植民地化と民族文化喪失1

全国展開の大手百貨店やスーパー・コンビニやファーストフード店居酒屋等に地元商店等が入れ替わって行きますと、昔の地元小規模店舗に比べて設備も売上も何倍もありますが、オーナーと違い支店長クラスはまじめなばかりですし、大した経済力もないので、いろんなことに手を出さないので、もめ事も少なく、我々弁護士の顧客にもなりません。
我田引水のキライがありますが、雑多な弁護士需要のなくなって行くモノカルチャー社会は脆弱です。
千葉市で言えば、千葉市内を通るJR京葉線と総武線沿線の違いです。
総武線沿線は古くからの鉄道沿線ですので、中小零細企業がひしめき種々雑多な働く場があります。
これに比較して京葉線開通は出来てまだ3十年前後ですから、東京通勤向けの大規模な団地やマンション群が中心ですので、子育てが終わった主婦等の近場の働く場が少ないのが難点です。
海浜幕張駅周辺も大手企業の事務棟が職場の基本です。
我が家では、一定の場所に毎年数百株のビオラなどまとめて植えているのですが、そうするとその草花に適合した特定種のみの昆虫しか発生しません。
雑草の草むらや雑木林の場合多種類の昆虫が生息でき、ひいてはそれを餌とする多種類の中間種の動物や鳥が生活できます。
植民地経済はいわゆるプランテーション農業が知られているようにモノカルチャー社会になり勝ちです。
ウクライナ危機で世界に知られるようになりましたが、ソ連時代に中央の計画でココは鉄鋼業ココは農業と地域別に割り振られていたので、ウクライナ東部が工業化が進んでいて(チェルノブイリ原発もウクライナにありました)西部は農業地域でこれと言った産業がないし、燃料は別の国からの供給に100%頼る構造になています。
抵抗するなら燃料供給を止めると言われれば、国内産業全て息の根が止まる仕組みです。
東京の大手企業本社に勤めるサラリーマン用の団地では彼らが何らかの事情で失職し中小企業に再就職しようとすると、地元には中小企業がなくて大変です。
中小零細企業に就職するには、通勤時間がかかり過ぎると割に合わなくなります。
(採用側も通勤費を何万円も出したがりませんし、新幹線通勤などは論外です)
失職しなくとも子育ての終わった主婦が再稼働しようとすると多くは中小企業への再就職ですが、(東京まで行くには交通費を出してくれないと就職できません)この働き場があまりありません。
この辺の構造的弱点は、多摩ニュータウン、千葉ニュータウンその他全国のニュータウン共通の問題点です。
英仏蘭等の欧米植民地と本国とは陸続きではないので、ウクライナのようにパイプラインの元栓をひねれば瞬時に息の根が止まるほどの極端な支配構造ではありません。
それでもモノカルチャーになって数世紀も経過すると抵抗運動の結果イキナリ独立しても重層的産業構造・・技術経験がないので(仮にコーヒーしか作ってない場合イキナリ外の作物に転換できないので)食糧を売ってくれなくなると大変なことになります。
零細中小企業の密集している大田区下町(京急線沿線)の方が国際競争が激しくなっても生き残りが期待できるのに対し、地方の特定大手企業進出に頼る企業城下町がその企業が撤退すると何も残らない脆弱性を抱えているのと同じです。
欧米のプランテーション農業の強制やソ連の地域別分業政策は、言わば半永久的に支配国から完全独立できないようにしてしまう奥深い支配の仕組みでした。
千葉の地元文化と言っても東京の真似程度の木更津甚句(師匠弁護士の芸者を上げた宴席に陪席して何回も聞かされました)程度でしかないので、地元文化の顧客がいなくなって、地元文化がなくなってしまっても東京で存続する限り民族としては困りません。
しかし、国単位で先進国に隷属すると民族や地域全体の文化の担い手がなくなり、欧米文化の下請けになって数世代経過すると民族のアイディンティーが喪失してしまいます。
日本に古来からの伝統文化がそのまま残っているのは、異民族支配を受けたことがないご先祖の努力によります。

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