外貨交換=政府不信→(流民化の現在表現)2

国外脱出熱・・これは歴史の似ている韓国でも同じですが、昔は前もって域外の貨幣を入手することは不可能・・金や宝石類しか持ち出せませんでしたが、今は裸官で知られるように人だけがむやみに逃げるのではなく、先ずは(子供を留学させて域外生活力を準備しておいて)資金から先に逃がして行くのが中国・韓国人民のやり方です。
我が国では、国外脱出するよりは国内改革に努力する人がまだ多いと思いますが、地方の郷里を棄てて都市へ移動する点では似たような状況になっています。
その代わり、その分小さなコミュニテイ・ムラ単位〜県単位よりは、日本列島全体への一体感が強まっているとも言えます。
自分の属する共同体意識がムラから出身県〜列島一体感へ変わって来たものの、日本を棄てて外国へ移住したいか?となると古代から違っています。
民族一体教育が明治政府によって始まったと言う印象付け教育がされていますが、これは結果であり原因ではありません。
663年の白村江の敗戦以来列島一体となった防衛意識・民族意識が高まったことは周知のとおりですが、その後民族の危機が来るごとに一体感を自然発生的に強固に発揮して来ました。
蒙古襲来のときがそうですし、幕末異国船〜黒船来航時もそうです。
幕末騒乱はこの民族危機感から生じたものであり、その集大成で成立した明治政府は、民族教育と富国強兵に邁進したのは当然のことです。
我が国では、古代から集落を基本として列島全体の「民族意識」が形成されていたのであり、明治になって急に出来たものではありません。
中韓では日本より早く異国船の到来に遭遇していたのに、危機に際して民族一体で当たると言う意識がなく・せいぜい強い方に着こうと言う程度の選択しかなかった・・これが植民地化を防げなかった原因です。
留学・脱出に戻りますと、我が国では遣唐使の昔から先進国への移住を目的とするものではなく、先進文化を学んで文物を同胞(出身郷里のためではなく列島全体)のために命がけで持ち帰るものでした。
日曜日の日経新聞22pに出ていた世界で活躍しているバイオリン演奏家の記事を読むと・・諏訪内氏の日本民族還元の気持ち・・遣唐使と変わらない意気込みが伝わって来ます。
ソムリエであれ調理師であれ、他国の粋を学んで日本に持ち帰る目的の人が多いのを感じるのは私だけでしょうか?
遣唐使廃止後も文物の流入が途絶えたのではなく官費によらない個人の努力でこの種の貢献者が引きも切らない・・その結果、日本列島にはその時代時代の世界最先端、世界中の最高の「粋」が集まりこれを和魂で吸収して(和製英語を含め?)高度な社会を築いて来たのです。
戦後貧しくとも世界トップクラスのブランドは日本で良く売れたこと分るように、遣唐使廃止以降でも優れたモノがあると、直ぐ日本に導入して来ました。
西洋の文物も良いとなれば「種子島」〜蘭学をはじめドンドン入れることを厭いませんでした。
明治維新の留学生は、日本に西洋の文物を紹介することが目的であって、自分が西洋人のマネをして西洋で生活をすることではありませんでした。
遣唐使は阿倍仲麻呂や鑑真和上の例を見るまでもなく、当時の航海は難破率の高い危険なものでしたが、それでもみんな命がけで帰ろうとしていたのです。
民族のために文物を持ち帰るのが留学が目的だったので、遣唐使派遣のメリットが薄らぐと直ちに廃止になった理由です。
現在の日本若者の留学熱が冷めて来たのはこれと軌を一にしています・・。
今は企業の海外進出のために相手国を知る必要と言う功利目的でインドね示唆後を学ぶなどでであって、先進文化を学ぶための留学が減って来たのは当然でしょう。
国を良くするために努力するよりは、世のよりよい環境にただ乗りしたい・・これが中韓人民の流が苦熱の招待ですが、中韓的信条に共感している文化人は、日本の若者は元気がないと心配しますが・・逃げたい人が増えている国とは基本が違っています。
自分の属する共同体を大切にする気持ち・・これが政府不信任・・政権交代や政治改革にエネルギーが向かうのですが、人民の弱い中国や韓国では、これに向かわないで、先ずは裸官・留学等で国外脱出を目指すし、「命の次に大切な貨幣」交換要求になって出て来たことになります。
金融のプロの行動ならば分りますが、かりに円安が見込まれるからと言って日本人がドル買いに殺到するでしょうか?
日本人は対米戦争で敗色濃厚となっても最後の最後まで、お国のためにお寺の鐘まで供出していた国民です。
敗戦のどん底に喘いでいるときに国を棄てるどころかいそいでみんな国に帰って来た民族です。
中国の場合、一般人民が自国政府発行貨幣よりも外貨の方が良い・信用出来ると言う意思表示・・ドル交換を求めて銀行窓口に殺到?すると言うことは、政府不信の意思表示そのものです。
韓国でも移民願望が半端でないことを以前紹介したことがありますが最近の動向は以下のとおりです。
http://news.livedoor.com/article/detail/11999108
2016年9月9日 22時0分
日刊サイゾー
「20~30代の「国外脱出願望」は80%超! 韓国の若者たちが海外を目指すワケ」
詳細を省略しますが、今も変わらないと言うことです。
自分の国や社会意識・・共同体を大事にしようとする意識が育っていない憐れな民族です。
この基礎意識がない分、自衛のために反日とか、愛国ぶる行動が逆に高まっていると見るべきでしょう。
日本人は愛国心を聞かれても「?」となるし、宗教を聞かれても無神論者かな?と迷う人の方が多いのですが、心底は日本教になり切っているので、普段意識する必要すらなくなっている状態です。
外国へ行って何かを学んで国に持ち帰ろうと言う人はいても、国から逃げるために留学する人は滅多にいないでしょう。
人民の国外脱出の動きに政府がどうするかですが、人民が古代からの伝統的な政権抵抗手段・・流民化に先立つ外貨資金の準備を始めると政府も負けてられない・・外貨交換枠の締め付けに走ります。
いわば歴代王朝が農民の流民化を防ぐために農民移動を厳しく制限していたことを今風に資金の流出防止に切り変えただけ・・紙幣の外貨との交換禁止で再開したことになります。
人が出て行くのは自由だが、お金を持って出る自由を制限すると言うことでしょう。
持ち出す外貨をお金を制限されれば、事実上移民が出来なくなります。
今の中国政府は人民がお金を置いて出て行ってくれるならば、国外逃亡・・移民を奨励している国ですが、政府権力者もお金第一ですから、お金を持って出て行くのは許せないと言うことでしょう。
人民の方もお金を逃がすのが大事であって、命よりも?お金が大事の民族性です。
そこで人民元が国外でどの程度流通で来ているか・・ているか・人民元が簡単にドルや円に替えられない点がネックになります。
その内外貨規制が厳しくなる一方となれば、人民はその前に駆け込みで少しでも早くドルに替えておこうとなります。
これが昨年1年間で中国の外貨準備が1兆ドルも減少した背景です。

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