中韓バブルの行方3

メデイアは格差を強調するため(いわゆる角度付け報道の一例です)に僅か何%の富裕層が富みの50%を握っているなどと強調しますが、何%の富裕層と言うときには全人口を前提にしているとすれば・・その家族やその周辺で恩恵を受ける人皆貧困層の分母に数えていることになりそうです。
大手企業社長夫人などの多くは無職ですが・・その人たちが貧困層に計算されることになるのでしょうか?
「層」と言うからには、実際にその収入で消費出来る人など一族を富裕「層」の人数に加えるべきではないでしょうか?
大金持ちであればあるほど比例的に恩恵を受ける取り巻きが増える関係ですが、これを富裕層に加えると・・例えば数%の富裕層が富みの半分を握っていると言う表現が10数%の富裕層が・・と変わります。
これを消費の場面で見ると、一人で食べたり旅行しても楽しくないので家族4〜5人で食事し、旅行し観劇するのが普通ですから、クルマやパソコンなども子供に買い与えるので、消費の量から逆算すると4〜5倍の富裕層がいるような計算になります。
旅行者数やクルマ購入数からの逆算が本来の分布でしょう。
中国の富裕層0、1%で140万人しかいないとしても、その家族で高額旅行し飲食し、クルマを買うのが普通ですから、統計数字の何倍もの人が富裕「層」の生活をしていることになります。
裸官一人に群がる周辺が10人前後いてもおかしくありません。
富裕名義本人は権力抗争に命がけ・・忙しいので楽しむ暇がなく、その奥さんや子供らがスポーツカ−を乗り回し、海外留学したりし食事し観劇し旅行したり良い思いをしているのが普通です。
消費量が大量だから底辺底上げが進んでいるとは限らない・・の旅行者数やクルマ販売量等が、同数の富裕層(者)がいるとは限らない・・極端な格差社会でも結果はそれほど変わらないことを前提にする必要があるでしょう。
格差社会でもその国のトータル経済力にある程度消費が比例する・要は自分の稼ぎで遊べるか、親や雇い主・お金持ちのお相伴でゴルフしたり・・あるいは寄付などで遊べるかの違いです。
大分前に書きましたが、金融・知財等の特殊一握りの巨額稼ぎをする人から税で取り上げて(アップルの巨額利益・・株式時価総額を例にするとその恩恵は株主にしか及びません・・労働現場は中国です)生活水準平準化を図るためにフードスタンプや生活保護レベルの引き上げをして貰うよりは、自分の稼ぎで楽しみたいのであってそのための職場の提供こそが重要です。
ところで、韓国の場合も、海外旅行熱が盛んで15年には日本を追い抜いたと報道されています。
http://www.recordchina.co.jp/b146929-s0-c30.html
配信日時:2016年8月8日(月) 9時20分
「韓国観光公社、韓国統計庁、日本の法務省などによると、15年の韓国人の海外旅行者は1931万人で、前年より20.1%増加した。一方、日本は4.1%減の1621万人に留まった。」
ビールでもピアノでも普及し始めると上昇率がすごいですが、一旦普及すると安定するのと同じで日本の場合は既に「海外旅行熱は10数年前に一巡しているから」と言うのが私の意見ですが、いずれにせよ、今のところ台湾・中韓〜新興国の海外旅行熱が盛んであることが分ります。
内需奨励・・消費者社会になると不足品の供給入手優先を卒業し、より高度な楽しみを身に付けたい階層が増えると先進地域へ行きたくなる・・しかもリピータになる傾向があります。
海外旅行者数を日本と比較することに意味があるのではなく、ここでは中韓の観光客がへらない・・世上中韓経済が大変と言われている割に、一定の安定階層の存在が認められる点が重要です。
個々人が非正規雇用化の増大で大変なのと、国全体が大変なのとは違います。
本当に生活が苦しくて大変ならば、海外旅行する人は滅多(ただし不法就労・・売春・窃盗集団が旅行名目的で日本に入って来る・こう言う人は貴金属強盗や窃取などするとその日のうちに出国するなど超短期に出入りを繰り返すのでその分統計数字としては大きく出ます)にいない筈だからです。
無職無収入でも親の余録で何回も日本に来て高級ホテルに泊まる人が一杯いるでしょう。
この階層の存在が先進国の低金利で借りた借金や投資資金流入が回り回って潤っているとすれば、金利が上がると・・どうなるか?・・底が浅いことになります。
平成27年分ですが、韓国人の日本での消費額を見ておきましょう。
訪日韓国人観光客かどこから日本に入国しているのかも特徴的です。
日本へ入国の際には自国からより近い空港、福岡空港や関西国際空港の利用率が他の国と比較して高く、特に福岡空港は各国からの観光客全体の平均が7.8%に対して訪日韓国人観光客は19.7%です。

訪日外国人1人当たり旅行支出と旅行消費額:観光庁 訪日外国人消費動向調査より引用
訪日外国人1人当たり旅行支出と旅行消費額:観光庁 訪日外国人消費動向調査より引用

韓国の場合、日本との関係が深く気楽に往来しているリピーターが多い関係・割安系を自分で選ベルようになっている点が考慮されるべきですが・・。
韓国内需拡大を見ておきます。
韓国は反日運動以降外需に頼る経済がうまく行かなくなっています。
基幹産業とも言うべき造船事業の受注ゼロ化に始まって韓信海運の倒産・・現代自動車の減益・サムスンスマホの爆発など弱り目に祟り目とはこのことです。
ただし、この数十年に及ぶ日本企業模倣の産業スタイル・・俗にいうところのコバンザメ商法が壁に打ち当たったことによる脱皮の苦しみですから、うまく行けば、次のステージに上がれます。
これをチャンスとして独立国らしい自前の産業構造に転換出来るかどうかがこの先の明暗を分けることになります。

中国経済対策の成否(内需拡大の限界)4

韓国も漢江の奇跡と言われるように高成長を経てある程度中間層が育っていたのですが、アジア通貨危機の打撃を受けて以降非正規労働者化が極端に進んでしまった結果、アメリカの格差どころではない・・国内不満が充満するようになったようにみえます。
セウオール号事件や朴大統領疑惑でも、何か切っ掛けさえあれば国民中が狂ったようになるのは、元来の国民性もさることながら、日頃からの不満が発火点に達しているからではないでしょうか。
中国は漸く工場労働者の生活がマシになって元気が出たばかりですが、これを謳歌する期間が韓国よりもさらに短く・2〜3年の連続賃上げと同時に製造業の中国離れが始まってしまいました。
この結果生き残りをかけて中国企業はサービス経済への変身と省力化投資に邁進していることを紹介して来ましたが、その変化が成功すれば製造業の縮小あるいは省力化転換→大量の労働者の仕事をどうするかが大問題になって来ます。
アメリカがその典型ですが、省力化投資と海外展開で職場を失って多くはサービス業従事者に転落し、非正規化した労働者の不満が渦巻いています。(差−ビス社会化すると賃金が低下して行くことはこの後で書く予定です)
これが格差問題ですが、この格差不満がグローバル化の進展によっては、国際紛争の火種になる時代が来るでしょう。
中国の場合には、外貨取り崩しによる追い貸しや公共投資続行で・無駄な鉄道を造る外にマンションバブルを政策的に誘導して・庶民から資金を吸い上げて建設関連産業(製鐵セメントその他関連産業の裾野が広い)の崩壊を食い止めて来たのがこの4〜5年の政策ですが、無駄な投資でも何でも良いからと言うヤミクモな内需拡大・・財政出動には財政の壁・長期的には国際収支上の資本の限界があります。
金あまり・・過剰流動性が発生すると専門知識不要で誰でも手を出せるし、供給制約がある不動産バブルになり易いのが世界的基本ですが、中国には土地所有制度がないので、中国政府は不動産バブルの代わりにマンションバブルを煽って来ました。
マンションバブルの場合、建築工事の需要・・セメント製鐵その他裾野が広いので景気対策をかねて便利だったからです。
さすがに2戸め3戸めを投機用に買っても・エンドユーザーがいない・・販売増加に限界が来たらしく昨年からの報道では従来のスケルトン渡しの商習慣を改めて、内装を仕上げてから引き渡す商取引が増え始めたと出ています。
こうすれば、同じ1戸のマンションでも付加価値が多くつく・・内装業者等も潤います。
今朝の日経朝刊9pでは、中国の鉄鋼生産が内需目当てにこの3.4月に最高水準にアップしていると言う報道が出ています。
他方で少しでもマンション価格下落を引き延ばしたい苦肉の策なのでしょう。
その代わり内装をすれば好みの合う客層が限定される結果、汎用性がなくなる・・エンドユーザーの顧客の好みに合わないと売れないので床面積の違いだけの規格品としての転がし・・投機目的購入に向かなくなります。
投機目的で5年も6年も使用しないで転がしているだけでも内装設備が陳腐化してしまいますし、内装済みにすると転売目的・・投機目的取得と少しずれて来ます。
投機目的販売に無理が出た・・逆から言えば実需顧客が増えてきたからでしょうか。
ところで、中国では巨額賄賂が報道されるので所得格差が大きいような印象ですが、その割に投機目的とは言え、マンションなどの投機向き商品に限らず・クルマ(年間2800万台以上)であれスマホであれ需要が堅調ですし、海外旅行者数が衰えない(・・これらは投機目的とは言えないでしょう)のを見ると一定の消費が出来、あるいは投機資金の余裕がある中間層が着実に厚みを増していることは確かでしょう。
これが、自己資金によるのか政府のじゃぶじゃぶのマネーサプライ大量供給の恩恵によるのかどうかです。

中国人の海外旅行者数が1億人超に、29歳以下のミレニアル世代が5割に成長 -GFKマーケティング


「GFKマーケティングサービスジャパンは、2015年の中国人の海外旅行者数が1億900万人に上ったとの調査結果を発表した。消費額は2290億米ドルになり、旅行者数、消費金額の両面で、世界のトップレベルであるとしている。」
何やかやと言っても1億人(リピーター率2〜3回とすれば約3000万人)以上も海外旅行出来る人口を抱えている上に、一回当たり消費力も高い事実を直視する必要があるでしょう。
延べ人数としても2290億ドル÷1億人→一人当たり(あるいは1回あたり)約2290ドル消費ですから近隣・日本、韓国、台湾、フィリッピン旅行中心で、一人1回の旅行で約25万円程度使うのですから、まあまあの消費力です。
この海外旅行を支える階層に製造業従事者がなっているかについてみると、中国の製造業工場労働者の賃金水準は以下のとおりです。 http://www.recordchina.co.jp/b170728-s0-c20.html
2017年27日、英紙フィナンシャル・タイムズはこのほど、中国の製造業部門の平均賃金は、2005年当時の約3倍水準まで上昇しており、すでにブラジルやメキシコを追い抜き、10年後にはギリシャやポルトガルに追い付こうとしていると伝えている。写真は中国の自動車工場。
ユーロモニターによると、中国の製造業部門の平均時給は、05年から16年までの間に3倍増加し3.60ドル(約403円)に達している。一方、ブラジルは同期間に2.90ドルから2.70ドルに、メキシコは2.20ドルから2.10ドルに、南アフリカは4.30ドルから3.60ドルにそれぞれ減少している。
中国経済は全体的に賃金水準が上昇しており、すべての部門の中国の平均賃金は、05年の1.50ドルから昨年の3.30ドルに増加している。これは、ブラジル、メキシコ、コロンビア、タイ、フィリピンよりも高い水準だ。 」
年収と言っても非正規と正規では大きく違う外に、工場労働でも職種(金属加工系と家電系では)によって大きく違うなど、イチガイに言えませんが、17年の記事→16年のデータとしても時給400円程度とすれば、月収約12〜3万円と言うところでしょうか?
上記によると、海外旅行で一人平均25万円も消費出来る階層・・ましてリピーターになるには、労働者では無理でしょうし、ホワイトカラー系でも、管理職クラスになっても、家族で来るには無理な印象です。
GDPに占める消費率をhttp://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/entry-12276054471.htmlみると以下のとおりです。
「個人消費の対GDP比は、中所得国の平均で54.2%である。日本は6割、米国は7割である。ところが、中国の場合は37.1%に過ぎない。」
とありますように国全体では中所得国平均の約6割しか消費力がない・・、まだ、まだ全般的に消費レベルが低いことは確かです。
中国の場合、一部富裕層・・14億の1%でも1400万人もいますからこの更に上澄みの富裕層が1割とすれば、140万人が年に何回も旅行すると延べ700〜1000万前後になります。
メデイアの言う富裕層の定義がはっきりしませんが、孫正義氏を例にすると彼の家族数を知りませんが、例えば彼に未成年の子供ら3人がいる場合、その子供ら家族全員が富裕層の数に入っていないとすれば、孫正義氏が家族4人で海外旅行すると一行のうち3人は貧困層の旅行者になってしまいます。
実は億万長者自身は忙しくてグルメ巡りや温泉に行っている暇がない・無収入の家族が高級ホテルを利用しゆったり満喫するのが普通です。

近代法原理の見直し5( 令状主義の限界)

令状主義の限界・・捜査手法は犯罪の変化などに合わせて時代とともにあると言う意見の続きです。
機械やシステム整備だけでは、検挙し難い・・システム整備が進むには何年もかかるのであちこちに構築が終わった頃にはテロリストの方がその抜け穴探しに成功しているのが普通です。
私のような不注意な一般人が何かに慌てて間違ったボタンをオスなどして引っかかるのがオチ・抜け穴を研究しているテロリストの方は機械に引っかからないように全てクリアーする工夫をして犯行現場に来るのが普通でしょう。
要はサイバーテロと同じです。
本当に治安を守るには事前情報によって要注意人物を継続的に監視する・一般搭乗客向けの流れ作業では発見出来ない微妙な細工物などを念入りにチェックしたり、人間の目で注意観察などで事前発見に繋がり易いなどの関係にあります。
弁護士が経験する日常的現場で言えば、スーパーなどの防犯カメラが万引きを検挙するのではなく、警備員がプロの目で挙動不審者に気づくとそれとなく様子を見張っていると案の定レジを通さないでそのまま出て行くので、直ぐに追いついて万引き犯を検挙するなどの例が一般的です。
自衛権の定義も、北朝鮮から核攻撃受けてからでないと応戦出来ないと言う19〜20世紀前半型の定義でこと足りるかの議論の必要性があるのと同じです。
日露戦争時に・・バルチック艦隊が対馬海峡からはいるのか宗谷海峡廻りかが迎え撃つ日本海軍にとって重要情報でしたが、「敵艦見ユ」との報に接してから連合艦隊が出撃しても迎撃に間に合ったのです。
「敵艦隊見ユトノ警報ニ接シ聯合艦隊ハ直チニ出動、コレヲ撃滅セントス。本日天気晴朗ナレドモ浪高シ」
今は数分〜10分で北朝鮮や中国核爆弾が到着する時代ですから、爆弾テロ同様に全て後追いで・証拠を集めてからの検挙・反撃で間に合う時代ではありません。
スーダンのPKOでも書きましたが、今では群衆が徒歩で押し掛けて来る時代ではなく、ロケット砲などの攻撃を受けるまで(プライバシイ侵害のおそれがあると言う理由で)情報収集せずに待っているのでは、自衛出来ません。
上記のとおり今や事前に令状を示してから家宅捜索する(してもテロ計画の文書などある筈もない・・証拠自体見つからないに決っています・・指令メールが見つかっても今の法体系では、共謀だけでは犯罪ですらないから差し押さえすらも出来ません。
上記のとおり新犯罪類型では・定型行為を前提とする令状主義ではものの解決にならないに・・令状「主義」自体が破綻していることは明らかです。
令状で間に合う事件は従来どおりで良いですが、間に合わない事件には別の方法が必要です。
最高裁は憲法に書いていないプライバシー保護にまで令状がいると言うから、却って時代錯誤性を露呈しました。
ソモソモ令状「主義」と言う表現自体が、合理性を無視して何が何でも当てはめ拡張しようとする「主義」性を意味しています。
物事は是是非・・必要に応じて決めて行けば良いのであって、あらかじめ「主義」イデオロギーを決めていろんなものに無理に当てはめようとするのは間違いです。
欧米では早くからちょっとした犯罪でも現場射殺が一般化していることが・・黒人の抗議活動等を通して伝わって来ますが、暴動等がなくて大きく伝わって来ないその他の分野でもかなり実務が令状主義のドグマを離れて進んでいる筈です。
実際の犯罪捜査では、令状主義ドグマの限界・矛盾に耐えられないからでしょう。
この点について近代法の原理・基本から考え直す・・新たな法体系を練り上げるのは裁判所の役割を越えているので、立法府のやるべきことではないかと言う意見かも知れませんが、そうとすれば敢えて憲法35条の保護対象と言い切る必要もなかった・証拠排除しない方が合理的であったように思います。
憲法35条の保護対象に入っているからGPSを捜査に使うためには憲法改正が必要と判断すれば、そんなテーマでは憲法改正運動が盛り上がるわけがないので、ほぼ半永久的に利用出来ないでしょうから、憲法の令状対象に入っていないとすれば、令状を必要とする憲法を改正するまで令状なしに捜査に利用出来ます。
結局捜査のあり方をどうするかの政治的立ち位置次第で、憲法解釈が決まって行きます。
そこで民意の1〜2割の支持しかない政党は、選挙では勝てないので憲法学者等への浸透を重視するようになります。
憲法学者の多くが憲法違反と言い、これに影響されて運良く最高裁が認めれば鬼に金棒です。
4月6日に書いたように憲法改正は圧倒的大多数の国会議員を擁していても(選挙で勝っても)殆ど不可能な制度ですから、(国民の支持を受けていない)少数政党でも、憲法学会の支配的勢力を獲得すれば、国家の基本に関わる政策に反対するには「憲法違反」と言うテーマを掲げて戦えば良いことになります。
憲法学会の大勢に裁判所が呼応して「これは憲法違反」だと言う判例を作ってくれれば新たな法制定反対が出来なくなるので結果的に拒否権を、持つようになります。
「何でも反対政党」と言われていた社会党や共産党が憲法違反の主張をしょっ中して来たことや憲法学会〜司法界に浸透して来た所以です。
高浜原発停止決定の効果で運転が止まっていたのが、3月末の大阪高裁決定では再稼働可能になりましたが、地裁数人の裁判官の意見で国論の割れているテーマ・・原発を1年前後も停止させてしまえるのが、裁判所支配の威力です。
こう言う制度設計って、民意重視社会と言えるのでしょうか?

近代法原理の見直し2

私のような素人にも分りよい例・・ゴルゴサーテン的事例で言えば、テロ集団側では銃器を分解して持ち込んだり、爆発物もちょっとした調合で完成するようにした分離剤を持ち込んで飛行機に乗ってからトイレなどで調合するなど巧妙化する一方ですが、・・一方で膨大な旅客通過のスムースな流れ作業が要請されている矛盾があります。
あらたなチェックシステムを作るとその抜け穴を探すことのイタチごっこですが、・抜け穴利用が一般化・定型化してからこのチェック目的で全国内空港や鉄道駅のチェックシステム改修するには膨大な資金や年数がかかるので、抜け穴探し・・テロリスト・犯罪集団の方が先んじるのが普通です。
(ターミナル駅の進入システムを整備しても地方の無人駅等から電車に乗って来た人をどうやってチェックするかなど)
何かあると捜査の近代化をマスメデイアは要求していますが、チェックシステム構築はいつも後追い的宿命持っています。
GPS利用の動静調査はシステムのように定点待ち受け型システムではないので機動的ですし、(最高裁の意見とは違いますが私の考えでは)プライバシー侵害性が低い・違法性が低いのに、何故最高裁が憲法を持ち出して力むのか不明です。
再論になりますが、私人が他人のプライバシーを性的好奇心等で遠くから望遠鏡覗いているのは大した違法性がないが、公益のために監視すると違法性が高いと言われます。
普通の素朴な価値観では、犯罪捜査や公益上必要なので資料を見せて欲しいと言われると気持ちよく応じるが、好奇心で資料を見せてと言われても応じたくないのが普通の価値観だったのではないでしょうか?
上記の例で言うと犯罪捜査のために望遠鏡で見たいので場所を貸して欲しいと頼まれた場合と、「入浴中の女性の姿を見たい」と頼まれた場合、捜査方法として違法かどうかを知らない「素朴な価値観」で言えば、どちらに協力するのが健全な価値観かです。
専門家の価値観がマスメデイア通じて浸透している結果、今では公のためならば協力したくないが、個人興味なら協力したいと言う倒錯した価値観が(朝日新聞的刷り込みに適応し教養のあると自負する階層では?)一般化しているように見えます。
世論調査も「政府がやるのは危険で民間ならば良い」と言う刷り込みが典型的ですが、最近何事でも民間なら良いが、政府(社会のためになることは)に協力しないのが格好良いと言う刷り込みが成功して来た印象です。
このシリーズで書いている(人民と政府は抑圧隷従・搾取・敵対構造であるとする)二項対立思想が浸透し、成功しているように見えます。
これが行き過ぎた結果、(「政府は悪」と言う思想教育に対する反感が出て来たように思われます。
そこで最近は「政府が集める情報が大量であるから漏れると大変だ」と言う意見が流布されようになって来ました。。
1昨年漏れたベネッセの私塾の情報ですら膨大なものでしたが、金融・通信(ネット販売)・コンビニその他産業の収集している情報量の巨大さは半端ではありません。
個人情報保護関係も、国家が強制的に情報を収集するのと民間がやるのとは違うと言うのが大方の論理です。
防犯カメラであれ、あるいは空港・銀行その他多くのネット利用でも個人情報を求めれられますが、民間はイヤなら拒否出来ると言うのですが、防犯カメラのない反赤貝やデパートスーパーは皆無でしょうし、いまでは普通の生活をするにはありとあらゆるところで個人情報を求められ、個人情報収集を事実上個人・顧客は拒否出来ない・・一々拒否していたら日常生活が出来ない点は同じです。
他人の家を覗き見るなどの、個人情報収集も権力に基づくのと民間が行なう事実上の強制?(こっそり行なうの(同意がないから)強制と言うのも強弁過ぎませんか?・・強制的に裸にするのとこっそり見るのとは大きな違いがあります))は違うと言いますが、今やありとあらゆる生活領域で求められる認証システムが進んでいてこれを拒否していると日常生活が出来なくなっている点は政府の情報収集以上です。
たとえば、指紋認証どころかもっと総合的認証システムまで実用化される・・ちょっとした預金払い戻しその他カード取引不要=個人情報蓄積が進みますが、拒否しているとコンビニでの買い物1つ出来なくなります。
西洋で発達した二項対立図式論は、元々日本社会に合っていなかったことを何回も書いて来ましたが、(日本的信頼関係構築に漸く成功してある程度追いついた)現在先進社会・西欧でも民主国家では概ね合わなくなっています。
日本以外の先進国ではまだ表向き程度なので格差反対なも意味がありますし黒人と見れば圏感が直ぐに射殺する実態もあり、なお対立を煽るのも分りますが、日本は心底から民のための国家運営でやって来たし、会社運営でも経営者の取り分を少なく従業員第一思想でやって来ました。
こう言う社会なのに、欧米思想を鵜呑みにして敵対思想に骨の髄まで使って何でも政府施策を妨害し政府を騙せば英雄視するのは間違いです。
個人情報であれ各種統計であれ、政府が悪用しないようなシステム化こそが重要であり、政府の調査には協力しない・・「統計情報など協力しないで政府を騙せば良い」と言うのは中国のような専制支配国家・時代遅れの社会向けの思想です・結果的に中国統計の信用性が全くありません。
この思考回路にどっぷり浸かっている文化人(学校教育に適応性の高いヒト)が、日本社会に適用しようとして来た・・しかもこれが戦後70年経過で成功して来たから却って疑問を保つ人が増えて来た・・今や文化人とか思想家の地位がおかしくなってきました。
大分前から書いている繰り返しですが、日本社会の基礎単位は一族郷党が基礎ですから信頼がなければ存続出来ませんので、二項対立関係はあり得ません。
そこで、古来から上下の隔てなく信頼で成り立っている・・最近ではApril 15, 2016, ガバナンス, コーポレート, 2で日本の信頼社会と敵視関係の近代法原理は合わないとちょっと書いたことがあります。
信頼関係の社会でどうして変な思想がはびこったかの始まりを見ると、米軍の占領政策に行き着きます。
強固な信頼関係で成り立っている日本社会に相互不信感のくさびを打ち込む目的・・頑強な日本軍の抵抗力の源泉に着目した占領政策の第一の眼目でした。
どこのクニでも戦争に負けると支配層に対する日頃の不満が出て政権が倒れるのが普通でしたが・・・硫黄島の戦いの教訓・最後の最後まで戦意喪失しない・・全国が焦土と化すほど完敗して外国に占領されてもなお、 現政権批判や天皇制反対の声が上がらない・・反乱を起こさないニッポン民族の一体感・強靭さの破壊こそが最初の占領政策目的でした。
これが成功しないと植民地支配・奴隷化支配が出来ないからです。
占領政策は周知のとおり、日本二度と西洋に対抗出来ないようにアジアの植民地同様の農業国化することでしたがもう一度紹介しておきましょう。
本日現在のウイキペデイアの記事からです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%A3%E5%90%88%E5%9B%BD%E8%BB%8D%E5%8D%A0%E9%A0%98%E4%B8%8B%E3%81%AE%E6%97%A5%E6%9C%AC
「SCAPはドイツと同様に日本の脱工業化を図り、重化学工業産業を解体した。初期の極東委員会は賠償金を払う以上の日本の経済復興を認めなかった。マッカーサーも1945年(昭和20年)9月12日の記者会見で「日本はこの大戦の結果によって、四等国に転落した。再び世界の強国に復活することは不可能である。」と発表し、他のアジア諸国と同様に米国および欧州連合国に従属的な市場に解体するべく、極度な日本弱体化政策をとった。こうして各地の研究施設や工場を破壊し、工業機械を没収あるいはスクラップ化し、研究開発と生産を停止させ、農業や漁業や衣類を主力産業とする政策をとった。
1945年(昭和20年)に来日した連合国賠償委員会のポーレーは、日本の工業力移転による中間賠償を求め、賠償対象に指定したすべての施設を新品同様の状態に修繕し、移転まで保管する義務を日本の企業に命じた。1946年(昭和21年)11月、ポーレーは最終報告として「我々は日本の真珠湾攻撃を決して忘れない」と報復的性格を前文で明言し、「日本に対する許容工業力は、日本による被侵略国の生活水準以下を維持するに足るものとする。右水準以上の施設は撤去して有権国側に移す。」とした。軍需産業と指定されたすべてと平和産業の約30%が賠償施設に指定され、戦災をかろうじて免れた工業設備をも、中間賠償としてアジアへ次々と強制移転させた。大蔵省(現在の財務省と金融庁)によると、1950年(昭和25年)5月までに計1億6515万8839円(昭和14年価格)に相当する43,919台の工場機械などが梱包撤去された。受け取り国の内訳は中国54.1%、オランダ(東インド)11.5%、フィリピン19%、イギリス(ビルマ、マライ)15.4%である。」

金融駆け引きと為替相場

資本規制を厳しくする一方では、結果的に人民元の外為市場が成り立たなくなる・・自分で仲間外れにして貰っているよう・・国際取引が出来なくなって行きます。
日経新聞は大手メデイアらしく・・「代金の送金を禁止していない」と言う中国政府の言い分を乗せていますが、このニュースですぐにアサヒホールデングスに払ったかも知れませんが・・。
アメリカ金利上げ発表が今年の3月15日ですからまだ二週間あまりしかたっていませんが、米利上げは昨年末から織り込み済みとは言え、中国がこの金利差にどの程度持ちこたえられるかが世界の大関心事でしょう。
中国は景気下支えのために14〜15〜16年と金利を徐々に下げて来たことをこのあとで紹介しますが、米利上げがあると金利差が縮まり過ぎる→人民元下落圧力が増すので、これ以上下げるどころか上げるしかなくなります。
人民元下落を防止するには負けずに金利を上げるしかありませんが、そうなると政府主導の不動産バブルその他に急ブレーキがかかってしまいます。
とは言え仕方がないので昨年末から、年明け予定の米利上げ影響緩和のために年末から国内金利に直接関係のない香港オフショア市場で短期金利操作をして人民元投機売りを防ぎながら、国内景気対策上過剰なマネーサプライを少ししか減らさない政策を採用している様子です。
 http://seisakukinri.nekokuro.jp/543の引用です
中国の政策金利の推移(2010年~2019年)です。(10月分までしかデータがありません)
 1月  2月  3月  4月   5月   6月  7月   8月   9月   10月  11月  12月
2016年
4.35  4.35  4.35  4.35  4.35  4.35  4.35  4.35  4.35  4.35
2015年
5.6  5.6  5.35  5.35  5.1  4.85  4.85  4.6 4  4.6 4 4.35  4.35  4.35
2014年  6   6   6   6   6    6     6    6    6    6   5.6
上記のとおり14年には原則6%の金利でしたが、不景気進行に応じて15年からは5%台に下げ16年には4%台に下げていました。
ところが今年に入って様変わりです。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL16HPT_W6A211C1000000/
中国にも「利上げ」の予感 進む人民元安、短期金利は急上昇           2016/12/17 0:05 日本経済新聞 電子版
NQN香港=大谷篤】米国が1年ぶりに利上げを決めたが、もう一方の経済大国、中国でも「利上げ」の雰囲気が漂い始めている。物価は上昇し、国債利回りはうなぎ登り。短期金融市場では資金逼迫の心配さえ出てきた。
 中国の金融市場では人民元安と債券安が続き、短期金利の上昇が止まらない。オンショア(中国本土)の人民元の対ドル相場は1ドル=6.94元台と8年7カ月ぶりの水準に下落。秋ごろまで過去最低の2.6%台に…」
今年1月のニュースでは以下のとおりです。
http://jp.wsj.com/articles/SB108523985882373536098045825828313247289662017 年 1 月 27 日 10:48 JST 更新
 中国人民銀行(中央銀行)が24日に金融機関に対する主要貸出金利を引き上げたことを受け、中国の国債利回りが急伸している。
 指標となる10年物国債利回りは25日、前日の3.296%から3.336%に上昇し、12月半ばにつけた直近の高水準である3.387%に近づいた。」
上記のとおり昨年末から1月に掛けて中国の金利が上昇局面に入っている様子が出ています。
それどころか以下のとおり香港オフショア市場では当局の意図的操作?によって短期金利が急騰しました。
年1回の外貨両替枠更新が1月にあるので、昨年末の外貨準備減少を見て「年間両替枠を年初に使い切ってしまおう」としてドル買いが殺到する懸念があったので、その出ばなをくじく奇襲作戦のように見えます。
以下は http://blogos.com/article/204865の意見です
 久保田博幸  2017年01月07日 11:28
中国の短期金利が一時100%となった原因
介入を行うと外貨準備が減少するが、外貨準備の減少は元安要因ともなりかねない。このため、中国政府は年が変わってから介入ではない手段を講じてきたようである。それは短期金利の操作で、いわゆる短期金利の高め誘導を行ってきた。
 比較的、元を自由売買できる香港短期金融市場で、オフショア人民元の流動性をひっ迫させ、香港銀行間取引金利(HIBOR)の翌日物が前日の16.9%から38.3%へと約1年ぶりの水準に上昇し、午後には100%を超える取引も成立したようである。ちなみに昨年1月にも香港市場で中国国有銀行を通じて、ドル売り元買いの市場介入を行ったことでHIBORが急騰し、翌日物HIBORは12日には60%台に急上昇するという場面もあった。
今回は外国為替市場での大規模な元買いドル売り介入は見送られているようで、中国の国有銀行などが短期市場への資金供給を絞ったための短期金利の急騰とされる(日経電子版の記事より一部引用)。年が変わると年間外貨両替枠が更新されて、中国からの資金流出が加速される恐れも懸念されていたことへの対処でもあったとみられる。 HIBORの上昇をみて、ヘッジファンドなど元を売っていた投機筋などが、コストの増加を嫌気して外為市場では元の買い戻しの動きを強めることとなった。人民元が急反発し、その余波で上昇し続けていたBitcoinが急落するなどした。
 ただし、インターバンク市場の流動性ひっ迫は、銀行に深刻な影響を与えかねない。企業や市場などにも影響を与えることで、昨年のような景気減速そのものへの警戒が強まることもありうる。さすがに昨年の二の舞はないと思われるものの、当面の中国人民元の行方も注意する必要がありそうである。」
上記のように(国内市場に直結しない)オフショア市場の資金供給をイキナリ絞ることで、短期金利急上昇(100%?)を演出して外国人短期投資家に金利負担をさせて売りポジション解消に成功した様子で・・一種の綱渡りです。
その他政府・人民銀行自身がデリバテイヴ取引に参加して人民元を高値誘導している様子もあるようですが、先物は安くなっているからこの先どうなるか?と言う意見もあります。
中国はアメリカ留学経験者を動員して高度技術駆使しているようですが、サイバーテロ等は技術だけアレバ出来る・社会経験や政治能力不要でしょうが、市場対策は金融工学どおりに行くわけがない・・市場との対話能力不足が1昨年夏の株暴落や昨年1月初めのサーキットブレーカー作動による大失敗等々です。
ゾンビ企業への追い貸しの結果中国の民間債務が巨額にのぼっている・GDPの伸び率を大幅に超える貸付金の増加が追い貸し分に当たると言う・・ことが従来論じられていましたが、国際批判を気にしたのか?今朝の日経新聞6pではこの多くを株式化したので4代銀行の不良債権比率が急激に縮小していると書いています。
ゾンビ企業に対する不良債権を株式に書き換えてもそんな企業の株式は価値がない筈ですから本来意味がないのですが、この裏には中国の特殊性があります。
1昨年の株式暴落以降株式市場は大口売買が禁止されたままと思われます・・その後報道がないのでどうなったかな?貸し付け債権の増減はデータ次第ですので国際的に注目されて来たのですが、株式相場ならばいくらでもサジ加減出来ると言う社会主義市場経済の妙味?を発揮出来るからでしょう。
実体経済と乖離した小手先の技術で誤摩化せるのは一時的ですから、次々といじるしかないでしょう。
留学帰りの秀才が活躍出来ることは間違いないですが・・。

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