オバマ来日と今後の日米中韓関係 1

2泊3日で国賓で来日して25日午前には韓国へ飛び立ったオバマ大統領は何をしに来たのでしょうか?
無駄なことだったと彼も失望しているかも知れません。
懸案のTPPでは「前進した」とは言うものの何も決まらず、共同声明では以下の通り発表されたいます。
① TPP前進の道筋を着けた ②日本の積極的平和主義の評価 ③ 米国は尖閣諸島の防衛義務を負う④ 米国は日本の施政権を損なおうとするいかなる一方的行動も反対 ⑤ 日本の集団的自衛権の検討を歓迎
と言うものらしいです。
条約でさえ簡単に踏みにじる国ばかりの世界ですから、共同声明で適当なことを言う程度では何の損もありません。
緊急事態になって本当に約束を守るかどうかが国の信用です。
土壇場でアメリカは日米安保を反古にする可能性はいつでもあると覚悟しておく必要があります。
アメリカにとって、その時々で日米安保を重視した方が自国にとって得か損かの基準で判断するのであって、日本のために条約を重視することはあり得ません。
23日からの国賓としての日本訪問程度のことでさえ、日本到着時間すらギリギリまで決められないような状態でしたが、その時々の利害によって行為を決めるという判断基準がこう言う行動パターンを生み出していると言えます。
10日前に約束できる人物は、その間に余程のことがない限りその約束を守る意思表示です。
出発ギリギリまで決められないような人物は、出発直前でもっと有利な要件があればそれに変更するチャンスを留保したいという意思表示をしていることになります。
ある事件が起きたその段階で、日本にどの程度まで肩入れすれば、中国がどう思うかなど見極めた上で、この辺までなら言えるという判断の結果で発言していることになります。
どこの国でも国のトップたるもの多角的な配慮が必要ですが、結局どのような条約があっても土壇場では、その時点での国際情勢を勘案して自国がどちらについた方がこの先得か、一方に着くにしてもどの程度にとどめるかという価値判断で行動するものです。
アメリカが日米安保条約を守るかどうかを、今から共同声明で発表してもあまり意味がありません。
むしろ共同で発表するかどうかが大問題になっていること自体が、安保条約の実効性を殆どの国民が信用していない現れです。
昨日約束しても将来緊急事態発生時点で日本の国力が減退していて、アメリカが日本の味方をするよりは、中国と仲良くやった方が良いと思えば日本切り捨てに動くでしょう。
アメリカという国で考えると信義を守るかどうか・・アメリカは信用できないという反米意識に傾き勝ちですが、アメリカ企業・資本の意向に政府が左右される実態を直視すれば、アメリカ企業等にとって日本よりも中国との関係が深くなっていれば、中国寄りの意見を政府に働きかけるようになるのは当然です。
これは賄賂とかロビー活動の熾烈さと言う次元で悲憤慷慨したりするべきものではなく経済実態によります。
韓国は既に対中貿易の方が比重が大きいしこれからも大きくなると見込んで
日本を切り捨てて中国と手を組む方向へ露骨に舵を切りました。
アメリカは、今日現在ではまだ口先・・うまいこと言う程度で済むならば、日本を抱き込むメリットがあると言う程度の態度表明したに過ぎないと理解すべきです。
マスコミは早速共同声明は単なる記者会見の発言などより重みがあるとか理屈を書いていますが、最高の重みのあるべき条約が当てにならないと思い始めたので、再確認を求めているのです。
言うならば、黒色がはげた場合どうするかと言うことでその上に記者会見発言よりも灰色のより濃い灰色を加えて安心しているようなものです。

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