道義違反の代償2

ここまでで、昨年書きかけて先送りしていた「日本の補完性」シリーズを終えて、5月21日の道義違反(おとしまえ?)の続きに戻ります。
上記の補完性シリーズのとおり、アメリカの強制する虚構歴史がいつかは維持出来なくなって来るのは明らかですから、アメリカは本来その修正にどのように軟着陸するか困り始めている(自覚の有無にかかわらず)状態と言うべきです。
日本に対して申し訳ないことをしたと言う態度を示すべきトキが来ると思われます。
ただし、昨日の終わりころに書いたように、アメリカ人と日本人は基本価値観が違いアメリカは中国人の方が気持ちが合っているのは確かですから、中国が明からさまな挑戦をして来る限度・期間だけ仕方なしに日本批判を抑えているだけであって、中国関係が落ち着けば・・熱い争いは最終戦争にならない限り短期に落としどころが決まるものです・・そうすると日本批判が復活する可能性があるでしょう。
このように短期利害に応じて一時的に利用したものを用済み後切り捨てることの繰り返しが、アメリカの信用を損なって来たのですが・・。
アメリカが自己の道義違反をいつになったら謝るのか?と言う私の関心は、長期スパンでの意見・・中期的には希望観測に過ぎないかも知れません。
アメリカの方が人種差別や植民地支配を守るために、しかも戦争の方法において重大な人道犯罪を犯しておきながら、逆に人道犯罪の汚名を日本着せ続けて、無辜の日本人を見せしめ処刑した悪質さは「盗人猛猛しい」を地で行った悪質さです。
この重罪大犯罪を謝るどころか、・・戦後70年以上も、噓の上乗りするために、日本を貶め続けるために、中韓(中国の歴史自体が史実を書くものではなく政権を取った王朝がそっくり書き換える歴史の繰り返しでした)を唆し、彼らが踊り続ける策謀の後ろ盾になり続けて来たのですから、この時間の長さに比例して人道的罪が深くなっています。
(中韓の日本批判の裏には日本を永久的に反道義国のレッテル貼りをしておきたい悪意+中韓と日本離間策・・裏で糸を引くアメリカの陰を思わない日本人は滅多にいないでしょう)
米国の国力が圧倒的強国から、同盟国の協力を得ないと何も出来ない相対強国になって行く過程に入って行く場合、最後まで日本悪玉論の歴史観の強制で貫徹出来る訳がありません。
正義と不正義の違いはいくら誤摩化しても、誤摩化し切れない時期がいつかは来るものです。
アメリカの圧倒的武力が縮小して行き、いつかは相対的強国になって行くしかないのですが、そうなるとアメリカは同盟・協力関係がないと、ヘゲモニーを維持出来ません。
相対的強国になると正義の基準・・会議運営能力がないと同盟国間の合議を指導して行けません。
今や国際政治でアメリカのやることなすこと全てうまく行かないのは、国力低下だけが原因ではありません。
アメリカのやることには、邪心・・自己利益追求・利益誘導主義で第二次世界大戦になった原因を含めて正義がないからです。
邪心による対等者間あるいは比較優位者間の調整作業では、どこの民族も疑心暗鬼になってしまって言うことを聞きません。
アメリカ支配が続いた結果、中韓の日本批判のように(ことの善し悪しを別として)「自分がうまく利用出来る範囲で協力する」と言う「悪者連合」が世界のあちこちで成り立っている状態です。
アメリカの旧同盟国はサウジに始まって血縁関係のあるイギリス、ドイツ等を含め、善悪を別として利益のある限度の同盟国「・・悪者連合」でしかないから、両国はアメリカの言うことを聞くより中国の方が、儲かるとなれば公害や人権弾圧・・周辺国への武力威嚇など全く気にしないで、アメリカの制止を振り切って、AIIB参加を象徴として中国へ傾斜・投資拡大に走ってしまいました。
ドイツ在住日本人のインタビューを20日にきいていると、日本のような中国関係のマイナス報道が一切なく、どちらが本当か分らなかったらしいのですが、今年に入って、中国の株価暴落が始まり利用利益がなくなって来ると、それまで全く報道しなかったひどい公害や、過剰生産の問題・・公害のひどさや人権弾圧・軍事拡張主義のマイナス面を一斉に報道するようになっているようです。
(金儲けにならないとなって来ると、人権侵害が如何に酷いかなどの報道を始める御都合主義そのものです)
西洋では、正義の基準よりは、利害によって離合集散を繰り返す・・絵に描いたようなどん欲な世界地図が明らかになってきました。
これが西洋が行動基準とするどん欲な価値観の本当の歴史であり、近代社会が強盗が闊歩するような修羅場になってしまった原因です。
このどん欲な利益獲得基準による世界運営に限界が来たのが、中東での収拾のつかない混乱の原因ではないでしょうか?
利害関係の軽重と腕力だけで収拾しようとするから,参加者が増えて利害が入り組めば入り組むほど収拾がつかなくなります。
3人よれば文殊の知恵ではなく,利害が複雑になるばかりです。
利害の調整であれば参加者が少ない方が簡明です・・ABニ者ならば足して2で割る簡単な妥協が成り立ち易いですが、米、ロ、シリア、サウジ、イラン、イラク、トルコとクルド族対ISなど入り組んで来て、利害関係者が増えれば増えるほど「あちら立てればコチラ立たずで」利益調整方式では成立出来ません。
最後は利害のない正義だけが基準で行動する日本の出番でしょう。

覇道の限界と日本の補完性7

世界で孤立し始めた・・何をやってもうまく行かなくなったアメリカが(世界のあちこちで日本の助けを必要としているので、)遂に日本の戦争犯罪を言い続けられなくなって来たのが、今回(15年5月の原稿です)の安倍総理の訪米→戦後初めての上下両院での演説実現でしょう。
アメリカは今後日本が旧敵国であったことを明白に否定出来ないまでも、同盟国であることを強調して出来るだけ旧敵国だったことに触れたくない方向・将来的にうやむやにして行くしかないと思われます。
(この辺の原稿は安倍総理訪米前の下書きです)
アメリカ自身は、長期的には中国の方が盟友であって、日本は敵国のママですが・・当面アメリカに逆らう中国にお灸を据えたい政策に、日本がどのように協力してくれるかを知りたいのであって、そのためには当面日本の謝罪をこれ以上望んでいないし古傷に触れたくないとしても、日米離間を策している中韓両国としては、息のかかった記者を通じてこの辺を記者会見で執拗に質問追及して行くと思っていましたが、安倍総理のアメリカ訪問時に執拗な質問が出たと言う報道がありません。
中韓の息のかかった日本の記者も「場」の雰囲気(アメリカでは戦争責任よりは今後の同盟関係維持に関心がある)に負けて、追及し切れなかったようです。
(安倍総理訪米前にはこの種報道が圧倒的に新聞紙面を賑わしていました・・この辺は昨年訪米直前の原稿で、謝罪の仕方ばかりにこだわるマスコミはおかしいと言う視点で書いていました)
反省謝罪が足りないとばかり言われると、「アメリカの方が悪かったじゃないか」と反論したくなる人が増える一方ですから、建設的な方向に行きません。
これを煽りたいのが中韓両政府とその意を受けたマスコミの狙いです。
今後「旧敵国」がどうのとか「反省謝罪が足りない」と言い募る向きは、日本のための言論ではなく、中韓政府の回し者・・日米離間の策を目的とした行動程度に理解して相手にしないのが賢明です。
(この原稿は昨年5月のものですが、その後約1年間で「反省の態度が足りない」と言うマスコミ報道が減ってきました・・そんな国際状況ではなくなって来たし、アメリカが求めてもいないのに何故日本マスコミが戦後70年談話などの表現にこだわるのか、誰の回し者か?と言う意識が急速に浸透したからと思われます。)
日本はここ4〜5年の中国の動きに対して、はっきり「ノー」と決めて当面アジアでのアメリカ支配を支え続けることに決めたし、アメリカはそれを求めているからです。
ただし、対中関係が収まったら・・中国がアメリカのメンツを無視した行為をしたために・アメリカはアジア諸国に対して格好がつかないので航行の自由作戦と言う程度の格好付けをしているだけあって、中国と本気で争う気持ちはないと思われます。
これはオバマの腰がふらついている・・個人資質によるのではなくアメリカの本心です。
・・前から書いているように民族本質的(正義や信義よりも金次第の傾向・・)に見れば、日米より米中韓の方が親和性があります・・中国がアメリカのメンツを立てる方向へ引き下がりさえすれば、米中の争いが簡単に終わります。
・・米中の対立は「ホンのいっとき」のことですから、米国は反日をやるタネ・・反日勢力を温存したい本音があるでしょう。
ただ中国も国内危機激化によって、簡単に引き下がれないメンツの国と言うか柔軟性に欠ける国ですから軍事基地化工事を途中でやめたり緩めることが出来ない・・逆にエスカレートするしかない硬直性がどうなるかと言うだけです。
結局は中国の経済危機がどうにもならなくなってくれば(3月予定のFRBの金利引き揚げ→中国が打撃を受けますが、その他新興国の打撃も大き過ぎるので実際に出来ませんが、これの延期なども交渉材料として駆使されていると思われます)最後は米中の和解が進むように思われます。

覇道の限界と日本の補完性6

TPP参加では、中国寄りの民主党政権下でバスに乗り遅れたものの、アメリカが参加期限を延長して日本参加を待つしかなかったのは、中国のAIIB構想(中国は日本参加を待つために締め切り期限を延長しました)同様です。
世界中(アメリカだけではなく中国もロシアもブラジルも)がいろんな構想実現のためには、日本の参加を正統性・信用力補完のために必要としているのが現状です。
冗談で言えば、アメリカがミスアメリカに日本を加えると、ミスワールドと言えるようになったのと同じです。
中東の紛争国であれ、EU加盟を模索しているトルコであれ欧米に対する不信感はかなりの程度に達していますが、日本に対する信頼性は高いことが知られています。
アメリカ国内でさえも同じで、人種的差別・偏見のリスクの高い裁判では、中立性・日系裁判官が一番信頼度が高いと言われています。
今やアメリカは日本を旧敵国と差別して苛め続けられるような国際情勢・力学ではありません。
旧敵国関係の強調はアメリカによる日本差別の力学の基本だったのですが、今後は悪くすると日本によるアメリカ差別の力学に作用する材料になりかねません。
一日も早く旧敵国関係を解消して「太平洋戦争の惨禍」を日本に忘れて欲しいのはアメリカの方ではないでしょうか?
被害者がいつまでも酷い目に遭ったと言い続けるのは分りますが、加害者であるアメリカがいつまでも加害したことを自慢し続けて来たのは異様です。
毎年のように「何周年だから謝れ・・お前の親世代が戦争に負けたのだから、謝罪しろ」と言い続ける神経(人としての智恵)が分りません。
正義感が全く存在しない・・道義観念が狂っているアメリカ精神の一面を表していると言えるでしょう。
喧嘩に負けた方の被害がより大きいのが普通ですから、何故加害者・勝者に謝り続けるのか不思議です。
15年5月アメリカ訪問時に安倍総理が米兵死者に対するお悔やみの言葉を述べていましたが、攻撃して来て死んだ人に何故攻撃された方が謝るのか不思議な気持ちにさせられました。
無辜の民を皆殺しにするために空襲に来て撃墜された飛行士の霊にお悔やみを言うくらいならば、アメリカの方はその何百倍(東京空襲死者だけでも約30万人ですから死亡に至らない被害者はその何倍です)も謝るべきではないでしょうか?
加害したことは早く忘れて欲しいのが普通の智恵ですから、殺人犯が、70年間も「お前の先祖は俺に殺されたのだ」・・「加害されたことを忘れるな!」と言い続けて年に1回反省の弁を述べろと言い・・表現を毎回以前よりもレベルアップしろとか、トーンダウンしていないかと大騒ぎして迫って来るやり方・・年中行事化?を続けて来たのは、余程レベルが低いとしか言いようがありません。
アメリカとしては、置き土産として育てておいた反日分子が一人歩きしているのであって、アメリカ自身はとっくに反日政策を放棄しているのかも知れませんが、占領後の置き土産に育てておいた反日勢力の跳梁跋扈・(アメリカの後ろ盾がなくなってからスポンサーを中韓に切り替えたのかも知れませんが・・)一人歩きをそのままにしておいて自分の気持ちは変わっていると言う言い訳は通りません。
刑事事件で言えば、共犯仲間が実行するのを放置して自分一人が現場離脱しても、中止犯の適用がない・・未遂でなく既遂犯です。
まして自分が命令・教唆して手下が実行に向かっているときに、自分の気が変わっただけで手下に実行を中止させないで放置した場合、手下が実行すれば命令・教唆者が共犯責任を負うことは法の素人でも分ることです。
時限爆弾(反日教育や宣伝は何十年も効果が持続するものです)を仕掛けてから、反省してやめる気になった場合、仕掛けておいた爆弾(反日宣伝システム)を撤去すべき責任があるでしょう。
(何十年も持続効果のある)爆弾や毒物の撤去努力をしない以上は、やる気で放置していたことになります。
法的には継続的加害行為と言う不法行為類型がありますが、(事件発覚を恐れて何十年も監禁していた誘拐事件がたまに発覚しますが・・)余程悪事露見が怖い・・東京裁判の不正義を暴かれるのが怖くて、70年間日本を脅し続けて来たことになるのでしょうか?

覇道の限界と日本の補完性5

日本はアメリカにとって「旧敵国のママで結構です」と日本が明言し日米対立状態が仮に明白になれば、フィリッピンを始めアジア諸国はアメリカを信頼しなくなる・・アジア諸国でのアメリカの影響力に大きなマイナス効果が及ぶことが明らかです。
アメリカが曲がりなりにも正義に則って行動するしかなくなって行くと、アメリカのように相手をやり込めて有利な契約さえすれば良いと言うやり方ではうまく行きません。
今後は相手の立場をじっくり考えながら行動することで、世界各地で着実に信頼を勝ち得ている日本の助力が必要です。
アメリカのアジアプレゼンスは、今や日本の暗黙の支えがプラス要因になっていて、その比重が今後上がる一方でしょう。
集団自衛権行使を可能にしてアメリカ軍を応援するかどうかと言う物理的側面は、実は大したことがありません。
日本のフィリッピン等への応援は、巡視艇1〜2隻でも良いのです。
実際の軍事力で見れば、大量のアメリカ軍に比して日本の船が1〜2隻行くか行かないかは大した問題ではないでしょう。
アジア諸国にとっては、日本がアメリカの軍事援助に支持を示すかどうかが、アジアの民心にとって、大きな意味があります。
日本の後ろ楯がなくなれば、域外のアメリカが大きな顔をして介入する名分が弱くなってしまいます。
アメリカによる過去のフィリッピン支配が酷過ぎて全面撤退を求められた過去がありますので、フィリッピンにとってもう一度アメリカ軍が必要になったとは言え,アメリカ軍に全面的に頼るのは本音ではイヤ・・アメリカに大きな顔をさせないためのお目付役として信頼のある日本に一緒に来て欲しいのが本音です。
ベトナムだってミャンマーだって皆同じで、アメリカに経済制裁を受けていて中国しか経済交流出来ないことから中国の横柄な進出に屈しているしかなかったのですが、中国の横暴を許さないために日本と気兼ねなく交流するには、アメリカによる経済制裁解除が必要でしたから仕方なくアメリカと友好化していますが、アメリカに進出して欲しい訳ではありません。
(ミャンマー独立戦争支援の経緯から、日本とミャンマーは密接な信頼関係がありましたが、これを嫌った英米国際支配体制が、軍事政権を理由に経済制裁をして、日本もこれに従うしかなくて交流停止になっていたものです)
この辺はキューバでも同じで、アメリカの経済制裁解除によってキューバは日本等との自由な交流を期待しているのであって、アメリカだけに独占的進出されて結果的に再び隷属下におかれたいとは思っていない筈です。
イラクにしろアフガンにしろ、「日本が一緒に来てくれるならば良いがアメリカ軍だけ来るのはイヤ」と言う本音の地域が世界中で増える一方と思われます。
この辺は中国の進出先であるアフリカ諸国も同様で、中国が実際に進出してみると粗野・横柄な態度で大いに嫌われています。
今後アメリカが独自で行動するときには、(既に至る所で信用を失っているので)世界で孤立化し嫌われる一方ですから、この時点で世界の有力国・日本を揺るぎない同盟国として(まだ仲間には日本が残っているよ!と)宣伝したいところではないでしょうか?
今や、日本が一緒について来てくれたら、アメリカの無茶があってもうまく取りなしてくれるのではないかと言う信頼が世界中で根付いています。
秀吉には、秀長と言う人材があってこそ、天下を取れたと言われています。
アメリカの独り相撲であったTPP交渉でも、日本が入ったので多くの中小国がその意見代弁をしてくれる期待感で日本とアメリカの交渉に期待していました。
日本抜きのTPP交渉では日本が入らないと力関係に差があり過ぎて、マトモな交渉になっていなかったのです。
TPPに限らず、いろんな分野で日本の参加がアメリカの推進する構想の信用性補完に不可欠になりつつあるのが実態です。

覇道の限界と日本の補完性4

23日に紹介したロシア革命で妥協・部分的正義を採用した結果,却って旧支配層の支持を失い、他方で半端な改革に対する不満の挟撃にあって、革命になってしまったことを紹介しました。
覇道から王道への部分変化は、正義の基準が貫徹する訳でもないし、アメリカの好き勝手な意向だけでもない・・基準がゆらいでいるのですから、周りがどうして良いか分らなくなる・・いわゆるパックスアメリカーナ秩序が混乱するのは当然です。
アメリカが部分的にも正義を基準にするようになると、それまで善悪を無視して兎も角「アメリカの敵を批判さえしていれば覚えが目出たい」といじめっ子の御先棒担ぎをやって来た国々は、文字どおりはしごを外されかけて(正義の基準採用でイキナリ慰安婦データが出て来たりして)不満を持つことになります。
アメリカは国力の相対的低下によってある程度正義の基準を採用するしかなくなって来た結果、世界中できしみが目立つのはアメリカの言わば、ポチをやっていたような国(サウジや韓国のような)との関係中心ですから、私は上記のようにこれを見ています・・。
政治は複雑多様な組わせですから単純ではありません・・目先の大きな要因としては、サウジ切り捨てはアメリカ国内のシェ−ルガスやオイルなどの開発による中東の石油資源依存率低下、韓国に関しては中国寄りに動いたことが大きいのは当然ですが、基礎構造としてアメリカの無茶が通らなくなった・・王道政治が一部出て来た効果を書いています。
この切り替えをうまく出来ないのはオバマの政治力が低いと言えば言えないことがありませんが、ロマノフ王朝が農奴の待遇改善に舵を切った結果混乱してロシア革命になったことや、幕末に徳川家が諸候の意見を聞くようにしたところ、却って足をすくわれたような大変革期にアメリカが入っているのではないでしょうか?
アメリカは勃興以来桁違いの資源保有をバックに圧倒的国力差のある関係しか殆ど経験していません。
ちょっとした国力差〜対等者間のややこしい外交交渉を経験していませんし、国力衰退した弱い立場での交渉経験もありません・・無茶でも何でも押しきれた気楽な政治しか経験がありません。
ややこしくなればモンロー主義のような一方的・・問答無用的ドクトリン・・単純化して言えば、イエスorノー程度を迫る経験しかない・・幕末日本に開港を迫った交渉態度を見ても明らかです。
一般に撤退戦術ほど困難な戦術がないと言われるように、国力縮小過程の政治には余程の熟練政治家が必要です。
昨日、ロシア革命の例を書きましたが、徐々に戦力縮小するのは難しいので、思い切った戦術としては世界中でのコミットメントを一切やめると言う道が1つの選択肢です。
これが,アメリカは世界の警察官ではないと言い出した意味するところです。。
しかし、昔とは違い地下資源さえあり余るほどあれば引き蘢れる時代ではありません。
今ではアメリカの覇権確立を利用してアメリカ企業が世界中に展開しているし、世界企業がアメリカ国内で展開しているなど世界経済の一体化が進んでいる外、インターネット空間が普通になっているので、国境は意味がなくなりつつありますから、イヤになったからと引き蘢りさえすれば良いと言う訳には行きません。
中ソは領土が広いし資源があることを理由に世界から隔絶した空間で頑張れると言う触れ込みでしたが、結果的に世界の進運から大幅に遅れてしまった例を見ても、今の時代の引きこもりはなおさらフリになります。
TPP創設は域内では、腕力で決めるのではなくルールで決めると言う意味ですから、アメリカがTPPを主導していた以上は、正義を基準にする世界になっても、今後も引き蘢らないと言う宣言にもなりますが、動き出してみるとアメリカの無茶な意見が通らない・・日本の運営に頼るようになるとイヤになって抜け出すかも知れません。
だからよその国のことなどうでも良い・・引きこもり願望を基礎にするトランプ候補などは初めっからTPP反対でしょう。
民主党候補のクリントン氏と競っているサンダース氏も国内分配中心ですから、よその国に構っていられないと言う点では同根です・・。
大統領候補を決める予備選挙の動きはアメリカ国民がイエスorノー以外の正義の微妙な基準に適応出来ないで困っている状態を表しています。
世界中での信任が低下し始めているアメリカがすぐに引き籠り宣言するほどの勇気がないので、当面なお少しでも長く影響力を保ち続けるには微妙なサジ加減になれている日本のアドバイスや助力を必要とする時期が来ています。
アメリカがまだ少しは世界で発言力を維持したいとなれば、・・東南アジアでも東南アジアに限らず混迷を深めている中東でも、日本の信頼度は抜群ですから、世界で信頼度の高い日本が、世界各地で日本がアメリカの政策を支持するか否かの重要度が高まりこそすれ低下することはないでしょう。
難度の高い事業を中韓が仮に受注しても、日本からの核心的技術応援を前提にしていることが多くなっているのと同じです。
民主党政権時代には中韓が日本を属国扱いで、自分が受注すれば当然協力させられると言う前提で日本企業を押しのけて自前の技術もないのに海外受注を受けていましたが、慰安婦などの攻勢を受けて、嫌中韓感情が高まった結果、日本の受注を横取りしている中韓に「協力だけ出来るか!」と言う雰囲気になってしまい、日本の協力得られなくなってしまい、受注したものの完成させられないで困っていると言われています。

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