素人政治の限界5(「明白かつ現在の危険」)

トランプ氏は政策実行の過程で対内政策であろうと対外政策であろうと、全ての分野で利害調整無視の単純主張では何も出来ない現実に直面して行くしかないでしょう。
自分の得意とする対外強行策で相手が強い(米国内関係者が多い)からと尻込みするとメンツを失い支持を失うリスクがあります。
ここで中国の抵抗(実はアメリカ国内企業のロビー活動)が強いからと対中高関税を引っ込めると鉄鋼労働者の支持がなくなる・・この種の政権は激突しか解決の道がないのが普通です。
内政の場合には前年末予算編成時・年初には景気中立的予算で秋頃になって海外情勢の急変に合わせて補正予算で追加財政出動したり金利上下するなど時機に応じた政策発動が予定されています・・景気の足腰が弱いのに年初から金利上げするのではなく、過熱気味になるまで待つなど機動的決断が期待されています。
対外強行策スローガンの場合,経済のような情勢変更は理由になり難い・・相手が強くて歯が立たないと言う理由での方針変更は、(「少なくとも県外へ!」と言っておきながら、どこの県も手を上げてくれないからとやめるのでは、)前もって根回ししていなかったのか?嘘つき呼ばわりされかねません。
弱腰・腰砕け・足下が揺らいだと政敵から見透かされ、国内支持者を失いかねません。
敵を迎え撃つために出陣したのに方針が変わったと戦わずに城に逃げ帰るようなものです。
1月末の入国禁止令の不発以降勢いづいた反トランプ陣営の嵩にかかった攻撃で、大統領補佐官フリン氏の就任前のロシア大使との秘密交渉露見による辞任、その他政権内部もガタついて来ました。
3月4〜5日ころからは、折角議会承認を受けて正式就任した司法長官の就任前ロシア関係交渉疑惑が持ち上がっています。
1月20日就任以来まだ2ヶ月半しか経過していませんが、政治経験のない者の集団ですから、粗雑対応中心・・やることなすことミスが多くて虎視眈々と狙っていた反対派の標的になる例が増えて来ます。
このまま引き下がるわけに行かないので、入国禁止大統領令の再発行が3月7日頃に発表されていました。
これに対してハワイ州が執行停止を申し立てると言う報道が8日夕刊に出ています。
今回も違憲決定がもしも出ると政権のメンツは丸つぶれです。
今回は前回の大統領令意見決定を踏まえて修正したものですから、大統領独断ではなく、議会承認された国務省、司法省長官その他政権幹部・支配下の官僚を巻き込んで訴訟対策を考慮して修正した大統領令を発布したのですから、それでもダメとなれば政権チーム全体の実務能力に大きな疑問符がつきます。
次々と未熟な政策を打ち出すと時間経過で逆に矛盾激化も進みますので、それまで政権を持ちこたえられるかが心配です。
半年〜1年経過で政権に人材が集まれば政治能力も少しは身に付くでしょうから、逆から言えば陣容が整うまであわてて新機軸を打ち出そうとしないでじっとチャンスを待つのも政治のあり方ですが、こう言う冷静な判断すら出来ないほど未熟なのかも知れません。
分ってはいるものの、マスメデイアとの対決を煽って耳目をしょっ中引きつけることが政権維持の基礎構造になっているので、やめられないのかも知れません。
政権実務家を掌握して官僚が動き出す前に慌ててスローガンそのまま実行して失敗ばかりしていると折角入りかけた有能な人材が恥をかかないように政権から逃げ出すし、新たな就職者も2流〜3流人材にドンドン劣化して行きます。
トランプ氏は選挙用のスローガンどおり政策実行すると無理があるのを知っている・・実務家に検討させると出来ないことばかりで鳩山民主党のように行き詰まるのを恐れて、実務家チェックが入る前に敢えて拙速承知で第一次入国禁止大統領令を発布したのが真相ではないかと思われます。
1月の入国禁止・大統領令の高裁審理でのやり取りを「February 12, 2017」のコラムで
http://bylines.news.yahoo.co.jp/nakaokanozomu/20170210-00067544/トランプの研究(6):控訴裁判所での大統領令を巡る訴訟でトランプ大統領敗北、トランプ政権に大きな打撃」の記事を一部引用しながら紹介しました。
そのとき全文を紹介しませんでしたが、その中に「緊急入国禁止しなければならないほどの危険が実際に起きているかの主張立証が足りない」点を裁判官から指摘されたときに政権側弁護士が、(急な異議申し立ててだったので?)「証拠収集する時間がなかった」と答弁していて、「準備不足だったのですね」と共和党系裁判官から優しく声かけされて弁護士が何も言えない様子が出ています。
正確なやり取りを知りたい方は上記引用記事に直截当たって下さい。
しかし、イキナリの入国禁止・人権制限をする以上は、訴訟に発展するのを想定しておくべきですし、その場合には、表現の自由規制に関して発達した「明白且つ現在の危険」のルール応用が必須でありそうなことはプロから見れば「イロハ」です。
担当弁護士としては、(異議申し立て段階での受任なので?)弁護士としては、第一審決定後短期間の異議申し立て(日本の場合2週間しかありません)だったので準備する時間がなかったと言うのは、プロ・弁護士としては一貫しています。
しかし、政権のあり方としてみると訴訟社会のアメリカで、大統領令を発布した場合99%訴訟になるのが見えているのに、訴訟になった場合の先読みをしないで実施に踏み切っていたとすればお粗末過ぎます。
プロの意見を求めると反対されるのが目に見えているので、あえて意見を求めないまま実施したのか?と言う私の憶測になるわけです。
ところで、「明白且つ現在の危険」の法理は、ウイキペデイアによれば、以下のとおりです
「明白かつ現在の危険」の基準は、1919年のシェンク対アメリカ合衆国事件(Schenck v. United States, 249 U.S. 47 (1919))の連邦最高裁判決において、ホームズ裁判官(Oliver Wendell Holmes)が定式化した。」とされています。
我が国では、
最三判決昭和42年11月21日刑集21巻9号1245頁
公職選挙法138条1項は、買収等の「害悪の生ずる明白にして現在の危険があると認められるもののみを禁止しているのではない」として、戸別訪問禁止規定に「明白かつ現在の危険」の基準の適用を否定した。」
とあるように、我が国でも知られた法理です。
ただし、憲法事件に関する素人の私にはどこまでこの法理の応用が利くかまでは知りません。
法案のように審議会や公聴会を経て議会で時間をかけて議論する場合にはいわゆる「立法事実」があるかどうかの議会判断(規制必要性が議論されます)ですが、大統領令でイキナリ実施するのは議会を経ていない分よりいっそう厳格な「明白且つ現在の危険」法理の応用・・主張立証が必須です。
実施にあたってはこの流れを読んでその準備をした上で、この資料で「行ける」と言う確信を得てから実施すべきだったでしょう。
法律家が前もって大統領令の法的成否を相談された場合、「アラブ系新規入国者に限定したテロ発生事例をあまり聞いたことがないので無理じゃないか?」・・「やるならば「◯◯等の資料を蒐集してみてそう言う資料が出れば別だが・・資料を見てからでないと分らない」と答えるのがほぼ100%でしょう。
時間を十分にかけて準備してからの大統領令の発布であるべきですから、高裁審理で1審決定後異議申し立て期間が短かったので資料準備時間がなかったと言うのでは、素人の集まりか?・漫画的です。
このやり取りの紹介文の正確性は分りませんが・・・・これを見る限り、大統領と側近はプロの意見を敢えて聞かないで・無視して強行したのじゃないかの疑念・・印象を受けます。

マスメデイアの政治支配(暴言の構造)2

ところで、政治家発言が何故暴言として政治問題になって来たかの構造ですが、昨日紹介した論文によれば、以下のとおりマスメデイアの仲介・拡散によることが明らかにされています。
以下上記論文の抜粋です。
「.暴言とは何か
本稿では,テロリズム研究の知見を分析のフレームワークとして応用することを試みる。」
「何がテロリズムにあたるのか,それを決めるのは犯人ではなくて,受け手側の感覚である」[宮坂2002: 30]という興味深い指摘がある
「攻撃の対象は「テロリスト」の真の目的ではなく,むしろそれは「テロリスト」の「メッセージ発信機」にすぎない。メッセージをどのように解釈するかという点で,事件を報道などで知る受け手側の感覚が重要となってくる。」
「テロリズム」と同様に,ある発言が「暴言」か否かを決定するのは,発言者本人ではない。その発言の受け手,さらにはマスメディアなどを通じて発言内容を知った市民の感覚によって左右される」
「政治家の暴言も同様である。政治家のある発言をメディアが問題視し取り上げることがなければ,その発言の存在それ自体が知られることはないため,その内容がどんなものであろうと「暴言」として社会問題化することはない。」
「ここから,暴言とメディアの関連性が指摘できるが,本稿の分析の範囲外である。いずれにせよ,メディアで取り上げられたある発言が,野党政治家あるいは市民そして本稿の場合だと中国政府に問題視されたときに,当該発言は暴言となり,政治外交問題となる。」
煩雑になるので昨日省略しましたが、80年代以降の暴論例示ではメデイアが騒ぎ、何日か後に中国政府が遠回しに不快感を示すと言う繰り返しが紹介されています。
まさに中韓相手に日本メデイアが(メデイアの気に入らない)政治家発言を大々的に取り上げることによって、中韓発言を引き出してはこれを引用して更に中韓が不快感を示している・・こんな暴言を許していいのかと騒ぐ→中韓両国に対して日本の政治下がでこんな暴言を吐いて開き直っているが中韓政府が黙っていていいのかとけしかける・・中韓政府が仕方なしに更に突っ込んだ不快感声明を出すと言う螺旋状の拡大プロセスの結果中韓の対日批判が厳しくエスカレートして行った流れが見えます。
一方で日本の方では、「教科書の内容まで、一々ケチを付けて来るとは何事か!」と言う不満が鬱積して来ますから、お互いのために良い関係にはなりません。
実は、靖国参拝もこの頃からうるさくなって来たのであって、それまで誰も文句を言っていなかったのです。
3月6日現在のウイキペデイアからの記事の引用です。
「戦争被害を受けた中国や韓国は、靖国神社にA級戦犯が合祀されていることを理由として、日本の政治家による参拝が行われる度に批判反発している(諸外国の反応の詳細については後述の#日本国外の見解を参照)。もっとも、1979年4月にA級戦犯の合祀が公になってから1985年7月までの6年4月間、大平正芳、鈴木善幸、中曽根康弘が首相就任中に計21回参拝をしているが、1985年8月に中曽根首相が参拝するまでは、非難はされていなかった。1985年の参拝に対しては、それに先立つ同年8月7日の朝日新聞が『靖国問題』を報道すると、一週間後の8月14日、中国共産党政府が史上初めて公式に靖国神社の参拝への非難を表明した[要出典]。一方で、戦没者を慰霊追悼・顕彰するため、外国の要人も訪れている[要出典]」」
上記を見れば、元々問題になっていなかったことを敢えてマスメデイアのある意図によって、政治問題化したことによって日中韓にくさびを打ち込んだことが明らかです。
多くの日本人は朝日、毎日新聞が中韓贔屓だと思い込んでいる人が多いと思いますが、マスメデイアが何故イキナリ80年代半ば以降になると日中韓の不仲を煽るようになって来たか・・これをやることによって、どこの誰が利益を得るのか?何のためにお互いにとって不幸な関係構築に励むようになったかと言う冷静な分析が必要です。
日の出の勢いの日本の経済力を封じ込めるために始まった世界体制・・プラザ合意以降の対日包囲網の一環だったのではないかと言うのが、さしあたりの印象です。
話題を政治とマスメデイアの関係に戻します。
ネットの発達した第二次安倍政権が始まるまでは、マスコミに叩かれると政治生命がなくなるので、マスコミが政治の動向をうかがって報道するのではなく、政治記者の仕事は、政治家がマスコミ傾向無視の政治を目指しているか、そのような意向を漏らすかの監視役みたいになっていました。
昨年にも、作家百田尚樹氏が自民党内勉強会での発言がマスコミに報道されて大騒ぎになっている時代です。
https://matome.naver.jp/odai/2138403790714522501
「安倍晋三首相の側近ら、自民党若手議員約40人が25日、党本部で憲法改正を推進する勉強会を開いた際、講師として招いた作家の百田尚樹氏が、「沖縄の2つの新聞はつぶさないといけない」と発言していたことが、分かった。「あってはいけないことだが、沖縄のどこかの島が中国に取られれば目を覚ますはずだ」とも主張したという。」 出典「沖縄の新聞つぶさないと」 百田尚樹氏が暴言 – 社会 : 日刊スポーツ
ギャグで言った言葉を切り取られた(>_<) しかも部屋の外から盗み聞き! 卑劣! nikkansports.com/m/general/news…
それにしても、報道陣は冒頭の2分だけで退室したのに、ドアのガラスに耳をつけて聞き耳してるのは笑った。しかし、正規の取材じゃなくて盗み聞きを記事にするのは、ルール違反だし、卑劣だろう! nikkansports.com/m/general/news…
作家が発言してもこの有様です。
怖くなった政治家がマスコミの動向をうかがって発言する逆転した時代が続いていることが分ります。
この結果メデイアを支配する人物が国政を左右するような時代になっていました.
この象徴的人物が、読売新聞のドンと言われた政界マスコミ界の大物?渡辺恒雄氏の存在でしょう。
政治動向がマスメデイアの脚色次第になって来るので、マスメデイアが誘導する方向へ政治が動く時代が戦後ずうっと続いて来ました。
マスメデイアが政治の方向性を左右出来ると言う増長・・慢心の結果が出て来たのが事実の脚色どころか事実ゼロのことを捏造する・・珊瑚礁落書きなどのヤラセ報道でしょう。
その境目に起きたのが慰安婦報道だったと言えます。
珊瑚礁のヤラセ事件と慰安婦報道の過熱がぐうぜん?時期的にほぼ平行していますのでこの頃のマスコミ関係者は何でも自分の誘導したい方向へ何でも出来ると思い込んでいた時代だったのではないでしょうか?
珊瑚礁落書き事件は平成元年のことです。
http://jikenshi.web.fc2.com/newpage93.htm
「平成元年4月20日、朝日新聞の夕刊一面トップに「観光客・ダイバー達の低モラルぶり」という見出しで、沖縄県・八重山群島西表島の珊瑚に「K・Y」という落書きを発見したと、写真付きで報道した。この取材は、《自然環境破壊に警鐘を鳴らす》という特集で、朝日新聞の記者が、ダイビング中に偶然発見したとされた。
記事は、「80年代の日本人の記念碑になるに違いない100年単位で育ってきたものを、瞬時に傷つけて恥じない、精神の貧しさ、すさんだ心。一体K・Yって誰だ」という内容だった。
-思わぬ展開(捏造)-
ところが、この記事に関して異議有りを訴えたのは、地元のダイバー達だった。沖縄のダイバー達は、地理的にも人為的にも、珊瑚は傷つくことは有りえない(ダイバー達は、こよなく自然を愛し海が好きだ。このような卑劣な行為をする訳が無い)と立ち上がった。
ダイバー達は、何度も現場の海に潜り、問題の珊瑚を調査したり、朝日新聞に落書きを発見した経緯や聞き込み調査を開始した。やがて、ダイバー達の執拗な調査結果、現場へ行くには、素人のダイバーには地理的に無理で、プロの地元ダイバーのガイドが必要であることが判明した。そこでダイバー達は、朝日新聞社に真意を問いただした。
その結果、5月16日に広報担当の青山取締役(当時)は、既にあったKYの文字を、写真で明確になるよう「なぞった」だけとし、しかしながら行き過ぎた取材であったと釈明する。
この回答に納得しないダイバー達は、更に調査を実施。
結果、K・Yの落書きは「スクープ欲しさの捏造であることが判明した」。朝日新聞社は、記者自らK・Yの落書きを行っていたことを認め、謝罪するに至ったのであった。この記者は、自然破壊に繋がる取材をしていたが目ぼしいものが無く、記者の持っていたカメラのストロボの柄で、珊瑚に落書きしていたことが判明したのである。
新聞報道は常に正しいという概念に警鐘を鳴らす事件でもあった。」
慰安婦報道の時系列は朝日新聞第三者委員会の検証報告が正確ですが、検索で簡単に出た記事を便宜上紹介しておきます。
年月日は多分そんなに違わないだろうと言う程度の引用です。
http://www.sankei.com/affairs/news/140913/afr1409130007-n1.html2014.9.13 09:26更新【朝日慰安婦誤報】「宮沢謝罪外交」と共鳴
(1/3ページ)【朝日慰安婦検証】
 虚報を垂れ流して日本と日本人を国際社会で貶(おとし)めた朝日とともに見逃せないのは、自民党の宮沢喜一内閣による事なかれの“謝罪外交”の存在だ。朝日の報道ぶりと宮沢政権の対応をみると、両者が不思議なほど緊密に連動していた実態が浮かび上がる。記事取り消しとなった朝日の慰安婦報道の背景には、国内外で悪化する政治状況への便乗もあったようだ。
 宮沢内閣が発足したのは平成3年11月だ。翌4年1月11日、朝日は朝刊1面トップで、「慰安所の軍関与を示す資料」が見つかったと報じ、そのわずか2日後に加藤紘一官房長官が記者会見で、十分な調べもしないまま軍の関与を認めて正式に謝罪した。朝日報道の影響を受けていたと勘ぐられても仕方あるまい。」
上記のようにヤラセ・でっち上げ報道が日常化していたメデイア界の慢心が慰安婦報道事件を引き起こした素地ではないかと根拠のない私の印象を書いています。

単純政治の限界・ 2項対立5

ばい菌の浸透は日本国内データ破壊に留まらず、科学技術の進歩によって犯罪形態でさえもドンドン進化して行くので19世紀型・・例えば未舗装の現場が滅多にないので、犯人の足形(靴やゲタで歩いた後が現場に残る)や指紋採集などの対応では解決出来なくなっています。
たとえば、外国人の指紋押捺を犯罪人扱いするな!問題にしていた時期がありましたが、今や情報機器アクセスに指紋どころか網膜その他もっと厳密な識別情報登録が要求されている時代です。
この時代に何でも過去の基準を振りかざすのは無理があります。
社会の変化・サイバーテロに合わせてドアのカギだけではなく新たな入退出ルールが必要です。
犯罪形態犯罪手法も進化の一途ですから、新たな証拠収集方法が必要ですが、各種データの名寄せによる履歴の跡づけを図るマイナンバー制度、防犯カメラ反対、通信記録の調査、クルマの尾行に変わるGPS機能の利用、秘密保護法反対だけでは時代対応が出来ません。
FBIが押収したスマホだったかの暗号解読に協力する・・しないの大騒動がアメリカで1年ほど前にありました。
犯罪の手口方法が日進月歩なのに合わせて、19世紀型の通信の保護の必要性や肖像権その他権利保護がどうあるべきか、再構築努力を怠ることは許されません。
上記GPS取り付けに関する最高裁判例がでると言う報道が出ていましたが、プライバシーと捜査の必要性の微妙な境界です。
特定原理は生まれた時代状況に応じて出来上がったに過ぎず万代不易の法原理などあり得ません・・権利保護のあり方も社会の変化に合わせて不断に見直して行く必要がある点はどの分野でも同じです。
近代法の原理・「人権」と言えば何でも解決・・犯罪抑止に役立つことに何でも反対する勢力は、犯罪による人権侵害被害の方を無視しているのです。
犯罪がはびこってあらゆる信用秩序が破壊されて国民が困ることよりは、人民と支配者・日本国民と政府は違う・・「日本政府さえ困れば良い」と言う前提かも知れません。
中国政府がよく使う・・国民は良いが政府が悪い、戦争責任は軍人が悪かっただけ、今で言えば安倍総理が悪いと使い分けしています。
実際に侵略軍が上陸すれば、真っ先に多くの国民が大被害を受けますし、ありもしない慰安婦強制連行の虚偽非難を放置していれば日本人が世界中で被害を受けます。
小笠原での2〜3年前の中国漁船による珊瑚礁破壊略奪行為でも分るように、先ず国民が被害を受けるのです。
尖閣諸島の中国による侵犯行為でも被害を受けているのはその地の漁民です。
竹島占領も同様であって、右翼組織が損をしているのではありません。
国全体から見れば微々たる損失でも地元民にとっては死活問題ですから、同胞としての一体感で被害を受けていない他の地域の人たちも共感するから大問題になるのです。
共感力の発露と言う点では、北朝鮮拉致事件や局地的地震災害も領土問題も根本は同じです。
日本に対する侵攻軍が日本列島に上陸したときに日本人民の解放者と見る意見によれば、アメリカが一般人殺傷目的に焼夷弾攻撃による日本中の街を焦土化し病人船や学童疎開船撃沈〜原爆の人体実験をしたのとは矛盾しますが、そう言うことには目つむっています。
悪い政府から人民を解放して貰うためには日本人が殺されても仕方ないと割り切るのでしょう。
中国政府が人民の味方だと言う前提がありますが、ソ連や中国人に支配してもらう方が何故いいのかについての説明が一切ありません。
アメリカは対日戦争開始前から、ニッポン民族を如何にして奴隷的支配するかの研究をしていたのですが、外敵導入論者はそう言う論文には一切目を向けません。
アメリカはナチスもびっくりするほど日本民族に対する野蛮な計画をしていて、実際荒野のど真ん中で鉄条網で囲まれた収容所に・・結果は4年間でしたが、いつまでと言う期限もなしにも入れられていると気が狂いそうな気がしませんか?
ソ連が日本軍将兵をシベリアに大量に連行して行った蛮行が黙認されていた背景が分る・・あるいはアメリカによる日本男性去勢強制や南洋諸島への民族移送計画の手間を省かせるためにソ連に協力させるヤルタ密約があったと推測されるところです。
アメリカが戦時条約に反していたことを隠すために、日本軍の蛮行に東京裁判ですり替えたように、その逆張り・・ドイツでもナチスの蛮行を煽っている疑いがあります。
アメリカほど酷い計画をしていた国は滅多にないでしょうが、同国人同士の争いであるシリア難民を見ても分るように、戦争で本当の被害を受けるのは国民です。
非武装論・集団自衛権反対・秘密保護法反対論者は戦争こそが人権侵害の極致だと主張していますが・・。
戦争反対は国民100%の意見と言えるでしょうが、どうすれば防げるかの意見が違うだけ・.泥棒や強盗を防ぐには、警察官が必要かの意見相違でしかありません。
ところが、非武装論者は、非武装論者以外は軍国主義者・・「戸締まりしましょう・・いつでもガードマンが駆けつけられるように契約しましょう・・その前にドアーの暗証番号を秘密化しまょう」と言うと「近代法の原理に反するとか戦争法案」と決めつける飛躍があります。
古くはソ連支配・・今中国支配を渇望する勢力は、中国軍による日本侵攻では国民被害がない・・仮にあっても日本政府の圧政から解放されるメリットの方が大きいと言うのでしょうか?
何でも反対の結果、相互不信が極まり今のシリアのように日本の治安が千々に乱れてくると言論の自由もプライバシーよりも先ずは命の方が大切となります。
クニが乱れて外国軍でも何でも良い(乱暴な中国武装警察の監視社会の方が良い?)から強力な統治をしてくれる方が良いと言う待望論が生まれるのを期待しているのかも知れません。
私が物心ついた頃には、戦争で奥の人が戦死し家も焼けてなくなった・・その結果食うや食わずになったけれども、民主化して却って良かったと教え込まれて育ちましたが・・。
勝てば官軍と言いますが、侵略軍導入勢力にとっては教育次第でどうにでもなると思っているのでしょう。
非武装論によれば、抵抗するから被害が起きるのであって抵抗しないでお酒を用意して侵略を歓迎すれば被害は起きないと言う論理ならば一貫します。
政府と国民は対立関係だと言う立場で、各種データ提出に飽くまで抵抗する運動・・サイバーテロは正義の戦いと応援する・摘発妨害勢力がのさばるとどうなるのでしょうか?
あらゆる面でのデータ信用性破壊が進むと今後の世界はどうなるか・・信用破壊はサイバーテロに始まり殆ど全て中国発ですが、指標造りどころかデータ自体の簡単なすり替え・書き換えが起きて来ると世界秩序がどうなるか?恐るべき時代が来る予兆が始まっていると言う意見を大分前に書いたことがあります。
社会とは、決まり事・信用で成り立っている・・例えば車の運行1つとってもみんなが信号を守る前提で安心して高速走行出来る仕組みです。
我が国の鉄道は1分も遅れず到着して発車して行く・・部品も寸分違わず精巧に作り上げる・・単に生真面目な習慣の問題ではなく、今の社会では、部品が10に1くらい狂いがあっても良いという時代ではありません・・。
クルマや飛行機あるいはロケット・・原発など高速走行中にある部品1つでも故障して動作が狂うと大事故になります。
中国や韓国がこの決まり事を破壊する目的で潜入して来ると先進国ほどこうした病原菌に弱くなっています。

強行主義の限界5

昨日紹介したとおりトランプ政権としては、選挙では勇ましいことを主張していましたが国内諸勢力を政権内部に取り込んで利害調整して行こうとしていたし、被害を受ける業界も反発するだけはなく内部に食い込もうとしていたことは明らかですが、マスコミの反発が強くて彼らが相次いで辞任の方向になってしまいました。
マスコミは両極対立を煽る方が面白い?と言うことでしょうか?
元々トランプ氏が対立を煽ったのだから仕方がないと言えますが・・「やれたらやり返す」と言う論理でお互いにエスカレートしていくのでは、国内分裂が広がるばかりで大人の智恵・・成熟社会のあり方とは言えません。
日本でも政権内部食い込みを快く思わず政権の外から批判する方に回らないことを非難する民進党のような勢力がありますが、日本では、相手を非難するばかりではなく自分の意見を粘り強く訴えて意見を採用してもらう方に動くのが普通ですし、まして関係のない他所のクニの内政に口出ししてワザワザ喧嘩を売るる必要がないと思う国民が大多数でしょう。
その政権に反対でも先ずは懐に飛び込んで様子を見ようと言うのが、我が民族の知恵です ・・これがマッカーサーの占領軍をうまく手名付けられた智恵です。
「先ずは人道非難・・注文をつけないのはおかしい」と言う民進党の主張は、国益に反すると感じる人が増えて来て民進党が何か主張すればするほど支持率が下がる一方になっています。
天皇陛下の生前退位問題については国民大方は早く決める必要があると言う認識で一致していると思われますが、両院議長による各党に対する意見聴取に関する今朝の新聞を見ると、民進党は原理原則論で短期間に決められそうもないテーマにこだわり退位問題だけの議論に応じない印象です。
国民の多くは天皇家の問題についてまで意見対立を望まない文字どおり「総意」で決めたいと言う民族宗教的一致があると思いますが、こう言うことまで「何でも反対」で前に進めないのでは、共同体の仲間と言えるのか?の疑問を持つ人が増えてくるでしょう。
政権が理由もなく交代すれば民主主義と言うものではなく、政権が硬直して多様な利害を吸収できなくなったときに多様な利害を吸収してくれそうなカウンター勢力に支持が移り政権交代が起きるのが本来の民意反映の政治・民主主義と理解すれば、我が国はいつも時代適合の必要に合わせて政権が変わって来たこと・・摂関政治から平家~鎌倉幕府~建武の親政~室町幕府~応仁の乱→戦国時代~織豊政権~徳川幕府~明治維新~戦後民主主義時代の流れと符合します。
戦後自民党の長期政権は、党内に多様な派閥を抱え刻々と変わる国民のニーズを柔軟に汲み上げて来たことによりますから、国民は政権が変わってくれないと困ると言う意識・・必要を感じないから変わらないのです。
旧社会党以来の系譜を払拭出来ない民進党が現実政治に自己の主張を反映させて良い社会を作るのが目的ではなく、交代の必要もないのに政権交代を望む・・敵対を選ぶのでは結果的に何でも反対するしかなくなります。
上司の課長や部長、社長の足を引っ張ることばかり考えて陰口を吹聴し徒党を組む、スポーツ選手で言えば自分の技量が上がるように努力しないでライバルが転んで怪我するような仕掛けを作る・・こんな人が尊敬される筈がありません。
国民のためにどうすべきかが行動基準ではなく、政権を困らせ社会が困るように仕向けて失敗させるのが目的=日本が困る結果を期待するしかなくなる→どこの国のために主張しているのか?と言う批判を受けるのは必然と言えます。
野党の存在意義は政権の柔軟性・・利害調整能力がなくなったときに新たなニーズの受け皿になることであり、うまく回っているときに外敵と手を組んでまで現政権失敗を起こさせることではありません。
中国歴代王朝では後漢の党錮の禁が有名で唐末の牛僧孺(牛僧孺党派と李徳裕党派の政争が激しくなり、これは牛李の党争の争い)など徒党を組んで権力抗争を繰り返すばかりでしたから、何回王朝が倒れても社会の変化に寄与しなかった所以です。
その意味では日常的な政党林立の必要性がないのかも知れません・・アメリカの回転ドア形式・シンクタンクの存在は政敵を倒すのが目的ではなく政権が変わったときのブレーン供給源ですから、結構合理的です。
革新系野党は中国の党派争いを引き継いでいるからいつも反対しか出来ないのですが、エリート・前衛式の強烈さは西欧のエリ−ト意識の承継と国民に対する優越意識の強い儒教意識の流れの双方の影響があるのかも知れません。
国民意識を尊重するのを大衆迎合主義と決めつけるマスコミと意見が合い(エリート意識で)国民の期待と違った主張を心がけているからこうなるのではないでしょうか?
アメリカはマスコミによるトランプ政権大攻勢の結果、折角政権内で意見を言うつもりでいた業界が政権内から外に出るしかなくなり、回転ドアがうまく回らない・シンクタンクからの人材供給も思うように進んでいない様子です。
トランプ政策で被害を受ける筈のアメリカ国内業界が政権とのパイプを自ら閉じてしまったので、政治に必要な利害調整・妥協の道が閉ざされた印象です。
二項対立しかない韓国型政治に入って行くのかも知れませんが、政治の中二階形式をやめる・・トップが直截民衆に語りかける政治になると本来の民度にあった政治に戻るしかないのかも知れません。
この結果、国内では政敵ばかりで孤立している(回転ドアがうまく回らない)トランプ氏は国際政治ではNATOであれ対中国であれ、妥協の方向に入って来た印象です。
先ずは日米枢軸を大事にして壊さないことを基本にして、国際政治を決めて行くことになりそうな雰囲気の安倍氏との共同記者会見でした。
ところで、いくらワンマン・大統領制のアメリカでも、移民に限らずいろんな利害を政権内に取り込む仕組みを持たないと国内政治はうまく行きません。
移民問題も利害調整してから実施すれば良かったのですが、実施してから反対が強いのでレベルダウンするのでは、政治的影響力としては致命的?打撃を受けてしまいました。
これをどう切り抜けるかの智恵(先ずは回転ドアからプロをどれだけ取り込めるか)次第で、トランプ政権の命運が決まって来るでしょう。
自民党は矛盾したいろんな主張・利害をうまく取り込んで来たので、長期政権を維持出来ていたのですが、欧米流の一神教理論を信奉して政党である限り主張を純化するのが正しい(ドブ板選挙・・派閥連合体政治はおかしいと言う)かのような政治学者?やマスコミの主張が何十年も続いています。
自民党はいろんな利害を包摂しているので「近代」政党ではないから近代政党へ脱皮すべきだと言う議論を聞かされて育ちました。
この種のマスコミ運動の成果が一人しか当選出来ない小選挙区制への変更であり、「公約重視」「マニフェスト」の普及でしたが、→主張や人材の単純化によって自民党が人材の厚みを失い凋落→政権を失わせた一因です。
中〜大選挙区の場合、若手は最下位でも当選すると能力次第で次の選挙まで政治経験を積んで次には2位当選するなど順次の経験が得られますが、小選挙区制の場合ある政治家が仮に5〜10回当選を重ねる場合、その選挙区では2〜30年間競合・好敵手が育たないし次世代の育成・経験者が皆無になります。
熟達した政治家が育ち難い・・毎回「◯◯チルドレン」と揶揄される新人未熟政治家ばかり交代して行きます。
1年生議員は未熟なのは仕方がないですが、選挙民にすれば、役に立たないと不満を持って別の新人に投票するので、連続当選出来ず熟練する暇がありません。
韓国政界が不毛な争いを繰り返す原因は「長くて当選2〜3回の新人ばかりだから」と言われています。
ウイキペデイアの韓国2008年の総選挙記事からの引用です。
「今回の総選挙で、初当選を果たした候補は、137人で全体の45.8%に留まり、前回の17代総選挙の時の62.9%と比べて新人当選率は大幅に減少した。なお、第17代国会の現職議員で再選を果たした候補は、131人である。当選者の内、最多当選者は自由先進党の趙舜衝候補(比例代表)でこの選挙で7選を果たした。また、年齢構成では、50歳代が47.2%で最多となった。反対に386世代を中心とした40歳代以下の当選者は、前回総選挙においてウリ党で当選し、今回は統合民主党からy立候補した議員が、多数落選したこともあり31.7%(前回43.1%)と減少し、前回総選挙より当選者の平均年齢はやや上がった。」
上記のとおり新人当選率が前回が62・9%、2008年に新人当選が減ったと言っても45・8%が新人です。
この比率で入れ替わって行くと選挙2回で全部入れ替わる計算です。
韓国では歴大統領が政権末期に悲惨な目に遭うことが多い・・熱しやすく冷めやすい韓国人の気質が現れていますが、熟練政治家のいない韓国型政治を日本マスコミは何故真似したがるのでしょうか?
若い女性・・綺麗過ぎる市会議員などと頻りに囃し立てていましたが、未熟な政治家に委ねることが何故日本のためになるのでしょうか?

大統領令5(民主主義制度と民度)

トランプ大統領の課税アップ宣言・その実行するための大統領令の国内法的側面に戻ります。
幾多の革命が課税を巡って起きたことで知られるとおり欧米では,課税権は議会の絶対に譲れない専権事項・・正義とおしえられて来ました。
我が国でも租税法律主義と言って行政府には課税権がありません。
フランス革命以降、法がない限り人権制約出来ない仕組みを持つことが近代国家と言えるための基本とおしえられて来ました・・これも先進国の共通価値観です。
憲法
十八条  何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、犯罪に因る処罰の場合を除いては、その意に反する苦役に服させられない。
第三十条  国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。
関税引き上げによる究極の影響を受けるのは外国の輸出業者,・・例えばメキシコや中国ですので、国民相手ではなく対外行為だから国民の人権に関係ないからトランプ氏がイキナリ無茶出来るのだと思っている方が多いと思われますが,実は関税を納税するのはアメリカ国内輸入(業)者です。
以下のとおり,日本法で言えば関税納付義務者は輸入者・国民ないし内国企業ですし、この原理はどこのクニでも同じでしょう。
※消費税で考えれば分りますが、消費者が納めるべきと言ってもパンや牛乳を買った個々の消費者から具体的に徴収する方法がないので、業者が代わって納付義務を負うのが法の原則です。
輸出した外国人相手に「払え」と言っても(トヨタなどアメリカに進出している大手は別として外国に住んでいる個人的輸出業者相手に)取りようがありません。
輸入者に負担があると、喩えば国内企業からの仕入れ商品より1割安いから輸入している場合,関税で2割取られると仕入れが割高になるので結果的に輸入が減る結果、実質的輸出が減る・・対外標的の政治問題になっているのですが,法的には国民に対する課税強化です。
国民に対する課税強化が国会無視・・大統領令だけで決められるとすれば・課税法律主義の原理に正面から反します。
関税法(昭和二十九年四月二日法律第六十一号)
(納税義務者)
第六条  関税は、この法律又は関税定率法 その他関税に関する法律に別段の規定がある場合を除く外、貨物を輸入する者が、これを納める義務がある。」
実際の被害を受けるのは外国ですから、国民の反対がないと見込んでいる・・国内多数であれば何をして良いかの議論の一場面です。
july 16, 2013「民意に基づく政治4(大統領制と議院内閣制3)」前後で大統領制は選任手続を世襲から選挙にしただけでその後は一任支配を前提にした社会・・個々の政治テーマで民意を聞くとまとまらない社会に妥当する制度だと言うことを連載したことがあります。
日本では、法や憲法がないときから・・古代から何事もムラ社会では寄り合いで納得の上で決めて行く社会ですが,PC(きれいごととして)だけで民意重視必要と習っただけの社会・・実際の納得を前提にしていない社会では、合意形成が形式に流れ勝ちです。
投票箱民主義と揶揄される所以です。
民族共同体意識の確立されていない社会で・・PC(きれいごと)流行批判を2月4日に紹介しましたが、形式的人権擁護論だけでは解決で来ません。
合意で政治をする・本当の意味の民主主義社会になり切れていない・投票箱民主主義社会の底の浅さが大統領令の乱用・・亡霊が出て来ることによって露呈します。
現在社会でしかも世界の指導国を任じていたアメリカで,こう言う専制的命令が(トランプ氏個人資質の問題ではなく,クリントン政権もそうでしたし)過去の積み上げた法令無視で自由自在・・専制君主並みに大統領令が出て来て・・しかもPC・偽善的表現を棄てて猛威を振るい始めた・・アメリカ社会の本音が出て来たことに驚いているのが世界の現状です。
本音と言うより、これが本当のレベルだったのです。
どんな立派な制度があってもそれを運用する能力・・構成員の多くが心の底からみんなの意見や気持を尊重するかどうかは民度次第と言うことでしょう。
「仏作って魂入れず」の状況です。
ナチスも、民主主義・ワイマール憲法下で委任立法制度の悪用で猛威を振るったものでしたし、ソ連のスターリンの独裁・恐怖政治も下部組織から順に持ち上がる形式主義を悪用したものでした。
大学自治会やその他組織で意見集約行為が形式に堕して一握りの活動家が私物化してしまったのは、構成員の未熟性に帰すると思われます。
大学生程度では、まだ自主運営するには十分成熟していないから「形式論・・多数決さえ取れば良い」だろうと反対論を無視することの繰り返しで誰も参加しなくなる・・反対者が減る一方でドンドン尖鋭化します。
学生自治会の場合参加しなければ良いのですが、逃げることが出来ない国民・・・これを国家規模で貫徹し収容所列島にしてしまったのがソ連の民主主義でした。
人民みんなが声を上げてデモ出来るわけではない・・政治に携わる人は、文字どおり声なき声を十分斟酌・忖度しながら政治をする度量が必要です。
アメリカで、歴代大統領が自制して来た大統領令の濫発をトランプ氏が始めた・・しかも過去に蓄積して来た人類の智恵・・各種国際合意全部について「ちゃぶ台返し」のように全面否定する選挙スローガンを掲げ、政権につくとそのまま実行し始めた・・しかも法的にこれにブレーキをかけるのは司法権しかないのでは驚きです。
司法権による救済は国内人権侵害対応しかしない・・国際合意・・国際的正義の破棄には何ら権限もないので、被害国としては押し止める力があるかどうかだけで、相手に抵抗する力がない場合、暴走しっぱなしになります。
これではまさに中国やロシアのやりたい放題の仲間入りです。
トランプ氏は、今後世界の指導国の地位・国際的に歴史上形成されて来た正義・・格好付けを放棄して横暴・・やりたい放題やると言う主義主張のようにみえますが・・。
これはアメリカ人(ピープル)レベル低く、いわゆるPC(政治禁句・きれいごと)政治について行けない・・疲れたことによります。
成金が上流社会に参加してみて複雑な礼儀作法に疲れ切った状態に似ています。
自由主義の本家グローバリズム・・金融等業務では成功している・・尤も恩恵を受けているアメリカとイギリスがそろって移民反対に転じた理由は、グローバル化成功しているからこそ早過ぎる進行速度について行けない一般国民の不満が大きくなったと見るべきです。
急激な高度成長する新興国で、ついて行けない階層とのギャップが大きくなるのが普通ですが、新興国では底辺層の工員等現場系の仕事から増える関係で恩恵を受ける層が厚く大きな社会問題になりません。
格差といっても農村に残っていて都市労働者になり損ねる不満とこれまで得ていた地位喪失の不満とは質が違います。
高度成長期に農村に取り残されて成長の恩恵にあずかれない不満に比べれば、既存の地位喪失・・失業や降格倒産の方がダメージの方が圧倒的に大きくなります。

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