両替制限→過剰流動性・バブル2

中国のバブルは民間が始めたことではなく、政府主導のバブルであるから破裂させるわけに行かない・・当初マンションバブルが広がり「鬼城」があちこちに出来たのでニュースになっていましたが、政府主導で煽っておいて投機家に損をさせたままに出来ないので、次は株式バブルを政府機関紙が煽って大規模ブームを起こしました。
これが15年夏に限界が来た結果、内需主導〜再びマンションバブルとへ再移動していたのですが、アメリカ利上げとトランプの脅しに伴う中国の追随利上げ採用によってマンションバブルを維持出来なくなると、今度は再び株式と商品相場へ誘導していると言われます。
このように政府は次から次へと螺旋状に対象を広げて行く点が諸外国の過去のばブルとの違い・・特異な現象です。
国民の方も例えばマンションバブルが一時的に収束しても、一巡すればマンションにバブルが戻って来る(政府が放っておけないからテコ入れする)に決まっていると言う「政府に対する信頼?」期待があってみんな強気らしいです。
中国破綻論は毎回空振りに終わっている・・嫌中派の議論に過ぎないと言う強気の意見を中国政府が流していますが、バックに巨大政府がついているから一見際限ないバブル循環に見えるだけとも言うのが伝統的意見でしょう。
でも伝統的学問に合わないと言うだけならば、20世紀に入ってからの景気対策としての財政資金投入や金融政策による景気平準化政策も本来はそう言うものですし、日銀や欧米の異次元緩和も似たようなものです。
不景気時に財政投資して穴埋めしていればその内にまた景気が良くなるから・・と言う景気対策も、戦後一時期一時うまく行く時代がありましたが、・・高成長から中〜低成長へ移行する構造不況に突入している場合、財政投入をしても痛みを緩和する(例えば放置すれば失業率10%になるところを8%に抑える)程度の効果しかなく、財政赤字が膨らむばかりでいつまでたっても好景気が来ません。
中国のやり方は一時の不況の穴埋めタイプか、低成長移行への痛みの緩和措置かどうかで結果が変わります。
中国の景気対策は・・内需換気は政府主導バブル・・公共投資だけではなく、「民活・バブル」を組み合わせたもの・・政府自体が次々と対象を変えては仕手相場を煽っているのは、世界史上前例のないことですから、どう言う最後を迎えるつもりか?世界中が固唾をのんでみているところです。
日銀の国債無制限?買い入れも歴史上前例のないことですから、伝統的理解の立場からは、将来どうなるのか?と出口対策を心配する否定的論調・・「一刻も早く脱却すべし論」が一般的ですが、従来の考えに合わないからと批判するの間違いであると17年5月2日「税収弾性値3(国債の合理性1)」以下で貨幣改鋳や金本位制廃止の例を引いて書いて来ました。
中国の際限ない循環的バブル創造も一種の異次元政策だからこそ伝統的考えでは、出口がどうなるかの心配している点では同じですが、もしかして新たな地平を切り開けるのか、あるいは先送りの巨大版に過ぎず破裂の瀬戸際が近づいていると見るべきかのどちらでしょうか。
ただ日経5月6日一面の記事には、国内景気維持とバブルを煽る為の金融装置・過剰流動性供給の結果、・・建設資材・・製鐵その他の資材関連産業活況→資源類の輸入が膨らんでいる・・「経常収支悪化」の小見出しが出ていて国際収支黒字減が始まっているとも書かれています。
この辺は3月26日に私が書いた見通しどおり・「国際収支悪化をどうするのか?」と言う展開になって来ている点を書かざるを得なくなって来たのでしょう。
貯蓄・・外貨準備のあるうちは、輸出縮小→国内生産縮小→失業を内需拡大で穴埋め・先送りして行けますが、資金が尽きるといつか行き詰まります。
日本の国債増発・・引き受け者が日銀であれ外資であれ、国際収支黒字の範囲内である限り問題がないと書いて来ました。
ちなみに昨年度日本の「国際収支黒字はリーマンショック前回復と今日の夕刊に出ています。
経常収支20兆1990億円の黒字(内、海外企業から利子配当が18兆350億円・・円高の結果目減りしているとのことですが・・)です。
赤字国債・・外国から借金で物を買っている状態ではないのです。
中国の16年の経常収支を見ておきましょう。
 https://www.nna.jp アジア経済ニュース2017/04/05(水曜日)                                        16年国際収支、経常収支は1964億ドルの黒字
中国国家外貨管理局は3月30日、2016年の国際収支統計を発表した。経常収支は1,964億米ドル(約21兆6,940億円)の黒字で、国内総生産(GDP)に占める割合は1.8%だった。31日付経済参考報が伝えた。
日本の黒字約20兆円とほとんど変わらなくなっています。
14億の人口と1億あまりの人口比で考えると、あるいは公表されているGDP比黒字比が急減していることが分るでしょう。
中国の商品相場高騰に戻りますと、加工輸出用の原材料過剰購入・在庫は、その内出血輸出によってでもハケて行くでしょうが、元々国内マンション等向けどころかマンション向け需要すらオーバーした・・何の需要もないのに素人が商品相場に手を出して・相場高騰に釣られて輸入してしまったものは、引き取り手もありません。
今朝(5月11日)の日経新聞朝刊25pには、中国の港湾在庫が摘み上がってしまい・・「バラ積み用船料急落」の見出しで資源系用船料金がこの1ヶ月で4割も下落していると書かれています。
商品相場・バブルは末端のマンション等の工事需要がなければ在庫増に直結するので短期間に収束して来たと言うことでしょう。
マンションを高値づかみしてバブル崩壊した場合、ババを引いた投機参加者は塩漬けにするしかない(借入金支払に困るでしょうが・・)だけですが、商品相場が過熱して高値づかみして国内在庫になります。
(高値づかみで損をした資金繰りの問題があるのは別として)町外れに作った新興住宅地・鬼城は放っておいても邪魔になりませんが、鉄鉱石など原材料の在庫は倉庫に入ったままになりますので倉庫や物流業者等が困ります。
客のいない鉄道工事なども、従業員を雇っていると困ります。
はたして政府の誘導どおりに商品相場に火がついて、新たなバブルが「螺旋状」に広がっていますが、5月6日の日経朝刊の遠慮ガチな指摘どおり、国内バブル・・商品相場上昇に合わせて資源輸入が増えて行く・・肝腎の貿易黒字が減少して行く・・国際収支赤字化が始まるとどうなるかの瀬戸際が近づいて来ます。
国際収支が赤字になると輸入代金決済資金が必要ですから、国民の外貨交換を制限するだけでは済まなくなります。
ただし、まだ黒字維持出来ているので中期的課題に過ぎないと言えますが・・これが中国の経済破綻を先送りを可能にしている面があるでしょう。
引用している日経5月6日朝刊1面によれば、17年1〜3月の中国政府の1551億元の財政赤字・・19995年以来22年ぶりとのことですし、卸売物価(商品相場です)が前年同期比7、4%アップとなっています。
国内での過剰投資は経常収支悪化と言う副作用をもたらしていると書いています。
鉄鉱石などの輸入が急増して貿易黒字が25%減った結果、1〜3月期のサービス・物の貿易黒字は前年同期比64%減とも書いています。
所得収支赤字は2年連続で、サービス・貿易収支と合わせた経常収支は、16年10〜12月期に前年同期比86%減となっています。
財政赤字が始まり他方で国際収支黒字減少が始っています。

両替制限→バブル1 

https://zuuonline.com/archives/135606 2017/01/12
中国から1兆ドルが逃げていた
中国のなりふり構わぬ「資本流出規制」17年震源地の恐れあり
2005年切り上げ以来の上げ幅
1月5日のブルームバーグニュースによると、5日の香港市場で元は現地時間午後2時53分現在、前日比1%高で、この2日間の上昇率は2.3%に達し、2010年からのデータでは2営業日として最大の上げを記録した。同日、香港短期金融市場では翌日物金利が一時、過去最高の100%超えまで上昇する。
・・規制は企業だけでなく個人にも本格的に乗り出したようだ。6日付の日経新聞朝刊によると、中国人民銀行は大手銀行に対し、個人の外貨両替取引について報告を求めるよう要請。今年からは外貨購入を希望する個人に対しては銀行窓口で「海外で不動産や証券、保険を購入してはならない」と明記された申請書の提出も義務付けたという。
それにしても、なぜ企業だけでなく個人の外貨両替行動にまで触手を伸ばすのか。それは、元安予想の進行により歯止めがかからなくなっていた海外への資本流出をなんとかしたかったからだ。ブルームバーグの集計によると2015年の流出額は過去最悪の1兆ドル(約121兆円)と前年の7倍以上にも達した。2016年1~11月にはさらに7600億ドルが流出。2016年11月末で中国の外貨準備高は3兆516億ドル(348兆円)で、ピーク時(2014年)の4兆ドルより1兆ドル近くも減ったことになる。
原因は中国人民銀行が2015年8月に突然、元切り下げに踏み切り、世界には不信感が広まったことにある。これを受けて中国内では、元安への不安から元をドルに両替する人が増えた。銀行窓口では「ドルがない」と、数千ドル規模の両替が断られるようになり、不安はさらに高まった。
富裕層はさまざまな手段で資金を海外に逃がそうと画策。外貨両替制限は年間5万ドルだが、外貨建て保険ならそれには該当しないし、ビットコインなら1日の送金上限は200ビットコインで約15万ドルにもなる。地下銀行の利用もあるし、札束をスーツケースに入れて運び出すという最終手段もある。こんなふうに、ありとあらゆる抜け道を探すようになった。
2017年に入ると、先述の外貨両替枠が更新される。ヘッジファンドなど海外投機筋は、「更新された瞬間に一気に両替に走り、中国からの資金流出が加速して元安が進行する」とみて、元売りを膨らませていた。」
上記のとおり昨年末頃から、銀行窓口では僅か数千ドルの両替資金さえ用意出来ない・・事実上ドルの取り付け騒ぎが起きていたことが分ります。
中国人民は人民元の価値(自国政府)を信用していないことが分ります。
紙幣の価値は金の裏付けによるではなく、発行体の信用次第であることを2017/01/17「観念論の弊3(財政赤字論)」とMay 2, 2017「税収弾性値3(国債の合理性)に書きました。
上記のとおり中国人の大好きな「お金に関する」虚々実々の駆け引きが繰り広げられていますが、年末に突如としての数百%と言う超短期金利の引き上げや正月明けの政府の外貨両替誓約書要求などの奇策は一瞬的には政府の一本勝ち状態で外貨減少が一旦止まりました。
1月末には3兆ドルを割りましたが、2月末には3兆ドルを回復しただけではなく3〜4月末も微増と報道されています。
「上に政策あれば下に対策あり」の民族性・・お互い(信用出来ない)騙しあいの社会ですから、直ぐにもその抜け穴探しが工夫される筈ですが・・抜け穴ですから直ぐに公的認知される筈がないので直ぐには表面化しません。
紙幣をスーツケースに隠して持ち出す場合には国外でドル交換するので政府の外貨準備は減らないでしょうが、人民元(ヤミ)相場に影響します。
人民が我先に外貨交換に走る・・外貨減少が起きる基本は政府の経済運営に対する人民の信頼喪失があるのですから、人民の政府に対する信頼回復よりも奇策連発・・お互い奇策の攻防・・人民はあの手この手の抜け穴探しの工夫をするしかありません。
一方で中国国内では外に出られなくなった資金を利用したバブル狂奔状態ですが、これも政府・社会に対する相互信頼がないことが原因・・人民は外に資金を逃がせないならば刹那的に儲けられるときに儲けておこうと言う方向へ走るしかないことをあらわしています。
値下がりする紙幣をドルに替えられないならば、値下がりしないものに変えて手持ち紙幣量を増やしておこうとするのはドル交換に走るのと心理構造が同じです。
バブルとは何か?
不動産関連が一般的にバブルになり易いのは供給が限定されている上に誰(素人)でも参入し易い点があるからですが、追加供給が困難な点を利用した値上がり現象である点は、ベネズエラのハイパーインフレと同じです。
ハイパーインフレの場合は、生活必需品の絶対的不足であり供給が増えない限り収まることはない・・誰かが買い占めて儲けているような規模ではないので、値上がりによって得する人は殆ど誰もいないのに対して、バブルの場合には、値上がり期待に便乗して自分も儲けようとする投機現象に過ぎない・・必需品の絶対的なク不足が起きていないので当局が(金融規制だけで)規制する気になれば、パタリと止まってしまう性質があり、あるいは、実需との乖離が一線を越えれば物理的に収まる・・「ある日熱が冷めればおしまいになる」と言う点が大きな違いでしょうか?
民族社会のメリットで見れば、国民が地道に創意工夫してより良いもの作るために(数年以上かかる技術革新に)投資するのではなく、土地や商品の転がし・超短期の転売利益だけが目的とするものがバブル現象ですから、そこからは何も生み出しません。
国民全部がこういうことだけ・・投機・・転売利益獲得に血道を上げる社会ってエネルギーの無駄遣い・・元々精神が歪んでいるとしか言いようがありません。
まじめに努力することが報われない社会構造になっているからでしょう。
5月6日日経朝刊1面には「中国バブル再び」の大見出しで「資本規制・マネー氾濫」の副題で中国のマンションバブルの様相が大きく写真入りで出ています。
中国人民の外貨交換要求を制限するための奇策の数々に加えて人民元相場地合を良くするために昨年末からの米国金利上げに追随しての金融引き締めも行なっています。
その結果、年末年始から金利上昇局面が始まったので(過剰流動性を背景にした商品相場はこれからとしても)マンション相場は終わりそうな流れに入っていることをApril 26, 2017「新興国の限界(民度)3」に書きました。
日経の記事はまだまだマンションバブル真っ最中のイメージ報道ですから、私の上記意見からすればこれからのような書き方には疑問がありますが、内容を見ると上海では年収の20倍超になっているなど限界が来ているイメージを書いているようです。
20倍超とは、特定高額物件のことではなく平均販売価格がそうなっている・・日本で言えば年収500万の人のうち何人が1億のマンション相場について行けるか・・仮に2〜3人しか買えないとすれば、残りはどうなるか?と言うことです。
合理的に考えれば、価格上昇は限界・・早めに売り抜けようとする方向・・バブル崩壊になります。
これの目くらまし?のために5月8日に紹介した北京近くの雄安新区の新都市建設構想が打ち出されたのでしょう。
他方で、卸売物価は1〜3月期前年比7、4%上昇と商品相場バブルの徴候をそれとなく書いています。
人民元相場維持のためには金利はアメリカの金利上げに追随するしかないとしても、人民元紙幣はいくらでも刷れるので国内マネー供給を拡大・・過剰流動性によって、国内景気・・バブルを維持出来る・・するしかないと言うのが中国政府の計画でしょう。

外貨交換=政府不信→(流民化の現在表現)2

国外脱出熱・・これは歴史の似ている韓国でも同じですが、昔は前もって域外の貨幣を入手することは不可能・・金や宝石類しか持ち出せませんでしたが、今は裸官で知られるように人だけがむやみに逃げるのではなく、先ずは(子供を留学させて域外生活力を準備しておいて)資金から先に逃がして行くのが中国・韓国人民のやり方です。
我が国では、国外脱出するよりは国内改革に努力する人がまだ多いと思いますが、地方の郷里を棄てて都市へ移動する点では似たような状況になっています。
その代わり、その分小さなコミュニテイ・ムラ単位〜県単位よりは、日本列島全体への一体感が強まっているとも言えます。
自分の属する共同体意識がムラから出身県〜列島一体感へ変わって来たものの、日本を棄てて外国へ移住したいか?となると古代から違っています。
民族一体教育が明治政府によって始まったと言う印象付け教育がされていますが、これは結果であり原因ではありません。
663年の白村江の敗戦以来列島一体となった防衛意識・民族意識が高まったことは周知のとおりですが、その後民族の危機が来るごとに一体感を自然発生的に強固に発揮して来ました。
蒙古襲来のときがそうですし、幕末異国船〜黒船来航時もそうです。
幕末騒乱はこの民族危機感から生じたものであり、その集大成で成立した明治政府は、民族教育と富国強兵に邁進したのは当然のことです。
我が国では、古代から集落を基本として列島全体の「民族意識」が形成されていたのであり、明治になって急に出来たものではありません。
中韓では日本より早く異国船の到来に遭遇していたのに、危機に際して民族一体で当たると言う意識がなく・せいぜい強い方に着こうと言う程度の選択しかなかった・・これが植民地化を防げなかった原因です。
留学・脱出に戻りますと、我が国では遣唐使の昔から先進国への移住を目的とするものではなく、先進文化を学んで文物を同胞(出身郷里のためではなく列島全体)のために命がけで持ち帰るものでした。
日曜日の日経新聞22pに出ていた世界で活躍しているバイオリン演奏家の記事を読むと・・諏訪内氏の日本民族還元の気持ち・・遣唐使と変わらない意気込みが伝わって来ます。
ソムリエであれ調理師であれ、他国の粋を学んで日本に持ち帰る目的の人が多いのを感じるのは私だけでしょうか?
遣唐使廃止後も文物の流入が途絶えたのではなく官費によらない個人の努力でこの種の貢献者が引きも切らない・・その結果、日本列島にはその時代時代の世界最先端、世界中の最高の「粋」が集まりこれを和魂で吸収して(和製英語を含め?)高度な社会を築いて来たのです。
戦後貧しくとも世界トップクラスのブランドは日本で良く売れたこと分るように、遣唐使廃止以降でも優れたモノがあると、直ぐ日本に導入して来ました。
西洋の文物も良いとなれば「種子島」〜蘭学をはじめドンドン入れることを厭いませんでした。
明治維新の留学生は、日本に西洋の文物を紹介することが目的であって、自分が西洋人のマネをして西洋で生活をすることではありませんでした。
遣唐使は阿倍仲麻呂や鑑真和上の例を見るまでもなく、当時の航海は難破率の高い危険なものでしたが、それでもみんな命がけで帰ろうとしていたのです。
民族のために文物を持ち帰るのが留学が目的だったので、遣唐使派遣のメリットが薄らぐと直ちに廃止になった理由です。
現在の日本若者の留学熱が冷めて来たのはこれと軌を一にしています・・。
今は企業の海外進出のために相手国を知る必要と言う功利目的でインドね示唆後を学ぶなどでであって、先進文化を学ぶための留学が減って来たのは当然でしょう。
国を良くするために努力するよりは、世のよりよい環境にただ乗りしたい・・これが中韓人民の流が苦熱の招待ですが、中韓的信条に共感している文化人は、日本の若者は元気がないと心配しますが・・逃げたい人が増えている国とは基本が違っています。
自分の属する共同体を大切にする気持ち・・これが政府不信任・・政権交代や政治改革にエネルギーが向かうのですが、人民の弱い中国や韓国では、これに向かわないで、先ずは裸官・留学等で国外脱出を目指すし、「命の次に大切な貨幣」交換要求になって出て来たことになります。
金融のプロの行動ならば分りますが、かりに円安が見込まれるからと言って日本人がドル買いに殺到するでしょうか?
日本人は対米戦争で敗色濃厚となっても最後の最後まで、お国のためにお寺の鐘まで供出していた国民です。
敗戦のどん底に喘いでいるときに国を棄てるどころかいそいでみんな国に帰って来た民族です。
中国の場合、一般人民が自国政府発行貨幣よりも外貨の方が良い・信用出来ると言う意思表示・・ドル交換を求めて銀行窓口に殺到?すると言うことは、政府不信の意思表示そのものです。
韓国でも移民願望が半端でないことを以前紹介したことがありますが最近の動向は以下のとおりです。
http://news.livedoor.com/article/detail/11999108
2016年9月9日 22時0分
日刊サイゾー
「20~30代の「国外脱出願望」は80%超! 韓国の若者たちが海外を目指すワケ」
詳細を省略しますが、今も変わらないと言うことです。
自分の国や社会意識・・共同体を大事にしようとする意識が育っていない憐れな民族です。
この基礎意識がない分、自衛のために反日とか、愛国ぶる行動が逆に高まっていると見るべきでしょう。
日本人は愛国心を聞かれても「?」となるし、宗教を聞かれても無神論者かな?と迷う人の方が多いのですが、心底は日本教になり切っているので、普段意識する必要すらなくなっている状態です。
外国へ行って何かを学んで国に持ち帰ろうと言う人はいても、国から逃げるために留学する人は滅多にいないでしょう。
人民の国外脱出の動きに政府がどうするかですが、人民が古代からの伝統的な政権抵抗手段・・流民化に先立つ外貨資金の準備を始めると政府も負けてられない・・外貨交換枠の締め付けに走ります。
いわば歴代王朝が農民の流民化を防ぐために農民移動を厳しく制限していたことを今風に資金の流出防止に切り変えただけ・・紙幣の外貨との交換禁止で再開したことになります。
人が出て行くのは自由だが、お金を持って出る自由を制限すると言うことでしょう。
持ち出す外貨をお金を制限されれば、事実上移民が出来なくなります。
今の中国政府は人民がお金を置いて出て行ってくれるならば、国外逃亡・・移民を奨励している国ですが、政府権力者もお金第一ですから、お金を持って出て行くのは許せないと言うことでしょう。
人民の方もお金を逃がすのが大事であって、命よりも?お金が大事の民族性です。
そこで人民元が国外でどの程度流通で来ているか・・ているか・人民元が簡単にドルや円に替えられない点がネックになります。
その内外貨規制が厳しくなる一方となれば、人民はその前に駆け込みで少しでも早くドルに替えておこうとなります。
これが昨年1年間で中国の外貨準備が1兆ドルも減少した背景です。

外貨交換=政府不信→(流民化の現在表現)1

中国地域人民の場合、元々異民族支配が原則・・支配・被支配・・2項対立を絵に描いたような社会構造で数千年以上もやって来ましたから、政府・民族に対する忠誠心がありません・・。
制度がおかしければ・あるいは不正を正す・・など地域・社会を良くするために努力するよりは自衛が先・・遠くにいる一族を頼って流民化によって王朝が滅亡を繰り返して来た歴史です。
ソモソモ社会と言う概念が育っていないかも知れません。
中朝では、宗族の紐帯が強い・・宗族間の助け合い中心と言われていますが、言わば古代の氏族共同体意識・血族だけが頼り・助け合いの必要性がそのまま残っている・・地域共同体・一体感・絆が育たないまま現在に至っているように見えます。
日本では「遠くの親戚より近くの他人」と言うように地域での助け合いが基本になっています。
日本人が大事にしている信用とは、他人間で共通価値観を保有することですが、血族以外には信用出来ない民族では、一般的な信用概念が育ちません。
http://nezu621.blog7.fc2.com/blog-entry-3381.html
「人を信用しないことで成り立つ文化」によれば以下のとおりです。
「そのような社会で生き残るためには、兎にも角にも、自分だけが生き残るために、生き馬の目を抜く強欲さが必要となります。
そしてそのためには、決して人を信用しないという文化が育ちます。
私たち日本人にとって、商業も工業も、およそビジネスは信用がなければ成り立たないものですが、支那においては違います。
信用しないことがビジネスの最大の要件です。
従って誰かに何かを任せるときには、相手に余程の弱味があるか、完全に自己の支配下に在る者でなければならず、このことは、周辺国への統治にも現れます。」
中国人は命よりも金が大事と言うほど「カネカネ」重視の世界ですが、まさに人間同士の信頼がないことが(金は裏切らない)そう言う行動様式にさせるのでしょう。
血族よりも裏切らない・信用していた金の値打ちが下がるとなれば、天地がひっくり返るような驚きでしょう。
人民元が下がりそうとなれば、金こそが信用の源泉である以上・・より信用のある紙幣に変えたいのは当然で我勝ちに人民元をドルに替えようと殺到するのは当然です。
社会・「公」意識に戻りますと、地域一体感がないと環境保全の意識が育たないのは当然・・近代以降の社会人として必須の「公」を重視する精神段階に至らないまま近代社会に突入してしまったことになります。
自分自身の次に漸く一族の助け合い程度しかないのですから、その外周に位置する地域貢献・・もっと遠くの環境維持などに思いが及ばないのは当然です。
日本人が中国まで出掛けて行って自己資金を投じて折角植樹しても来ても、漸く育ちかけると伐採して薪にしてしまう例が後をたたない・・砂漠化の進行を気にしないのは、仕方がないことでしょう。
現在呼吸すらマトモに出来ないほど空気が汚くなって、漸く環境保護の必要性に気が付いた程度です。
日本のように一族〜集落〜地域共同体〜民族一体感へと広がりがあって最後の到達点である「公」の精神が身に付いた結果、町や村、里山を綺麗にするようになったのとは違い、中国の人民に取っては、飽くまで呼吸が出来ないと言う結果・功利主義によります。
空気や水の汚染は「損」だと気が付いたでしょうが、砂漠化の進行についてはまだ「損得」が分らないからか、個々人はその防止のために出費する必要性を認めていません。
・砂漠が迫って来れば首都北京を事実上移転すれば良いという発想になっているようです。
人民は中国の大地を綺麗にするために税を徴収され・・費用を負担するならば既に空気や水の綺麗な日本等へ移住した方が「得」だと言う功利的意識が基本です。
北京は既に人が住み続けるには適していない・改善するには巨大な資金・高度技術が必要・・そんな苦労するよりは、新首都建設の方向へ舵を切り始めました。
千年の都を周近平が作ったとなれば、歴史に残る偉業ですし、景気対策にもなると言う中国人の大好きな例の一石二鳥3鳥の政策です。
https://mainichi.jp/articles/20170404/k00/00m/030/088000c
河北省に巨大新都市 習氏ゆかりの地
雄安新区は、北京から南西へ100キロ、天津から西へ100キロに位置し、人口38万人の雄県、40万人の安新県、26万人の容城県の一帯を開発する。北京市の過密緩和のために天津、河北省を一体化させる構想の一環だ。・・・この時期に大規模な都市建設を発表したのは、習氏の訪米を前に、内需拡大につながる野心的な政策を打ち出し、トランプ米大統領との貿易交渉に役立てる思惑もあるとみられる。
投機マネー殺到で騒ぎ
 だが、現場では「習近平ブランド」の都市開発に投機マネーが殺到。3日付の北京地元紙の新京報の現地ルポによると、発表直後から不動産を購入しようと北京や天津の富裕層が殺到し、2日午前には混乱を恐れた地元当局が不動産売買を一時停止し、不動産会社の出入り口が封鎖される騒ぎになっている。」
マンションバブルの限界が見えて来て種切れになりそうと見れば、次から次へとバブルを煽る逞しさには驚きます。
歴代王朝末期に大量発生した流民化は居住地を離れて足手まといの幼児や高齢者を連れての移動では、1〜2週間歩いても大した距離を進めない・・食糧が尽きれば・・途中野盗の襲撃を受ける危険を冒して漸くたどり着いた先の一族も同じ王朝内である限り治安が乱れて困窮化している点は同じ・・頼った先も流民化してすでにいなくなっている確率が高くなります。
海上交通の発達した明末の混乱以降は、王朝外の別の社会に住む宗族を頼るようになれば、行った先も動乱下とは限りません。
先に東南アジア諸国で住み着いて成功している同郷・同族出身者を頼って行けば、助かる確率が上がり簡単に逃げられる時代が始まりました。
これが華僑が世界に広がった基礎構造です。
人民が簡単逃げられるようになった結果、不満分子は出て行ってくれた方が政権に取っても楽・・ガス抜きになり・・支配者にとっても流民化による政権崩壊現象を免れるようになった(元、明、清といずれも異民族侵入を契機とする王朝崩壊です)メリットもあります。
異民族支配の香港へドンドン人が集まったことなどからも分るように、中国地域の人民にとっては異民族支配かどうかよりは、自分にとって良い政府・環境かどうかが基準です。
海上交通の発達によって、沿海部住民に取って域外への脱出が可能になって以降は、王朝域内で命がけの流民化するよりは、いわゆる華僑として中国地域生活圏外への脱出に変わって行きますが、支配体制から逃れることによる解決を求める本質は変わりません。
住む地域を良くする意欲がない・・そんな命がけの苦労をするよりも別世界に逃げた方が良いと言う気質です。
この辺はアメリカ人がその街や地域にしがみついてその街や地域をより良くしようとして努力するよりは、ゴーストタウンにして、逃げて行くのと気質が似ています。
アメリカ人と中国人は発展段階的親和性が高い・気が合うので直ぐに裏で手を組む傾向があるから警戒すべきと繰り返し書く所以です。

中国バラまき投資の限界2(ベネズエラ危機3)

5日に紹介したデフォルト直前のベネズエラに対して中国は多額の債権を有していて、最早回収を諦めていると言われています。
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4752   2017年5月5日(金)
中国「ばらまき外交」の限界 経済悪化が深刻なベネズエラを教訓に 岡崎研究所
「フィナンシャルタイムズ紙は1月25日付社説で、長年にわたる誤った経済政策運営によりベネズエラの経済・社会は深刻な代償を払っているが、同国の最大の債権国である中国も、法外で甘い条件での貸し付けが大きな問題を生むことを学んでいる、と指摘しています。」
「ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は緊急資金援助を求め中国とサウジアラビアを訪問したが、明らかに何の成果もなかった。投資家たちは、ベネズエラのベンチマーク国債を「デフォルトの危険あり」のレベルまで落とした。」
「ベネズエラ最大の債権国である中国にとって、これは重大なことである。この状況は、中国が続けてきた、ほとんど条件もなく、透明性のないままに、多くの場合は資源を対価に多額のローンを提供するという形の対政府資金援助の実情を中国に付きている。」
「中国は新興国に対し気前よく大金を貸しており、ここでベネズエラでの経験から貸出条件を厳しくすると国際的な開発環境に大きな影響を与える可能性がある。しかし、中国が「底なしの貸し出し外交」(open-wallet diplomacy)に制約を加え始めたのはベネズエラだけではない。ジンバブエは、昨年100億ドルの救済パッケージを断られ、約束された20億ドル貸付には具体的な石炭鉱山のプロジェクトおよび将来の採掘による税収が担保とされた。中国は、世界銀行やIMF、アジア開発銀行といった多国間機関が貸し付けに厳しい条件をつけるにはそれなりの理由がある、ということを学んでいる、と指摘しています。」
AIIBにこぞって参加した後進国は中国の(慎重な融資審査しない)乱暴な融資決定を期待していたでしょうが、イザ始まると意外に中国も厳しい審査をする可能性があります。
後進国相手のインフラ受注では、中韓は無茶に有利過ぎる(ほぼ出世払い?)支払条件で日本等先進国から受注を奪って来ましたが、上記のとおりの結果が出て来ました。
インドネシアの新幹線受注も支払い条件が無茶過ぎて日本が土壇場で奪われたことが知られていますが、経済原理無視の無茶な受注で表向きの受注実績だけ拡大しても先がないことが分らないのです。
これが民営ではなく国有企業だから出来る(出血輸出が続けられるのも原理が同じです)ことですが、経済原理に反した投資をしていれば、時間の経過・結果的に国家経済を蝕んで行きます。
インフラ工事代金支払いが出世払いのような契約では、さすがに中国政府の資金が続きません・・あちこちで受注だけして放りっぱなしの工事が一杯あると言われています。
こんな無茶な受注が出来ていたのは、中国の将来性を囃し立てて外資がドンドン流入していたので、その資金転用が出来ていていたからに過ぎません。
中国の民度限界が見えて来て外資が引き上げ始める・・あるいは新規投資が減り始めるとこれまでの大判振る舞いの支出(軍事費だけではなくいろんな分野の支出)を絞るしかありませんが、一旦広げてしまうとこれが難しいのです。
特に、アフリカ等へ使ってしまった資金をどうするかで困り始めます。
中国の3兆ドルの外貨準備と言っても日米欧に対するものは公表額面どおりの価値があるでしょうが、中国の場合公表数字自体が当てにならない上に、その他の構成比が不明・・額面どおりの価値があるかどうか不明と言われる所以です。
対日投資の増減発表でもルクセンブルク経由など複雑化していて、その多くは中国スジの資金として推測されているだけです・・敢えて不透明化を狙っているのでしょう
内容がはっきりすると困ると言うことは本当は?と誰もが憶測を逞しくしたくなります。
外貨準備3兆ドルと言っても中身が薄いのを世界中が知っているから、中国がある日決済資金不足でデフォルト直前になってしまわないか?中国リスクを世界中が気にしています。
この心配が中国からの資本流出の動きを加速します。
外資のうち工場設備等に投資した資金は簡単に逃げられませんから中国は「釣った魚に餌をやらない」と言う露骨な政策で強気ですが、何やかやと言いがかりをつけては支払を遅らせるので、新たな外資も警戒して入るのが減って来ます。
国民の方も輸入代金を簡単に支払わせてくれないと「そんなに苦しいのか?」となって、疑心暗鬼が募りいわゆる隠れたホットマネーの流出と国民の海外資金逃避が始まるとどうにもなりません。
外資とのせめぎ合いだけならば、純債権国かどうかが大きなポイントですが、人民からの外貨両替要求になって来ると外貨準備がいくらあっても間に合わなくなります。
まさか国内流通紙幣を全部ドルで買い上げるのは不可能ですから、国民が国内流通紙幣を次々とドル交換に持ち込むようになると際限がない・・底抜け状態になります。
銀行の信用不安→我先に預金払い戻しを要求すれば、取り付け騒ぎになりますが、この場合中央銀行が紙幣満載のトラックを乗り付ければ騒ぎが収まります。
しかし、外貨であるドル交換要求殺到の場合人民銀行がドル紙幣を無制限印刷して供給するわけには行きませんからこの手は使えません。
外貨への交換制限しかないでしょう。
物資不足による配給制度を貨幣に応用したことになります。
外貨不足の最貧国では臨時に外貨割当制が取られることはありますが、・・IMFで昨年秋にSDRに採用されたばかりの中国が、これをしなければないとはこれほどの屈辱的なことがあるでしょうか?
中国の外貨危機・交換制限は外資による売り浴びせによるばかりではなく、国民の政府不信によるとすれば世界史上初めて新手の金融危機の始まりです。
今はその取り付け騒ぎの一歩手前・・人民が外貨準備攻防の主役であるからこそ、昨年から国民の外貨交換条件をドンドン厳しくしているのは恥も外聞もなくした政府としては正しい政策でしょう。外貨両替制限の内容を以下に紹介しますが・やり過ぎっぽい印象です。
ここまでやると人民は余計政府を信用しなくなり・・いよいよ売り抜けに工夫を凝らすようになるでしょう。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-01-03/OJ6XGS6S972D012017年1月3日 15:34
資本流出リスクを警戒する中国当局は、新年を迎えるに当たって個人による人民元の外貨への交換について要件を追加した。」
詳細紹介を省略しますが、知りたい方は上記にアクセスしてご自分で入って下さい。
要点は誓約書に違反すれば3年間外貨両替出来なくなる外、マネーロンダリング調査対象・・ブラックリストに入ると言うことで、正規ルート利用者は震え上がってしまい・1年分枠を一度に使い切れなくなりました。
その頃に日経新聞に解説が出ていましたが、正月明けに1年分の限度額一杯の両替請求がドット出ると投機筋が見て空売りを膨らませていたのですが、政府はその裏をかいて(上記具体的使い道の誓約書記載義務)成功したことになります。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC