国民主権と護憲論の矛盾4

どんなに国民に不都合な憲法でも占領軍の都合で作った武装解除の憲法支配に耐えるべきだ・・内容について是非の議論をせずに現憲法を守れと言う護憲論は、自分に100%都合の良いように作ったアメリカにとって都合の良いものです。
左翼文化人やマスコミの主張は、本来冷戦相手の中ソを有利にするための議論だと分っていても、アメリカもその宣伝に乗るしかない状態・・自縄自縛が続いてきました。
冷戦構造に日本を組み込むにはホンの少し不都合でしたが、当時アメリカは強大でしたので観念的協力体制さえ作れれば良かったからでしょう。
国内反対勢力が大きくても一応自衛隊を発足させて日米安保条約を締結したし、反対論を利用してこの勢力を温存させておけば、将来アメリカ離れが起きたときにアメリカに抵抗するほどの自主的軍備をさせないためのタガ・ブレーキ役としては有効でした。
このために一見アメリカ批判をしているかのように見える左翼育成策が変更されないまま、戦後教育界支配を通じてずっとやってきました。
アメリカはアフガンやシリアその他の例で分るように、いつも国内反対勢力に餌を撒き国内分裂を誘うのがイギリス植民地政策以来のアングロアメリカンの伝統的政策です。
ソ連侵攻に対抗する勢力への支援がアルカイダを育て、シリアの反政府勢力支援が今の過激なイスラム国に育つなど、自分のまいた種の成長によって、今になって苦しんでいます。
民主国家を標榜するアメリカは日本に憲法を強制して作らせたとは言えないので、憲法は国民が主体的に作ったと表向き主張するしかない立場です。
主体的に憲法を作った以上は、憲法改正権も一体化しているのが法の原理です。

憲法
前文
「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」

第九章 改正
第九十六条  この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。
○2  憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

国民が主体的に作ったと言う以上は、主体的に変えられると書くしかないので、上記のとおり改正手続きも憲法に書いてあります。
アメリカとしては実際には事実上の占領継続目指して憲法制定したので、日本の自主性によるかのように作らせた憲法を、日本人の意向で自由に改正させたくないのが本音ですから、事実上改正手続き法制定の機運そのものを背後で牽制していました。
自主憲法制定論の動き自体が起きればその強力な主張者をアメリカに対する反逆行為・・戦後秩序反抗勢力と見なせば容赦なく、汚職等の名目で政界から抹殺をしてきました。
強力なスパイ網を利用してアメリカは政治家の弱点をつかんでいましたので、(つかむだけではなく将来の有力者になりそうな人物には)積極的に汚職の水を向けておいて汚職させておいて、いうことを聞かないとなればそれをばらすぞ!と脅すやり方です。
脅しの利かない人物にはモロにあることないことの情報をマスコミに流すなどして、政界から抹殺する方法をやって来ました。慰安婦問題のでっち上げ報道同様にマスコミに大々的に流されると、個人で報道の虚偽性と戦うことは殆ど不可能な上に、仮に何十年後に虚偽を証明してもその間に政治生命が絶たれてしまいます。
このようにしてアメリカの国益に反する人物が出るとマスコミによる集中砲火を浴びさせて、次々とヤミに葬ることを繰り返してきました。
マスコミは日本独立後のアメリカの日本支配の手先になって来たのです。

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