金融駆け引きと為替相場

資本規制を厳しくする一方では、結果的に人民元の外為市場が成り立たなくなる・・自分で仲間外れにして貰っているよう・・国際取引が出来なくなって行きます。
日経新聞は大手メデイアらしく・・「代金の送金を禁止していない」と言う中国政府の言い分を乗せていますが、このニュースですぐにアサヒホールデングスに払ったかも知れませんが・・。
アメリカ金利上げ発表が今年の3月15日ですからまだ二週間あまりしかたっていませんが、米利上げは昨年末から織り込み済みとは言え、中国がこの金利差にどの程度持ちこたえられるかが世界の大関心事でしょう。
中国は景気下支えのために14〜15〜16年と金利を徐々に下げて来たことをこのあとで紹介しますが、米利上げがあると金利差が縮まり過ぎる→人民元下落圧力が増すので、これ以上下げるどころか上げるしかなくなります。
人民元下落を防止するには負けずに金利を上げるしかありませんが、そうなると政府主導の不動産バブルその他に急ブレーキがかかってしまいます。
とは言え仕方がないので昨年末から、年明け予定の米利上げ影響緩和のために年末から国内金利に直接関係のない香港オフショア市場で短期金利操作をして人民元投機売りを防ぎながら、国内景気対策上過剰なマネーサプライを少ししか減らさない政策を採用している様子です。
 http://seisakukinri.nekokuro.jp/543の引用です
中国の政策金利の推移(2010年~2019年)です。(10月分までしかデータがありません)
 1月  2月  3月  4月   5月   6月  7月   8月   9月   10月  11月  12月
2016年
4.35  4.35  4.35  4.35  4.35  4.35  4.35  4.35  4.35  4.35
2015年
5.6  5.6  5.35  5.35  5.1  4.85  4.85  4.6 4  4.6 4 4.35  4.35  4.35
2014年  6   6   6   6   6    6     6    6    6    6   5.6
上記のとおり14年には原則6%の金利でしたが、不景気進行に応じて15年からは5%台に下げ16年には4%台に下げていました。
ところが今年に入って様変わりです。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL16HPT_W6A211C1000000/
中国にも「利上げ」の予感 進む人民元安、短期金利は急上昇           2016/12/17 0:05 日本経済新聞 電子版
NQN香港=大谷篤】米国が1年ぶりに利上げを決めたが、もう一方の経済大国、中国でも「利上げ」の雰囲気が漂い始めている。物価は上昇し、国債利回りはうなぎ登り。短期金融市場では資金逼迫の心配さえ出てきた。
 中国の金融市場では人民元安と債券安が続き、短期金利の上昇が止まらない。オンショア(中国本土)の人民元の対ドル相場は1ドル=6.94元台と8年7カ月ぶりの水準に下落。秋ごろまで過去最低の2.6%台に…」
今年1月のニュースでは以下のとおりです。
http://jp.wsj.com/articles/SB108523985882373536098045825828313247289662017 年 1 月 27 日 10:48 JST 更新
 中国人民銀行(中央銀行)が24日に金融機関に対する主要貸出金利を引き上げたことを受け、中国の国債利回りが急伸している。
 指標となる10年物国債利回りは25日、前日の3.296%から3.336%に上昇し、12月半ばにつけた直近の高水準である3.387%に近づいた。」
上記のとおり昨年末から1月に掛けて中国の金利が上昇局面に入っている様子が出ています。
それどころか以下のとおり香港オフショア市場では当局の意図的操作?によって短期金利が急騰しました。
年1回の外貨両替枠更新が1月にあるので、昨年末の外貨準備減少を見て「年間両替枠を年初に使い切ってしまおう」としてドル買いが殺到する懸念があったので、その出ばなをくじく奇襲作戦のように見えます。
以下は http://blogos.com/article/204865の意見です
 久保田博幸  2017年01月07日 11:28
中国の短期金利が一時100%となった原因
介入を行うと外貨準備が減少するが、外貨準備の減少は元安要因ともなりかねない。このため、中国政府は年が変わってから介入ではない手段を講じてきたようである。それは短期金利の操作で、いわゆる短期金利の高め誘導を行ってきた。
 比較的、元を自由売買できる香港短期金融市場で、オフショア人民元の流動性をひっ迫させ、香港銀行間取引金利(HIBOR)の翌日物が前日の16.9%から38.3%へと約1年ぶりの水準に上昇し、午後には100%を超える取引も成立したようである。ちなみに昨年1月にも香港市場で中国国有銀行を通じて、ドル売り元買いの市場介入を行ったことでHIBORが急騰し、翌日物HIBORは12日には60%台に急上昇するという場面もあった。
今回は外国為替市場での大規模な元買いドル売り介入は見送られているようで、中国の国有銀行などが短期市場への資金供給を絞ったための短期金利の急騰とされる(日経電子版の記事より一部引用)。年が変わると年間外貨両替枠が更新されて、中国からの資金流出が加速される恐れも懸念されていたことへの対処でもあったとみられる。 HIBORの上昇をみて、ヘッジファンドなど元を売っていた投機筋などが、コストの増加を嫌気して外為市場では元の買い戻しの動きを強めることとなった。人民元が急反発し、その余波で上昇し続けていたBitcoinが急落するなどした。
 ただし、インターバンク市場の流動性ひっ迫は、銀行に深刻な影響を与えかねない。企業や市場などにも影響を与えることで、昨年のような景気減速そのものへの警戒が強まることもありうる。さすがに昨年の二の舞はないと思われるものの、当面の中国人民元の行方も注意する必要がありそうである。」
上記のように(国内市場に直結しない)オフショア市場の資金供給をイキナリ絞ることで、短期金利急上昇(100%?)を演出して外国人短期投資家に金利負担をさせて売りポジション解消に成功した様子で・・一種の綱渡りです。
その他政府・人民銀行自身がデリバテイヴ取引に参加して人民元を高値誘導している様子もあるようですが、先物は安くなっているからこの先どうなるか?と言う意見もあります。
中国はアメリカ留学経験者を動員して高度技術駆使しているようですが、サイバーテロ等は技術だけアレバ出来る・社会経験や政治能力不要でしょうが、市場対策は金融工学どおりに行くわけがない・・市場との対話能力不足が1昨年夏の株暴落や昨年1月初めのサーキットブレーカー作動による大失敗等々です。
ゾンビ企業への追い貸しの結果中国の民間債務が巨額にのぼっている・GDPの伸び率を大幅に超える貸付金の増加が追い貸し分に当たると言う・・ことが従来論じられていましたが、国際批判を気にしたのか?今朝の日経新聞6pではこの多くを株式化したので4代銀行の不良債権比率が急激に縮小していると書いています。
ゾンビ企業に対する不良債権を株式に書き換えてもそんな企業の株式は価値がない筈ですから本来意味がないのですが、この裏には中国の特殊性があります。
1昨年の株式暴落以降株式市場は大口売買が禁止されたままと思われます・・その後報道がないのでどうなったかな?貸し付け債権の増減はデータ次第ですので国際的に注目されて来たのですが、株式相場ならばいくらでもサジ加減出来ると言う社会主義市場経済の妙味?を発揮出来るからでしょう。
実体経済と乖離した小手先の技術で誤摩化せるのは一時的ですから、次々といじるしかないでしょう。
留学帰りの秀才が活躍出来ることは間違いないですが・・。

騙しあい社会4(金利の駆け引き)

大名が自腹持ち出しだけではなくその家臣団も主君の命令があれば家の子郎党引き連れて自腹で軍役に参加するものであって、この生き方は末端まで行き渡っています。
日本では公的業務は、自己犠牲が原則であって上から支給されたモノを自分の懐に入れることなど出来るものではありません。
日本と社会の仕組みが根本から違う中国の歴史によれば、習近平氏による汚職摘発は元々民族・社会のトータル正義にあっていませんが、「政敵倒し目的」と「見えすいた名分」と分っている範囲が限界で、それ以上一般官僚にまでに進めると国民全部が対象ですから無理があってそれ以上進めません。
そこで、大物・即ち政敵粛清が終わった昨年半ば頃からは、汚職摘発が収束して来ました。
国民もこの辺で終わると想定して自分には及ばないと達観していたでしょう。
「習近平を批判した」かどうかが本来の基準・間違って検挙されても、表向きは賄賂をもらっていた以上は、言い開き出来ない基準なき社会・・これが専制支配の特徴です。
賄賂罪そのものは何十年も前からあるので、政権が変わった途端に(政敵支持を理由にする)処罰は形式上罪刑法定主義に反しませんが、本来の処罰基準が政敵かどうかにあるとすれば、ある政権のとき実質上非処罰だったのが政権が変わると前政権に協力していたことを実質的理由に「賄賂」罪で検挙されるのでは、一種の事後法処罰です。
要するに法・・ルールがないのと同じで国民・企業は安心出来ません。
結局旧政権近づいていても政権が変われば・恥も外聞もなく強い方に直ぐにすり寄る・旧勢力には手のひら返し・・保身のためには旧政権の秘密を売るしかないと言う程度の処世術が発達します。
権力者も権力を失えば最側近からいつ裏切られるかしれないので、権力を手放せなくなるし猜疑心ばかりでお互い心が休まる暇がない社会です。
汚職構造に戻しますと汚職をなくすには徐々に徴税率を上げて行き、その分給与をしっかり払って汚職を減らして行くべきでしょうが、これは相互性があって一方だけイキナリ出来ることではありません。
日本マスコミは賄賂の巨額さを騒ぎますが、実は国家財政的には大した資金ではありません。
曹操が兵糧不足を兵糧長官の不正の所為にして処刑した故事がありますが、個人のちょっとした汚職くらいで、曹軍百万と言われる大軍の兵糧がどうなるものではありませんから、言わば不満な兵の目くらましに使っただけです。
賄賂摘発は政敵粛清目的であって、その程度の国庫収入増ではどうにもならないので外需・・外資導入が減る+資本流出穴埋めのために何とか人民の金を吸い上げる必要に迫られています。
中国国内のバブルがガン細胞のように株式→マンションバブル→商品相場へと次々と転移して行くのは、政府と国民の騙し合いの戦場がドンドン移動して行くと見れば分りよい思います。
この一環として15年夏の株暴落直前まで政府系報道機関が率先して株式が儲かると煽っていましたし、これが15年夏に終わると株の売り逃げで儲けた人相手にマンション投機を煽ったりあの手この手の策を巡らしますし、人民はこれに乗せられたフリをしてうまく儲けて売り逃げしようと策を巡らします。
中国バブルは政府主導ですから、政府の動きを早く知る限り安心・幹部のコネさえあれば潮目がはっきり分ることです。
売り逃げ出来る自信のある情報にアクセス出来る層が厚い・・これを裏切ると大問題ですが・・のが特徴でしょう。
裸官と言って海外に逃げている層はそれほどでもない・・むしろバブルの波にのってうまく逃げられるグループの方が優秀・したたかです。
失業者が妻子を不安にさせないように貯金を取り崩して見た目の宴を派手に繰り広げているような状態ですが、その資金がいつまで続くかの心配を他人(外国人)がしている状態です。
日本的感覚で言えば、国民に対して実態を説明して質素倹約・海外旅行に行って不要不急のお金を使わないように要請するべきですが、それを頼めない・・弱みを見せると権力がおしまいになる・・政権の弱さでもあります。
弱さの原因は普段から政府が国民との信頼関係構築を怠って来た結果であり、日本流に言えば身から出た錆です。
3月18日の日経新聞記事を紹介していたように、国民の海外投資抑制を通り越して外国企業との企業間取引代金支払いまで待ったを掛けるようになると・国外企業は怖くて中国企業と取引出来なくなります。
尖閣諸島や南沙諸島のように腕力に任せて乱暴なことをすると廻りが怖がるし、韓国やフィリッピンや台湾等を威嚇するために観光客を絞ったりして、バナナなどの輸入妨害すればフィリッピン等がたちまち降参する・・勝ち誇っているつもりでしょう。
気に入らない企業には代金を払わせない・どうだこの強さは!と言うつもりでしょう。
この結果、自分自身が世界中から乱暴なことをするクニだと言うマイナス評価・効果を受けます・・。
北朝鮮のように国際取引禁止の制裁を自分で申告しているようなものですが、中国政府はその意味が分かっていないようです。
専制君主が「自分がどんな無茶でも出来る」と自慢しているようなものです。
ネット報道レベルでは中国危機説がしょっ中出ていましたが、ネットに留まらず大手の日経新聞が3月18日に日本企業への不払いが起きていると言う大ニュースを流す重みですが、取り付け騒ぎの風聞に類することを大手マスメデイアが公式に言い出したことになります。
政府が権力に任せてこんなことをしていると、いよいよ海外からの投資(回収出来ない投資をしません)が減る一方になるでしょうから、資金不足が加速します・分ってはいてもそうするしかないほど資金的に追いつめられているのでしょう。
これらの強制措置が功を奏したらしく17年2月末の外貨準備が久しぶりにプラスに転じたとの報道です。
国民が自由に資金を動かせないままで国民が黙っているとは思えません・・「下に対策あり」と言われる国民性ですから、時間経過で規制をくぐり抜ける裏技が出来上がって来るでしょうからイタチごっこになります。
2月末の外貨準備持ち直しの3月7日発表は、3月5日から始まったばかりの全人代向けお化粧の疑いもあり、この先どの程度続くか分りません。
もしかするとこんな無茶な規制は長く続かない・・続いても「下には対策」がありますので4〜5月末にはまた減少に転じるかもしれません。
3月27日に紹介した3月18日付日経新聞記事には、日本企業の決算による利益送金が集中する6月頃に大量送金不能がもしも起きると・・正念場が来るとも書かれています。
大手メデイアですから、まさか「デフォルト直前」とは書けません・・あっさりと書いているものの、ここまで来ると殆どデフォルト直前の様相をそれとなく報道していることになります。
この報道を見れば余程ノーテンキな企業でも、今後中国への進出あるいは受注活動を一旦中止して様子見に転じる筈です。
6月頃には「対策」が進んでまた外貨流出が始まっている可能性があり、別の規制が始まっているのかな?

騙しあい社会3(賄賂の基礎2)

唐朝の皇帝(則天武后)側近として高名な祖父(杜審言)がいても、孫の杜甫の時代になると零落してしまう例を書いたことがありますが、給与制の無理があったことによります。
日本のような領地世襲制(これを君主が冊封する西欧的枠組みの封建制と言うのは当たらないと思いますが・・日本の場合一種の連邦制でしょう)ならば代々没落しませんが、中央集権・官僚制は経済制度的に無理があるから、高官に限らず各級の官僚は自活するために中間搾取するしかなくなる・・今で言う賄賂の始まりだったと見るべきです。
現在中国では各階級ごとに◯◯に昇進するには、あるいは◯◯の許可を得るには、上官には何元と相場が決まっているようですから手数料の一種と言えます。
欧米ではウエーター等の低賃金を補うためにチップが発達して来たのと結果が似ていますが、中国の場合権力構造の各段階に広がるのが大違いです。
チップの場合に払わなくともコーヒーそのものを飲めますし食事も出来ます。
賄賂の場合に払わないと前に進まない点が大違いですし、その手数料が高過ぎる・・しかも相場と言う曖昧な基準でこれを払えばどうなると言う結果も見えないうえに、権限を有する個人の懐に入る点が諸外国の公式手数料と違っています。
はっきりした基準がない・不明瞭・恣意的基準こそが、専制支配の特徴ですからこれに対応した経済システムだったことになります。
日本は律令制を導入しましたが、地方豪族の寄り合いである日本の国情では完全官僚制では無理があるので、班田収授・律令制は直ぐに崩壊し、荘園制度に戻っていることも律令制のシリーズで連載しました。
中国では、薄給ですから地方高官になったらこのときとばかりに最大限収奪して蓄えておかないとすぐに無収入になってしまう恐怖が収奪政治の習慣を生み、収奪される人民も上を信頼しない・・どうせ直ぐにいなくなる相手ですから信頼関係が育ちません・・その場限りの刹那的価値観が身に付いて行った原因です。
我が国ではいつ始まったか分らないほど古くから先祖代々の領地・共同体を有し、(律令制導入で国司制度が出来ても地方豪族は「郡司」として実質勢力・経済力を維持していました)その領地の収入に応じて(戦国末期の基準で言えば)軍事招集があれば何石から何石までは騎馬武者何騎と言うような基準で公的義務を果たすようにするのが合理的でした。
公務に従事すれば公的なお金を懐に入れるどころか、自腹・・持ち出しが原則の関係でずっとやってきました。
我々弁護士会でいろんな役をこなすのは全部無償・・最近若手が増えた結果として日弁連委員会出席交通費実費(以下)が出るようになって来ましたが、元は無償が原則です。
日本社会では公務を果たすのは自腹持ち出しだからこそ、源氏が前9年、後三年の役で動員した東国の豪族に対して恩を売って強力な地盤を形成出来たのです。
吉宗の足し高の制は、町奉行その他一定の公務につくと負担が大きいために家禄の少ない小身の旗本が有能であっても重要な役職に就けない弊害をなくすために始めたものですが、これは自腹負担原則を前提にしています。
(足し高の制については、02/26/04「与力 (寄り騎)8と足高の制の功罪1」以下のコラムで連載しました。)
この場合も職務給として不足家禄分を在職中「役知」として補給されるだけで、その追加「役知」の使い道は自由・・汚職する余地がありません。
現在で言えば下請け企業みたいな役割です。
親方の取り分が大き過ぎて従業員への還元が少な過ぎると、良い職人が居着かないし手抜きをすると・競合他社に負けるので相応の自制が働く仕組みです。
足し高制に戻りますと今の貨幣経済を前提に「役料」と言われていますが、当時でも現金支給もありましたが原則として「知行地」を追加するので「役知」と言われていましたがこの役料だけでは、実際の必要経費に不足するのが原則で自腹を切る分が減る程度ですから懐に入れるどころではなく、自腹を持ち出して「恩に報いる」充分な人材配置・・良い仕事・武勲を挙げられなければ、評価に反映します。
以下に紹介する会津藩の例で言うと、もの凄い自己負担で藩の財政が火の車になって行きます。
臨時加増(役知)されても領地引き渡し作業が遅れたり、最も重要な米で言えば収穫が半年後でそれからの換金ですから(以下に紹介するお茶の水大学の論文では収穫時期が限られているので加増時を基準に月割り分配する詳しいデータが出ています)、目先の京都赴任に必要な現金支出に間に合わないので、御金蔵から拝借などとの合併になっています。
明治維新後は薩長政権ですから島津家の負担による長良川堤防工事の経費負担が有名ですが、幕末会津藩の京都駐留も大変な「国難!」でした。
幕府から一定額補助金が出ていたにしても、その使い道は会津藩の裁量ですから汚職する余地がありません。
ここでは会津藩の国難を紹介するのが目的ではありませんが、会津藩が守護職就任後の加増・役知・馬喰町貸し付け・拝借金などに関する
「京都守護職に対する幕府の財政援助(研究)」新田, 美香http://teapot.lib.ocha.ac.jp/ocha/bitstream/10083/900/1/KJ00004471010.pdfによると、松平容保の守護職就任による会津藩財政が火のクルマ・惨憺たる状態が紹介されています。
会津藩はその前の蝦夷地防衛のための軍役負担で元々財政赤字になっていたところへの新規出費なので、家臣への知行借り上げ(未払い)や年貢増徴など内政は収拾がつかないほどの状態になったらしいです。
以下は独自論文かどうか分りませんが、上記論文が詳し過ぎるので?これを下敷きにしたらしい要約っぽい?(失礼かも?)その分煩雑なデータがなくてこのコラムの論旨に副う内容が要約されていて分りよいので紹介しておきます。
http://www4.plala.or.jp/bakumatsu/oboe/oboe6-aidu-zaisei.html
■ 年間収支
「京都守護職の年間収支は実際、どのくらいだったのだろうか。
池田屋事件直前の元治元年5月29日付西郷文吾書簡(『会津藩庁記録』四)によれば、守護職の年間費用はおよそ216,000両だと見積もられている。これに対して役知・役料から見込まれる収入はわずか96,709両とその半分にも満たない(49%)。年間赤字は約11万9,300両(1ヶ月あたりの赤字は約9,940両)にものぼる。なんらかの対策が講じられない限り、守護職必要経費の5割強にあたる巨額の赤字を会津藩が独自に補填せねばならないことになる。財政難の会津藩にとって、とんでもない緊急事態である。」
上記によると必要経費の半分しか幕府が補填してくれなかったことが分ります。
上記のとおり、日本の場合中国の地方大守・高官に該当する地元領主・大小名は政府(将軍家)から貰ったお金をくすねるどころの話ではありません。
領地経営者・豪族は源氏の配下になろうと平家の配下になろうと地方豪族の自由裁量ですから、その結果、小豪族をつかねる地方盟主は人望が必須ですから民意把握訓練が出来ています。
中世〜戦国時代も同様で日頃の信頼がないとイザと言うとき配下小豪族やその部下が命がけで働いてくれません。
いつの時代も優秀な人材確保こそが組織・集団維持の命綱と言う意識が古代か連綿と続いています。
優秀な人材確保のためには、信頼関係構築こそが最重要と言う意識が今も強いのはこの結果です。
先祖代々の紐帯を大切にし身を捨てても(城明け渡しに際して自分が腹を切っても城兵の命を守るのがその1例です)領民(一族郎党・・血族集団意識が基本)を大事にします。
日本では公的業務は、自己犠牲が原則であって上から支給されたモノを自分の懐に入れることなど、出来るものではありません。

二項対立と騙し合い社会2(賄賂の基礎1)

政府と国民の関係は長い異民族支配の歴史もあって、中国の場合「上に政策あれば下に対策あり」と言われる社会で政府支配力が弱い・・弱いから専制支配・・強そうなこけ脅しが必要・悪循環ですが歴代王朝の強権政治の裏に徴税率が低いことが知られています。
中国国民はしぶとい・・政府が適当に国民を騙す以上は国民も裏の動きを嗅ぎ取る能力に長けて来ます。
海外旅行熱が衰えないのを見ると政府の苦境とは別に意外に国民の資産保有が高い実態があるように見えますが・・この種の統計は勿論ありませんが、国外へ出掛けて旺盛に消費する姿こそが本当の姿でしょう。
厚い個人資産保有があるからこそ政府がこれを狙って政府主導の投機熱煽り・・株式投機やマンンション投機を誘導して国民の個人保有(ヤミ?)資産吸い上げに躍起になっているように見えます。
このシリーズで書いているように日本以外の国々は政府と国民は二項対立の関係で、互いに騙しあいの社会です。
特に中国地域では異民族支配の方が長かった(不幸な?)関係で?支配者には異民族懐柔の必要性もあったでしょうから、歴代王朝は歴史的に国民からの徴税がうまく行っていません。
この辺中世以降、ローマのお膝元であった関係でイタリア半島では、民族国家形成が遅れていた・・ハップスブルク家、ブルボン家スペイン〜ナポレオンの侵攻など言わば異民族支配が入り乱れていた結果、今でも表向きGDPは低いものの、個々人は豊かに暮らしていると言われるのと似ています。
日本では京都の町衆がその時々に入れ替わるトキの権力としたたかに付き合って来たのと同じです。
清朝が広大な版図を有していたと言っても名目的服従させただけで、マトモニ徴税出来ていなかったと言われています。
二項対立社会ではない・・日本人は政府・マスメデイアが音頭をとらなくとも黙って一定方向へ一致団結シテ行動する社会が出来上がっています。
反日運動が中韓で始まると、メデイアが中韓製品不買運動を煽らなくとも黙って中韓製品と分るだけでスーパーで手に取らない徹底ぶりです。
二年ほど前の町内会のお花見で焼き鳥用串さし肉の段ボールに中国製と書いていたのが目に止まり、「安ければ良いと言うものではない」となって昨年のお花見会からは国産鶏肉に切り替わりました。
現代自動車は日本では年間何十台しか売れない・・スマホでは日本販売のサムスン製品はサムスンの名称さえ表に出すと売れない徹底ぶりです。http://news.livedoor.com/article/detail/10253286/2015年6月20日 9時49分
世界で800万台販売される現代車 昨年の日本での販売台数は73台https://ja.wikipedia.org/wiki/Samsung_Galaxy
端末上のロゴ
2015年3月に発表して日本国内において販売されている Galaxy S6 edgeに『サムスン』のロゴがない。サムスン側は日本でサムスンブランドの露出を控え『Galaxy』のみでの訴求をしている[2]。」
ところが、中韓では政府と人民は「騙しあい抑圧し、抑圧される関係」で信頼関係がありません。
このシリーズで書いている支配・被支配の二項代立構造で古代からやって来た基礎にあるからです。
だからこそ外資導入・・文字どおり外資から資金を吸い取る関係が続いている限り政府と国民はウインウインの関係でしたが、外資が逃げる展開になるとそれをどちらが吐き出すかの対立構造に戻ります。
国外資金が入らなくなるどころか引き上げの方が多くなると政府は国民が「対策」によって溜め込んだお金・・徴税が伝統的に機能していない結果ですが、これを何とかして吸い上げようと必死・・その一環として手始めに汚職の摘発名目で始めたことになります。
ところで、中国では秦始皇帝皇帝が完成した専制支配体制=官僚制は、徴税技術が伴わなかったこともあって、(徴税対象が貨幣ばかりならいくらでも運搬・保管が可能ですが、現物徴収・租庸調では無理があったのは日本古代王朝と同じです)官吏が自給自足?するために収賄で動くのは社会制度に基礎から組み込まれていた不文律の制度です。
政敵でもないの一般公務員・中立的・中間管理職まで「袖の下」収入を摘発すると社会制度の屋台骨が揺らいでしまいます。
何かするには、手数料が必要であり賄賂も公的に必要な手数料の一種といえるとしても、公式手数料の場合、いくら払えば何をして貰えると払う方も予測可能ですし、政府財政の透明性が増します。
すなわち近代合理主義・民主主義社会に於いては、公的手数料がいるならばきちんと公示して公平にとるべきですしその効果も(コピー代いくら払えば紙何枚のコピーが貰える)明示すべきですが、賄賂の場合内容不明・・相場らしいモノがあっても不透明な上に効果も不透明・・相手によって違うなど・・命令の基準が不明な専制支配と一対なった経済版と言えます。
近代貨幣経済社会になると収賄に頼るよりは徴税技術を上げてきちんと給与を払う方が合理的ですが、社会意識がそこまで行かない中国の場合、国際社会の基準にどうやって適応するか産みの苦しみと言うところでしょうか?
賄賂が発達してしまった原因を見ると元々専制支配・中央集権制と関係があります。
古代から中世〜近世までの経済状況では、巨大な官僚組織に給与支給出来るほど貨幣経済が行き渡っていないのですから、無理がありました。
中国地域・・漢民族は交易する市の周辺・中原・・洛陽周辺で発達した古代都市国家から始まったことを何回か書いて来ました。
秦の始皇帝以来の支配者はこの関係・・狭い城内だけで通用する貨幣経済を支配領域全般に及ぼせると誤解していたことになります。
今でもそもそも中国人はシンガポールや香港、上海などの都市国家支配が元々得意な民族ですが、広大な中国全土を支配するのは無理があるのではないかと思われます・・・。
始皇帝の業績と言われる度量衡の統一がありますが、度量衡を統一すれば便利とは言え、生産物がまだ食糧中心の時代・しかも保存期間も限定される時代にこれで膨大な軍人や官僚を養うのは無理があります。
食糧が最重要な時代に富みを如何にためても保存期間の縛りで1〜2年でパーになりますから、長期間の安定した地位を維持出来ません。
日本の領地制だとこれを一所懸命守っている限り金の卵を生む鶏のように何百年も収入が安定します。
一所懸命・・領地を守ることが一族繁栄・永続の基礎ですから、一族の紐帯が大事にされてきた所以です。

騙しあい社会1(データの信用性)

大手企業で言えば内部の節約奨励に留まらず一部下請けに支払い延期要請した場合、その噂だけでも他の取引企業が納品を渋るようになり・取り引き条件が悪化し、最悪事態では取り付け騒ぎが起きます。
日経新聞が3月18日に紹介していた不払いの事例は氷山の一角・・一斉のデフォルトではないものの外資のうち特定企業だけ好きに選んで払わないとなれば事実上デフォルトの先触れとなります。
3月14日「政治と信頼1(意思表示の責任)」以下で、トランプ政権の取引外交の問題点として、新たな取引条件次第でいつでも過去の友人を裏切るようでは基準不明・・それが世界を揺るがしている原因であると書いて来ました。
政治は信頼で成り立っているのですが、中国の政策は元々賄賂による歪みがある外に、折角決まった政策実施自体が不透明な基準・人治主義によっていることが大きなリスクです。
中国の汚職摘発も政敵だけ潰しに使っているだけ、何でも暗黙の基準ははっきりしている・・外貨準備が不足になって来たので当面外資への支払先送りしただけであって、国民に影響がないと言うことで国民の支持はあるでしょうが、こう言う二重基準ばかりでは外資は余計寄り付かなくなります。
現在の韓国企業への嫌がらせと同じで、韓国企業かどうかの基準さえはっきりしてれば良いと言うものではありません。
ヤクザに絡まれているの見ると、自分に刃向かって来ないからその場は知らぬ顔をしていれば良いのかも知れませんが、いつ自分に向かって来るか分らない怖さ・・ヤクザと知れば今後付き合いたくないものです。
権力が気に入らなければ直ぐ嫌がらせする「分りよい?」基準では、ルールの「恣意性」が分るだけであって「ルールがないのがルール」と開き直っているのと同じです。
しかも全面的対外支払トップならばまだ透明性がありますが、政府の選んだ相手だけ不払いや嫌がらせするのではなお不透明です。
3月初め頃からマンション相場の公表を中止したと言う報道が出ています。
(近日中に?)値下がりが始まったときに備えてパニック売りを押さえるためと言われてます。
次から次へとデータ開示をやめて行く・・公開するときには加工して公開する・・それで国民が合理的経済活動が出来るのでしょうか?
電力統計に始まってデータ収集はするが、国民に本当の数字は教えない・・権力中枢に近い者だけが本当の数字を知ることが出来る・・計画経済であるから計画立案関係者だけが知れば良いと言えば論理一貫していますが・・。
このような場合、どうせ虚偽発表する予定ならばと下部組織もソンタクして・・地方政府報告段階から水増しが起きて来て政府中枢も本当のところが分らなくなります。
これがソ連崩壊直前にゴルバチョフを悩ました何も分らない状態でした。
「事実に反した政府発表でも従うしかない」社会では、価値の基準が事実に合っているか・正しいことかどうか、噓か本当かの基準ではなく、強者の言うとおりにすることだけが正しい基準社会であることを表しています。
中国2000年の専制支配・・正義によらず好き勝手にやれる政治と言う意味・・支配はまさにこの基準社会でしたが、・・政府発表のデータ信用性のない社会とは「民をシテ知らしむべからず」の専制支配と根底が同じ・・今もこれを続けると言う政府の意思表示です。
中国や朝鮮社会・あるいはやロシアでは正義の基準が権力者がどれだけ強いか弱いかだけの古代基準・・弱みを見せたら言うことを聞かなくなる・・それ以外の基準がまだ育っていません。
だから自分が強くなったと思えば、他国領海侵犯するのは当然の正義と言う意識になるのでしょうし、如何に自分が強いかの誇示するしかないのです。
プーチン氏がグルジョア〜ウクライナ〜シリアその他対外勢力誇示に明け暮れているのも同じです。
国内宣伝・・南京虐殺であれ、慰安婦であれ、自分たちが世界最強アメリカの支持を受けているか否か、日本より強い立場かどうかだけが、基準であって事実に反しているか・虚偽かどうかは何の基準にもなっていません。
日本が事実は違うといくら抗弁して書生論として中韓からバカにされている所以です。
中国に戻ると権力者はデータを好きにいじれる意識の社会ですから、今の中国社会の実相を知るには、天安門広場前ひな壇などに並ぶ序列・出席の有無などで誰が失脚したか、出世しそうか・・権力抗争がどうなっているかを昔から憶測するしかなかったのと同じ状態が続いていることになります。
不透明過ぎる点が、世界の価値観と肌が合わない原因でもあるし、結果でもあるでしょう。
中国では何でも政府の都合次第で直ぐに実態が不明になる仕組みですから中国との付き合いはリスクが大きいと言えば言えますが、商売・起業自体が儲けられるか損するかやってみないと分らないリスキー性が本質です。
中国市場の大きさに眩惑されて「それでも良いから、政府に狙われない程度に稼げるだけ稼ごう」と達観して進出したい企業だけが進出する・・こう言う冒険する人材の有無もクニの活力度です。
シルクロードや大航海時代新たな発見も皆こうした冒険心が切り開いて来た成果です。
ですから中国開拓の冒険心でやる人を批判する必要はありません。
ただリスクに比例してハイリターンが要求されるので、取引に際して好条件を提示せざるを得ない損失があります。
折角モノを売っても払ってくれないリスクの高い相手には、マージンを高くするしかありません。
信用があればより良い物が割安で入手出来るので、商人に取って信用第一になるのです。
中国が外貨準備を重視するのは国威発揚と外資に不安を抱かせないため(の見せ金)でしょうが、肝腎の外資を国内でいやがらせしていたのでは本末転倒です。
領海侵犯その他で威張っていますがその分信用を損なっているマイナスに気がつかないレベルです。
外資に逃げられても良い・・もう一度改革開放前の民族資本だけの経済・・鎖国状態に戻れるかと言うと今更そうは行かない・・今の中国経済は国際経済に絡み合っているので経済活動が窒息してしまうと大暴動になるでしょう。
最終的には外資から奪い取って?内需に向けている資金を、国内から吸い上げてでも対外債務を払うしかないトキが来るでしょう。
そうなると国民が資金を海外に逃がそうとしますし、政府は逃がさないと頑張ります・近代までの農民流亡を厳しく取り締まっていたのと同じ展開です。
資本規制を厳しくした結果1月末には、中国の外貨準備が少し持ち直したと報道されていることを昨日紹介しました。
資金を海外へ逃がさないように囲い込んでおいて国民から資金を吸い上げようとする分りよい論理ですがそうなると、内需の急激縮小→バブル大崩壊ですからこれまた国内経済は大変なことになります。
今のところ資金供給緩和・・新供給潤沢政策を少し減らす程度で一方で人民元安を防止するために金利だけイキナリ上げると言う変則的政策・奇策をとっているように見えます。
それでも、海外資金流出規制(個々人や企業の外貨持ち出し制限・個人で言えば家計引き締めに留まらず・他人(日本企業への支払を待ってくれと言い出した状態)ですからここまで追いつめられている状況です。
一方で国民の海外旅行熱は衰えません。

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