に長けて来ます。
海外旅行熱が衰えないのを見ると政府の苦境とは別に意外に国民の資産保有が高い実態があるように見えますが・・この種の統計は勿論ありませんが、国外へ出掛けて旺盛に消費する姿こそが本当の姿でしょう。
厚い個人資産保有があるからこそ政府がこれを狙って政府主導の投機熱煽り・・株式投機やマンンション投機を誘導して国民の個人保有(ヤミ?)資産吸い上げに躍起になっているように見えます。
このシリーズで書いているように日本以外の国々は政府と国民は二項対立の関係で、互いに騙しあいの社会です。
特に中国地域では異民族支配の方が長かった(不幸な?)関係で?支配者には異民族懐柔の必要性もあったでしょうから、歴代王朝は歴史的に国民からの徴税がうまく行っていません。
この辺中世以降、ローマのお膝元であった関係でイタリア半島では、民族国家形成が遅れていた・・ハップスブルク家、ブルボン家スペイン〜ナポレオンの侵攻など言わば異民族支配が入り乱れていた結果、今でも表向きGDPは低いものの、個々人は豊かに暮らしていると言われるのと似ています。
日本では京都の町衆がその時々に入れ替わるトキの権力としたたかに付き合って来たのと同じです。
清朝が広大な版図を有していたと言っても名目的服従させただけで、マトモニ徴税出来ていなかったと言われています。
二項対立社会ではない・・日本人は政府・マスメデイアが音頭をとらなくとも黙って一定方向へ一致団結シテ行動する社会が出来上がっています。
反日運動が中韓で始まると、メデイアが中韓製品不買運動を煽らなくとも黙って中韓製品と分るだけでスーパーで手に取らない徹底ぶりです。
二年ほど前の町内会のお花見で焼き鳥用串さし肉の段ボールに中国製と書いていたのが目に止まり、「安ければ良いと言うものではない」となって昨年のお花見会からは国産鶏肉に切り替わりました。
現代自動車は日本では年間何十台しか売れない・・スマホでは日本販売のサムスン製品はサムスンの名称さえ表に出すと売れない徹底ぶりです。http://news.livedoor.com/article/detail/10253286/2015年6月20日 9時49分
世界で800万台販売される現代車 昨年の日本での販売台数は73台https://ja.wikipedia.org/wiki/Samsung_Galaxy
端末上のロゴ
2015年3月に発表して日本国内において販売されている Galaxy S6 edgeに『サムスン』のロゴがない。サムスン側は日本でサムスンブランドの露出を控え『Galaxy』のみでの訴求をしている[2]。」
ところが、中韓では政府と人民は「騙しあい抑圧し、抑圧される関係」で信頼関係がありません。
このシリーズで書いている支配・被支配の二項代立構造で古代からやって来た基礎にあるからです。
だからこそ外資導入・・文字どおり外資から資金を吸い取る関係が続いている限り政府と国民はウインウインの関係でしたが、外資が逃げる展開になるとそれをどちらが吐き出すかの対立構造に戻ります。
国外資金が入らなくなるどころか引き上げの方が多くなると政府は国民が「対策」によって溜め込んだお金・・徴税が伝統的に機能していない結果ですが、これを何とかして吸い上げようと必死・・その一環として手始めに汚職の摘発名目で始めたことになります。
ところで、中国では秦始皇帝皇帝が完成した専制支配体制=官僚制は、徴税技術が伴わなかったこともあって、(徴税対象が貨幣ばかりならいくらでも運搬・保管が可能ですが、現物徴収・租庸調では無理があったのは日本古代王朝と同じです)官吏が自給自足?するために収賄で動くのは社会制度に基礎から組み込まれていた不文律の制度です。
政敵でもないの一般公務員・中立的・中間管理職まで「袖の下」収入を摘発すると社会制度の屋台骨が揺らいでしまいます。
何かするには、手数料が必要であり賄賂も公的に必要な手数料の一種といえるとしても、公式手数料の場合、いくら払えば何をして貰えると払う方も予測可能ですし、政府財政の透明性が増します。
すなわち近代合理主義・民主主義社会に於いては、公的手数料がいるならばきちんと公示して公平にとるべきですしその効果も(コピー代いくら払えば紙何枚のコピーが貰える)明示すべきですが、賄賂の場合内容不明・・相場らしいモノがあっても不透明な上に効果も不透明・・相手によって違うなど・・命令の基準が不明な専制支配と一対なった経済版と言えます。
近代貨幣経済社会になると収賄に頼るよりは徴税技術を上げてきちんと給与を払う方が合理的ですが、社会意識がそこまで行かない中国の場合、国際社会の基準にどうやって適応するか産みの苦しみと言うところでしょうか?
賄賂が発達してしまった原因を見ると元々専制支配・中央集権制と関係があります。
古代から中世〜近世までの経済状況では、巨大な官僚組織に給与支給出来るほど貨幣経済が行き渡っていないのですから、無理がありました。
中国地域・・漢民族は交易する市の周辺・中原・・洛陽周辺で発達した古代都市国家から始まったことを何回か書いて来ました。
秦の始皇帝以来の支配者はこの関係・・狭い城内だけで通用する貨幣経済を支配領域全般に及ぼせると誤解していたことになります。
今でもそもそも中国人はシンガポールや香港、上海などの都市国家支配が元々得意な民族ですが、広大な中国全土を支配するのは無理があるのではないかと思われます・・・。
始皇帝の業績と言われる度量衡の統一がありますが、度量衡を統一すれば便利とは言え、生産物がまだ食糧中心の時代・しかも保存期間も限定される時代にこれで膨大な軍人や官僚を養うのは無理があります。
食糧が最重要な時代に富みを如何にためても保存期間の縛りで1〜2年でパーになりますから、長期間の安定した地位を維持出来ません。
日本の領地制だとこれを一所懸命守っている限り金の卵を生む鶏のように何百年も収入が安定します。
一所懸命・・領地を守ることが一族繁栄・永続の基礎ですから、一族の紐帯が大事にされてきた所以です。

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