高齢者は85歳から2(長期支配の弊害1)

移動手段の発達(同じく区間でも時間短縮・乗り心地の改善)が距離の不利益(体力低下による移動能力低下)を緩和します。
例えばJR千葉・東京間の特急は所用29〜30分ですし、千葉〜品川〜横浜間〜鎌倉/横須賀間の快速にはグリーン車があるので、日常的行動半径の東京駅や品川などまでの約4〜50分の乗車時間は、体力消耗どころか(・・美術館巡りで足が疲れているときなど)疲れた足の回復時間になっています。
(乗車時間中に普段読めない本を読んだりネットチェック時間になっています)
京成電車は自宅から最寄駅まで200メートルで直通で上野(主に東博)に行けるので便利ですが、横坐りの電車しかないので座っていること自体が楽しくないのがJRに比べた問題点です。
昨日から書いた通り、分野別・職業によってもいろんな補完手段が進んでいますので、年齢で画一的に切り分ける今の基本的仕組み(定年制が代表的なものですが・・)は無理があるように思われます。
かと言って、個別能力次第にすべきというのは「言うは安く」して具体的運用が大変です。
車の運転免許のように、視力聴力など身体機能テストだけで済むなら割合簡単ですが、(テスト項目を増やし有効期間を短縮するなど)知的労働に限らずどんな現場作業にも監督行為と末端作業とは違った能力が求められるなど複雑系能力をどうやって判定するかです。
一般的に高年齢化すると現場的分野から統括分野に役職が移行するのが伝統的役割分担です。
我々司法界・・知的職業である裁判や検察でも同様で、若手裁判官は下調べ的記録調査に精出した結果を土台に合議体で基礎的意見を述べて、これに対して10年以上経験の右陪席が質問その他の意見を述べて、合議体トップの裁判長(20数年超〜定年まで)がさらに意見を述べる形で合議が進み、右陪席や裁判長の意見で問題となった点の補充をする形で最終結論に進みます。
(以上は、私の45年以上前の裁判実習時の経験によるので今は変わっているかも?)
高裁も左陪席がほぼ主査としてまとめた意見を合議体で披露し、これの方向性を合議体で確認されると、その方向での和解勧告→和解不調=判決となるようです。
こういう具合に知的職業世界でも年齢構成による分担が長年の慣習?の結果決まっています。
公的機関や民間企業でも懲戒処分をするには相応の議決機関があって行われているのでしょうが、懲戒処分を受けるには、相応の地位ある人の合議の結果=重みを重視する風潮が重視されている印象です。
組織の長老というか高位経験者が懲戒委員や選挙管理委員をやっている必要があるかどうかは、慣習に従っているものの今までのところその合理性が私には具体的にわかっていませんが、高齢者=知恵者という古来からの常識に従っているだけか?私に不明なだけで、相応の合理性があるのでしょう。
これが従来円熟期と思われてきた中高期(5〜60歳)を越えて高齢化するとあらゆる分野で能力低下が起きるのではないかの疑問・・複雑系判断分野でも担い続けられるか・・もっといえば、65歳の判断より75歳〜85歳の判断の方がすぐれていると言えるかの問題です。
裁判官定年は私が弁護士になった頃の定年は60歳だったというウロ覚えの記憶でしたが、いつの間にか65歳になっているようですが、この年齢程度までは年功ヒエラルキーがあっても良いという国民合意があるのでしょうか?
民間では役職(別)定年制があるように、定年あるいは就労期間を伸ばすことと決裁権を並行的に伸ばせるかは別次元・人の能力は複雑系分野でも一定年齢でピークが来ることを前提にしているのでしょう。
取締役では画一的定年制がない(ただしヒラ取締役等では事実上の定年制があるようです)のは、社長や会長等の超高度判断になってくると現時点では70歳前後くらいまでは、人によっては能力低下が起きない・70歳台が60歳台を指導する高度判断可能という合意でしょうか?
今も元気に指導力を発揮している有名人では、鈴木自動車の鈴木会長や、日本電産社長永守 重信(1944年8月28日 – )が知られています。
問題は能力低下が始まった時にどうやって「首に鈴」をつけられるかでしょう。
大物の首に鈴をつけられるほどの重鎮(他分野での大物)によって構成される社外取締役制度が必須ですが社外取締役の多くが現役社長の推薦によるのでイエスマン的機能しか果たせていないと言われています。
政治家は瞬時の判断によるちょっとした発言ミスが政治生命に直結するなど市場評価の最も厳しい分野ですから、生き残っていること自体で能力テストをクリアーしていることになるから別でしょうが・・。
政治の世界では地方選挙と参議院選挙を含めてしょっちゅう民意反映制度がある民主国家ではイエスマンに支えられる政権の存立が不可能になっているので外部勢力介入は不要・害悪になり・戦後枢密院制度などが廃止になりました。
政治の世界ほど頻繁な市場評価に晒されない・・任期継続禁止が確固としていない企業統治その他組織では放っておくと澱んでしまうので、戦前枢密院制度のような元老会議のようなものがどこの分野でも実は必須なのです。
企業統治の場合には、よほどの企業業績悪化や不祥事がない限り市場評価による進退表明に追い込まれることは滅多に起きないので、取締役会がイエスマンばかりの場合、ゴーンさんのような暴走が起きるのを防ぐ方法が確立されていません。
ゴーン氏が日産のV字回復に貢献したのは初期(2000年就任後)の数年〜4〜5年だけのことで、後はどちらかといえば打ち上げた目標未達の連続であったのにカリスマ支配力によって部下に責任を押し付けていたという意見を読んだ記憶です。
https://www.kuruma-sateim.com/market/carlos-ghosn-income/によると営業利益率の推移は以下の通りです。
具体的な経営再建の結果を、営業利益率の推移で見ていきましょう。

年度営業利益率(連結)
2000年度4.8% 2001年度7.9% 2002年度10.8% 2003年度11.1% 2004年度10.0%
2010年度6.1% 2011年度5.6% 2012年度5.7% 2013年度5.0% 2014年度6.1%
2015年度7.0% 2016年度7.3% 2017年度6.2%

比較のためにトヨタの財務データと比較しておきましょう。
トヨタに比べて喧伝されているほど内容が良いわけではありません。
https://docs.google.com/document/d/1B_k-2lcstvNhZWWRqkWpEo0Evf1mJlU7NLjlDEZOEak/editです

主な財務指標(連結)

会計年度 指標項目
売上高
営業利益率
売上高
税引前利益率
税金等調整前
当期純利益
総資産
総資産当期純利益率
(R.O.A.)
株主資本当期純利益率
(R.O.E.)
株主資本
総資産
2018年3月期 8.2% 8.9% 5.2% 5.0% 13.7% 37.2%
2017年3月期 7.2% 7.9% 4.5% 3.8% 10.6% 35.9%
2016年3月期 10.0% 10.5% 6.3% 4.9% 13.8% 35.3%
2015年3月期 10.1% 10.6% 6.1% 4.9% 13.9% 35.2%
2014年3月期 8.9% 9.5% 5.8% 4.7% 13.7% 34.9%
  • * 米国会計基準に基づく連結財務数値にて、算出しております。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC