米占領政治と韓国の労働運動1

11月2日紹介する韓国労働運動に関する論文の構成が、米国占領政治開始時の政策宣言から始まっていて、当初の基本姿勢が労働者意識・国民意識に大きな影響を与えたという認識を前提にしているようで、私の関心同様です。
これによって米軍の朝鮮「信託統治」は対日誹謗・反日意識洗脳目的で始まっていたことが裏付けられます。
10月29日紹介したカイロ宣言は戦争中の敵愾心もあり、戦略戦の一種でしょうからある程度の言い過ぎ・フェイクもあるでしょうが、(日本でも「鬼畜米英」と言っていました)戦争終了後の民政段階でもこの程度のことを公式表明するとは米國民度・・政治経験の底の浅さをあらわしたものです。
戦後70年もアメリカの譲れない戦後秩序は、日本がいかに酷い植民地支配をし、東南アジア諸国の人権侵害してきたかを宣伝し、これの批判を許さない姿勢でした。
米国流の単純政治に反応した朝鮮人は言うまでもなく同類レベルですが、米国の日本批判に安易に同調したことが朝鮮人の不幸拡大・・自殺増加や火病に象徴される精神の葛藤し深刻化の原因だったのではないでしょうか?
韓国民は米国宣伝のお先棒を担げば、米国や韓国政府の覚えがめでたいから率先実行してきました。
アメリカが自分の政治に自信があれば、日本的価値観からすれば「黙って良い政治をすれば良い」のであって前政権の政治を露骨に誹謗するようなやり方で・・政治がうまく行く訳がありません。
日本の場合、総理や社長交代でも全てそうですが前任者をたたえながら、やり残したしごとを発展させていくと抱負を語るのが普通で前任者批判から始める人はいないでしょう。
中国何千年の歴史といいますが、王朝崩壊の都度前王朝を全否定し全王朝の優れた文物を百%破壊す尽くし何も残っていない(日本に唐宋の文物が残っている状態です)と言われる行動原理・拙劣政治が中朝の歴史です。
我が国ではちょっとした民俗行事でも各地村落で何百年単位でそのまま引き継いで子孫に残していくのが我が国の伝統で、その代表格が正倉院御物であり法隆寺の宝物でしょう。
先日正倉院展で5弦の琵琶を(法隆寺宝物は、東博の法隆寺館に・・入れ替えがありますが常設されているので日頃見慣れておりますが)拝観してきましたが、螺鈿細工のきらびやかさには驚嘆したばかりです。
信長が切り取ったことで有名な蘭奢待実物を拝観して、信長が目の前にいるような気持ちになりました。
(もちろん信長が自分で正倉院へ行って切り取るわけがないので時代雰囲気を書いています)
明治天皇が切り取ったのを見ると、5〜6百年〜千年に一人の傑物しか許されない行為という私の勝手な価値観からすると自己評価が甘いお方だったか?と明治天皇の評価が内心グット下がった印象で帰ってきました。
(明治維新は歴史上の一大エポックですが、「王政復古クーデター」と言われる小御所会議は、慶応3年12月9日(1868年1月3日)で、1852年11月3日生まれの明治天皇(在位:1867年2月13日〈慶応3年1月9日〉- 1912年〈明治45年/大正元年〉7月30日)は当時まだ15歳で天皇に即位したばかりです)
韓国も中国同様で前時代の良かった点を残すという考え方がないらしく、李氏朝鮮時代の統治が良くて日本支配が悪かったならば日本がいなくなれば、李氏王朝を復活させれば良いのにそれもしないで、ただ日本支配がひどかったと言うだけです。
日本では李氏朝鮮王族は日本の華族様より上の皇室に次ぐ格式を与えられて厚遇されて存続していましたのでいつでも再興出来明日紹介する韓国労働運動に関する論文のたのです。
李王家に関するウイキペデイアの解説です。

1910年(明治43年)の韓国併合ニ関スル条約は、その第3条で「日本国皇帝陛下は韓国皇帝陛下太皇帝陛下皇太子殿下並其の后妃及後裔をして各其の地位に応し相当なる尊称威厳及名誉を享有せしめ且之を保持するに十分なる歳費を供給すへきことを約す」(片仮名を平仮名に改める)として、韓国皇帝以下韓国皇族に対し、相応の待遇や称号付与をすることを定めていた。
また第4条ではそれ以外の韓国皇族についての類似の規定をしていた。この条約に基づき、王公族として李王家が立てられ、日本の皇族に準じる待遇を受けた[1]。「王」「王世子」「公」等の身位と、殿下の敬称が与えられた。

自国民の意思で(フランコ政権によって)廃されたスペイン王室でさえフランコ政権終了後復活しているのに、仇敵のごとく忌み嫌う?はずの日本によって廃止された旧王朝復活運動が起きたともきかないところを見ると、日韓併合によって朝鮮王朝がなくなったことを国民の多くが良かったと思っていると言うことでしょう。
ちなみに敗戦後李承晩政権が李王家の帰国を拒んだために帰国できなかった・朝廷の復活を求めるどころではなかったことも上記に出ています。
ウィキペデイアの続きです。

李垠(イ・ウン、り・ぎん)は、1897年に高宗と純献貴妃厳氏との間に生まれた。純宗の異母弟。英親王に冊封される。1907年(明治40年)の純宗即位と同時に韓国最後の皇太子となったが、幼少時より日本で教育を受けた。韓国併合と同時に日本の王公族として「王世子」に封じられた。
1917年(大正6年)に日本の陸軍士官学校を卒業(第29期)、翌年日本の皇族梨本宮守正王の第一女子である方子女王と婚約、1920年(大正9年)に結婚した。純宗が薨去した1926年(大正15年)には李王家当主を正式に継承し、「王」(李王)となった。李垠は日本の軍人として宇都宮連隊長などを経て、終戦時には中将にまで昇進した。
日本の敗戦後、1947年(昭和22年)の日本国憲法制定により李垠夫妻は王公族の身分と日本国籍も喪失した。しかし、李承晩政権時代には彼らの大韓民国への帰国は許されず、夫妻が帰国できたのは朴正煕政権が成立した1963年(昭和38年)のことだった。1970年(昭和45年)に死去。

弊履のごとく捨て去るという言葉がありますが、朝鮮人にとっては権力を失った以上なんの価値も認めないということでしょう。
任期制大統領制度は、議院内閣制と違いその間の身分保障があるのでその間民意を気にしないで法の範囲内で好きな政治をできる・一種の期間限定独裁制という後進国向けの制度だと説明をしてきましたが、任期で守られている分に比例して蓄積された不満が頂点に達した時点での退任となります。

未成熟社会4(ロシア原油下落)

未成熟社会4(ロシア原油下落)

今後中国の高度成長が低下し賄賂を出せなくなる・・いわゆる都市戸籍と農民戸籍の差別〜一人っ子政策に反しているために生じた無戸籍者など日常的に人間扱いされていなかった層・数億人?にとって、医療その他生活の最低サービスすら賄賂を出せないと受けられなくなるなど大変な状態になると思われます。
結局は、公的サービス水準をどこに置くかによってくるでしょう。
10月19日にロシアの平均年齢のグラフで見たように恐怖政治をやめて国民生活の自由化を進めると却って混乱する社会であることから、エリツインからプーチン(第一次大統領就任・2000年〜2008年)の一強独裁的強面(コワモテ)政治に戻り、治安悪化を止める方向に舵を切って成功しました。
プーチン氏は大統領職連続任期2回限定の憲法を守るため、2008年任期満了とともに部下のメドベージェフ氏に次期大統領を譲り、(その間自分は首相になって事実上実務の全権を握って)同氏の任期満了を待って再び大統領に返り咲き12年から第二次大統領就任〜現在に至っています。
プーチン氏の強権的政策開始と同時頃に運が良くちょうど原油価格の上昇トレンドが始まりと重なったことが彼の強運で長期政権を維持出来ている基礎原因になります。
ちなみにエリツイン氏は、ソ連崩壊後の大混乱を乗り切る最も大変な矢先にアジア通貨危機)98〜99年)の大波乱と原油その他資源安をまともにかぶったことが不運でした。
19日に紹介したソ連平均寿命の最低期は1994〜5年ですが、下記原油相場グラフを見れば底値の頃が、エリ ツインの任期とほぼ重なっています。
本日のウィキペデアによれば以下の通りです。

「ボリス・ニコラエヴィチ・エリツィンロシア語: Борис Николаевич Ельцин、1931年2月1日 2007年4月23日)は、ロシア連邦政治家で、同国の初代大統領(在任: 1991年 1999年)である。ロシア連邦閣僚会議議長(首相)も歴任した。大統領在任中にソ連8月クーデターに対する抵抗を呼びかけロシア連邦の民主化を主導した評価と共に、急速な市場経済移行に伴う市民生活の困窮、ロシアの国際的地位の低下、チェチェン紛争の泥沼化、強権・縁故政治への批判もあった。」

この15年以上のロシアの復活はプーチン氏の手腕のように見えて実は原油その他資源価格トレンドによるとした場合、下記グラフの通り、2013〜4年に原油価格がピークを打って急激に下がり始めたのがプーチンには痛手です。
平均寿命が急落するような大混乱を収拾して欲しい国民の当面の願望に合わせた強面(コワモテ政治)で成功したのであって、プーチンは・複雑な利害調整で成功した経験がありません。
治安回復後急激な原油価格上昇による豊かさ到来に助けられてきたメッキが剥がれる局面が始まっています。
この数年で頼みの原油価格下落によって、やむなく?国民不満をそらすために?無用なシリア介入やクリミア併合・ロシア伝統の外延政治に戻って行かざるを得なくなった懐具合が見え見えです。
原油価格の推移はhttp://ecodb.net/pcp/imf_group_oil.htmlによれば以下の通りです。

この15年以上のロシア経済の復活はプーチン氏の手腕のように見えて実は原油その他資源価格トレンドによるとした場合、上記グラフの通り、13〜4年に原油価格がピークを打って急激に下がり始めたのが痛手です。
平均寿命が急落するような大混乱を収拾して欲しい国民の当面の願望に合わせて登場したプーチン氏が強面で成功したのであって、プーチンは複雑な利害調整で成功した経験がありません。
治安回復後急激な原油価格上昇による豊かさ到来に助けられてきたメッキが剥がれる局面です。
この数年で頼みの原油価格下落によって、やむなく?国民不満をそらすためにロシア伝統の無用なシリア介入やクリミア併合・外延政治に戻って行かざるを得なくなった懐具合・内政困難度合いが見えます。
http://toyokeizai.net/articles/-/180689によれば原油価格とロシア経済との関係は以下の通りです。
ケネス・ロゴフ : ハーバード大学教授
2017年07月27日

「ロシアの経済学者グリエフ氏(後に亡命)が、司法などの制度が脆弱なままでは、資源輸出依存のロシア経済が変わる望みはないと主張していた。あまりに多くの決定が1人の人間によって行われていたからだ。同じ会議で私は、大規模な改革が行われないかぎり、エネルギー価格の急落は深刻な問題を引き起こすことになると力説した。
かくして、原油価格は暴落した。現在の市況(7月上旬時点で50ドル以下)ですら、2011〜2012年ピークの半分に届かない。輸出の大半を石油と天然ガスに頼っている国にとっては大打撃だ。
ロシア規模の不況が民主主義の西側諸国で起きたとすれば、政治的に乗り切るのは極めて困難だったろう。だが、プーチン氏の権力は、まるで揺らいでいない。
国営メディアは失政を覆い隠すために、西側からの経済制裁を非難したり、クリミア併合やシリアへの軍事介入への支持をあおっている。たいていのロシア人は、学校教育や国営メディアによって、西側諸国のほうがひどい状況にあると信じ込まされている。残念ながら、そのような情報操作は改革への処方箋とはなりえない。」

こんな苦しい時になぜウクライナ紛争を起こし、クリミヤ併合するのか(純粋経済的に見ても軍事行動は巨額経済負担です)というと、この紛争で愛国・民族主義を煽て目を外に向けるだけではなく、クリミア併合に対する欧米による不当な経済制裁という問題設定をして苦しいのは「欧米の不当制裁」という悲憤慷慨を煽る仕組みに利用しているのです。
・・北朝鮮も不当な経済制裁を煽っていますので、経済制裁ではどうなるものでもありません。

政治不満と暴動1(中国4)

北朝鮮を韓国と比較して極限的貧しさを強調し、このような貧困状態でなぜ我慢できているか・・すぐにも社会や体制が崩壊するのではないという疑問を抱かせるようなイメージが流布していますが、国民としては豊かで自由な方が良いとしても、言論の自由がなくても仮に年間人口の数%〜5%くらいが飢え死にしてもその程度ならば命がけの暴動を起こしません。
北朝鮮の場合先進国に比べて貧しすぎるだけであって、朝鮮戦争時に比べれば格段に生活水準が上がっているので昔に比べれば良くなっていると満足している人の方が多い可能性があります。
このような心象は日本の田舎でも同じで、他都市では10数年に2〜3回のペースで商店内装リニューアルしているのに対して地方都市では10数年に1回のリニューアルペースとした場合、地元の人は20年前に比べて新しい店やフィットネスクラブが出来て便利になったと満足しているのですが、新陳代謝の激しい地域から行くと古色蒼然たる展示内容に驚くのと同じです。
韓国の場合、身の丈にあわない民主主義政治をアメリカに押し付けられたのが国民の不幸で、ストレスいっぱいの社会になっている原因のように見えます。
せっかく大統領制にしているのに任期満了後例外なく次の政権の厳しい追及を受けるのですから、せっかく権力の頂点・政権を握っても安心できません。
ロシアの民度レベルを前提にすると選挙で選ばれる大統領制になってもプーチンはこれが怖くて政権を手放せない・終身制にしない限り心の休まる暇がないのでしょう。
暴動に戻しますと、最初の暴動参加者は治安警察レベルですぐ検挙されるし、そのうち大規模になっても政府軍に簡単に鎮圧され殺されてしまう繰り返しのうちに、各地で次々と暴動が起きて自然発生的暴徒が組織化されて軍隊らしくなっていく・・政府が弱体化の極みに達すれば(中国歴代王朝末期のように大暴動の長期化の結果農民の流民化→ 全国的食料不足発生・ソ連の場合で言えば生産低迷)による人口大激減になれば、結果的に一族殆どが飢え死にするリスクがあるのは同じです。
現在のシリアの現状を見ても暴動前より生命の危機を含めて生活水準が低下している現状を見れば分かります。
そこまでのリスクを冒してでも人民の多くが大動乱を願望するようになるには、このままでは一族みんなが飢え死にしてしまうほどの危機が来ないと無理でしょう。
ところで中国歴代王朝末期の飢餓→大暴動は、実は当てのない飢え死に目的で暴動を起こしたのではなく「県城」等に豊富な食料備蓄があって、それを襲う暴動から始まったことを無視できません。
項羽と劉邦・漢楚の攻防で知られる攻防戦も、多くは食料備蓄の豊富な県城争奪戦であり攻城戦勝利の暁には飢えに苦しんでいる兵士に腹いっぱい食べさせられる欲望を利用していたものでした。
城中に乱入すれば城内の家に押し入り略奪(限らず女性も)するのは文字どおりの兵士にとっての戦利品・・当然の権利として中国では何千年もやってきました。
日本の武士団が戦争に勝っても略奪しなかったのは、食料目的の戦争ではなかったからです。
日本軍の食料不足で餓死者続出のインパール作戦でも、自分たちが餓死していても現地民から食料調達・略奪をしていません。
中国歴代の暴動に戻しますと10月18日に大躍進政策で4〜5千万人が餓死していた陰で政府倉庫には、「また都市部の倉庫は穀物で一杯だったという証言が残されている[8]」という記事を紹介しました。
中国は古代から都市国家・点と点をつなぐ支配体制ですから、出先基地である県城(都市国家)の外は野蛮な異民族の居住地域(今も都市と農村戸籍の2分類思想です)という扱いですから、いざという時に近隣県城からの応援軍が来るまで持ちこたえるための食料備蓄は基本中の基本ですし、城壁外の異民族が飢えていても関心がない・城内備蓄優先ですから、これを狙った暴動が起き易かったのです。
現在の中国政府は、大躍進政策の失敗で4〜5千万人程度飢え死にを出しても暴動にならなかったし、その後公安部隊の増強をしてきたので、その数倍程度までの餓死者が出ても、治安部隊強化で押さえ込み可能と見ているでしょう。
まして現在の不満は、公害や不公平・格差の大きさ程度でしかない・末端人民が食えないほど困窮していません・その基準から見れば格差の大きさ程度は贅沢な悩みですので、過酷な拷問等を受けるリスクを冒してまで立ち上がる心配はありません。
シリア混乱が収拾のつかない内乱にまでなったのは、国外勢力の介入があったからだと見るべきでしょう。
現在中国の場合格差があっても解放直後よりも、生活水準が格段に上がっているので飢え死にするようなことはない・・ちょっとやそっとの経済不況(前年比減)や言論不自由程度で暴動(を期待する?論調が多いですが)になるわけがありません・海外逃亡を拒否して国内民主化運動をしていて先日獄死したノーベル平和賞受賞者の後に続く人がいないことを見てもわかります。
生活苦や規制の厳しさ等々の不満に対する国民の耐性については、昨年トルコ軍がロシア軍機シリア上空で撃墜した時にロシアが直ちに農産物輸入停止やトルコ観光停止などを発動した時に、経済政策の耐性としてロシアとトルコの経済制裁合戦になればどちらが耐性があるのかの意見をSep 19, 2016「フラストレーション度2と中華の栄光復活」で書き始めていました。
いろんな意見が挟まってしまい原稿が先送りになっていますが、これを引用してFebruary 1, 2017にもロシアはクリミア併合によって欧米から経済制裁を受けている最中・・野菜等生鮮食品が西欧から輸入出来なくなっていても、輸入国の方が強いことと「生活条件の過酷な発展の遅れた国の方が耐性がある」という意見を書きました。
月収百万円の人が半分になるのと10万円の人が半分になるのとでは貧しい人の方が極限状態だから、より反発が激しいというのが普通の印象ですが、現実政治では逆に日頃贅沢していた人の方が、(株が少し下がったり)少しでも貧しくなるのに耐性が弱いのです。
加えて政治自由度が低いとか政治不満程度ならば、(賄賂や汚い・公害等が気に入らないならば中国へ外資が進出しなければ良いのとほぼ同じで)今では国民にも国外移住の道があるので、わずか10数万円あれば国外脱出可能・・(出稼ぎ等で)逃げ出せば良いのですから命がけで暴動を起こす必要はありません。
シリア難民が最近の実例ですが、外部に逃げられない昔ならその何割かは暴動参加者になっていたでしょうが、難民になって出てしまえば政府は安泰です。
出血輸出は相手国の失業増加要因`・失業の輸出であると一般に言われますが、難民を吐き出せば受け入れ国の政治不安要因になります。
これが受け入れ国であるドイツその他西欧諸国の団結をゆるがす原因になっています。
賄賂社会に戻しますと、賄賂社会が嫌だという程度で命がけの反政府運動をしても続く人が少なすぎて投獄されて終わりです。
出世競争や権力闘争に関係のない人民の方も(競争相手がルールを守っていないのに自分だけ守っていたらコスト競争に負けるので)設備・労働基準など違反状態で許認可を通して貰う・許可後の基準未達操業を見逃してもらうなどいろんな場面で常に賄賂が必要になっています。
この数年は、 習近平派以外に近づかなければよかったのですが、せっかく賄賂を提供していても、習近平派内の争いが激化してくると頼みにしていた人がいつ検挙・粛清されるか知れないのでは、戦々恐々の状態でしょう。
この結果、賄賂提供の効果がない・・廃れるかというと日常末端の検査官や窓口業務で賄賂を要求される・断ると基準違反で摘発されたり嫌がらせされるリスクがある・競争相手の肩を持って自分の企業だけいやがらせされたたら、倒産するのでもっと上の人に頼むしかないのが現状です。
ソ連の場合も賄賂がないとまともに医療すら受けられない賄賂社会でも景気が良ければ何とかなっていましたが、ソ連末期の経済混乱期になると平均寿命が低下した時に賄賂社会の厳しさが表面化してしまいしました。
今後中国の成長が低下するとこの社会規模の矛盾(いわゆる都市戸籍と農民戸籍の差別・貧富格差)が表面化すると思われます。

混乱収束後の政治体制(ローマの場合)

ロシアの大統領制はソ連崩壊の混乱の中で失うものがない状態で生まれたものですが、中国の場合共産政権が崩壊してもいないのに結果がどうなるか不明(選挙というものはやってみないと結果はわからないものです)の選挙など怖くてすぐにはできません。
(対立候補が出ないように)よほど周到な準備をしてからでないと怖くて選挙をすると言い出せませんので、今は内々にその準備中でしょうが、中国にとっては大統領制のロシアでプーチンが2000年以来約20年も続いている体制が理想となっているのでしょうか?
大統領制で守られているはずのプーチン氏でさえも、家族でさえ信頼できない・・日本が贈った秋田犬だけが心を許せる状態?・・らしいですが・・・。
権力争いに関係のない国民にとっての関心は、習近平の粛清がどの段階でとどまれるか・スターリン粛清のように庶民まで及ぶのかでしょう。
中国歴代暴動では暴動を生き抜いた覇者を次の皇帝にすることで、際限ない闘争に終止符を打ってきた例を10月21に「漢承秦制の思想」として(003/30/10「パックスアメリカーナから中国専制支配へ2」のシリーズで紹介したこと)紹介しました。
一定の民度以下の社会ではどこでも一旦独裁が始まった以上は、終身制・・どころか子孫へ世襲していける皇帝や国王にして安心させない限り独裁者が権力維持のための際限のない猜疑心に陥り大変なことになるのが歴史教訓というべきです。
古代ローマでもシーザーへの権力集中→終身独裁官にまでしたものの、シーザーへの権力集中が進むことへの危機感から「共和制の大義」を守るために有志で?「ブルータス、お前もか (et tu, Brute?)」の文句で知られるクー・デ・ターで倒したものの、結果的にそのブルー タスを皇帝にして行った歴史が参考になります。
シーザーに関するhttps://ja.wikipedia.org/wiki/によれば以下の通りです。

ローマ内戦
紀元前46年夏、ローマへ帰還したカエサルは市民の熱狂的な歓呼に迎えられ、壮麗な凱旋式を挙行した。カエサルはクレオパトラ7世をローマに招いており、クレオパトラ7世はカエサルとの間の息子とされるカエサリオンを伴っていた。紀元前45年3月、ヒスパニアへ逃れていたラビエヌスやポンペイウスの遺児小ポンペイウス・セクストゥス兄弟らとのムンダの戦いに勝利して一連のローマ内戦を終結させた。
終身独裁官就任
元老院派を武力で制圧して、ローマでの支配権を確固たるものとしたカエサルは共和政の改革に着手する。属州民に議席を与えて、定員を600名から900名へと増員したことで元老院の機能・権威を低下させ、機能不全に陥っていた民会、護民官を単なる追認機関とすることで有名無実化した。代わって、自らが終身独裁官に就任(紀元前44年2月)し、権力を1点に集中することで統治能力の強化を図ったのである。この権力集中システムは元首政(プリンキパトゥス)として後継者のオクタウィアヌス(後のアウグストゥス)に引き継がれ、帝政ローマ誕生の礎ともなる。
紀元前44年2月15日、ルペルカリア祭の際にアントニウスがカエサルへ王の証ともいえる月桂樹を奉じたものの、ローマ市民からの拍手はまばらで、逆にカエサルが月桂樹を押し戻した際には大変な拍手であった。数度繰り返した所、全く同じ反応であり、カエサルはカピトル神殿へ月桂樹を捧げるように指示したという[28]。 共和主義者はこの行動をカエサルが君主政を志向した表れと判断した。また、カエサルは「共和政ローマは白昼夢に過ぎない。実体も外観も無く、名前だけに過ぎない」「私の発言は法律とみなされるべきだ」などと発言したとされる[29]。これら伝えられるカエサルの振る舞いや言動、そして終身独裁官としての絶対的な権力に対し、マルクス・ユニウス・ブルトゥスやガイウス・カッシウス・ロンギヌスら共和主義者は共和政崩壊の危機感を抱いた。
暗殺『カエサル暗殺』(La Mort de César) フランス人画家ジャン=レオン・ジェロームによる1867年の作

 紀元前44年3月15日 (Idus Martiae)、元老院へ出席するカエサル

4〜5年前に松本幸四郎主演の「カエザル」を日生劇場で見た時の舞台装置はこれを参考にしたらしく上記写真のようでした。
以下は、ローマ帝国に関するウィキペデアの記事からです。

「紀元前44年にカエサルが暗殺された後、共和主義者の打倒で協力したオクタウィアヌスとマルクス・アントニウスが覇権を争い、これに勝利を収めたオクタウィアヌスが紀元前27年に共和制の復活を声明し、元老院に権限の返還を申し出た。これに対して元老院はプリンケプス(元首)としてのオクタウィアヌスに多くの要職と、「アウグストゥス(尊厳なる者)」の称号を与えた。一般的にこのときから帝政が開始したとされている。
以降、帝政初期のユリウス・クラウディウス朝の世襲皇帝たちは実質的には君主であったにもかかわらず、表面的には共和制を尊重してプリンケプス(元首)としてふるまった。これをプリンキパトゥス(元首政)と呼ぶ。彼らが即位する際には、まず軍隊が忠誠を宣言した後、元老院が形式的に新皇帝を元首に任命した。皇帝は代々次のような称号と権力を有した。」

上記経過を見るとクロムウエル独裁やナポレン帝政の原型・混乱を鎮めたスターを国王または皇帝にしないと世の中がおさまらない歴史の原型がローマ時代からあったことがわかります。
クロムウエル独裁時に議会が国王になるように求めた例がありましたが、現実的判断の利くイギリス人の一面を表しています。
中国歴代王朝が大暴動で滅びこれを鎮めた武将が次の皇帝になり過去の王朝制度をそのまま踏襲してきたのもその一例です。
北朝鮮がどんなに貧困状態にあっても政治が安定しているのは、意外でもナンでもない・民度レベルからしてできもしない民主主義・能力主義政治あるいは、政策目標を掲げたり約束していない身の丈にあった世襲制政治をしているからです。

1党独裁と汚職3(中国2)

昨日紹介した弁護士の記事によると立件基準も公開されており先進国と変わらない透明性が公開されています。
膨大な日常業務でいつもチップみたいに(裁判官からまで要求される日常)賄賂を要求されている中で、どういう場合に実際に基準通りに事件扱いになるか?にかかっている・これが人治主義と言われる根拠なのでしょう。
何もかも賄賂・袖の下次第の社会に進出する日本企業/関係者も大変です。
http://biz-journal.jp/2013/09/post_2944.htmlによると以下引用の通り日本企業の悩みが伝わります。

「尖閣諸島問題が勃発して以降、日本からの製品輸入と現地日系工場からの製品輸出に対して、税関等での手続きや検査、監督省庁からの許認可などが、日系企業を狙い撃ちするように厳しくされたのだ。「ともかく許可が下りるまでの時間が異常に長くなった」と話す物流会社の幹部によると、その背景はこうだ。
あるアパレルメーカーは、中国の現地工場で製造した製品を日本に輸入しているが、「賄賂を渡さないと税関を通してもらえない」(社長)のが実態だ。この会社では、現地の中国系物流会社に通関業務を委託して税関と折衝させている。
「きちんと税関を通して、こちらに商品が届いた時点で代金は支払う旨を伝えて、中国人同士で話をつけさせている」(同)。このアパレルメーカーの場合、賄賂という形式で金銭を渡してはいない。だが、物流会社から同社への請求額に、実際には賄賂に該当する金額が含まれている可能性もある。
賄賂が渡されるまでのステップは、例えばこんな流れだ。日系企業が中国で、所轄の地方政府当局に許認可などの手続きに訪問すると、幹部が「こういう良い会社があるから取引を検討してみたらどうか」と物流会社や投資会社などを紹介してくる。
その多くは幹部の親族などが経営する会社で、日系企業と取引しながら、裏では現地当局との交渉役を担っている。相場より高い金額を請求され、その過大な分が賄賂等に相当し、その取引先から政府幹部に賄賂が渡されていくケースが多くあるという。」

ニュースサイトで読む: http://biz-journal.jp/2013/09/post_2944.htmlによると以下の通りです。
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「賄賂が渡されるまでのステップは、例えばこんな流れだ。日系企業が中国で、所轄の地方政府当局に許認可などの手続きに訪問すると、幹部が「こういう良い会社があるから取引を検討してみたらどうか」と物流会社や投資会社などを紹介してくる。
その多くは幹部の親族などが経営する会社で、日系企業と取引しながら、裏では現地当局との交渉役を担っている。相場より高い金額を請求され、その過大な分が賄賂等に相当し、その取引先から政府幹部に賄賂が渡されていくケースが多くあるという。
恫喝まがいの賄賂で知られるのは、中国の大手テレビ局である。このテレビ局は、消費者の声を紹介する番組で、商品の性能などを紹介しているが、日系の大手企業に対して「商品へのクレームが多いので、番組で取り上げる予定だ」と連絡をした上で、番組へのスポンサー協力などを「よかったら検討してください」と“お願い”する。
もし要求を拒否したら、どうなるのだろうか? 日系の家電メーカー販社幹部は「このテレビ局は専用のクレーマーグループを雇っていて、そのクレームがテレビで報道されてしまう」と実態を説明する。」

独裁社会では賄賂がなぜ必然化するかですが、民度レベルが先進国に遠く及ばない・・穏健な話し合い解決不能な実態があって、独裁〜強権政治しかない社会では、やむなく形式的民主制を導入し委員会(の全会一致)で民主的に何ごとも決めているかのような真似事だけ民主的にやっている実態があります。
環境〜衛生〜建築〜品質規制その他の多くの分野で先進国並みの規制を格好付けだけ制定するとどうなるか?
国家の基本である意思決定・骨格システム自体が実質を伴わない形式的制度である結果、末端人民に対する法令も条文だけは先進国並みの先端的環境法や知財保護法その他整備していると自慢しているだけになっているのは自然です。
民度(国内技術水準)上無理な制度ですから、国民は誰も守らなくともお目こぼしにしている・政敵や関係悪化した国の外資だけ狙い撃ちできる法令になっています。
サード配備に不快感を示すために韓国ロッテの消防設備にケチをつけて以来、ほぼ全店規模で操業停止が半年以上?続いている事実がその一例です。
この2週間ほど前から大問題になっている神戸製鋼の品質改ざん問題・中国に進出していないから良いようなものの、もしも中国工場で起きていればすぐに操業停止→多分倒産でしょう。
狙い撃ちされないまでも外資系(飲食業その他全て)は法令通りやるしかないので、民族系に比べてコスト高になっていて事実上外資妨害になっています。
以上紹介してきた通り贈賄提供自体をみんながするしかない社会ですが、習近平が権力を握ったのちにこれを利用してその摘発を始めると、その対象設定が恣意的・江沢民系や胡錦濤系に集中している・・政敵粛清に利用されてきたことが象徴的です。
政敵粛清目的が概ね達成されたらしく、この半年くらいでは習近平系?内の後継候補と言われていた者に対する粛清が始まっています。
http://www.sankei.com/world/news/170901/wor1709010037-n1.html

【紅い権力闘争(上)】「ポスト習近平は習近平だけ」次々後継者潰し「あと30年やるつもりだ」 写真あり; 中国陸軍の李作成司令官、参謀長に昇進…「習近平派」か · 人民日報、胡春華氏の寄稿文掲載 習近平氏を称賛、絶対服従をアピール 写真 …

http://biz-journal.jp/2017/07/post_19981.html

中国の権力闘争が激化している。秋には5年に1度の中国共産党全国代表大会が開かれるが、これに向けて党内の粛清合戦が始まっているのだ。
7月に入り、習近平国家主席の後継候補と目されていた政治局員の孫政才氏が「重大な規律違反」で調査されることが決まった。孫氏は重慶市のトップにあたる党委員会書記を務めており、党大会で政治局常務委員入りの可能性も取り沙汰されていたが、事実上の失脚だ。
習政権になってから、現職の政治局員が摘発されるのは初のケースだ。さらに、孫氏の後任には習主席の側近である陳敏爾氏が起用されたことも波紋を呼んだ。

汚職摘発名目の粛清に辣腕を振るった王岐山氏が不文律の「定年」超え留任が注目されていましたが、無理をしないで終わるようです。
1週間ほど前から無理しない観測が出ていましたが、今日23日の日経新聞にも(公式に?)この報道が出ています。
1説には秘密を握りすぎ・力を持ちすぎたので敬遠された・・やりすぎたので政敵の怨嗟をかわす狙いその他の憶測がネット上?言われていますが、真相は不明です。
今回の党大会の動きでは、権力闘争の第一段階が終わり自分の次を窺うものの存在を許さない段階に入ったように見えます。
党大会は25日に終わる予定ですし経過は新聞で次々と出ていますが、習近平政権の終身化方向(先ずは2期10年定年のルールを変える方向?)へ向けて動いているようです。
スターリン粛清もトロツキーなど公然たる政敵の粛清が終わると次の標的として内部粛清に移って行った例を参考にすれば分かり良いでしょうか?
図式的にいえば半径5キロの外周人物粛清から順次半径4キロ〜3キロ〜2〜1と順次・・内周に入って行き最後には半径数メートルの最側近が次々と失脚する時期が続いた例・スターリンが倒れても誰も手を出さず見守っていただけ・と言われるほど、恐るべき極限の不信関係になっていた例をなぞっていくのを防ぎたいでしょう。
皇帝制にすれば終身どころか子孫まで安泰ですが、共産主義主張と矛盾し王朝制復活は無理なのでロシアの真似をして選挙による大統領制に変更するチャンスを狙っているとも言われます。
大統領制にすれば突然の側近クーデターでは政権を取れないので、少なくとも任期中は安泰・・猜疑心にかられて夜も寝られないという苦しみから逃れられます。
しかも世界中で民選の儀式を経ていない・経ることすらできない国は、今や北朝鮮と中国しかないという実態に内心自尊心がいたく傷ついているはずですが、この屈辱感から解放されます。

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