国際情報の一般化4(海外留学熱鎮静論1)

ソ連や旧共産圏諸国では、特定スポーツに特化して英才教育していましたが、スポーツや文化受容者の裾野が金メダルの数に比例して大きい訳ではありません。
人工衛星やロケットなど軍事技術に特化してアメリカに対抗していましたが、科学技術全般がアメリカと拮抗していた訳ではありません。
部分特化した突出的成果の場合、技術情報流出(スパイ)に頼っているという一般的噂もバカに出来ないことになります。
フィギアスケートやジャズその他多くの芸術的催しが日本でしか興業が成立しにくいと言われているのは、受け皿の裾野が広いこと(庶民観客数の多さ・・豊かさ)を物語っています。
話が飛びますが、日本の若者の留学熱が低下していることを憂うる報道が10年前ころから多いですが、欧米に追いつき追い越す時代ではなく先頭ランナーになったことから、留学してまで学ぶことがあまりなくなって来たことが(対外的には大きな声では言えませんが・・)第一の原因です。
ココ10年あまり、サラリーマンだってアメリカなど海外出張を喜ぶ人は、あまりいません。
(行く先にもよりますが、アメリカの田舎道を車で何百kも走るような出張を喜ぶ人はあまりいないのは当然です・・日本の田舎への出張の方が食べるものもうまいし・・なんぼかいいでしょう・・)
その上外国は治安が悪いし・・今では海外出張は自慢ではなく「・・参ったよ!」とこぼす対象に落ちぶれています。
2013年1月16日にアルジェリアのイナメナス付近の天然ガス精製プラントで駐在していた日揮社員がテロ組織に襲われた事件がありました。
大々的に報道されたので周辺の景色を何度も見ましたが、荒涼とした砂漠の一角でテロの恐怖に怯えながら、宿舎とプラント現場を往復して作業に営々と従事している状況が明らかになりました。
最近の海外出張・赴任というのは、日揮に限らず世界の隅々まで地をはうようにして、日本の先兵として働いている人の方が圧倒的多数になっているのではないでしょうか?
工場やスーパーコンビニ等の進出が盛んですが、この数に比例して日本人が現地に行って、現場労働者と一緒に汗にまみれて指導しています。
・・これがまた日本の底力になっているのですから別に悪いことではありませんが、海外出張や赴任先としてはこう言う分野が多くなっているということです。
外国へ行ったと言っても、有名観光地だけ巡って来て、その素晴らしさを自慢をしている時代ではありません。
華やかな印象を持つ外交官も傾向は同じで、昔は先進国の首都への赴任中心でしたが、今はアフリカ奥地まで駐在する時代です。
アメリカ駐在と言っても、日本人在住者が地方に増えたこともあってあちこちに領事館を配置していますので、アメリカ駐在外交官の内ホンの一部エリートだけが首都の大使館勤務で、その他大勢が首都以外のあちこちの僻地?駐在することになります。
本日現在で外務省の在外公館のリストでは、アメリカの領事館や駐在員事務所など名前だけで見ると、16カ所くらい掲示されています。
かなり田舎だと思われるナシュビルなどもあるようですが、ここは早くから日産の工場進出があったテネシーの首都・・日本人が多くなっていたからではないでしょうか?
花のパリでシャンパンを片手に・・と言う優雅な海外赴任風景は、今では滅多にありません。
若者もこう言う状況を親から日常的に(またメキシコ出張だよ〜!などと)愚痴のように聞きながら育っています。
家族もお父さんがしょっ中海外出張でうらやましいというよりは、「大変ね!無事帰って来てね」と言って送り出しています。
こう言う状態・・生活密着型情報が草の根で広がって来ると、大量留学の大半を占める学力中底辺層の私費留学希望が減るのは当然です。

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