両替制限→人民元取引急減

たまたま5月8日の中国政府発表4月の貿易収支の発表が8日日経夕刊その他でニュースになっています。
コピペし易いネットで見ると以下のとおりです。
http://jp.reuters.com/article/china-trade-april-idJPKBN1840CD
Business | 2017年 05月 8日 17:18 JST
中国の4月貿易統計、輸出入ともに予想以上に伸び鈍化 黒字拡大
[北京 8日 ロイター] – 中国税関総署が8日発表した4月の貿易統計によると、輸出と輸入ともに予想以上に伸びが鈍化した。国内外の需要低迷とコモディティー価格の下落が背景にある。
4月の輸出はドル建てで前年比8.0%増と、伸び率はロイターがまとめた市場予想(10.4%)を下回った。
輸入は同11.9%増。こちらも、伸び率は市場予想(18.0%)に届かなかった。
3月の輸出は16.4%増、輸入は20.3%増、貿易黒字は239億3000万ドルだった。 」
上記のとおり黒字にはなっていますが、5月8日の日経新聞夕刊3pによると内需拡大・輸入拡大により前年同月よりも黒字幅が16、5%減となっています。
黒字維持とは言え黒字幅が減り続けているので、このまま政府主導のバブル拡大→輸入拡大をいつまで続けられるのでしょうか?
夕張市の財政制破綻や国鉄の赤字累積など見れば分るように、無理な投資はいつか資金が続かなくなります・・規模の大小は時間差でしかないでしょう。
5月6日の記事では既に中国の金融機関を除く民間債務はGDP比200%超(日本のバブルブル末期並み)になっていることも書かれています。
ただし、勝又氏の記事では民間債務は対GDP比280%ですし、アチコチのネット記事ではそうですが、日経は全て抑制気味です。
http://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/day-20170510.html
「社会主義市場経済」は機能していたならば、債務総額の対GDP比が280%にまで膨張するはずがない。事前に、調整されずここまで膨張させたのは、中国の経済システムに自律的な調整機能が欠落している証拠であろう。」
実はこの外中国はシャドーバンキング・・理財商品の莫大な(簿外?)リスクを抱えていますが、大手新聞なのでそこまでは書けていません。
外貨交換を規制して当面外貨準備縮小や人民元急落を凌ぐとしても、人民元安の下地になっている巨額民間債務をどうするかの処方箋が見えて来ません。
政府としては先送りの限界が来たので?国際標準の法的整理を避けて不明朗な共産党主導の債権委員会方式で何となく巨額債務を棚上げする方向に進み始めたようです。
どのようにしても結果的に金融機関の不良債権は貸し倒れ処理しかないのですから、この時点で金融機関の財務に大きく傷がつくのを防げません。
日本では金融機関の資金不足が健全な融資を損ない長年の日本経済の大きな重しになりました・・・どこかでいつかは痛みを外に出すしかないことは確かです。
以下の通り中国の外貨準備減少は小康状態・・3ヶ月連続増加とは言え3兆ドルギリギリ維持している・・もしかして数字合わせに必死なのかな?)苦しみが出ています。
今のところ規制は成功していますが、人民による抜け穴探しがまだ出来ていないことによるのでしょう。
euters.com/article/china-economy-forex-reserves-idJPKBN18313I
[北京 7日 ロイター] – 中国人民銀行は、4月末時点の外貨準備高が210億ドル増加し3兆0300億ドルとなったと発表した。3カ月連続での増加で、市場予想を上回る増加だった。資本規制やドル高一服により、資金流出が抑えられていることが示された。
ロイターがまとめたエコノミスト予想は110億ドル増の3兆0200億ドルだった。
3月末時点では3兆0090億ドルと、前の月から39億6000万ドル増加していた。
国家外為管理局(SAFE)は声明で、外貨準備の増加は基本的に外貨需要供給の均衡や、対ドルでの人民元上昇に伴うものだと説明した。」
15年夏の株式相場急落以来政府が取引制限した結果、本当の株式相場が不明になっていましたが、今年に入ってからの為替取引制限の結果、人民元の本当の実力・評価が分らなくなっていますが、国際取引での人民元取引量の変動を見れば、人民元の実際評価を表しています。
1昨年秋に折角IMFのSDRに人民元が採用されて国威発揚したつもりだったのですが、人民元の信用が下がり交換がスムースでないことから?国際取引では人民元利用シェアーが急減しています。 
国威発揚どおり経済界が動きません・・経済実力は、結果から見ればカナダ以下と言う評価です。
一時日本を追い越したのは、将来性を世界中がはやし立てていただけ・・国際社会にデビューしてみると適応力がないことが分った・エコノミストの見通しが悪かったことになります。
昔「眠れる獅子」と恐れられていたのにいざ日本と戦ってみるとあっさり負けてしまって恥をかいた・同じことの繰り返しです。
当時最新の戦艦を入手していてこれ見よがしに日本を威嚇していたのに、それを動かす人民の能力が違っていたのです。
国土ばかり広く、人民の数だけ多くても、最後の決め手は民度・内容実質です。
http://www.sankei.com/smp/world/news/170204/wor1702040030-s1.html
人民元、カナダドルに追い抜かれ「決済通貨」6位に転落 成長鈍化で国際化戦略に急ブレーキ
2017.2.4 10:50更新
【上海=河崎真澄】中国の人民元が貿易や対外投資の決済に使われる通貨として昨年12月、カナダドルに追い抜かれて6位に転落したことが、銀行間の送金ネットワークを運営する国際銀行間通信協会(SWIFT)の調べで分かった。通貨別の決済シェアで、元は2015年8月に日本円を上回り、ドル、ユーロ、ポンドに次いで初の4位につけた。だが、経済成長鈍化や元安でシェアが低下。再び円を下回って15年12月段階で5位になっていた。
また、16年通年の元建て決済総額は前年比で29・5%も減少した。元は昨年10月に、国際通貨基金(IMF)の仮想通貨「特別引き出し権(SDR)」に組み込まれたが、評価は上がらず、習近平指導部が目指した元の国際化戦略に急ブレーキがかかった格好だ。
 元をめぐっては、SDR入り後も為替相場の形成を市場に委ねる通貨改革は進まず、国際通貨としての信頼性や利便性は向上していない。さらに中国を「為替操作国」に指定すると主張したトランプ氏による米政権の動きも不透明で、環境は一段と悪化している。
SWIFTによると、通貨別の代金決済シェアは昨年12月の段階で、米ドルが42・09%。ユーロが31・30%、ポンド7・20%、円3・40%、カナダドル1・93%だったのに対し、元は1・68%にとどまっている。」
習近平が主席になり、中華の夢を唱えた頃が最高・・ドっ天井で、その後は人民元の国際評価・・利用率が下がる一方・・ムキになって国威発揚で威張れば威張るほど実力がバレて行きます。
これだけ人民元利用の取引量が激減しているのにIMFが人民元を国際通貨に認定した「裏で何があったの?」と言う例の中国流の画策が疑われるのは仕方のないことでしょう。

両替制限→過剰流動性・バブル2

中国のバブルは民間が始めたことではなく、政府主導のバブルであるから破裂させるわけに行かない・・当初マンションバブルが広がり「鬼城」があちこちに出来たのでニュースになっていましたが、政府主導で煽っておいて投機家に損をさせたままに出来ないので、次は株式バブルを政府機関紙が煽って大規模ブームを起こしました。
これが15年夏に限界が来た結果、内需主導〜再びマンションバブルとへ再移動していたのですが、アメリカ利上げとトランプの脅しに伴う中国の追随利上げ採用によってマンションバブルを維持出来なくなると、今度は再び株式と商品相場へ誘導していると言われます。
このように政府は次から次へと螺旋状に対象を広げて行く点が諸外国の過去のばブルとの違い・・特異な現象です。
国民の方も例えばマンションバブルが一時的に収束しても、一巡すればマンションにバブルが戻って来る(政府が放っておけないからテコ入れする)に決まっていると言う「政府に対する信頼?」期待があってみんな強気らしいです。
中国破綻論は毎回空振りに終わっている・・嫌中派の議論に過ぎないと言う強気の意見を中国政府が流していますが、バックに巨大政府がついているから一見際限ないバブル循環に見えるだけとも言うのが伝統的意見でしょう。
でも伝統的学問に合わないと言うだけならば、20世紀に入ってからの景気対策としての財政資金投入や金融政策による景気平準化政策も本来はそう言うものですし、日銀や欧米の異次元緩和も似たようなものです。
不景気時に財政投資して穴埋めしていればその内にまた景気が良くなるから・・と言う景気対策も、戦後一時期一時うまく行く時代がありましたが、・・高成長から中〜低成長へ移行する構造不況に突入している場合、財政投入をしても痛みを緩和する(例えば放置すれば失業率10%になるところを8%に抑える)程度の効果しかなく、財政赤字が膨らむばかりでいつまでたっても好景気が来ません。
中国のやり方は一時の不況の穴埋めタイプか、低成長移行への痛みの緩和措置かどうかで結果が変わります。
中国の景気対策は・・内需換気は政府主導バブル・・公共投資だけではなく、「民活・バブル」を組み合わせたもの・・政府自体が次々と対象を変えては仕手相場を煽っているのは、世界史上前例のないことですから、どう言う最後を迎えるつもりか?世界中が固唾をのんでみているところです。
日銀の国債無制限?買い入れも歴史上前例のないことですから、伝統的理解の立場からは、将来どうなるのか?と出口対策を心配する否定的論調・・「一刻も早く脱却すべし論」が一般的ですが、従来の考えに合わないからと批判するの間違いであると17年5月2日「税収弾性値3(国債の合理性1)」以下で貨幣改鋳や金本位制廃止の例を引いて書いて来ました。
中国の際限ない循環的バブル創造も一種の異次元政策だからこそ伝統的考えでは、出口がどうなるかの心配している点では同じですが、もしかして新たな地平を切り開けるのか、あるいは先送りの巨大版に過ぎず破裂の瀬戸際が近づいていると見るべきかのどちらでしょうか。
ただ日経5月6日一面の記事には、国内景気維持とバブルを煽る為の金融装置・過剰流動性供給の結果、・・建設資材・・製鐵その他の資材関連産業活況→資源類の輸入が膨らんでいる・・「経常収支悪化」の小見出しが出ていて国際収支黒字減が始まっているとも書かれています。
この辺は3月26日に私が書いた見通しどおり・「国際収支悪化をどうするのか?」と言う展開になって来ている点を書かざるを得なくなって来たのでしょう。
貯蓄・・外貨準備のあるうちは、輸出縮小→国内生産縮小→失業を内需拡大で穴埋め・先送りして行けますが、資金が尽きるといつか行き詰まります。
日本の国債増発・・引き受け者が日銀であれ外資であれ、国際収支黒字の範囲内である限り問題がないと書いて来ました。
ちなみに昨年度日本の「国際収支黒字はリーマンショック前回復と今日の夕刊に出ています。
経常収支20兆1990億円の黒字(内、海外企業から利子配当が18兆350億円・・円高の結果目減りしているとのことですが・・)です。
赤字国債・・外国から借金で物を買っている状態ではないのです。
中国の16年の経常収支を見ておきましょう。
 https://www.nna.jp アジア経済ニュース2017/04/05(水曜日)                                        16年国際収支、経常収支は1964億ドルの黒字
中国国家外貨管理局は3月30日、2016年の国際収支統計を発表した。経常収支は1,964億米ドル(約21兆6,940億円)の黒字で、国内総生産(GDP)に占める割合は1.8%だった。31日付経済参考報が伝えた。
日本の黒字約20兆円とほとんど変わらなくなっています。
14億の人口と1億あまりの人口比で考えると、あるいは公表されているGDP比黒字比が急減していることが分るでしょう。
中国の商品相場高騰に戻りますと、加工輸出用の原材料過剰購入・在庫は、その内出血輸出によってでもハケて行くでしょうが、元々国内マンション等向けどころかマンション向け需要すらオーバーした・・何の需要もないのに素人が商品相場に手を出して・相場高騰に釣られて輸入してしまったものは、引き取り手もありません。
今朝(5月11日)の日経新聞朝刊25pには、中国の港湾在庫が摘み上がってしまい・・「バラ積み用船料急落」の見出しで資源系用船料金がこの1ヶ月で4割も下落していると書かれています。
商品相場・バブルは末端のマンション等の工事需要がなければ在庫増に直結するので短期間に収束して来たと言うことでしょう。
マンションを高値づかみしてバブル崩壊した場合、ババを引いた投機参加者は塩漬けにするしかない(借入金支払に困るでしょうが・・)だけですが、商品相場が過熱して高値づかみして国内在庫になります。
(高値づかみで損をした資金繰りの問題があるのは別として)町外れに作った新興住宅地・鬼城は放っておいても邪魔になりませんが、鉄鉱石など原材料の在庫は倉庫に入ったままになりますので倉庫や物流業者等が困ります。
客のいない鉄道工事なども、従業員を雇っていると困ります。
はたして政府の誘導どおりに商品相場に火がついて、新たなバブルが「螺旋状」に広がっていますが、5月6日の日経朝刊の遠慮ガチな指摘どおり、国内バブル・・商品相場上昇に合わせて資源輸入が増えて行く・・肝腎の貿易黒字が減少して行く・・国際収支赤字化が始まるとどうなるかの瀬戸際が近づいて来ます。
国際収支が赤字になると輸入代金決済資金が必要ですから、国民の外貨交換を制限するだけでは済まなくなります。
ただし、まだ黒字維持出来ているので中期的課題に過ぎないと言えますが・・これが中国の経済破綻を先送りを可能にしている面があるでしょう。
引用している日経5月6日朝刊1面によれば、17年1〜3月の中国政府の1551億元の財政赤字・・19995年以来22年ぶりとのことですし、卸売物価(商品相場です)が前年同期比7、4%アップとなっています。
国内での過剰投資は経常収支悪化と言う副作用をもたらしていると書いています。
鉄鉱石などの輸入が急増して貿易黒字が25%減った結果、1〜3月期のサービス・物の貿易黒字は前年同期比64%減とも書いています。
所得収支赤字は2年連続で、サービス・貿易収支と合わせた経常収支は、16年10〜12月期に前年同期比86%減となっています。
財政赤字が始まり他方で国際収支黒字減少が始っています。

両替制限→バブル1 

https://zuuonline.com/archives/135606 2017/01/12
中国から1兆ドルが逃げていた
中国のなりふり構わぬ「資本流出規制」17年震源地の恐れあり
2005年切り上げ以来の上げ幅
1月5日のブルームバーグニュースによると、5日の香港市場で元は現地時間午後2時53分現在、前日比1%高で、この2日間の上昇率は2.3%に達し、2010年からのデータでは2営業日として最大の上げを記録した。同日、香港短期金融市場では翌日物金利が一時、過去最高の100%超えまで上昇する。
・・規制は企業だけでなく個人にも本格的に乗り出したようだ。6日付の日経新聞朝刊によると、中国人民銀行は大手銀行に対し、個人の外貨両替取引について報告を求めるよう要請。今年からは外貨購入を希望する個人に対しては銀行窓口で「海外で不動産や証券、保険を購入してはならない」と明記された申請書の提出も義務付けたという。
それにしても、なぜ企業だけでなく個人の外貨両替行動にまで触手を伸ばすのか。それは、元安予想の進行により歯止めがかからなくなっていた海外への資本流出をなんとかしたかったからだ。ブルームバーグの集計によると2015年の流出額は過去最悪の1兆ドル(約121兆円)と前年の7倍以上にも達した。2016年1~11月にはさらに7600億ドルが流出。2016年11月末で中国の外貨準備高は3兆516億ドル(348兆円)で、ピーク時(2014年)の4兆ドルより1兆ドル近くも減ったことになる。
原因は中国人民銀行が2015年8月に突然、元切り下げに踏み切り、世界には不信感が広まったことにある。これを受けて中国内では、元安への不安から元をドルに両替する人が増えた。銀行窓口では「ドルがない」と、数千ドル規模の両替が断られるようになり、不安はさらに高まった。
富裕層はさまざまな手段で資金を海外に逃がそうと画策。外貨両替制限は年間5万ドルだが、外貨建て保険ならそれには該当しないし、ビットコインなら1日の送金上限は200ビットコインで約15万ドルにもなる。地下銀行の利用もあるし、札束をスーツケースに入れて運び出すという最終手段もある。こんなふうに、ありとあらゆる抜け道を探すようになった。
2017年に入ると、先述の外貨両替枠が更新される。ヘッジファンドなど海外投機筋は、「更新された瞬間に一気に両替に走り、中国からの資金流出が加速して元安が進行する」とみて、元売りを膨らませていた。」
上記のとおり昨年末頃から、銀行窓口では僅か数千ドルの両替資金さえ用意出来ない・・事実上ドルの取り付け騒ぎが起きていたことが分ります。
中国人民は人民元の価値(自国政府)を信用していないことが分ります。
紙幣の価値は金の裏付けによるではなく、発行体の信用次第であることを2017/01/17「観念論の弊3(財政赤字論)」とMay 2, 2017「税収弾性値3(国債の合理性)に書きました。
上記のとおり中国人の大好きな「お金に関する」虚々実々の駆け引きが繰り広げられていますが、年末に突如としての数百%と言う超短期金利の引き上げや正月明けの政府の外貨両替誓約書要求などの奇策は一瞬的には政府の一本勝ち状態で外貨減少が一旦止まりました。
1月末には3兆ドルを割りましたが、2月末には3兆ドルを回復しただけではなく3〜4月末も微増と報道されています。
「上に政策あれば下に対策あり」の民族性・・お互い(信用出来ない)騙しあいの社会ですから、直ぐにもその抜け穴探しが工夫される筈ですが・・抜け穴ですから直ぐに公的認知される筈がないので直ぐには表面化しません。
紙幣をスーツケースに隠して持ち出す場合には国外でドル交換するので政府の外貨準備は減らないでしょうが、人民元(ヤミ)相場に影響します。
人民が我先に外貨交換に走る・・外貨減少が起きる基本は政府の経済運営に対する人民の信頼喪失があるのですから、人民の政府に対する信頼回復よりも奇策連発・・お互い奇策の攻防・・人民はあの手この手の抜け穴探しの工夫をするしかありません。
一方で中国国内では外に出られなくなった資金を利用したバブル狂奔状態ですが、これも政府・社会に対する相互信頼がないことが原因・・人民は外に資金を逃がせないならば刹那的に儲けられるときに儲けておこうと言う方向へ走るしかないことをあらわしています。
値下がりする紙幣をドルに替えられないならば、値下がりしないものに変えて手持ち紙幣量を増やしておこうとするのはドル交換に走るのと心理構造が同じです。
バブルとは何か?
不動産関連が一般的にバブルになり易いのは供給が限定されている上に誰(素人)でも参入し易い点があるからですが、追加供給が困難な点を利用した値上がり現象である点は、ベネズエラのハイパーインフレと同じです。
ハイパーインフレの場合は、生活必需品の絶対的不足であり供給が増えない限り収まることはない・・誰かが買い占めて儲けているような規模ではないので、値上がりによって得する人は殆ど誰もいないのに対して、バブルの場合には、値上がり期待に便乗して自分も儲けようとする投機現象に過ぎない・・必需品の絶対的なク不足が起きていないので当局が(金融規制だけで)規制する気になれば、パタリと止まってしまう性質があり、あるいは、実需との乖離が一線を越えれば物理的に収まる・・「ある日熱が冷めればおしまいになる」と言う点が大きな違いでしょうか?
民族社会のメリットで見れば、国民が地道に創意工夫してより良いもの作るために(数年以上かかる技術革新に)投資するのではなく、土地や商品の転がし・超短期の転売利益だけが目的とするものがバブル現象ですから、そこからは何も生み出しません。
国民全部がこういうことだけ・・投機・・転売利益獲得に血道を上げる社会ってエネルギーの無駄遣い・・元々精神が歪んでいるとしか言いようがありません。
まじめに努力することが報われない社会構造になっているからでしょう。
5月6日日経朝刊1面には「中国バブル再び」の大見出しで「資本規制・マネー氾濫」の副題で中国のマンションバブルの様相が大きく写真入りで出ています。
中国人民の外貨交換要求を制限するための奇策の数々に加えて人民元相場地合を良くするために昨年末からの米国金利上げに追随しての金融引き締めも行なっています。
その結果、年末年始から金利上昇局面が始まったので(過剰流動性を背景にした商品相場はこれからとしても)マンション相場は終わりそうな流れに入っていることをApril 26, 2017「新興国の限界(民度)3」に書きました。
日経の記事はまだまだマンションバブル真っ最中のイメージ報道ですから、私の上記意見からすればこれからのような書き方には疑問がありますが、内容を見ると上海では年収の20倍超になっているなど限界が来ているイメージを書いているようです。
20倍超とは、特定高額物件のことではなく平均販売価格がそうなっている・・日本で言えば年収500万の人のうち何人が1億のマンション相場について行けるか・・仮に2〜3人しか買えないとすれば、残りはどうなるか?と言うことです。
合理的に考えれば、価格上昇は限界・・早めに売り抜けようとする方向・・バブル崩壊になります。
これの目くらまし?のために5月8日に紹介した北京近くの雄安新区の新都市建設構想が打ち出されたのでしょう。
他方で、卸売物価は1〜3月期前年比7、4%上昇と商品相場バブルの徴候をそれとなく書いています。
人民元相場維持のためには金利はアメリカの金利上げに追随するしかないとしても、人民元紙幣はいくらでも刷れるので国内マネー供給を拡大・・過剰流動性によって、国内景気・・バブルを維持出来る・・するしかないと言うのが中国政府の計画でしょう。

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