欧米離れとトルコ危機?3

トルコに関する昨日引用グラフの続きです。
https://diamond.jp/articles/-/1843022018.11.6

2018.11.6

西濵 徹:第一生命経済研究所 経済調査部 主席エコノミスト

トルコ、消費者物価上昇率の推移

アルバイラク財務相は年末までを期限に、民間企業に対して10%の値引きを要請する事実上の強制値引きキャンペーンを発表したが、この効果については未知数なところが多い。
なお、これら以上に懸念されるのが、9月の発表直後に消費者物価上昇率が予想外に上振れしたことを理由に責任者の国家統計機構(TUIK)の副局長が突如更迭され、アルバイラク財務相の腹心とされる人物が後任に当たったとされることである。
仮にこの動きによって物価統計が操作される事態となれば、アルゼンチンのクリスティーナ前政権下で行われたことと同じであり、足下のアルゼンチン経済が置かれている状況をみれば、同じ道を辿るリスクも高まる。

10月の消費者上昇率は以下の通りです。
“https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-11-05/PHPOQB6TTDS201”

2018年11月5日 17:48 JST

10月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比25.2%上昇。9月の上昇率は24.5%だった

約25%の物価上昇では、国民はまともな生活を送れません。
企業も投資意欲が減退します。

参考までにアルゼンチンの物価上昇率は以下の通りです。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO38927770U8A211C1000000/

アルゼンチン、11月のインフレ率年48% ペースは鈍化 中南米
2018/12/14 5:49
サンパウロ=外山尚之】アルゼンチン政府は13日、11月の消費者物価上昇率が前年同月比48.5%だったと発表した。前月比では3.2%で、単月の上昇率は10月から2ポイント以上下落した。足元の通貨ペソは下落が一段落し小康状態にあり、物価上昇のペースは落ち着きつつある。

結局は自国通貨の大幅下落が原因です。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-08-30/PEA49R6TTDSM01

ペソが最安値更新、アルゼンチン中銀は政策金利を60%に引き上げ
Carolina Millan、Patrick Gillespie、Ignacio Olivera Doll
2018年8月31日 0:24 JST 更新日時 2018年8月31日 7:34 JST
利上げ後もペソの下げ続く-下落率は一時20%に近づく
マクリ大統領は29日にIMFに融資実行の前倒しを要請していた

アルゼンチン中銀が主要政策金利を45%から世界最高水準の60%に引き上げた後も、通貨ペソの下げは続いた。利上げは今月に入り2回目で、通貨下落に歯止めをかけるのが狙いだった。ペソは年初来で50%余り下げている。
Rout Deepens

Argentine peso worst performer versus dollar this year among emerging-market peers
によると対ドル下落率の大きい国の順位は以下の通りです。

アルゼンチン →  53、9%
トルコ    →  43、5%
ブラジル   →  20、2%
南ア     →  16、1
ロシア    →  15、6%
インド    →   9、7%
チリ     →   9、3%

以下省略

通貨下落率53、9%のアルゼンチンが金利を60%にしないと通貨下落を止められないという実態を見るとトルコもロシアも大変です。

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