弁護士会執行部の支持基盤3(派閥・政党の効用1)

会長選任・・会長の政治基盤に話題を戻しますと、千葉では、同期の話し合いで会長に立候補する状態は今も続いていますが、ここ10〜15年ほどの傾向では支持基盤を補うためか?会長が過去に関係して来た各種委員会の同志的結合を支持基盤にする傾向が出て来ました。
常議員会議員立候補では年功に関係がないこともあって、各種委員会推薦が正面から(立候補理由に「◯◯委員会活動推進のために」と言う主張を明記する傾向・・)幅を利かすようになっています。
宇都宮健児氏が東京の大派閥の締め付けを破って地方会を主な支持基盤として日弁連会長選挙に当選したのは、同氏が長年活動して来た消費者系委員会の強固な支持があってのことです。
執行部成立の支持基盤が派閥支持と地方単位会の大規模委員会支持の違いは、支持基盤が単色系になるかどうかの違いです。
東京の派閥で言えば、数千人規模の会員を擁しているので、千葉県弁護士会よりも充実した各種委員会を内部に抱えてそれぞれが合宿したりして研鑽を積んでいるようです。
東弁等の会の公式委員会と派閥委員会との関係は、国単位で言えば、政府税調の外に党税調があるような関係です。
この幅広い分野について意見集約した結果を利用した・派閥を支持基盤とする執行部意見は、安定性がありますし、対立する別の派閥の意見もはいってきますので、執行部はこれらを総合判断出来る利点があります。
これに対して、千葉県弁護士会等のように単一委員会推薦に偏るとその委員会の主要テーマ以外には何も知りません・・「一般(常識)意思によって判断して下さい」と言うお任せになってしまいます。
一見一任されていて強力なようですが、これでは却って執行部は脆弱になります。
中国共産党政権は独裁なので一見何でも出来る強力な政権のようですが、信任を受けていないことが逆に脆弱性を抱えていると言われていますす。
単位会で、例えば民暴系あるいは刑事弁護センター系の支持を受けて会長になっている場合、出身委員会に関係のない他の各種委員会の意見・・政治論争に関してはいろんな意見の人が交じっていて、どの委員会出身だからどう言う思想かの色分けがありません。
政治問題だけではない・・例えば、男女共同参画に関しての意見も出身委員会での個人の意見は多分マチマチと思われます。
共同参画の程度に関する意見が一致しているから、民暴系委員会や消費者系活動している訳ではありません。
委員会別に・・例えば民暴委員会や修習委員会などが、共同参画問題に対してどう対処するかの意思統一していません。
但し、大規模委員会の動向を知り支持も欲しいからか、最近の会長は松戸支部等の大規模支部出身や大規模系委員会から副会長を確保するようにしている傾向です。
各種委員会はそれぞれ別のテーマで活動していることから、他の委員会の意見に対して委員会としての意思統一することはありませんから、ある委員会意見が出て来るとこれをチェックする委員会または組織がありません。
カウンター意見を求めるシンクタンクがない結果、執行部で余程の自信がないと、出て来た委員会意見(◯◯反対集会開催を執行部が拒否できない?・せいぜいこの点はどうかと疑問を呈する程度で)に引きずられてしまうリスクを避けられません。
重要議案では間に常議員会の審議が挟まりますが、上記のとおり各議員それぞれ別の委員会や地区等からの推薦ですから、よそ様の委員会で時間をかけて練り上げられた意見・決議を否定すべきだと「個人的意見」・強硬論を吐くには余程の勇気と自信・個人的な経験がいるでしょう。
(上記のようにちょっとした疑問・政治活動にならないかなどの遠慮がちな疑問を出したところで→「これについては委員会内で議論を尽くしましたが問題ないと言う結論でした」と言うやり取りで終わってしまうので誰も何も言わなくなってしまう・・せいぜい字句修正等・・これは飽くまでこれは各人が黙っている・・全員一致意思の推測です。)
このような状態で会を運営していると、委員会が決議をすると余程のことがないとそのまま約750人の会員意思になってしまうのでしょうか?
これが「正式な機関決定を経ているから民主「的」と言われる弁護士会の意思決定メカニズムと思われます。

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