マスメデイアと政治家3(地についた政治)

芸能系スター(ゴシップも含めて)は、昭和40年代頃からマスコミの造り上げた虚像に過ぎないと一般的に言われるようになっていましたが、これらは娯楽なのでそれほどの害がないとして放置されて来ました。
ところが報道界は日常的に脚色〜少しくらい事実より誇大に報道しても許される状況が続いた結果、次第になかったことまで事実として虚偽報道することに抵抗がなくなって行った(麻痺)ように見えます。
マスメデイアが世論誘導したい方向へ10のことに尾ひれを付けて20に言うようなことが日常化していた結果、ないことをあるように捏造報道に走ったのが珊瑚礁やらせ報道だったと見るべき・・重大な事件発覚でした。
これは氷山の一角・タマタマ地元民が頑張ったからであって、普通の政治関係では事実確認出来ないのでどうにでも脚色出来ます。
しょっ中新聞では10数年前の出来事として「真相」と称して「誰が◯◯と言ったら誰それが△△と応じた」と言うまことしやかな裏話・ストーリーが展開されています。
この種の話は現役の政治家でさえも、(「俺はそんなこと言ってないよ」と言う場がないまま)否定するには難しい仕組みで展開されます。
名誉毀損で訴えるほどのことでない限りかなり悪い人間のような報道をされても反論する場もないやり方ですから、メデイアは書きたいやりたい放題です。
例えば今朝の日経朝刊2pにはトランプ氏のプーチンと電話会議中にプーチンから新スタート(戦略核兵器削減交渉の合意)の話題が出たときに「新スタート」とは何だ!」と同席している側近に聞いてバツが悪かったらしく、「俺の人気はすごいんだ」と話題を急転換したと出ています。
要するに外交のイロハも知らない大統領がプーチンと交渉していると言う印象付けですが、トランプにとっては日本の新聞記事までチェックして反論するヒマもないでしょうから報道されっぱなしです。
この場合には、電話の公式記録が残っているからまさかでっち上げ出来ないでしょうが、(と言う理由で滅多に検証しませんが、実は検証したくとも一般的には首脳間電話会談記録はトップ級の秘密ですからメデイア界に身を置く人でも滅多にチェックする方法がない筈です)日本の過去の政治家の私的発言などを「如何にも何かから引用しているかのような書き方をしていますが」、どう言う基礎データに基づくのか全く引用がありません。
こういう洪水的一方的やり方・・政治の世界・全ての分野でゴシップ・・マイナス報道を含めて事実に基づかない虚像を作り上げて行くことが常態化して来ると、「噓を広げた方が勝ち」みたいになって社会・道徳が蝕まれて行きます。
国民の多くの行動決定は事実を前提にしているのですが、目前事実以外の社会で起きたことを知るにはメデイアによるしかありません。
各種社会現象・政治の動きに対する脚色・誇大・つまみ食い?事実の中の一部だけ取り出して脚色報道する姿勢が蔓延してこれが政治に及んで来た・・私の記憶で弊害が目立つようになったのが、5日に紹介したとおり、昭和50年台半ばに入ってからです。
小池氏(1992年)も蓮舫氏(2004)も最盛期のマスコミの意を受けて政界に出て来た人物ですが、議員であるだけならばマスコミの洪水的報道だけで人気を保てますが、実務責任者になるといくらマスコミが煽っても実務が始まれば、実績がモノを言います。
マスコミは煽り虚像を作り上げる能力はありますが、虚像である限りメデイア映えする演技力さえあれば良いのですが、政治家の場合実務が待っているので演技だけではなく実務能力がないとその先はありません。
トランプ政権も同様ですが、トランプ氏は一見マスコミに頼っていないように見えますが、実際にはマスコミ対決を演出してマスメデイアを最大利用して当選したに過ぎません。
彼の場合もひっきりなしにマスメデイアを罵ったりして、常に大きなニュースとして露出し続けることが政権の命づなのように見えます。
メデイアとの対立ばかりでは政治が進まないので、最近手詰まりっぽくなって来たのも小池知事に似ています。
小池氏もマスメデイアを利用した虚像・演出で・・内田氏と言う反論出来ない相手を黒幕らしく作り上げていましたが、・・報道を見る限り彼を通していろんな政治案件の根回しをしていたと言うだけ・・有能で都政の円滑化に役立っていたことが分るだけで、彼の何が都政に害をなしていたのかさっぱり見えません。
これを敵に祭り上げてはその攻撃ばかり・・何をやりたいのかさっぱり不明・・これが千代田区長選挙で終わると今度は石原氏に対して築地市場移転決定経緯を追及するとメデイアでは大騒ぎですが、今決めなければならない築地移転をどうするかの重要決定とどう言う関係があるのか不明です。
この辺はFebruary 22, 2017に別のテーマの途中で書きましたが、・・そもそもオリンピック関連騒動も如何にも森元総理を黒幕・・悪の権化みたいな印象操作(小池氏とメデイアの総合演出?)でズームアップしていましたが、結局あの騒動は何だったのか?関係自治体に期待を持たせて振り回しただけで終わった印象です。
喫緊の課題であるべき築地移転をどうするのか?についても、メデイアを駆使して騒ぎまくっているものの、どうしたいのか見えない・・行き詰まりの過程で石原氏との対決演出です。
10年以上前の決定過程を検証すると息巻いている様子ですが、緊急を要する市場移転問題の決定にどう言う関係があるのかまるで見えません。
今はネット空間が発達していて、私のようにメデイアを介さずにいろんな意見を出せますので、マスメデイア利用さえ出来ればいい時代ではありません。
その内「いい加減にマトモな仕事をして欲しい」という都民の気持ちをマスメデイアが押さえ切れなくなるでしょう。
小池氏が、具体的始動に失敗すると「空騒ぎばかりの小池都知事」として都民の信頼を失い、小池〜蓮舫〜鳥越と続いたマスコミによる政治家虚像造りの最終編となるのでしょうか?
トランプ政権の可能性に戻ります。
人権、民主主義、平和を守れ、都民ファースと、あるいはアメリカンファーストと言うスローガンだけで、具体的に何をするのか、出来るのか分らない人物をメデイアに煽られるままにブームに乗って投票する方のレベルが低いことが問題です。
ボトムアップによる地に着いた人物評価がないままで、イキナリメデイアの応援を受けて躍り出るスターの人気投票制度・・メデイアの影響力の大きい直截選挙の弊害と言えるでしょう。
自分の能力に関係なくオリンピックで金メダルとりたいとか◯◯選手権で、優勝したいと言うだけならば誰でも言えます。
社長になって売上を3倍にしたいと言うのも、言うだけならば、誰(その辺の浮浪者も)でも言えます。
各種の選抜は、意欲だけで選抜するのではなく実現するに足る能力が備わっていることが先決問題です。
「社員のための企業にしたい」言いさえすれば、「立派なことを言う」と言って浮浪者を社長にしないでしょう。
成果を上げられるだけの能力があるかどうかが重要であり、意欲だけ立派な素人をサッカー、テニスその他の選手に選抜してもアジア地区予選でさえ通過出来ません。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC