養育料5と婚姻率

 

我が国の養育料支払の現実に戻しますと、離婚後も男がまともにローンや養育料を払っていると再婚する程の経済力がなくなるのが普通・・再婚して2所帯を養うのは困難なので一人みすぼらしいアパートで独身を続けて苦労して送金を続けている結果(そういうまじめな男も結構います)になります。
平均的労働者・・月収3〜40万円の夫婦が、35年ローンを組んだ状態で40歳前後で性格の不一致を理由に追い出されて、男の方が単身用の安いアパートを借りて生活する場合の経済負担をちょっと想定すれば、男の生活水準の悲惨さが分るでしょう。
数ヶ月前に債務整理の相談に来た事例では、離婚ではなく結婚している小規模運送会社の運転手の男性ですが、早朝(午前2時前後)出勤のために自宅からの通勤が少し遠いので会社の寮に泊まり込んでいるので、経済的には別居(単身赴任)状態ですが、彼は30万円ほどの手取り給与から寮費2万円と自分の生活費4万円だけ現金で猶予をもらい残りは給与振込(平均24万)になっていて、妻がその預金を管理していて10歳の一人息子(一番お金のかからない年齢です)と自宅に住んでいると言うのです。
奥さんはパートで月10万円ほどの収入があって、自宅の住宅ローンは月7万円と言います。
男の方は寮費の外に自分で使うのは月にわずか4万円・・小遣いではなくこのお金で自分の衣類から身の回り品一切を買って一ヶ月の食費も賄う生活です。
これでは、いくら何でも生活が無理でしょう・・と言う話になったのですが、このように世の中の男は妻子二人に34万の生活をさせるために自分が僅か4万円で会社の寮で生活している(コンビニ弁当だけでも朝昼晩30日食べてれば・・・4万で足りるの?と言う疑問があり、その他の雑費はとても賄えない印象です)・・・・このような生活費の分け合いに何の疑問も感じない様子でした。
長い間かけて「男は尽くすもの」と教育されて来たので、自分が食えなくとも自分の甲斐性がないから仕方がないと思い込んでいる男は今でも実際には多いのでしょう。
もう一つ別件でも、子供のいない高齢結婚夫婦で夫の方は何年も現場を渡り歩いていて(自分は飯場の費用だけもらって)30万円前後のお金だけ送ってくる男性もいます(教育の効果は恐ろしいものがあります)ので、こうした貢ぎ専門の夫は稀ではないのでしょうが、その内にこうした関係はなくなって行くのではないでしょうか?
ところで、10年ほど前に東京電力の高圧線の建設や維持工事の人夫をして、山奥を渡り歩いている(当然日帰り出来ませんので山奥に作った小屋で寝泊まりして次の現場に移動して行くのです)男性の奥さんが、最近夫から別れたいと言ってお金を送って来なくなったと言う相談がありました。
このように一方的にお金を送金するだけの関係でも、結婚当初は嬉しくて何ヶ月に一回は山奥から土産を持って帰ってくるでしょうが、その内に年に一回になり2年に一回になり、4〜5年に一回となってくると一定期間経過すればいくら純情な男でもその内に嫌気がさしてくるものです。

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