思想表現の自由と限界(外患)

報道や思想表現の自由は、自国や自民族を窮地に陥れるために重視されているのではなく、トキの政権や時流と意見が違ってもいろんな意見の存在がその民族のためになるから、許容すべきだと言うものです。
製品苦情は、その多くが品質向上ヒントを含んでいることが多いことからも分るように、大事にする必要があるように、政治批判も一見現政権妨害のように見えても何かの役に立つことが多いことによります。
公害反対運動が、結果的に公害排出削減に寄与したのもその1種です。
製品に問題がないのに言いがかりをつけてお金を脅し取ろうとしている人や企業イメージダウンを目的にして事実に基づかない誹謗中傷している人の意見は毒にこそなれ、メリットはありません。
事実に基づかない企業イメージダウン目的の場合は、場合によっては名誉毀損や業務妨害罪等の取締対象であって(自由権の濫用)言論の自由の範囲を超えています。
韓国や中国人になったつもりで(中韓に対する忠誠心を持って)飽くなき日本批判や沖縄の分離独立運動をけしかけて応援している場合・・・国家・民族に対する攻撃被害の場合は、背任や業務妨害にも名誉毀損にもなりません。
国家・民族批判は、公害問題同様に将来何かの役に立つこともあると言うことで、その言論が誰の利益を目的にしているかの判別が難しいこともあって、私人相手の攻撃に比べて許容性の幅が広くあるべしと言うことでしょう。
意見の合わない相手を非国民とレッテル貼りすれば、有用な言論まで全て封殺されてしまうリスクがありますから、いわゆる利敵行為を泳がせて敵の動きを先読みすることに使う程度の度量が必要でしょう。
中韓やアメリカ等の代弁者だとすれば、そのやり方や、主張を見れば、中韓や米国の意図を推測する手がかりになるメリットがあるので、泳がせておけば、将来に向けた準備を出来る良い面があります。
ちなみに、利敵行為だから外患罪適用と一足飛びの主張しているネット議論も見かけますが、戦後だけではなく、戦前においても外患罪はこのような漠然とした行為を対象にしていません。
戦前の有名なゾルゲ事件でも外患罪の適用が見送られたように、(ソ連とは不可侵条約を結んでいたので、敵国とは言えなかったでしょう)我が国では、適用が難し過ぎて実際の適用事例が1件もありません。
共謀罪が成立しても、実際には簡単に立件出来ないと書いてきましたが、司法権の独立が戦前から機能しているので、証拠上の判断で立件すら出来なかったのです。
自国民を窮地に陥れるような行動は、そのことを理由に立件出来ないからと言って、検挙出来ないだろう=違法でさえなければ何を言ってもやっても良いと言う発想は、日常生活を見れば分りますが、マトモな国民や組織のやることではありません。
ひとの陰口をきいていても、犯罪とはなりませんが、信頼されない人には違いないでしょう。
外患罪になるかどうかではなく「外患」行為は良くないことです。
ところで日本を貶める行為をすれば外患罪かのように誤解している人が多いようですので、この際、条文推移を紹介しておきましょう。
以下のように外患罪は、滅多に成立しない・成立出来ない犯罪です。
例えば、明からさまに中国のために自分が行動していると明言している人がいても、外患罪にはなりません。
戦前の条文でも「敵国」の認定が必須ですが、宣戦布告していない状態では、政府が中国を「敵国」と明言することは不可能でしょうから「利敵罪」にはあたりません。
自分は韓国のためによかれと思ってやって慰安婦報道していると明言する政治評論家がいても(証拠があっても)、政府は韓国を敵国と明言することは不可能ですから事件に出来ません。
勿論「政治家や官僚がアメリカの手先です」と明言しても、まさかメリカが敵国だとは政府は言えないでしょう。
戦後の条文になると武力行使関係に関与しない限り成立しないのですから、なおさら適用の余地がありません。
以下ウイキペデイアによります。(括弧書きの戦後・・現行法と言う文字は私の書き込みです)

刑法新旧条文の比較は以下の通り。
旧条文
第81条[外患誘致] 外國ニ通謀シテ帝國ニ對シ戰端ヲ開カシメ又ハ敵國ニ與シテ帝國ニ抗敵シタル者ハ死刑ニ處(処)ス
第82条[外患援助] 要塞、陣營、軍隊、艦船其他軍用ニ供スル場所又ハ建造物ヲ敵國ニ交附シタル者ハ死刑ニ處ス
兵器、彈藥其他軍用ニ供スル物ヲ敵國ニ交附シタル者ハ死刑又ハ無期懲役ニ處ス
第83条[通謀利敵] 敵國ヲ利スル爲、要塞、陣營、艦船、兵器、彈藥、汽車、電車、鐵道、電線其他軍用ニ供スル場所又ハ物ヲ損壊シ若クハ使用スルコト能ハサルニ至ラシメタル者ハ死刑又ハ無期懲役ニ處ス
第84条[同前] 帝國ノ軍用ニ供セサル兵器、彈藥其他直接ニ戰闘ノ用ニ供ス可キ物ヲ敵國ニ交附シタル者ハ無期又ハ三年以上ノ懲役ニ處ス
第85条[同前] 敵國ノ爲メニ間諜ヲ爲シ又ハ敵國ノ間諜ヲ幇助シタル者ハ死刑又ハ無期若クハ五年以上ノ懲役ニ處ス
軍事上ノ機密ヲ敵國ニ漏泄シタル者亦同シ
第86条[同前] 前五條ニ記載シタル以外ノ方法ヲ以テ敵國ニ軍事上ノ利益ヲ與ヘ又ハ帝國ノ軍事上ノ利益ヲ害シタル者ハ二年以上ノ有期懲役ニ處ス
第87条[未遂] 第八十一条及び第八十二条の罪の未遂は、罰する。
第88条[外患予備・陰謀] 第八十一條乃至八十六條ニ記載シタル罪ノ豫備又ハ陰謀ヲ爲シタル者ハ一年以上十年以下ノ懲役ニ處ス
第89条[戰時同盟國ニ対スル行爲] 本章ノ規定ハ戰時同盟國ニ對スル行爲ニ亦之ヲ適用ス

新条文(戦後・・現行法です)
第81条[外患誘致] 外国と通謀して日本国に対し武力を行使させた者は、死刑に処する。
第82条[外患援助] 日本国に対して外国から武力の行使があったときに、これに加担して、その軍務に服し、その他これに軍事上の利益を与えた者は、死刑又は無期若しくは二年以上の懲役に処する。
第83条乃至第86条 削除
第87条[未遂] 第八十一条及び第八十二条の罪の未遂は、罰する。
第88条[外患予備・陰謀] 第八十一条又は第八十二条の罪の予備又は陰謀をした者は、一年以上十年以下の懲役に処する。
第89条 削除

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