国家経験と行動パターン1

ルールや運用が統一化されたり今後統一化が期待されているのは何万という分野の中の基礎になる僅かな分野あるいは国際基準にし易い知財等だけです。
その他は国ごとの細かい前提条件が違うので・・例えば食品や保健衛生の許可基準や耐震基準を見ても国や地域によって独自性を認めるしかないのが現実です。
例えば、もしも日本以外の国の非衛生な水質基準・生活水準を前提に国際統一食品ルールになっていれば、日本の刺身等の生食文化は危険なものとして早くから禁止されてしまって、今では存在できなかったでしょう。
捕鯨禁止・クジラ食問題も同様の問題を抱えています。
イスラムの豚食禁止は、当時の衛生水準を基準にしたものと言われています。
中国料理では豚を食べますが、その代わり何でも油で炒めるようになっているのも当時・当地の衛生基準によるものです。
我が国は生水をそのまま飲める世界でも稀な国ですが、この清潔な水があってこそ水で洗っただけでナマ魚をそのまま食べる文化が育ったのです。
海の近くならば、新鮮な魚はどこの国でもありますが、水が汚いと日本みたいに生では食べられません。
話がそれましたが、ウクライナ問題に戻ります。
近年の世界政治を見ると、軍事攻撃は一時的な短期間の損特には結びつきますが、数年以上の単位で見れば、経済効果がどうなるかの見極めの方が国家や社会にとって重要です。
個人で言えば怒りに任せて大声で怒鳴れば、相手をその場で瞬間的に威圧できるでしょうが、その代わりその相手との円満交際が今後難しくなります。
個人ではその効果を知っているので、幼児以外には対人関係で怒鳴ったりするのはヤクザまがいの人しかいません・・却ってトータルで損することを知っているからです。
韓国や中国・ロシアが未だにドタキャンや恫喝外交や虚偽宣伝に徹している・あるいは相手が弱ったらその隙につけ込むようなやり方は、国家としての歴史が浅過ぎて大人の智恵がまだ身に付いていないことによります。
人の陰口を言っていると長期的に信用を失うという大人の智恵がまだ身につかないのです。
個人としての経験年数はホモサピエンスとして元は同じですから、世界中どこでもそうは変わらない筈ですが、団体行動になると団体としての経験知が必要になります。
この辺の違い・・人間と組織の歴史経験・国家の歴史とそれを構成する人間の歴史は違うという意味で「政府と国民の違い(中国人との付き合い方)」February18, 2013以下で連載したことがあります。
上記連載で書きましたが、韓国は戦後成立ですし、中華人民共和国成立は1949年ころ、ロシアはまだ20年前後で、仮にソ連時代をプラスしてもまだ100年に足りません。
アメリカは約250年経過していますので、新興国の中では老舗ですからある程度大人に近いと言えますが、短く見ても壬申の乱以降連綿として継続している日本から見れば何となく子供っぽい行動が多いのは、国家としての歴史経験の違いです。
オバマ大統領の行動パターンがゲンキンで分り易いと評判ですが、まさにこれを象徴しています。
その例はこれまでいくらもあるでしょうが、最近では4月23〜25の日本訪問が決まってからも、それまでにTPP交渉が進んでないときには晩餐会に遅れて来る予定になっているなどと、嘘か本当か分りませんが分り易い行動パターンがいろいろ揶揄されながら語られる状態です。
中国や韓国も何かあると不快感を示すために?日本訪問や日本高官との会談をドタキャンします。
今回中国が海軍観艦式に日本だけ招待状を送らないという荒技を披露しましたが、アメリカにボイコットされて格好が着かなくなって遂に中止を決めたと昨日のニュースで流れてました。
予測不可能な行動をするのも信用をなくしますが、あまりにもゲンキンで分り易いのは安っぽく見えます。
どんな人間も動物も相応の目的を持って行動するものですが、行動から目的が見え透いているのが物笑いの種になっています。

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