近代法理の変容13・破綻4(日本固有の法理5)

原因究明・再発防止のためにどうするかのために調査は必要ですが、責任追及目的で行うのとは、方向性が違っていて建設的ではありません。
責任追及されるための調査では自発的反省意見が出難いのすが、そうでなければ「あのときこうしておけば良かったかなあ」と言う自発的反省が一杯出てきます。
日本人が韓国に植民地支配がどうのと言われると多くの日本人としては、西洋の植民地支配のような過酷なことをしないで本土並み以上にいろんなことして来たつもりでも、「援助される方は辛いこともあったかもな?」と反省していたのですが、反省すれば、それを良いことに突っ込んで来る・・際限なく次々と非難され続けられると、「いい加減にしてくれ」と言いたくなる人が増えてきました。
対中関係も同様で大戦中迷惑をかけたことは事実ですから、それなり反省していましたが、ここまで来ると限界線突破・・こう言う人達には、誠実に対応するだけ損となってきました。
中韓共に、日本的な信頼社会とは違う・・どこまで行っても「建設的な関係を築くのは無理な相手だ」と言う意見を持つ人が日本人に増えて来たようです。
日本の相互信頼社会・・絶えざる進展の歴史は、日本的な古来からの生き方の建設的な成果を物語っています。
日本の社会発展の歴史をみると、ある人が大儲けしようとして技術革新が起きた例は滅多になく、何らかの大きな苦しみや悲劇があった場合、この克服のために薬品や工作物の工夫をして少しでも多くの人にこの恩恵が広く行き渡り、助かるように頑張るのが普通です。
成果が出ると無償でこの普及に努力する・・元々諸外国の発明発見者と心がけが違うので、儲けを独り占めするような人は皆無に近いのです。
最新知見で言えば「TRON」の開発者が無償で世界公開しているのはその一例ですし、最新医療技術開発者も世界中を飛び回って新技術の無償伝播に熱心です。
日本以外の国では何かの製品開発等に成功するとブランド化して実際の価値の何十倍もの高値を吹っかけるのが普通ですが、日本人は成功すると日本中への普及に努力し、最近では後進国に無償どころか私財の持ち出しで出掛けて行って、その土地の人が安く利用出来るように身を粉にしてして努力するのが今でも普通に行なわれています。
この基礎的な行動意識の違い・・災害をみんなの不幸として捉えて悲しみ(誰か一人に責任を押し付けたり儲けを独り占めにしない社会)も共有する絆・重視社会で縄文の昔からやってきたのが、社会のの絶えざる発展と安定の基礎です。
西洋法理の意思責任主義に戻りますと、事件を起こしたのが、意思能力のない狂人・精神障害者だからと言って放置する意思主義の法理では社会の維持が出来ません。
西洋近代の意思責任・個人責任主義による矛盾解決のために、仕方なしに漸く心神喪失者等医療観察法と言うものが制定されたことになります。
この法律によって、重大事件を引き起こしても、心神喪失等によって不起訴や無罪になった場合、刑事事件としての釈放と同時に一定の手続を経て強制的に医療施設で医療を与えることが出来るようになりました。
個人責任主義では実際に解決出来ない・・古来からの親兄妹の慣習法的責任感でこれまで何とかなっていたのですが、表向き個人責任主義と言いながら実際には親や親族に任せていた矛盾が出て来た・・社会実態があります。
親族の助け合いに頼っていた介護の社会化・母一人の育児の社会化と同じ問題です。
私の担当した精神障害者事件経験の多くの場合、親が高齢化して来て精神病の息子等を制禦し切れなくなって来た・精神病院への通院をいやがるなどで放置状態になって多くの事件が起きて来ている例が多いのです。
高齢化社会の弊害かと言うとそうではありません。
いつかは親が高齢化して障碍者の面倒(病院へ無理に連れて行くなどの事実上の強制力を含めた)を見切れなくなる時点が、従来の50台から80台に先送りされて来た違いがあっても、いつかは面倒見切れなくなる点は今も昔も同じですが、核家族化進行が大まかな社会連帯を崩して来たことによります。
社会連帯で個人責任を誤摩化して来た矛盾が出て来たのです。
法律家が近代法をなまじ学んでいることを振りかざし、意思責任がない以上は放置しろと言うものですから、(今まで親兄妹がその矛盾を補充して来たのですが・・)却って社会の必要性に対応出来ない事態が起きていたのです。
学者や秀才とは、過去の事例蓄積を学ぶのに秀でた人のことですから、(学者=学ぶ人)自分が学んだ2世紀も前には先進的であり、妥当したルールにこだわって、目の前の時代の流れを見ない傾向があって、時代遅れになる傾向があります。
10/15/03「教育改革18・・・・・多様な人材を育てる教育システム1」06/27/03「学者と実務家 6(教育改革の方向)」等々で、秀才が時代変革に対応する能力がないのに偉そうに意見を言うので、国を滅ぼしてしまうと言う意見を何回も書いてきました。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC