騙しあい社会1(データの信用性)

大手企業で言えば内部の節約奨励に留まらず一部下請けに支払い延期要請した場合、その噂だけでも他の取引企業が納品を渋るようになり・取り引き条件が悪化し、最悪事態では取り付け騒ぎが起きます。
日経新聞が3月18日に紹介していた不払いの事例は氷山の一角・・一斉のデフォルトではないものの外資のうち特定企業だけ好きに選んで払わないとなれば事実上デフォルトの先触れとなります。
3月14日「政治と信頼1(意思表示の責任)」以下で、トランプ政権の取引外交の問題点として、新たな取引条件次第でいつでも過去の友人を裏切るようでは基準不明・・それが世界を揺るがしている原因であると書いて来ました。
政治は信頼で成り立っているのですが、中国の政策は元々賄賂による歪みがある外に、折角決まった政策実施自体が不透明な基準・人治主義によっていることが大きなリスクです。
中国の汚職摘発も政敵だけ潰しに使っているだけ、何でも暗黙の基準ははっきりしている・・外貨準備が不足になって来たので当面外資への支払先送りしただけであって、国民に影響がないと言うことで国民の支持はあるでしょうが、こう言う二重基準ばかりでは外資は余計寄り付かなくなります。
現在の韓国企業への嫌がらせと同じで、韓国企業かどうかの基準さえはっきりしてれば良いと言うものではありません。
ヤクザに絡まれているの見ると、自分に刃向かって来ないからその場は知らぬ顔をしていれば良いのかも知れませんが、いつ自分に向かって来るか分らない怖さ・・ヤクザと知れば今後付き合いたくないものです。
権力が気に入らなければ直ぐ嫌がらせする「分りよい?」基準では、ルールの「恣意性」が分るだけであって「ルールがないのがルール」と開き直っているのと同じです。
しかも全面的対外支払トップならばまだ透明性がありますが、政府の選んだ相手だけ不払いや嫌がらせするのではなお不透明です。
3月初め頃からマンション相場の公表を中止したと言う報道が出ています。
(近日中に?)値下がりが始まったときに備えてパニック売りを押さえるためと言われてます。
次から次へとデータ開示をやめて行く・・公開するときには加工して公開する・・それで国民が合理的経済活動が出来るのでしょうか?
電力統計に始まってデータ収集はするが、国民に本当の数字は教えない・・権力中枢に近い者だけが本当の数字を知ることが出来る・・計画経済であるから計画立案関係者だけが知れば良いと言えば論理一貫していますが・・。
このような場合、どうせ虚偽発表する予定ならばと下部組織もソンタクして・・地方政府報告段階から水増しが起きて来て政府中枢も本当のところが分らなくなります。
これがソ連崩壊直前にゴルバチョフを悩ました何も分らない状態でした。
「事実に反した政府発表でも従うしかない」社会では、価値の基準が事実に合っているか・正しいことかどうか、噓か本当かの基準ではなく、強者の言うとおりにすることだけが正しい基準社会であることを表しています。
中国2000年の専制支配・・正義によらず好き勝手にやれる政治と言う意味・・支配はまさにこの基準社会でしたが、・・政府発表のデータ信用性のない社会とは「民をシテ知らしむべからず」の専制支配と根底が同じ・・今もこれを続けると言う政府の意思表示です。
中国や朝鮮社会・あるいはやロシアでは正義の基準が権力者がどれだけ強いか弱いかだけの古代基準・・弱みを見せたら言うことを聞かなくなる・・それ以外の基準がまだ育っていません。
だから自分が強くなったと思えば、他国領海侵犯するのは当然の正義と言う意識になるのでしょうし、如何に自分が強いかの誇示するしかないのです。
プーチン氏がグルジョア〜ウクライナ〜シリアその他対外勢力誇示に明け暮れているのも同じです。
国内宣伝・・南京虐殺であれ、慰安婦であれ、自分たちが世界最強アメリカの支持を受けているか否か、日本より強い立場かどうかだけが、基準であって事実に反しているか・虚偽かどうかは何の基準にもなっていません。
日本が事実は違うといくら抗弁して書生論として中韓からバカにされている所以です。
中国に戻ると権力者はデータを好きにいじれる意識の社会ですから、今の中国社会の実相を知るには、天安門広場前ひな壇などに並ぶ序列・出席の有無などで誰が失脚したか、出世しそうか・・権力抗争がどうなっているかを昔から憶測するしかなかったのと同じ状態が続いていることになります。
不透明過ぎる点が、世界の価値観と肌が合わない原因でもあるし、結果でもあるでしょう。
中国では何でも政府の都合次第で直ぐに実態が不明になる仕組みですから中国との付き合いはリスクが大きいと言えば言えますが、商売・起業自体が儲けられるか損するかやってみないと分らないリスキー性が本質です。
中国市場の大きさに眩惑されて「それでも良いから、政府に狙われない程度に稼げるだけ稼ごう」と達観して進出したい企業だけが進出する・・こう言う冒険する人材の有無もクニの活力度です。
シルクロードや大航海時代新たな発見も皆こうした冒険心が切り開いて来た成果です。
ですから中国開拓の冒険心でやる人を批判する必要はありません。
ただリスクに比例してハイリターンが要求されるので、取引に際して好条件を提示せざるを得ない損失があります。
折角モノを売っても払ってくれないリスクの高い相手には、マージンを高くするしかありません。
信用があればより良い物が割安で入手出来るので、商人に取って信用第一になるのです。
中国が外貨準備を重視するのは国威発揚と外資に不安を抱かせないため(の見せ金)でしょうが、肝腎の外資を国内でいやがらせしていたのでは本末転倒です。
領海侵犯その他で威張っていますがその分信用を損なっているマイナスに気がつかないレベルです。
外資に逃げられても良い・・もう一度改革開放前の民族資本だけの経済・・鎖国状態に戻れるかと言うと今更そうは行かない・・今の中国経済は国際経済に絡み合っているので経済活動が窒息してしまうと大暴動になるでしょう。
最終的には外資から奪い取って?内需に向けている資金を、国内から吸い上げてでも対外債務を払うしかないトキが来るでしょう。
そうなると国民が資金を海外に逃がそうとしますし、政府は逃がさないと頑張ります・近代までの農民流亡を厳しく取り締まっていたのと同じ展開です。
資本規制を厳しくした結果1月末には、中国の外貨準備が少し持ち直したと報道されていることを昨日紹介しました。
資金を海外へ逃がさないように囲い込んでおいて国民から資金を吸い上げようとする分りよい論理ですがそうなると、内需の急激縮小→バブル大崩壊ですからこれまた国内経済は大変なことになります。
今のところ資金供給緩和・・新供給潤沢政策を少し減らす程度で一方で人民元安を防止するために金利だけイキナリ上げると言う変則的政策・奇策をとっているように見えます。
それでも、海外資金流出規制(個々人や企業の外貨持ち出し制限・個人で言えば家計引き締めに留まらず・他人(日本企業への支払を待ってくれと言い出した状態)ですからここまで追いつめられている状況です。
一方で国民の海外旅行熱は衰えません。

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