ヘイトスピーチ論4と言論の自由2

ところでヘイトスピーチ違反で刑事処罰をするとなると、何がヘイトスピーチで許されないのかの定義と言論の自由との関係が起きてきます。
ナチス犯罪否定論とは違い定義付けが難しいので、言論の自由との関係はどうなのか?定義は?と言う議論が出て来ると、急速に禁止法制定運動がしぼんでしまいました。
今はムード批判・・人格攻撃に徹していますが、言論・人権擁護を商売にしているマスコミや人権派弁護士の運動としては、ちょっとお粗末すぎないかと言う印象を受けた人が多いでしょう。
彼らの人権派と言う立場が、普段から(共産圏や中韓の人権侵害には全く触れない・・と言うか代弁者的)二重基準で活動しいるからこうなっていると(勿論マスコミには出ませんが)批判されるようになっています。
何年か前のコラムでネットの発達が先進国により大きな影響がある筈(中国の独裁体制崩壊に繋がると言う「知識人』の趨勢的意見に対する反論として)と書いてきましたが、これがまさに日本で威力を発揮し始めて米軍支配の後を引き継いだ韓国によるマスコミ支配による世論形成力が崩れ始めたのがここ4〜5年の動きです。
マスコミ支配だけでは韓国批判を抑え切れなくなった結果、「ヘイトスピーチ批判論」が「ドイツを見習え」と言う主張と同時的に韓国主張(この辺は慰安婦報道での大フィーバーと同じで、日本マスコミは「韓国報道の紹介・・」紹介と言う形で大キャンペインを張るのが普通です)今回も韓国主張の紹介形式で実際には日本マスコミ・文化人主導で展開されて来ました。
慰安婦宣伝戦に負けそうになると、韓国や日本のマスコミ中心に、「ドイツを見習え・」と言う主張が出て来たのですが、ドイツは日本と違って、周辺国へ賠償をしていないことが分ってきました。
この辺も全く日本で報道されていなかった・プロ研究者は知っていたでしょうが、一般的情報ではなかったのですが、タマタマ・・・・今回ギリシャ危機で「ドイツがあまり強硬なことを言うなら賠償を求めたい」と言う意見がギリシャ国内で一部出て来たことから、日本国民に広く知られるようになってしまいました。
そうすると何をドイツに見習うのかとなりますが、刑事処罰法制定の有無くらいが核心的な違いになりますから、その実現を目標に運動していたことになります。
国民が知らされていないだけで、運動家は当然ドイツは何をしていて何をしていないを知った上で「ドイツを見習え」と運動している筈ですから・・。
「ドイツを見習え」と言う主張と、ヘイトスピーチ禁止論=刑事処罰法制定論が同時的にマスコミや人権派?弁護士中心にわき起こって来たのは偶然ではなかったことになります。
しかし、ここでまで書いているように(私なりにこう言う場合は許されないだろうと憶測で例示して書いてきました)ヘイトスピーチの定義がはっきりしない上に、ドイツの場合、元々ナチス蛮行に対する刑事処罰はある程度処罰要件が明確ですが、韓国や中国のように終戦時何もなかった(南京虐殺も認定されていません)ことをしかも戦後処理の決着を付ける日韓条約や日中条約解決後に持ち出すのですから、後から次々と出して来ることに対する反論禁止になると処罰の線引きが出来なくなります。
極論すれば、「中韓の主張に反する主張したら全て処罰する」と言う変な法律しか出来ないでしょう。
これでは専制支配下の人民同様=日本を中韓の奴隷状態におく法律を自分で作るべきだと言うに等しくなります。
敗戦後持ち出した問題に対する批判・反論を処罰出来ないとすれば、当面問題の慰安婦や南京虐殺等に反論させない目的・・中韓両国からすれば、何のためにヘイトピーチ禁止法を作らせる運動を背後で応援しているかとなりますので、急速にこの運動が下火になりました。
ヘイトスピーチ禁止法制定要求は定義がはっきりしない批判(上記のとおり何でも中韓の言うとおりしないと刑務所行くのか?これでも主権国家?の批判)や、言論自由の絡みで難しくなった結果、最近ではこれを言わなくなったものの、その代わりに「ドイツは日本と違って誠意を持って謝っている」とか、「過去を反省しないと将来がないとブラント氏が言った」などの変な主張に変わってきました。
誠意ある陳謝などと言い出したら何百回謝ってもキリがありません・・この繰り返しに日本人が「いい加減しろ」と怒り出した原点に戻って来て、韓国やその意を受けた日本マスコミの主張は支離滅裂状態になってきました。
そこでマスコミは、ムード的ヘイトスピーチ批判に徹して、在日批判論はマスコミで一切報道しないで国民や外国に発信しない無視政策と、在日批判に共感すること自体人格的に問題があるかのような印象づけ報道に徹しています。
しかし、マスコミ報道は、双方の意見を公平に報じてこそ存在意義があるのですから、一方の意見しか報道しない・・しかもこれに対する反対意見をそのまま紹介しないで、「人格的に問題がある」かのようなムード報道しかしないのでは、マスコミの信用を自ら損なう・・自滅行為のように思いますが・・・。

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