独裁体制と情報規制2

中国は1980年ころから「竹のカーテン」と言われる閉鎖社会から解放に転じたとは言え、一党独裁政権時のママですから、独裁制維持のためには情報統制するしかありません。
経済統計・環境統計・事故による被害発表等々全ての分野で意図的にデタラメ発表していて、国民を含め幹部以外には結果的に秘密主義(賄賂やコネによる優遇措置や特権を知られたくないのが独裁制の本質)を維持しています。
(本当にデータがデタラメなのか外部発表用との二重〜3重帳簿式なのかまでは分りません・・ソ連の場合、ゴルバチョフによれば権力者も実態が不明だったと言われていますが・・。)
秘密を保つには味方から先ず欺く必要があると言いますので、積極的にデタラメ情報にしているのでしょう・・そうすればどんな腕の良いスパイが潜入しても、本当の統計を探せません。
統計だけ誤摩化せても現場に外資が入って来ると外資も経済動向を読まないと生産能力の増減や販売計画を立てられないので自然と経済状況に詳しくなり、外資駐在員等を通じて外部に漏れて行くのは防げません。
イオン等物販系が大量に進出するとイオンその他スーパーなどの売上動向・中国の消費動向などが日本に(理論上は)伝わります。
ただ、マスコミさえ抑えておけば、関係者だけの口コミに終わり、(日本の技術者等は口が重いので、家に帰っても聞かれないと中国の状況を自分からは言いません)イオンが1社だけ負けているのか全体の消費減退動向かまでは分りませんので、大規模な情報伝達は防げます。
文化大革命時にも細切れ的情報があってあったのですが、マスコミ報道の基本が賞讃一色だと日本人の大方がその宣伝どおりに受け取っていたのではないでしょうか?
今朝の日経新聞朝刊には大量出店していたイオンが北京で次々と閉店している状況が出ていましたが、マスコミが報道しないと無関係者はこう言う実態を知る機会がありません。
イオンも失敗していることを自分から宣伝しません。
ホットマネーを自由化すると相場の乱高下を招く傾向があって、世界の耳目を集めてしまうのでこれを規制せざるを得ない・・大規模な情報拡散を恐れていることになります。
中国が外資進出を求める以上は、そこから一定の情報が漏れるのは仕方がないとしてもそれは多寡が知れている・・日本(に限らず世界の?)マスコミさえ抑えて大規模な情報化拡散さえ防げれば良いと言う基本方針を開放政策決定時に決めたのでしょう。
中国が世界のマスコミ支配・・浸透に熱心な理由でしょう。
強いライオンやトラはしょっ中びくびくしていないことを見ても分るように、ハリネズミのようにびくびく警戒心満杯の動物は弱いからです。
中国は、何もかも隠したい心理・自由な行動を規制したがる傾向が強烈ですが、預金金利でさえまだ自由化出来ないほど経済が弱体で、1カ月ほど前に預金金利の設定可能幅を少し広げた程度です。
以下はウオールストリートジャーナルの日本語版の記事です。
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2015 年 6 月 4 日 12:36 JST
 【北京】中国人民銀行(中央銀行)の盛松成・調査統計局長は、銀行預金金利の上限規制撤廃に近づいていることを明らかにした。第一財経日報が4日付で報じた。国内金利の完全自由化に近づくことになる。
 報道によると、盛局長は「預金金利の上限撤廃の時期はそれほど遠くないとみている」と述べた。
同局長は最近のフォーラムで「中国の金利自由化に向けた次の段階は、預金金利の上限を適切な時期に撤廃することになろう」と話した。
人民銀行は昨年11月以降、政策金利である銀行貸し出しおよび銀行預金の基準金利を3回引き下げる一方、銀行預金金利の上限を基準金利の1.1倍から1.5倍へ引き上げた。

6月4日付き発言で大ニュースのようですが、近いうちに預金金利を自由化することになるだろうと言う程度です。
解放後既に30年以上も経過していると言うのに預金金利でさえ自由に出来ない・・この程度の弱い経済でデタラメ統計を前提に世界の強国だと威張っているのですから、お粗末な実態・・矛盾している部分をマスコミは一切報道しないで新しいビルがドンドン建つ目立つことだけ報道して来ました。

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