米韓式コロナ対策

PCR検査の韓国や米国の大量検査方式がなぜその方が良いかの説明がないまま大量にやった方が良いというイメージが流布され日本方式・政府に対する根拠ない批判が流布されています。
濃厚接触者を辿り検査する・・日本の狙撃方式に対して、米国は物量に任せる散弾銃や機関銃の大量発射方式であり、国民対処方法としては自粛要請・・個性対応重視・国民信頼社会と自主行動に委ねるとほとんどの国民が守らない・災害等で治安が緩むとすぐ略奪に走る社会経験から、国民不信が前提にあって画一的に外出禁止するしかない社会の違いが結果に現れたのです。
命令による奴隷労働の方が効率が良いか、自分で考えて働く方が効率良いかの違いです。
幕末に米国の外交官だったかが、日本人は命令するとあまり働かないが、任せると頼んだ以上のことをしてくれるという日本人気質が現在にそのまま繋がっているのです。
濃厚接触者を一人一人辿っていく調査が効果を上げているのも、国民の多くが調査に気持ちよく協力するから成立する方法です。
この1週間ほど新宿区のホストクラブを中心とするクラスターが相次いで発見されていて東京都の感染者が昨日41人に増えています。
ニュースでは、いかにもイカガワシイ場所で起きている悪いイメージ流布ですが、逆から見ればいかがわしすぎる?場所でも、都が検査協力を求めれば出入りした人の流れが早期に把握できる有難い国民性です。
このような流れがあるので、都は最近の新規感染増加に拘らず、20日頃予定通り全面解禁すると発表しています。
この意味が重要です。
米韓は、感染源を辿るより最末端で発症すれば検査希望に応じる・不安に応じる受け身形→来るもの拒まずの大量検査方式採用の点で共通ですが、原因を断つ方式でないといくらやってもキリがないでしょう。
クラスターになりそうなホストクラブに目をつけて自主検査を求めてこれに応じてもらい、無症状の感染者を早期発見に結びつけたのはいわばホームラン・・日本独得狙撃方式の深化というべきです。
クラスター発生前に先制検査方式に進化しているのが日本です。
こうして見つけた潜伏患者を大量に出たのを危機の高まりと評価するより、1〜2週間放置して数百人に広がった感染者のうち最初に出た5〜6人の発症者が発見されその後急拡大するのを待つよりも高効率です。
先に出る大きな芽を積んだという評価で予定通りの緩和に進んでいます。
韓国の場合、大邱で最初に大規模発生したときに集会参加者の把握に教会が協力しない点が大規模拡散の原因と報道されていましたし、最近ソールでの第二波の震源地になったナイトクラブの名簿記載の住所や偽名が半分ほどいたために7次感染までひろがった原因と言われています。
https://www.newsweekjapan.jp/kim_m/2020/06/2-1.php

新型コロナウイルス再発の大きな原因は「気の緩み」

今回、梨泰院のクラブや富川の物流センターで起きた集団感染の大きな原因は「気の緩み」である。
・・・・約5500人のクラブ利用者のうち2000人ほどが虚偽の連絡先を記載したため、連絡がとれず現在も多くの利用者に対する検査が行われていない状況である。

https://news.yahoo.co.jp/articles/5e660e71f82e27930d91f753e0d51c7bfeb08c6f

韓国で巨大クラスターが続々発生の悲劇…「文在寅が威張るたびに感染爆発」
6/10(水) 11:16配信
新型コロナの大規模なクラスターが相次いで発生、時計が逆回転したような韓国に何が起きているのか?
“感染再発”の経緯を少し詳しく見てみよう。この第2波の中核となってしまったソウル市内のゲイクラブでは、270人のクラスターが発生。入店の際に義務付けられていた名前と連絡先など個人情報の記入も、約5000人分のうち2000人は虚偽。感染防止には初動が大きくものをいうが、追跡ができないために初動が遅れてしまい、7次感染まで拡大させてしまった。
・・・K防疫とは、いかなる手法なのか。日本が取った手法とは異質であることがすでに報じられているが、感染経路をたどる際、個々人の携帯電話の位置情報、防犯カメラの映像、クラスターが起きた現場付近のクレジットカードの決済記録などを当局が把握、警察官を多数動員して追跡する。日本から見ると、法制度上の問題に加えて、プライバシーを度外視したにわかには受け入れ難い手法に見える。

米国が大規模拡大を抑え込めない原因は、初動調査ができずどこに広がっているのか特定できないので発症者が出てから発症者の自己申告(検査希望者)?対象の闇雲な検査(散弾銃方式)に頼っているからです。
検査に応じられないと国民不満が高まるので大量化しかない因果関係です。
大量検査方式の韓国と一部似ていますが、共通原因は初動調査成功率の低さにあります。検査を大量化・ドライブスルー方式で簡略化しても、それは自発的希望に限られ、新たな感染防止にはほとんど効果がないでしょう。
韓国はデータ監視網利用によるコロナ退治成功と称して世界に売り出し中のつもりらしいですが、中国のしらみつぶしの監視網をほぼ民主国家で再現したものですから、強権支配に馴染む後進国は別として、先進諸国でこの方式を採用する国は出てこないでしょう。
中国がコロナ禍の元凶である責任にほっかむりして世界に自国のやり方を宣伝して世界の顰蹙を買っていますが、韓国は元凶でないからその批判を受けないのでその代役を勤めている気持ち?になっているのでしょうか?

新型インフルエンザ等対策特措法と休校協力要請

コロナ騒動開始以来色めき立ったメデイアの安倍政権批判に踊らされた人が多かった?(メデイアでそういう人を大きく取り上げていただけで、多くの国民は外出自粛が正しいと思っていたらしく)約1ヶ月半経過・・結果から見ればこの種批判論は完敗でした。
休業すれば失業や倒産の危機に直面する個人事業の多い飲食サービス業でさえ、ほぼ自粛要請に従って休業しているのが現下の社会情勢・国民意識です。
要請に従う義務がないと営業継続する事業を英雄扱いする論調が皆無どころか、埼玉アリーナだったかでイベント強行した事業体が凄まじいパッシングを受け、最近では休業しない一部パチンコ屋が批判されている実態から見れば、周囲の反対を押し切って早めに公立学校だけでも休業要請したのは安倍総理の英断であり、(メデイア批判は空ぶりになり)迅速でよかったという評価に変わっているでしょう。
休校要請の結果感染数が下がり気味になり、3月20日ころの3連連休で花見客が増えるほどの「気の緩み」になったと報道されていましたが、その結果3連休後の感染急拡大で4月に入ってからの緊急事態宣言になった流れを見れば、2月末からの休校要請の効果が大きかったことがわかります。
メデイア界は2月29日の総理独断の?休業要請をあれだけ批判していたのに、その総括をしません。
4月に入って政府から公式緊急事態宣言が出た後でも新潟県では以下のような報道です。
https://www.niigata-nippo.co.jp/news/national/20200415537754.html

小中学校、28市町村休校せず 2020/04/15 11:02
新潟県内 村上市は16日から休校
自主性があっても良い・だからこそ特措法では都道府県知事が率先して動く仕組みになっているのですから、要は、具体的にその地域の実情にあっているか?でしょう。
そもそも今度の武漢発のウイルスは子供がかかりにくいと言われている(今はそうでもないですが、この原稿を書いていた3月10日前後にはそういう意見が流布していました)のに、なぜ学校にだけいきなり休校要請したのか・保育園や学童保護施設が休まなくて良いのか?不思議に思っていましたが、条文をみると学校が書いてあるがその他の保育施設等は条文に書いていないから要請するのはハードルが高いことわかりました。

新型インフルエンザ等対策特別措置法

(平成二十四年法律第三十一号)
施行日: 令和二年三月十四日
(感染を防止するための協力要請等)
第四十五条
1 略
2 特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間を考慮して当該特定都道府県知事が定める期間において、学校、社会福祉施設(通所又は短期間の入所により利用されるものに限る。)、興行場(興行場法(昭和二十三年法律第百三十七号)第一条第一項に規定する興行場をいう。)その他の政令で定める多数の者が利用する施設を管理する者又は当該施設を使用して催物を開催する者(次項において「施設管理者等」という。)に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止その他政令で定める措置を講ずるよう要請することができる。

条文に明記されるには国会審議・・どの業界が休業した場合の国民経済への波及効果とクラスターになる業界との兼ね合い・利害調整が国会の機能です。
法になるということは各種業界ごとの休業による影響度合いや波及効果を見極めて慎重な審議・・国民合意形成があったことが前提です。
・・産業界の場合業務停止の場合経済影響が大きくその補償・関係者の倒産・失業その他経済効果も直接的でしかも甚大ですので、公立学校(先生の失業や倒産はありません)からから始めて様子を見るのが妥当となったのでしょう。
何れにせよ事実上の要請をするにしても、国会審議で決まった職種順に従ってお願いするのが筋という判断だったのでしょう。

内需拡大と国民負担(中韓)1

インフラ整備は発展に必要なインフラが足りない場合必須ですし(後進国が後進国のままに留まったのは、起爆剤となるべき資金がなかったので発展できなかったのですが、)中韓では日本との国交回復条件として巨額資金援助・賠償金?を獲得してこの隘路を乗り越えられた結果日本との国交回復後いずれも高度成長の波に乗れたのです。
一定の成長が始まると産業規模拡大に応じたさらなるインフラ整備と国民の所得アップに応じた衣食住・・国民の生活水準底上げが次なる消費文化発展のために必要な政策です。
成長に応じた住宅供給や街路整備は文字通り市場経済の要求によるものですが、市場の需要によるのではなく、景気対策としてのインフラ整備や住宅の実需以上の需要喚起政策は、一時的に景気悪化をごまかせても「ごまかし」である以上は、その分社会に歪みをもたらします。
オリンピックで言えば、日本の高度成長の受け皿としてのインフラ必要期に当たったことが、首都高や新幹線その他スポーツ競技場等の整備がオリンピック後も国民生活レベルアップに役立った・次のステージへの起爆材になりましたが、まだその段階にない・・・例えばギリシャオリンピックでは負の資産が残った結果ギリシャ危機につながったのです。
実需に基づいてのインフラ整備や、住宅供給であれば健全な経済活動ですが、景気対策としてのインフラ投資や、住宅供給拡大策は、無理がある分歪みを生じさせます。
中韓が、実需に基づかない急速な高学歴化やインフラ・住宅供給増加は、一時的な経済カンフル的に有効ですが、完成して利用が始まると需要以上の無理なインフラ等の整備→維持費が負担になってきます。
例えば、中韓の実需に基づかない大卒大量供給が就職難(中国の蟻族の処遇・韓国の国外就職誘導)を生み出し、そのミスマッチ・不満をどうするかに苦心しているのも同根です。
中韓では実需以上の大量の大学を開設して国民に学歴必要性(英検の仮需要も同様)を吹き込んで仮需を発生させて、大学や塾等の教育産業を盛況にしそこまでの大量勧誘には成功しましたが肝心の卒業後の就職口がありません。
このシリーズで紹介してきたように韓国では大卒の1割しか大卒向きの就職口がないのにいわば10倍のミスマッチ・学歴に対する過大期待を煽って客を呼び込んでいたのです。
中国でも、大卒の大部分が就職口がなく年間700万人に上る「蟻族」が発生していると言われています。
14年の記事で古いですが、以下の通りです。
https://matome.naver.jp/odai/2137427535216293801

中国で大卒700万人の現実!中国の若者(蟻族・鼠族)の厳しい現状まとめ
中国では、2013年に日本の10倍以上の700万人が大学を卒業しました。その中で3分の1は就職が決まらず、都市部の郊外などでアルバイトをして過ごしています。
安いタコ部屋の環境は劣悪で、蟻族、鼠族などと呼ばれており、社会問題となっています。この話は、日本人にも無縁ではありません。
更新日: 2014年05月04日
北京の大卒で内定は30%という厳しい現実”
出典中国でも大卒就職浪人が急増中:|NetIB-NEWS|ネットアイビーニュース
北京市の卒業生就職斡旋工作会の発表によると、2013年に北京地区の大学を卒業した者で、就職に内定した者の割合は28.24%ということが明らかになった。大卒者の就職内定率が3割を切るという極めて低い数字が中国経済の停滞感を物語っている。
“大学院卒業生の就職率は更に悪い”
出典レコードチャイナ:中国の大学生が抱えるワーキングプア「アリ族」への不安—米誌
今年4月の時点で卒業予定の大学生のうち、就職が決まった大学生はわずか35%で、大学院生はさらに悪い26%であった。
大卒の初任給が1000元(1万5000円)を提示される現実”
<出典朝日新聞グローブ (GLOBE)|バーリンホウ(80后) 中国を変える新人類 — ワーキングプア 大学ではコンピューターを専門に学んだが、最初に決まった会社から提示された月給は1000元(約1万2000円)。農村からの出稼ぎ労働者と同じ水準だった。 「買い手市場」の現実に挫折感を味わった。1万2000元(約15万円)を払って4カ月間専門学校に通い、より高度なコンピューターの技術を学んでいる。

中国では約7割の卒業生が就職できない状態をこのコラムでも、May 3, 2014に引用紹介したことがあります。
(地方の貧困層・低賃金農民工からの脱出を夢見て親が食うや食わずで大切な一人っ子を都会の大学へ進学させたのですが結果、7割の大卒に就職口がないのです)
中韓共に国を挙げての学歴万能論の呼び込みは、政府の行う詐欺的商法だったことになります。
中韓政府が住宅産業とマッチを組んだ住宅購入勧誘政策は、その先のローン支払い見込みもないのにローンでの住宅購入を煽り夢の生活を煽る点で学歴・英検万能の呼び込みと方向性が似ています。
我が国で言えば、バブル崩壊後に行われた地方自治体の箱物整備がその後維持費負担に耐え兼ねて最近閉鎖ラッシュに見舞われるのと同じですが、この負担は中央政府の財政赤字・地方公共団体が負うのに対し中韓では国民が吸い取られる自己責任仕組み担っているのが大違いです。
中国でいえば、ガラガラの高速鉄道をどんどん作って(世界最長キロ数と自慢しますが・・)どうするの?誰も住まない巨大ニュータウンをどうするの?となります。
より良い住宅を求める住宅需要は一定のところまであるでしょうが、経済力アップに応じた自宅取得は合理的ですが、背伸びした住宅取得を政策誘導すると、その咎めがのちになって出てきます。
中国の新都市建設がゴーストタウンにならずに、本当に売れたら売れたで、国民が住宅ローン支払いに追われるようになり・・家計債務がGDP比一定率に達すると国内消費がその分減少する限界がきます。
地方自治体が豪華な〇〇会館維持コストに追われて必要な施策に予算をまわせなくなるのと同じです。
昭和40年代に川崎市(いまトレンデイーな武蔵小杉周辺)に住んでいましたが、その頃田園都市園の開発が始まりニュータウンとして一種の憧れの地でしたが、(玉川高島屋オープン直後に妻からおしゃれなセーターを買ってもらったのが青春時代の思いです)千葉に移り住んでから年を経て、昭和女子大病院に行った時に街の貧しさに愕然としたものでした。
活気のある千葉からいくとお昼を食べようとしてもこれと言った飲食店もなく、地元の話では住民の多くはローン支払いに追われる生活で消費が極度に細っているということでした。

原理論と時代不適合5(テロ対策3)

昨日まで見てきたところによると、違法収集証拠の証拠能力排除と言っても、違法レベル次第、または重要事件かも考慮されるし緊急性次第によるようです。
GPS捜査の最判事件では緊急性もなければ、窃盗被害でしかない点では重大性も低いということでしょうか?
その代わりプライバシー侵害といっても程度が低過ぎないか?(「お前はプライバシー意識が低すぎる」と言われればそれまでですが)の疑問です。
GPS判例は大法廷判例・しかも全員一致ですので中長期的には確定的ですが、それにしても・・・という論理的根拠のない主観的な疑問のみっbで書いてきました。
テロ対策に戻りますと、
政権側としては佐倉惣五郎事件のような大規模騒動が起きると政治責任になる上に、歴史に残る不祥事ですから、事前抑制に熱心になります。
悪い方を考えれば事前抑制=犯罪を冒していないのに個人情報を収集するのは今の「建前?」では違法・人権侵害ですが、そう言ってられない時代が来ています。
「収集した情報はテロ対策/もしくは限定した犯罪予防以外に使わない」という逆転の発想で許すべきではないかの意見を書いています。
店舗や公道の防犯カメラや一般利用目的のトイレやエレベーター内のカメラ等も皆そうですが、プライバシー侵害のために盗み見る目的で設置されているものではありません。
事件発生等があった時に関与者特定目的その他のあらかじめ決めておいた要件合致の資格者(フランスでは紹介したように資格者だけになっているようです)だけ見れば足りるものですし、実際に日本のスーパー等でもみだりに防犯カメラを関係ない人に開示していないでしょう。
2018-2-26「民主主義ルール3と違法収集証拠排除論2」前後で紹介したGPS捜査が問題になっている事件では、(ラブ)ホテルに駐車したことまでGPSでわかるのが許せないような判決理由になっていたように記憶しますが、ここで正確を期すために最判全文を見直してもそこまで書いていません。
もしかしたら間違って記憶していた可能性もありますし、判決が出た当時高裁判決の詳細事実認定を読んだり、あるいは関連紹介記事を読んだ記憶かもしれません。
※ 今日事務所に出て「自由と正義」2017年10月号を見直してみると上記事件の弁護団で中心的役割を果たした弁護士の事案経過説明が出ていて、これによると、犯人が一度だけ乗車したことのある事件に関係のない女性の車にもgpsが装着されていたり、塀に囲まれて外部からラブホテルに駐車したことが分からない駐車も特定されていたことが説明されています。
何れにしても警察は窃盗被害との関係で移動履歴を知るために設置しているのであって、調査対象者がたまたまラブホテルに行ったかどうかなど犯罪に関係のないプライバシーに関心のないことです。
実際に事件に関係がないので検察側は証拠請求していなかったものを弁護側の開示請求によって明らかになったものです。
最判の論法で言えば、防犯カメラに犯人と別人がたまたま立ち小便しているのが写っているあるいは恋人と抱き合った場面や痰を吐くところが写っていた場合、それを咎めてプライバシー侵害・・路上強盗の写真を証拠に出来ないというのでしょうか?
その部分だけすみ塗りして証拠提出すれば足りるように思われます・同様に窃盗事件の立証にラブホテルへ行ったことまで証拠にする必要のないことですし実際検察官が窃盗に無関係なプライバシー移動経路まで証拠請求していなかったことは上記の通りです。
いろんな論文を見ていると犯罪に関係ない網羅的捜索が許されないのが原則のようですが、(例えば家宅捜索などで、もしかしたらは犯人仲間か?と言う疑いで根拠ない当てずっぽうで気楽にしょっちゅうやられたら溜まったものではないですが・・・)資金では通信防除その他の議論の前提で、GPSに関する令状発布が原則として許されないと言う議論に出てきます。
自宅にズカズカ踏み込めんだり身体検査などはプライバシー侵害の程度が大きいからであって、車の移動経路わかる程度ではプライバシー侵害のレベルが違いすぎます。
物事は侵害される権利との程度問題ではないかと言うのがこのシリーズの関心です。
民間の万引き防止のための防犯カメラ等よりも公的目的の情報蒐集に限って情報収集を厳しくするのが一般的風潮であり、おかしいと書いてきましたが、この蒸し返し・補充論です。
日頃から無断(令状事前提示不要)で収集してもいいが、事件発生後の犯罪捜査にしか使わないあるいは、フランスのように犯罪発生前にも事前に特定資格者に限って情報提供を求められる制度・その要件を厳重にするのを認めたらどうでしょうか?
今のテロは犯行着手やその準備段階(日本でいえば凶器準備集合罪)を待っていて、それから検挙するパターンあるいは兇徒が徒党を組んで出撃するような段階で行進を阻止するような悠長な手順を踏んでいては、(ベルギーのテロでは瞬時に約300人の被害)間に合わなくなっている時代になっています。
事件が起きてからの捜査を前提にする近代法の原理はそれなりに人権擁護に果たした役割は否定できませんが、今では航空機搭乗前の所持品検査が必要になるなど事前情報蒐集や検査が必須の時代です
こうした変化を認めずに一旦何か原則を決めると「例外を一切許さない」という硬直姿勢を取るかどうかの問題です。
労働法制も工場労働発達時に制定したものであって、(この時代にも柔軟勤務を前提に管理職には不適用でした)時に合理的であったにすぎません。
管理職でなくとも柔軟な働き方が増えて来た以上、それに見あった法制度が必要です。
それをどうすべきかは、未経験のことなので模索中であることも事実であり、今から完全な正解はまだ誰もわかりません。
国を挙げて叡智を絞り何とか対応しなくてはならない・出来ることから試行錯誤して行くべきテーマにケチだけつけて野党が満足しているのは不思議です。
講和条約に始まって60年安保以降反米中ソ支持グループは対案提示をやめてしまい、明確な反政府勢力になって現在に至っているように見えます。
過去に成立した原理原則にこだわる運動形式は、世界情勢を無視した幕末攘夷思想と同じです。
政治分野の議事妨害だけではなく・法律家の世界で始まった違法収集証拠排除ルールの強化は、軽微な違法?捜査で証拠排除する方向に突っ走る?ようになったのは、アメリカで発達したルールを信奉しているように見せかける点で、一見西側価値観に足場を置いたようなスタンスですが、結果的に政府の政策になんでも反対し妨害する政治運動に利用している方法論の一つのように見えます。

原理論と時代不適合4(テロ対策2・フランスの場合)

現実の殺傷や交通機関破壊などの実行行為前の阻止手段・・テロ対策法として考えられるのは、内乱予備罪や凶器準備集合罪がこれですが、内乱予備と言えるほどの大規模なものは民主国家では現実的でないので、ちょっとした凶器を準備する程度では凶器準備集合罪程度しかありません。
この法案提出時には革新系政党や進歩的文化人?が人権弾圧法案として猛烈な反対運動していたことは周知の通りですが、法成立後現在までの約60年間でどのような弊害があったでしょうか?

刑法
(予備及び陰謀)
第七八条 内乱の予備又は陰謀をした者は、一年以上十年以下の禁錮に処する。

ウイキペデイアによると以下の通りです。

凶器準備集合罪・凶器準備結集罪は、刑法に規定された犯罪類型の一つ。
「第二十七章 傷害の罪」の第208条の2に規定されている。生命、身体又は財産に対する危険をもたらす一定の予備的な行為を処罰する。個人的法益に対する罪であると同時に公共危険犯としての性格を持つ。
暴力団の縄張り争いや過激な政治団体同士の抗争を早期の段階で取り締まるため、1958年に新設された規定である。

現在日本では、暴力行為を実行する前の規制は凶器準備集合罪・共謀罪法が成立しましたが、実務的には共謀だけでの検挙が難しいので、一味の一人でも現実に窃盗等の実行行為をした時に、その数時間前の共謀した時点で犯罪が成立していたと時間的に遡れる程度でしょう・・だけであって、それ以外は具体的犯罪行為をしようとしている場合に事前規制をしたり、より重く処罰する程度しかありません。
事前集結して気勢をあげて行進するようなことをしない・いきなり襲撃する共謀罪法以前の既存法令では現在型テロ行為に対して現行法令では、適応できなくなっていることは明らかです。
犯罪成立要件は、「凶器の準備プラス集合」ですが、テロは集団の威力を誇示するのではなく一人2人が別ルートで現地付近に赴き各自が別々に発砲したり爆発させたり、トラックを群衆に突っ込んでも大きな被害が生じる時代です。

特に現在のIS式テロの場合には組織らしい組織もなく、矯正シアtもノアh各自勝手にテロをやればいいという仕組みでネットをつじて煽っているだけですから、共謀さえありませんし、もちろん組織化されていないので集合さえありません。
既存法令・・・既発犯罪の捜査→検挙という法体系では、テロが起きるまで黙って見ているしかないのでは時代遅れ・・困るでしょう。
アメリカの銃乱射事件で言えば、アメリカの場合銃所時が一定手続きで合法ですから合法所持している人を検挙できません。
これから学校に行って銃乱射すると言って家から学校に向かう青年を、警察は途中で阻止できないのでしょうか?
事件が起きてからの捜査を前提にする近代法の原理はそれなりに人権擁護に果たした役割は否定できませんが、今では航空機搭乗前の所持品検査が必要になるなど、事前情報蒐集や所持品検査が必須の時代です。
空港や学校など場所限定列挙の銃所持禁止法律を作った場合、その境界10センチ手前で銃を持っていてもいいのか?
そこからの銃乱射を待つしかないのでしょうか?
それとも1メートル〜50〜数百メートル先から検問することになるのでしょうか?
欧米では日本と違いテロ防止用の特殊法令が発達しているように思えますが・・・。
そういう紹介がネット上にも出てきませんし、まして日弁連関連や法律専門雑誌では、そういう紹介はタブーのように全く入ってきません。
「近代法の法理を守れ」いうばかりです。
今ではテロの方法が日進月歩ですので対策も日進月歩でしょうから、だいぶ古いですが、2006年に発表された紹介文が見つかりましたので、その目次と概要を紹介しておきます。
(その後いわゆるIS方式による末端とも言えない個人暴発的大規模テロがパリやベルギーであったので、以下の紹介制度後さらに新たな対策法ができているのでしょうが・今わかるのは、2006年方です)
http://www.ndl.go.jp/jp/diet/publication/legis/228/022807.pdf

特集 テロリズム対策◆外国の立法 228(2006. 5)
フランスのテロリズム対策
高山 直也(主任調査員)
目次】
I  2006年テロ対策法の目的と背景
フランスはテロの標的になるたびに、新たなテロ対策を講じてきたが、その中でもフランスが重視してきたのは、テロを防止するための諜報活動である。
2006年テロ対策法は、その方向をさらに進めて、テロを予防するために「さらに上流にさかのぼって(注4)」情報収集ができるよう、国家警察や国家憲兵隊(以下「憲兵隊」とする。)に新たな権限を付与する内容となっている。

2 テロの性格の変化
3 ロンドン同時多発テロの教訓

II 2006年テロ対策法の内容
1 テロの未然防止対策
2 特別な司法手続きの適用
フランスは、テロ犯罪は特別な犯罪であるとして、テロの実行者またはテロを企てた疑いのある者に対して、普通法とはちがった特別の司法手続きを適用することにしている。
006年テロ対策法は、つぎの11章33か条から成る。
第 1 章 ビデオ監視カメラに関する規定
第 2 章 テロ行為に参加している疑いのある者の電話・電子交信に関するテクニカル・データの移動及び伝達の監督に関する規定

i 行政警察が交信記録にアクセスする権限を認めた前述したように、司法手続きの枠内であれば、交信記録の消去または匿名化の猶予期限を最大1 年間延長できることになっている。しかしテロがおこってから捜査のために交信記録を利用するのではおそすぎるとして、今回の改正ではもっと「上流にさかのぼって」、テロが実行に移される前の段階でそういう謀議がおこなわれていることを把握するために交信記録を利用しようというのである。今回の改正では、国家警察と憲兵隊に対し、「テロ行為を未然に防止」するため、電子通信業者等から交信記録のデータの伝達を要求する権限を与えている。ただしそれができるのは、「特別にテロ対策の任務を与えられた」国家警察及び憲兵隊の担当のうち「個別に任命され、正規に授権された警察職員」に限られる
アクセスできるデータ権限を与えられた警察職員が要求できる交信記録データは、盗聴の場合とちがって交信記録の内容そのものではなく、「電子通信サービスへの加入又は接続の番号の同定に関するテクニカルなデータ、特定の人物の加入又は接続の番号のすべての明細目録、利用された端末機器の位置に関するデータ、並びに受信先又は送信先
番号のリスト、通信の時間及び日時に係る、加入者の通信に関するテクニカルなデータ」に限定される。

第 3 章 個人情報の自動処理に関する規定
第 4 章 テロの抑圧及び刑の執行に関する規定
3 刑の加重

以上を概観すると、司法の権限行使であれば憲法上の要請・事前の令状発布や、捜索される相手に対する事前開示が要請されるが、フランス憲法では、行政警察であればその要請がなくなる・緩くなるということでしょうか?

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