マスコミの信用失墜14と特定秘密保護法1

政府保有情報は国民が健全な判断するために必要な限度で、出来るだけ国民に開示すべきですが、国民は何でも知る権利がある→全て秘密にするなとは単純に言えません。
モノゴトには開示すべき分野と開示してはならない分野があります。
軍事機密や企業秘密・捜査情報や試験問題等々を、時間軸を含めて無制限に全て開示すべきだという人は誰もいないでしょう。
「主権者たる国民に対してどんなことでも秘密にするのは許せない」という意見は一見もっともらしいですが、国民全てが知る権利があると言うことは国内報道自由ということですから、自動的に海外勢力も知ることが出来ることになります。
全て政治というのはその結果利益を受ける勢力の応援が背後にあることになりますが、彼らはどう言う利益集団を代弁して運動しているのでしょうか?
企業の保有者は株主の集合体ですが、競争相手の企業の人でも株主になりさえすれば企業秘密(・・トヨタ等の最高技術)を何でも知る権利があるとは言わないでしょう。
特定秘密保護法に反対する組織の声明などをネットで見ていると、
「国民には知る権利がある」・・「主権者たる国民に秘密にすることは許せない」
という大上段に振りかぶった声明が殆どです。
こんな法律が施行されると日本は民主主義国家ではなくなり、戦前の暗黒社会に逆戻りする・軍国主義が復活するなどという論調が多いようです。
靖国参拝=日本軍国主義・侵略国家復活という中韓政府の主張に似ていて、論理脈絡・因果関係がはっきりしなくとも・・マスコミ支配して大規模宣伝さえすれば世論を制することが出来るみたいなやり方です。
マスコミの大量宣伝による根拠のない誘導がおかしいと問題になりかけている現在日本で、こんなやり方を繰り返していると中韓主張の焼き直し・・中韓と同じじゃない?みたいな印象を受ける人が多かったのではないでしょうか?
マスコミは中韓の息がかかっている・・事実上乗っ取られているという主張がネトウヨで多いのですが、特定秘密保護法に対する反応の仕方・論法を見ると、中韓政府の宣伝の仕方・論理建てに良く似ている印象を受けた人が多いと思われます。
現在社会では、ちょっと身近に考えてもプライバシーや試験情報・捜査情報・入札等個別データ・原子力施設・ロケット等先端技術・兵器情報等々本質的に特定関係者以外には秘密にすべき情報が多種多様にあります。
各種声明文のように「国民だから何でも知る権利がある」と単純に言えるものではありません。
左翼あるいは有識者の声明や立論を(弁護士会の声明を含めて)読んでいると「知る権利」を守れという大雑把なところでそれ以上のきめ細かな議論が見えません
私が弁護士なったころの共産党の主張で盛んだった自衛隊廃止論で「戦車1両・戦闘機1機の費用でこれだけの福祉予算が組める」という単純化した説明が多かったものですが、今回先祖帰りでもしたのかと疑うような単純主張が中心のようです。
細かいことを書いても庶民には分らないだろう式な発想・戦略もあるのでしょうか・・・そもそも声明など短い文章に細かな議論を書いていられないということもあるのでしょう。
しかし、国民レベルが高くて庶民に至るまで複雑思考に慣れている高度な現在日本社会では、決まりきった型通りの声明ばかりの繰り返しがいくらあっても、多くの国民は「何を言っているの!」としらけた印象を持ってしまうのではないでしょうか?
この辺は弁護士会に属する一人として、(この種運動に関与していませんが)弁護士会が声明を出す内容について自戒の意見です。
弁護士会で特別秘密保護法反対に頑張っている関係者から見れば、私のレベルが低くて(もう歳だし・・)理解が充分出来ていないだけとなるのかも知れません。
新年のある会合のときに関係者に「知る権利という程度では国民が納得しないよ!」と言っておいたのですが、「もっといろいろ言ってるんですが、伝わらないんです・・・」という感じでした。

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