金の切れ目が縁の切れ目?1

 

ところで、「金の切れ目が縁の切れ目」と昔からいいますが、これは離婚の切っ掛けになるだけの意味で、普段から夫婦関係がうまく言っていればそんな結果にはなりません。
縁の切れ目になる場合、女性の方はこの機会に普段からの恨みつらみ(いろんなことで・・一方的に尽くさねばならないことも含め不当だと思いながらも我慢してきた事柄)が吹き出しているのですが、男の方はそこに気付かずにいるようです。
この俗諺の由来を考えると、女性の多くは経済的自立が出来なかったので,昔から女性は生きて行くために結婚しなければならない関係でしたので「嫁の貰い手がない」と言うのが若い女性に対する最大の脅し文句になっていたくらいでした。
好きで一緒になった後に気が合わなくなった場合でも、別れると生きて行けない・・今では生きて行けるにしても母子家庭は一般的に生活苦ですのでこの結果からみても夫婦仲が悪くなっても仕方なしに男と一緒にいることが多い実態をもあらわしています。
とは言え、お金を意識して我慢するのは(女の)沽券にかかわる(お金のためにだけ一緒にいるのでは売春婦とどこが違うか?)ので、普段は意識の表面には出ないように努力しているのですが、夫がまともに生活費を入れられなくなると俄然離婚騒動が持ち上がるのはこうした・・生活維持のために我慢して結婚している現実・・永久就職が多いせいです。
夫の経済破綻があるとマトモに生活費も入れられないのに、何を威張っているのだと言う不満が噴き出します。
男の方は日頃からの習慣ですので特に威張っているつもりがないでしょうが、(女性は夫が不当に威張っていると思いながら何十年も我慢してきたのですが・・・)それが身に付いてしまっていて気がつかない分だけ根が深くて救いようがない感じになります。
いわゆる「善人尚もて往生す」の原理で、善人すなわち自分の非に気づかないのが一番始末が悪いのです。
08/24/07「取消の効力1(民法226)善意・第三者の保護1」のコラムで(法律用語で「善」とは知らない意味に使うことを紹介しましたが、これは仏教用語と同じです。
5〜6年前に扱った中年男性が鬱病になって働けなくなった事例(自己破産・・自宅ローン払えないために売却)では、自宅売却後ホンの僅かな期間で妻は我慢が出来なくなったのか帰らなくなりました。
これ・・金の切れ目が縁の切れ目になることが多いのも女性側からの現実ですが、妻の方では「お金のために一緒になっているのではない」と自分に言い聞かせながら普段から我慢している人がそれだけ多いことが原因です。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC