健康寿命と自立可能年齢4

17日以降書いて来たように健康寿命とか自立期間の定義自体ハバが広いのですが,この調査自体、いろんな角度から研究には汎用性があって意味があるでしょうから、厚労省が健康寿命の統計をとること自体無駄でありません。
例えば幼児期から難病の子供が20歳前後で死亡するまで100%非自立期間であった場合や、40台に交通事故で入院期間中も非自立期間に相違ありません。
ある人の寿命中どのくらい医療費・介護費がかかるかの概数計算するには、生涯期間をとおした介護や入院期間を計算する健康寿命の調査は合理的です。
しかしこれはいろんな特定目的の研究者に使えるようにするためにハバ広く調査したに基礎資料に過ぎないのですから・・特定目的に使うにはこの調査結果・・基礎資料から関連項目別に抽出して検討する必要があります。
マスコミが「長寿も良いが健康でいる期間を長くしたい」とと言う方向へ一般大衆に向かって報道する場合の健康・・自立期間は、上記書きぶりからして、「人生最後の高齢化してからの非自立期間を短くしましょう」を暗黙のターゲットにしていることは18日にネット報道の一部を紹介したように明白です。
この議論方向の場合、健康寿命から結論を導き出すのでは、マスコミ発表資料がかみ合っていないことを問題にしています。
上記のようなマスコミ報道ブリを見る一般人は、老後どのくらいの期間介護の世話になるのかな?に関心が誘導されるのが普通で、国家財政上どうなるかの関心で見たリ読んだりしていません。
マスコミが保険財政問題を論じたいならば、そのテーマで健康寿命中の生涯医療費等の細かいデータを紹介してこれに即した意見を書くべきです。
今はコンピューターが発達しているので、大雑把な生涯医療費ではなく、例えば難病奇病等で5〜10歳で亡くなった人や原因は別として各年齢別死亡者の生涯平均医療費を年齢別の数字で表せる筈です。
そうすればどの年齢で死亡している人が生涯にどのくらい医療費を使っているか、その間どのくらい保険料を払っているか・・死亡年齢別収支が明らかになります。
この後で保険財政赤字と高齢化の関連を書いて行きたいと思っていますが、このような統計を駆使した議論こそが必要であって「高齢化で赤字になっている」と言うムード報道ばかりしているのは一定の意図を感じざるを得ません。
健康寿命→寝た切りの短絡報道に戻しますと、意見テーマに即さない如何にも関係のありそうな別の統計を持って来るのは、無意識のうちに虚偽報道しているのと結果が同じです。
言わば、事故報道に関係ない場所や関係ない人の顔写真を持って来るようなもので・・こう言うのは虚偽報道にあたりませんか?
私を含めた国民大衆・・素人は、1昨日から紹介して来た健康寿命と高齢化社会を結びつけるマスコミやネット報道を見ると、生まれつきの難病者が一生涯非自立期間だった場合や人生途中でちょっと入院した期間を含めた非健康期間などが、まさか計算に入っていると気が付かないのが普通でしょう。
高齢化→寝たきりその他、「下の世話」になる期間が長くなるのをみんなが怯えていて「ピンピンコロリ信仰」さえ言われている時代です。
この不安に答えるつもりならば、端的に介護度2〜3〜4の人を年齢別にはじき出して年齢別母数に対して(詳しくは地域別に)何%になっているかを報道した方が分りよい筈です。
(70歳では、介護度2が何%、介護度3が何%、4、5が何%等々と年齢別の介護率表を出して行けばい良いことです。)
このデータ処理を怠って、健康寿命と言う幅広い概念を持って来て寝たきり開始期間に結びつけるようなムード報道に徹しているのは、不正報道に近いでしょう。
見出しを見るだけで流して行く多くの人にとっては、(18日に紹介したネット記事で言えば、私の場合、従来見出ししか見ておらず、18日にこのコラムを書くために始めてネット内容をクリックしたに過ぎません)人生最後の介護期間がこんなに長いのか?と(私のようなそそっかしい人に対しては)誤ったイメージ植え付け効果が生じます。
報道各社は、「可能性」を書いたに過ぎない・・「寝た切り開始と誤解するのは読解力がないだけだ」と慎重に「逃げ」の単語を書いていることから見ると本当は寝たきり開始時期とは違うことを知った上で書いている・・ミスではないことが明らか・→意図的?です。
そこで、こうした関係ないデータ報道がマスコミ全般に行なわれていて健康寿命の年齢と「寝たきり」とは関係ないと言う報道が全く見当たらない・・マスコミ各社の暗黙の意思統一が行なわれている・・一種のカルテル結成の原因・不思議な構造原因・意図を勘ぐってみたい誘惑に駆られます。

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