サイレントマジョリティ4(委員会4)

気のあった人ばかりで構成している委員会意見は、出席率100%の決定でも、弁護士会全体の信任を得ていることにはなりません。
大学自治会が中核派、革マル派等々のプロ集団が牛耳るようになってから、彼ら自治会名の行動や声明が、その大学の学生多数意見を反映していると思う人は殆どいないでしょう。
中核派の内紛事件で、監禁され暴行を受けていたらしい仲間がビル屋上から飛び降りたか落とされたかした事件の捜査で、1週間程前に京都大学の学生寮の家宅捜索が行なわれていました。
しかし、今では京都大学や同大の学生=中核派と思う人は皆無に近いでしょう。
弁護士会の政治的色彩の強い各種委員会が似たような関係になっているかはっきりしませんが、各種委員会そのものが「おたく」プロ化している現状・・違った意見の人が参入し難い現状を無視出来ません。
ただし、各法律分野に関しては、委員会が専門化して行くこと自体は、弁護士の分野別能力が高まって良いことについて過去に書いたことがありますが、そのメリットを無視している訳ではなく、別に病理的現象も起きるリスクを書いているだけです。
タマタマ日経新聞朝刊10月6日掲載葛西吉敬之氏「私の履歴書」で同様の経験が紹介されています。
東大生になったころの経験を書いていますが、これによると安保反対の集会に出掛けて行って安保条約の内容・どこがいけないのかを聞いたら、バカにされて議論にならなかった・・(活動家自身説明出来るほどの理解していなかったのではないかと思いますが・・・自分の分らないことを聞かれると「こんなことも知らないのかとバカにする人が多いものです・・)時間のむだだと思って行かなくなったと書いています。
葛西氏が独り吊るし上げられた後日談として、次々と級友が寄って来て、自分は質問する勇気がなかったが、意味不明で疑問に思っている点は同じだと言う級友が一杯いたことも書いています。
要するにこの種グループ・・学生運動は、昔から一方的に決めつけてしまい、これに疑問を呈するとバカ扱いして、言論の自由を認めない傾向があるようです・・。
異論を封じる運営の繰り返し・・・当初常識的な人の参入を阻害し、次のちょっとした異論を言う人を封じ・・と繰り返して行く内に・・・大学自治会が尖鋭化して行き極左暴力集団に発展して行った下地と思われます。
冒頭に紹介したとおりに、中核派で未だに内ゲバを繰り返しているところを見ると、純粋化した筈の極左集団の中でもさらにちょっとした意見の違いで内ゲバに走るような人ばかりで構成しているのでしょう。
人口一億数千万人もいると0、001%・・10万人に一人しかいないような極端な考えの人だけに集団構成員を純化・絞って行っても、なお一千数百人の同志がいる計算です。
ワンイッシューのテーマで少し書きましたが、この条文が気に入らないとドンドン細分化して行き、個別に議決して行くと何も決まらないと書きました・・だからどこの世界でも採用されていないのですが、極左集団の論理で言えば、どこまで純粋化して行ってもその先の意見相違があるのは人間が違う限り当然ですから、最後は内ゲバしかなくなります。
ワンイッシューにこだわる左翼系の体質の極限の姿を現してるのが、極左集団の内ゲバ体質と言うべきでしょう。
その中間形態が民主党の分裂体質・・ちょっと意見が違う都度分裂してしまう傾向が顕著に見られる点では同じ線上にあります。
「この点は賛成だがこの点は不満・・でも総合してこの程度の妥協は仕方ないか・・」と言う妥協を知らない体質の政治家が比較的多く民主党を形成していることになります。
非妥協体質に関しては旧社会党はもっと顕著で、結果的に内部の突き上げに抗し切れずに、執行部は何でも反対しておくのが無難となってしまい、現実政治から遊離してしまって事実上消滅してしまいました。

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