男の鈍感力2

女性の方には証拠があったのですが、証拠まで示してからやっと謝るのでは、簡単に収まらなくなるので1日も早い陳謝を求めていたのですが、彼は結局証拠があることが分るまで謝りませんでしたので、却ってこじれてからの陳謝になってしまったのです。
その後の解決策として、(早く謝らないで事を大きくしてしまった以上は、このままでは離婚になってしまうから)一旦別居して冷却期間を置いた方が良いと妻の代理人の私が妥協案を出して(上げて)いるのに、グズグズと家を出るのを引き延ばしていたあげくに妻の収入から生活費として毎月何十万と言う高額支払を当然のように主張してこれに同意しなければ出て行こうとしなくなりました。
彼の言い分は自分が(妻が相続した財産を)管理してやっているから妻には家賃等収入があるのだからこれくらいは貰って当然と言うのですが、そこまで明白に条件付けられると婉曲的の説明しているとラチがあかないので、はっきりと「そこを改めないとこの話は決裂=離婚しかない」と宣告せざるを得なくなってしまったのです。
(彼自身巨額の預金があって、しかも平均的な年金収入もあるのに何故妻の収入ばかり使おうとするのかも疑問な事件でした)
彼は仕方なく自費で出ることを呑んだのですが、それでも別居後も不動産の管理上しょっ中出入りするのは当然と言うような話をして、妻がそれをいやがっていることがまるで分っていない様子でした。
あまり話が分らないので
「妻の方で必要があれば協力要請するので、いちいち条件っぽいことを言わず一定期間内に出なければ決裂」
と言い切らざるを得なくなってしまいました。
ここまで言って、ようやく彼は一切の主張を引っ込めて、無条件で出ることになりましたが、これは私がきつく出たので仕方なしに応じただけで、その時にはまだ本音として妻の不満が分っていない感じでした。
この不満に対して何とか対処しないと本当の離婚に発展しかねないのですが、出来ればこの関係を理解したくない・・理解して下手に出るのはそれこそ男の沽券に関わると思っているのかも知れません。
こんな具合で、男の方は日頃から妻が不満を溜め込んでいることに気がついていないことが多いので、(基本的に言えば男は嵩高いところに女性の不満が募ることが多いでしょうか)何かトラブルがあるとその切っ掛けとなった表向きの争点外への想像力を働かせないと(かさ高い人に限ってそれを当然とする雰囲気で妻にこれまで同様に押し付けようとしますから大変です)却ってこじれてしまいます。
妻が別れたいと言い出した場合、そのきっかけは夫の浮気や事業の失敗や失業・・金の切れ目その他が表向きの理由・きっかけですが、本当は長年にわたる奥深い不満を口に出せないだけだったのが、この機会に噴き出していることが多いのです。

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