豊かさ指数とGDP

韓国では、国民には製品を高値で売って海外では安く売るのは国際競争を有利にするための国策という大義名分があったでしょうが、賃金や福利厚生を出来るだけ低く抑えて企業利益を生み出す株主迎合・・法人税を安くし外資への配当増加政策は、まさに国民に犠牲を強いる政策でした。
国際競争力強化の名分で結局は大企業は大株主=外資の言いなりで、外国人株主還元を重視していて、国民は搾取対象?低賃金(不安定な非正規雇用)で働かされ、他方で他人には高く売れないので、身内だから協力してと言われて割高な製品を買わされていたことになります。
(この精神は米韓FTA後の今も基本姿勢が変わりません。
韓国が貿易競争条件を有利にするためにウオン安政策・・為替介入を続けていることについてアメリカ政府から、警告され続けています。
ウオン安政策とは国民の労力を対外的に安売りするだけではなく、為替が安いと輸入物価が上がるので国内価格が上がりますから、国民は二重の搾取を受ける結果、国内消費が低迷し国民を疲弊させる政策の総合的表現です。
(失われた20年と言いますが、日本の円高にはこの逆のメリットがあったことを繰り返し書いてきました)
それでも企業の儲けが日本のように国内分配されるならばそこで救われますが、韓国の場合、昨日紹介したように外資が牛耳っているので、利益の大半が外資に吸い上げられっぱなしですから、言わば新たな形式の植民地(IMF)支配を受ける国になってしまったのです。
この辺の意見は、「経済植民地化1」April 10, 2014前後のコラムで連載しています。
ちなみに国民一人当たり総生産の基準を算定しても、国民多くの豊かさ指標としては何の役にも立ちません。
付加価値・総生産を国民一人当たりで割って産出していますが、付加価値の多くは企業の産出したものですから、企業の生んだ付加価値がどのように分配される社会であるかが重要です。
株主や社債からうける配当や金融収入は(全部国民が保有している場合には)個人金融資産合計に収斂されるのですが、外資占有率の高い社会では、国外に流出してしまい国民の収入にはなりません。
国内還流分もサムスンオーナーのように天文学的資産家が一杯いますので(財閥系社会の弊害です)彼ら財閥オーナーの取り分や外資への配当分を合計したGDPを人口で割って平均しても、一般国民の生活水準の指標としては意味がありません。
個人金融資産合計では負債の大きさが言われている社会ですから、金融商品関連を除くフロー収入がどうなっているかが重要です。
外資比重の多い韓国での庶民生活水準を知るには、株式配当や利子金融商品売買益等を除いた労働分配率こそが重要です。
労働分配率が低くともその代わり個人から税を取らずに、法人税と利子配当金融商品売買益課税ばかりで国家運営し、その資金で子供手当や家賃補助、医療費等を無料にするなど充実すれば国民が潤います。
ところが韓国の場合、法人税率が日本と違い20%台と低い(外資にとっては韓国内で使うための税金など払うよりは、配当が多い方が良いに決まっています)のですから、日本より法人税率が低い・社会保障の企業負担が低い・少ない分国民サービス用の資金は一般国民から日本より多く徴収していることになります。
日本での法人税軽減の主張が強くなってきましたが、これは外資導入期待論者・・または既存外資の代弁主張になります。
法人税減税論は国際競争力には関係がないのですから、国家運営に必要な一定資金が外資に持って行かれる結果を何故期待しているのかの議論こそが重要です。
外資にとっては法人税が安くないと株式配当がその分減るので丸損で・・単純明快です。
国民株主にとっては、法人税率が高くて配当が減る代わりに個人の所得税や消費税が少なくて済むメリットとのバーター関係になりますから、一方的にどちらが損か得とは言い切れない関係です。

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