北朝鮮問題と世界平和(観念論の限界)

いわば中国は北朝鮮の暴発暴言を煽って?小出しの協力を取引材料に使い自国の立場を強めて行くという見え透いた戦略です。
この旨味を知ってか?ロシアが北朝鮮への援助?介入?を始めました。
https://jp.reuters.com/article/north-korea-russia-idJPKBN1CB0YF

2017年10月8日 / 10:10 / 3ヶ月前
焦点:ロシアの危険な「綱渡り」、北朝鮮支援をひそかに加速
モスクワ 4日 ロイター] – ロシアは、金正恩・朝鮮労働党委員長を失脚させようとする米国主導の試みを阻止すべく、ひそかに北朝鮮に対する経済支援を加速させている。金正恩氏が失脚すれば、ロシアの地域的影響力の衰退と、東部国境沿いへの米軍配備を招くことになるからだ。

制裁知り抜けが困るならば、「ロシアの言い分も聞いてくれ」(対ロシア政策でなんらかの見返りを!対露経済制裁緩和)と言わんかのような動き方ですが、中国がうまい事しているのを見て、ここでロシアも一枚噛んでおけば何らかの取引材料になると読んだのでしょうか。
アメリカの対中圧力緩和利用に北朝鮮問題を取引材料にして上手いことをしようとしたようですが、トランプ氏はこれを嫌ってこの夏頃から一転して対中攻撃に転じたようにも見えます。
このまま(オバマ政権のようにだらだら譲歩を繰り返していると)将来米国の影響力が低下し南シナ海に中国がゴリ押しで作ってしまった海空軍基地を不沈空母化してアンチョコに航行妨害できるようになる日が来るのが目に見えています。
日本に理不尽な要求をつきつけてから当初は海賊行為?等(そのうち中国領海という名目での堂々たる航行妨害)での揺さぶりをかけることが想定されます。
そうなってくると今後、台湾沖や南シナ海等公海での航路の安全確保行為が、自衛権行使の範囲かどうかの議論が必要になるでしょう。
これが日本の死活問題・航路安全確保が自衛行為となれば、日本に協力している国(例えば南シナ海でのフィリッピン)の巡視艇などと共同で海賊取り締まり中に日本自衛隊がフィリッピンの巡視艇を応援することも自衛行為となります。
このように自衛の範囲がどうあるべきかは、「集団自衛権が許されるか」の抽象論ではなく、事態の変化・・対象や海域によって日々変わっていくべき具体的議論であるべきです。
ところで、理論上日本向け商品運搬の安全確保が自衛に当たるとしても中国と戦争になる危険を犯してまで、実力行使すべきかはまた別の政治判断が必須です。
具体的実情に合わせてどの程度まで反応すべきかの限界を考えるべき分野で、原理原則論の研究が専門領域であるはずの憲法学者が、具体的事例に当てはめて政治判断する訓練を受けている実務家よりも、有益な意見を言えるとは思えません・・。
人命尊重とか動物愛護、人はどう生きるべきか、平和は大切だという抽象論ではなく、具体的事象でどこまで規制するのが正義かのギリギリの限界を探る時代になると、日々研鑽している実務家に叶いません。
キリスト教の教えでは
「右の頬を打たれたら、左の頬をも差し出しなさい」マタイ福音書5:39
と言われる部分もあるようですが、精神論・心の持ちようとしては意味があり立派なことですが、現実生活・・社会のあり方の議論としては何の役にも立ちません。
キリスト教国でも、殺人や暴力行為や窃盗を取り締まる法律のない国はないでしょうし、これを不要という実務家はいないでしょう。
ところで、何気なくこのような思いつき意見を書いた後で事務所に送られて来ていた安念中央大学教授のキリスト教と平和に関する論考があったので読んでみました。
(中央ロージャーナル17年12月20日号)
私にはキリスト教に対する基礎知識がないので難しい内容でしたが、上記のような意見もあれば、敵は容赦なく皆殺しにすべしという部分(・・いわゆる正戦論の起源?)もあるなど矛盾・混沌(これが初期宗教の発展の活力になった)としたものであったことが紹介されています。
コンスタンチヌスの時にローマ国教になって以来、体制内宗教になった以上「国家組織体制維持のための軍や刑罰が不要」とは言えないので、兵士は敵を傷つけ殺すべき職業であり、この存在を否定するのは自己矛盾になっていた・キリスト教と平和主義の両立は無理があるというのが私の読後感(誤解かな?)です。
例えば貧しい人を救済すべきとしても、その精神論だけでは生活保護基準をどのように設定するかの具体論に役立ちません。
韓国文政権では、実務能力がないので、庶民受けのため?賃金を引き上げれば国民は豊かになるという理念先行で最低賃金引き上げ強制が失業を増加させている矛盾が報道されています。
https://ameblo.jp/katsumatahisayoshi/day-20180118.html

韓国、「最低賃金」大幅引上げが生む失業者増加「文氏どうする」
今年から始まる最低賃金の大幅引き上げに見られる。一挙に16%以上の引き上げで、2020年には時給1000円にする計画だ。この時点で、日本の最賃を上回る。政府の務めは、賃金を引上げてより豊かな生活できる環境整備である。だが、生産性向上が伴わない最賃引上は、政府の狙いとは逆に失業者を増やすリスクが大きい。
この「最賃引上げ」にからむ前倒し失業が、昨年12月に始まった。多くの零細業者はこれまで、最賃が施行されたらやむを得ず従業員を解雇すると苦しい胸の内を明かしてきた。失業者の増加は、これまでの事前予測を的中させた形である。
(2)「雇用指標を見ると、昨年の雇用状況はほぼすべての分野で悪化した。まず、青年失業者(15~29歳)が青年10人に1人に増加した。あきらめて就職活動をしていなかったり、アルバイトをしながらより良い仕事を探したりしているケースも含めた体感青年失業率は22.7%に達した。経済専門家らは『大企業が採用に積極的に乗り出すよう誘導して良質な雇用を新たに生み出す試みもせず、公務員の採用ばかり増やしている現在の雇用政策では、青年失業の構造的な解決は難しい』と話している」(『韓国経済新聞』(1月11日付社説)
・・・アルバイトなどしながら就職活動に備える人々の失業率である。これが、なんと22.7%にも達している。この「失業地獄」を見ると、日本は「就職天国」に見えるはずだ。若者の自民党支持率が、約50%にもなっている。この事実は、文政権にとっても参考になるはずだ。企業活性化が失業率を減らす近道である。

友好国を増やしたいといえば友好国が増えるものでないのと同様に、相手が侵略意図を持っているときに、「私は平和を愛する」と言ってなんの戸締りもしなければ、スキを見せて侵略を誘発するだけのことです。
理念だけではどうにもならない・・・賃金水準アップの理念実現には相応の複雑な手だて・・生産性アップ戦略とセットでないとどうにもならないのが現実社会です。
「理念通りにいかないのは悪徳商人やずるい政治家がはびこっているからである」という、単細胞・短絡的理解が戦前青年将校の決起理由でしたし、短絡的スローガン・「君側の奸を切れ」とかテロに走る単細胞的対応を煽れば、目先のストレス解消になるのでしょう。
右翼と左翼は同根と一般に言われているのは、この程度の短絡反応向きレベルという点で共通だからでしょうか?
昨年のパク政権打倒のロウソクデモも、この種のもので、経済がうまくいかない原因を、(本来関係のない?)パク大統領の友人問題に無理に結びつけて鬱憤ばらしをした印象です。
江戸時代に入って、原理論しか知らない宗教家の意見では間に合わなくなってきた・・宗教界の役割がなくなったことを、仏教から儒教〜実務役人への流れへとして連載したことがあります。
「生類憐れみの令」でいえば、理念は今でも正しいのですが、それを手当てなしに強行すると全般で矛盾が起きて社会が混乱しました。
最近の野良猫対策を例に書きますと、生き物の生命も尊重すべき(目の敵にするのはかわいそう)ですが、際限なく子を産む・野良猫が増えるのも困ります。

自衛力7(応援団3)

1昨夜(金曜夜)は千葉県弁護士会の同期会の会合(同期といっても最年長者92歳から68〜9歳までの集まりです)で帰宅が遅くなったのと昨日は朝から東博へ大法恩寺所蔵の快慶展を見に行ったので、1昨日までの関心とは無関係のかなり前に書き溜めていた原稿の自動掲載になりました。
ついでに少し感想を書いておくと1年ほど前に運慶展を見に行った感動の余韻でその後継者の作品を見ておこうと行ったのですが、(おまけだったのかな?ついでの展示されていた)定慶の6観音は、光背の見事さ精巧さに驚き、漆などの塗りのない木肌の美しさにも驚きました。
解説本を買って帰り読んで見ると榧ノ木とありますが、へぼ碁をしていた若い頃立派な碁盤に憧れていたので碁盤に使う榧のことかな?と親しみがたかまりました。
ちなみにウイキペデイアで調べて見ると、以下の通りです。
材木は淡黄色で光沢があり緻密で虫除けの芳香を放つ。心材と辺材の区別は不明瞭で、年輪は幅が狭く波状を呈する。材質はやや重硬で弾力があり、耐朽性・保存性が高く比較的加工しやすい。樹脂が多く、加工品は年とともに風合いが美しく変化する。
なるほど何の彩色(保護)も無く無垢のままで800年も経っているのに、虫一つ食っていない光沢のある観音様の美しさが今に残っている所以です。
碁盤にすると石を打ったときの独特の弾力性が気持ち良いのですが、観音様の肌が弾力性があるように見える原因も理解できました。
東博について書いたついでに私事ですが、今年の真夏には、縄文展に感動して二回も見に行きましたが、二回目(後期)に行った時には、司法試験受験時の旧友(裁判官→今弁護士)に東博で遭遇し、感激しました。
彼(といっても私より2〜3歳年長ですが・・)とは、46〜7年前にゴヤの「着衣のマハ」と「裸のマハ」の展覧会を私の妻と3人で上野の西洋美術館へ一緒に見に行き、当時は体力もあったので東博や寛永寺の方へも回りましたが、当時は今と違いほとんど人がいなくて大きな博物館内外はがラーンとしていた記憶です。
同業ですから、時々裁判所廊下等で行き違うことがありましたが、この10年近くあっていなかったことと思いがけず40年以上も前と同じ場所で再び妻と3人で出会ったのには感激しました。
西洋博物館の記録を見ると一緒に行ったのは昭和46年秋のようです。

ゴヤ展
1971(昭和46)年11月16日- 1972(昭和47)年1月23日
会場:
国立西洋美術館

18年2月3日「自衛力6(応援団2)」の続き自衛力に戻します。
日本1国の防衛力を高めても今後の国際紛争は、テロの利用あるいは海賊などの非正規軍による妨害が多くなるので、日本が世界1の強国になっても自力で世界中の安全を守るのは不可能です。
(中国はすでに偽装漁船を動員しての領海侵犯やサンゴの乱獲による破壊などをくりかえしていますし、いざとなれば難民と称して巨大な浮浪者の吐き出しに使う戦略も可能です)
この流れ・・・サイバーテロに象徴されるテロ等の非正規攻撃が主流になったのは、一つには大国同士が相互に核兵器大量保有国になったことから正規軍の戦いが不可能になったことと、経済的にアメリカが世界の1強になった反動があったと思われます。
通常兵器による正規軍の反抗だけならば、世界の隅々まで圧倒的兵力を派遣して(イラク戦争のように)すぐに撃滅できるでしょうが、テロ組織相手になると正規軍の長距離砲や核兵器・戦闘機、爆撃機の威力だけはどうにもなりません。
テロが跋扈するようになると、現地警察の取り締まり強化に頼るしかないので、現地政府・住民との協力が必須・・アメリカが自分の力だけでは(世界の協力がないと)世界の警察官役を果たせなくなってきた主原因です。
アフリカで日揮の工事現場が襲撃されたことがありました。
http://toyokeizai.net/articles/-/12676

2013年01月25日
アルジェリアのガスプラント施設で起きたイスラム武装勢力による襲撃事件は、日本人10名を含む多数の死者が出る最悪の結末を迎えた。日本人の死亡者は、いずれもプラントエンジニアリング大手、日揮の社員ら同社関係者。
南東部イナメナスのガス処理施設と近くにある専用宿舎が襲撃され、プラント施設工事に携わっていた日揮社員ら多くの犠牲者が出た。

こういう襲撃行為が(もしも中国がバックになって)日本標的にしてあちこちで行われるリスクが高まってくると、日本一国だけでは防衛力を如何に高めても無理があるのは自明ですから・・安全維持に協力してくれる友好国のネットワークを増やしていくことが肝要です。
逆に中国や韓国による慰安婦や南京事件の誇大宣伝に同調して「日本悪者説」が世界に広まり中国政府の反日運動に対する現地同調者が増えると対日テロを起こし易くなるので大変なことになります。
短期的には中国のシャープパワーも威力を発揮するでしょうが、長期的には文化力・ソフトパワーの戦争になります。
この原稿は1月ころに書いていたものですが、ついにトランプ氏の歯に着せぬ直接的攻撃の対象になってきて国際孤立が始まっていることは(10月4日の副大統領による対中宣戦布告的演説を紹介したばかりです)周知の通りです。
どんなにうまく運営されている社会でも数%程度の不満分子がいて、これを0%まで持っていくのは不可能です。
ところが電子機器の発達によって、現地人口の大方が日本贔屓の社会であってもわずか0、何%の不満分子・というよりも金次第で動く人間がいて、彼らをお金やその他誘惑等で炊きつけるだけでも相当な戦力になる時代です。
なんら訓練のない普通の子供でも一たび銃乱射事件を起こせば大の大人があっという間に大勢殺されてしまう時代になりました。
都市化・高度化するにつれてちょっとした自然災害にも弱くなるように、・・最近ではちょっとした需給バランスの間違いで北海道中大停電・・でブラックアウトになったばかりです。
まして、金の力でプロを使えば少人数で大規模テロも可能です。
自衛→集団行動の必要性に戻ります。
生命体で見れば、馬やシカ、アヒルその他多くの弱い動物、鳥類、魚類はこのために群れを作り集団行動しています。
生物である限り種の保存本能から見て集団防御が必要なことは論を俟ちませんが、これと国家や民族の集団自衛行動とどう違うのでしょうか?
自衛権を認めながら、相互協力を認めない意見があるとしたら、あらゆる生き物に必須の集団自衛行動をどのように説明するのでしょうか?
「それは認めるが我が国では憲法で禁止している以上は、憲法違反だから反対している」と言うならば、そういう意見の人が憲法改正になぜ反対するのか意味不明です。
「生き物はすべからく生命の危機から身を守る権利がある」とした場合、その方法として仲間に助けを求める権利も当然あるべきでしょう。
実際に西欧諸国はNATOで相互防衛をしていますし、世界中でこれが行われています。
国連でもこれを認めているのです。
相互防衛条約があると侵略国家になると言う定義を聞いたことがありません。
ところで仮にこれが必須とした場合でも、いきなり日本の都合だけで友好関係が成立するものではありません。
このために日頃からの友好国維持拡大努力が日本にとっては最重要課題です。
中国による航行(物流)妨害リスクに戻します。
現在(今春の原稿です)の北朝鮮問題解決のために、米国の中国に対する協力要請に対して中国は表向き自国ができることは何もないような対応をしながら、アメリカの対応によっては協力しないこともないかのようなそぶりで(南シナ海や通商問題で)アメリカの譲歩を引きだす戦略と同じです。

フェイクニュースと思想の自由市場論6

中国に世界支配されたくない日本人としては、今のところアメリカによる中国叩きの激化を喝采している雰囲気が多いようですが、これまで世界支配者であったアメリカ圧倒的優位を前提にした「思想の自由市場論」にのっかって、情報操作してきたのを中国もロシアも同じことをアメリカにしたことを怒っていることになります。
情報操作・・フェイク報道の破綻を見てきましたが、17年12月19日頃から23日頃まで紹介した「法曹実務にとっての近代立憲主義」という本でも思想自由市場論とヘイトスピーチ論の関係が論じられています。
同書59pからの論文では、思想の自由市場論を守るためにか?安易なヘイトスピーチ禁止論を取らない立場を堅持していますが・・。
2018年1月にトランプ氏がCNNなどを対象にしたフェイクニュース大賞を発表したことをFebruary 13, 2018,「表現の自由と思想の自由市場論2」 に引用紹介しましたが、トランプ政権と大手メデイアとのフェイク発信に対する非難報道が加速して来ました。
これに対する日本メデイアの報道は政権による報道圧迫として批判一色の印象ですが、以下の記述もあります。
https://news.infoseek.co.jp/article/japanindepth_38145/

日本にもフェイクニュース大賞を
Japan In-depth / 2018年1月22日 18時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
日本の主要新聞はフェイクニュース自体認めず、トランプ氏によるメディアの抑圧であるかのように扱っている。
・メディアの正誤のチェックは重要。日本でもフェイクニュース大賞を設けたらどうか。
主要メディアの報道や論評のなかで、最もひどい虚偽や誤断、さらには捏造とみなせる実例を指摘して、順位をつけ、「賞」の対象にするというこの行為は一見、ふざけた冗談のようにみえても、ちょっと考えると、実はきわめて重要な意味があることがわかる。
日ごろアメリカでも日本でも、新聞やテレビ、雑誌などニュースメディアが強大な影響力を発揮するなかで、虚報や誤報は明らかに多数、存在する。だがその誤りを制度的に認定し、訂正するメカニズムがないからだ。つまり報道される側の一般国民や組織、団体にとってメディアのミスにきちんと反撃する方法が訴訟という極端な方法以外にはないのである。メディア側のたれ流しともいえるのだ。
こんな背景のなかでは、報道され、論評される側がメディアのミスを定期的、制度的に正そうとすることは民主主義の基本ルールにも合致するだろう。それでなくてもメディアのおごりが目につく今日このごろである。
主要メディアの側はこのフェイクニュース大賞に対して、「トランプ大統領が自分を批判するメディアに対してただ攻撃しているだけだ」と、なお傲慢な反応をみせる。だが現実には同大統領側が指摘した報道や評論類はみなまちがっていたことが証明されているのだ。その点に触れず、ただ批判すること自体がけしからんと開き直るメディア側の態度はまさに傲慢と評するほかない。

なかなかの卓見です。
今回表面化しているトランプとクリントン候補のどちらがより多くフェイクニュースに関与したかで終わらず、中期的にはネットに限らず放送全般へのフェイク・変更の有無→その後の結果との合致率のチェック報道・チェック論・健全な思想競争の土俵作りが始まると見た方がいいでしょう。
アメリカ(日本のメデイア・思想界も同様)は自分が世界の言論市場を完全支配している時には「思想の自由市場に委ねるべき」などといってきたのですが、アラブがアルジャジーラの放送開始で自己発信力を入手し一方でネット発信が普及して発信者が草の根化してくるとスパイ等を利用したメデイア支配に無理が出てきました。
アメリカは自分のコントロールできている間は、「思想の自由市場を守れ」といってきたのに、アメリカのいうことを聞かなくなると取り締まりの必要を言い出したイメージですから自分勝手な印象です。
アルジャジーラに対するコントロールが効かないことに対するアメリカとその応援を受けるサウジの鬱憤が以下の事件を引き起こしました。
サウジのカタールに対する昨年5月の断交・包囲網作りは、アメリカ得意の思想の自由市場論ではどうにもならなくなって、(アメリカが背後で?)アルジャジーラの全面圧迫に動き出したことがわかります。
アルジャジーラに対するアメリカの露骨な圧迫があったでしょうが、アラブ社会の支持でしぶとく生き残り、いつの間にかサウジ王家の存続を脅かすまで育って来たようです。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/07/1-44.php

サウジアラビアなどによるカタール断交から1カ月以上が経過した。受け入れ困難な13項目の要求を前に、カタールは国家主権を盾に拒否している。衛星テレビ局アルジャジーラの閉鎖など、大半の要求は主権に関わる問題で受け入れ難く、長期化は必至の情勢だ。サウジ側は、カタールをバーレーンのような属国的な存在にすることで独自の外交政策の骨抜きを狙う。最終的にタミム首長体制の転換に至る可能性があるとの見方も浮上している。

https://www.newsweekjapan.jp/hosaka/2017/06/5_2.php

もともとサウジアラビアのメディアが英BBCのアラビア語放送を引き継ぐかたちでアラビア語のニュース・チャンネルをつくろうとしていたところ、カタルが横から入り込んで、ジャジーラを設立した経緯があり、しかも、そのジャジーラが周辺国にとって都合の悪い放送をすることで人気を得たため、サウジのみならず、同盟国のGCC(湾岸協力会議)諸国まで激怒させる結果となっていた(ちなみにアラビーヤはサウジがジャジーラに対抗するためにつくったニュース専門チャンネル)。
よくジャジーラを自由なメディアという人がいるが、もちろんそんなはずはなく、局員のなかには特定の政治的イデオロギー(有体にいえば、ムスリム同胞団)をもつものが少なくないし、何よりカタル現体制にとって都合の悪いことは一切いわない。

アメリカがメデイア支配によって言論界を支配しているときには、アメリカ発の「思想の自由市場論」のまやかしで、自国有利な情報だけ一方的に流す制度保障をしていたことになります。
これがネットの発達でマスメデイア支配だけでは統制支配できなくなった・大規模資本がなくとも個人が発信できるようになると、これをロシアや中国の影響を受け始めたことに対する反撃の必要性に目覚めたことが背景にあるのでしょう。
これまでは他国思想侵略するばかりだったのが、自分が攻撃支配される側に回ってしまったということです。
この辺は自分が核武装するのはいいが、北朝鮮が核武装することにイキリたっているのと構図が同じです。
日本にとっては中国や北朝鮮にのさばって欲しくない人がおおいでしょうが、それとは別にアメリカの自分勝手さをここでは書いています。

フェイクニュースと思想の自由市場論5

モンゴルが急速に支配地を増やしたのも同じ原理で、交換すべき産物のないモンゴル族は接触した異民族と交易交渉出来ないので、略奪しかない・武力勝負・・勝つか負けるか・・隷属させるしかなかったことによります。
蒙古襲来も世界帝国になると交換手段の金貨が必須・・日本の金や銀が欲しければ、交易交渉すれば良かったのですがそのノウハウがなかったので、海戦の経験もないのに武力勝負に出て失敗したことになります。
清朝皇帝がイギリスの使節に対して何も欲しい物はないと威張ったことが有名ですが、実際にイギリスが交換すべき特産品が何もない点は今も同じです。
イギリスは仕方なしにアヘンを売り込むしか出来なかったのは、むべなるかなと言うところです。
アヘンを売れなくなったので、今では金融でかすめ取ろうとするのが金融支配の問題です。
金融は血流同様に重要な機能ですが、それと関係者がどん欲過ぎて良いかは別問題です。
必須と言えば、飲料水も電機もガスも物流も電池も医師・法律家も政治家も清掃業も不動産業も皆重要です。
アメリカのペンス副大統領の10月4日の演説以降、中国のアメリカに対する情報操作スパイの浸透工作→「侵略」に対する関心が高まってきました。
February 15, 2018「思想の自由市場論4(中国の挑戦)」の続きです。
フェイクニュースが議論の表面に出てきたのは、トランプ氏の方ではメデイア支配に対する不満がその動機と思われますが、アメリカ全体で言えばアメリカによる思想の自由市場支配がネットの発達で変わりつつあることへの焦りが大統領選挙戦で表面化した結果と思われます。
トランプ氏と支配メデイアが攻防を繰り返しているうちに、実は真の敵はアメリカによる「世界情報支配の終わりが始まっていること」に双方が気がついて、アメリカあげての中国非難の大合唱になったと見るべきでしょう。
中東・・アルジャジーラの放送開始以来・・中東アラブ世界では徐々に英米系メデイアの支配力が落ちてきていた・・逆転してきた結果に対する焦りもあるでしょう。
世界各政府に対するアメリカの影響力の強さ→中央政府による電波割り当てによるアメリカの間接支配の及ばないロシア、中国(孔子学園による中華思想浸透への反発が米国でも強まっています)によって、ハッキング、サイバーテロその他の方法による思想浸透の逆襲を受けるようになっていました。
ついに我慢できなくなっていたところに国際的ネット網利用によるゲリラ的思想発信によって(それまでロシアその他でアメリカの「気に入らない政権があるとすかさずスキャンダルを撒き散らして反政府運動を煽ってきたアメリカが)逆に国内政治に介入されるに至りこれに対する規制必要論が盛り上がって来たと見るべきでしょう。
情報戦で圧倒的に優位な時にはやりたい放題でしたが、負け始めていることの自白ではないでしょうか?
この数週間では、中国による大学やメデイア企業その他隅々に至るまで中国の浸透工作に対する批判がペンス副大統領によって講演されて以来、規制どころか対中全面戦争すら辞さない強硬論で、世界中の話題になりました。
いわば全面戦争の宣告みたいな公開演説ですが、今までのように鷹揚に構えていらなくなった・・水面下でやり返せな良い状況でなくなった・・そこまで追い詰めれられているということでしょう。
情報機関で言えば、相手のスパイ批判しなくともスパイ同士の戦いで勝っていれば、相手のスパイを捕捉して闇から闇で処理できるので強い方は黙って処理すればたります。
「スパイを送り込むとはけしからん」という必要がありません。
映画で言えば、侵入してきた忍者を自分の忍者が撃退すればいいことで、自分の忍者が負けて相手忍者の屋敷への侵入を防げなかった結果、相手忍者が自分の屋敷に侵入したことを公式非難するのは忍者同士の戦いで勝てないことを表明しています。
この頃、ロシアによる西欧での傍若無人な「自国もと諜報機関員の殺傷や、中国政府による中国系アメリカ人のアメリカやオーストラリア国内での拉致誘拐の頻発・各種情報窃取のカラクリなど批判は、自分の方はやり返せないことの暴露でもあります。
ただし、要人警護の場合も不意打ち襲撃に備える方が不利ですが、双方暗殺拉致の打ち合いの場合、アメリカや先進国にはそういう無茶をやる仕組みがありませんし、知財盗み合いで言えば盗まれるべき先端知財や技術のない後進国の方が有利です。
「金持ち喧嘩せず」と言いますが、こういう泥仕合になると生活水準の低い方が強みを発揮します。
数年前に、ロシア空軍機をトルコが撃ち落としたときにトルコとロシアの禁輸の脅しあいでは生活水準の高い方が同じ不便に対する耐性が弱いことをちょっとコラムで書きかけてそのままになっている原稿があります。
以下は、10月4日ペンス副大統領の演説全文の紹介記事ですので関心のある方はお読みください。
https://www.newshonyaku.com/usa/20181009
・・・・しかし米国国民が知っておくべきことがあり、そのことをお伝えするために私はここに来ました。それは、中国政府が、政治、経済、軍事的手段とプロパガンダを用いて、米国に対する影響力を高め、米国国内での利益を得るために政府全体にアプローチをかけているということです。
中国はまた、かつてないほど積極的にこの権力を利用して影響力を及ぼし、我が国の国内政策や政治活動に干渉しています。
以下いろんなことを言っていますが、省略します。
これに便乗したのか?中国製半導体チップにチップの入り口を仕組んでいるというニュースも駆け巡りました。
これまでは、(ネット言論は別でしたが・・)トランプ氏と対立するメデイア界の報道姿勢からトランプ氏がアメリカ国内で孤立しているかのような印象操作されてきましたが、ペンス副大統領の演説以降、アメリカ国内では共和党だけではなく民主党支持者でも対中強硬論が多くなっている・・対中強硬論は国民的主張になっているという意見が増えてきました。
「アメリカがやる気になったのでもう中国は終わりだ」という期待論がネットで多いですが、負けすぎていて手が出ないのであれば、貿易等の不正や知財強制移転を今後やりません」という中国との合意程度・・抽象論で終わりで実効性のある対策をアメリカには打つ手がないことになります。
スパイをやめろといって相手が同意してもこちらに防諜能力がなければ、相手の違反阻止する方法がないことになります。
北朝鮮の核合意同様で口先約束だけで矛を収めるしかないとすれば、相手は守る気持ちにならないでしょう。

キリスト教国の国際条約7(異教徒間でも有効か?3)

アメリカは日本同様に1907年のハーグ条約に参加しているのですが、イザ生死を掛けた戦争・・極限状態になると民度(原爆投下や学童疎開船の撃沈などは民度ではなく政権中枢部が決めていたことです)がモロに現われます。
元々は「キリスト教国内の条約に非白人の日本を入れてたやっただけ」と言う例外の気分もあったと思われる点については、August 27, 2016,キリスト「教国の国際条約2(異教徒除外→ポツダム宣言1)「正戦論」で」紹介しました。
戦争の本番になると、本能的行動に走り勝ちしかも末端兵の場合、その民度にモロに関係します。
日本占領の米軍だけではなく、欧州戦線に派遣された米軍の綱紀の乱れも相当なものでフランス等では、強姦魔になっていたと言われます。
https://ameblo.jp/9023410651/entry-11539375391.html
2013年05月27日(月) 23時34分53秒

隠された負の側面を明らかにした研究書が来月、米国で出版される。 6月に刊行予定の
「What Soldiers Do: Sex and the American GI in World War II France兵士らは何をしたのか:第2次世界大戦中のフランスにおける性と米兵」は
米ウィスコンシン大学(University of Wisconsin)のメアリー・ルイーズ・ロバーツ
(Mary Louise Roberts)教授(歴史学)が、米仏で膨大な量の第2次大戦中の資料を研究してまとめた著作だ。</p写真ジャーナリズムの草分けである米誌「ライフ(Life)」は、フランスを「快楽主義者4000万人が住む巨大な売春宿」と表現した。

真偽不明ですが、米兵の参戦意欲を高めるための国内キャンペインの様子を上記の通り書いています。

地元には、「ドイツ人を見て隠れるのは男たちだったが、米兵の場合は女たちを
隠さねばならなかった」という話が伝わっているという。
ロバーツ教授が調べた資料によれば「セックスをしている男女を見かけずに街を歩くことは不可能」なほどで、当時のルアーブル市長が米駐留部隊の司令官に改善を求めたと記されていた。
米軍の上官らは兵士たちの行為について公式な非難声明は出したが、改善の努力はしなかったという。
米兵たちの放蕩ぶり、不法行為、さらには組織的な人種差別などもあった。

そして、性犯罪を放置できなくなった軍が処刑したのは、ほとんどが黒人兵という人種差別に基づくものであったと書いています。

1944年10月の資料によれば、米兵が絡んだ強姦事件152件のうち130件で
黒人兵が訴えられている。
これについてロバーツ教授は、米軍内の根深い差別を示していると指摘した。
フランス人も、すぐに黒人米兵を指さして非難するようになったという。」

証拠など問題にせずに、被害者が、面通しで「この人だった」といえばその通りに認定する仕組み・法廷で、たまたま黒人お弁護士がいたところその弁護士を「この人だった」と証言するほど被害者の被害届も根拠のない無茶苦茶なものであったという実態をどこかで読んだことがあります。
朝鮮戦争でも性犯罪が大きくてその被害を、日本軍慰安婦にすり替えているように見えます。
歴史の浅い新興国・・国民レベルの低さが剥き出しになって「勝てば何をしても良い」と言う気持ちに先祖返りしたらしく、「異教徒に対日戦ではこんなルールなど守る必要がない・・皆殺しでいい」のだと言う気持ちになったのかも知れません。
対日戦争ではルールを破って非戦闘員殺傷目的の数々の蛮行をしてしまい、それどころか武装解除した途端に降伏条件を示したポツダム宣言違反の占領政治・・降伏後のアメリカインデイアンに対する民族精神を腐らせる政策(そのほとんどがある中東で生活保護受給者・被保護民になり下がっています)・浄化策の再現行為の影響がいまだに残っている状態が上記に紹介されています。
この非を隠すために極東軍事裁判をでっち上げ、更には戦後70年にもわたって中韓をけしかけて、なおありもしない南京虐殺や慰安婦騒動をけしかけています。
中国が国際ルール無視で領土拡張に邁進し始めたのは、西欧が近代にやった野蛮行為を真似している・・あるいはやり返しているとも言えます。
だからと言って、中国人の残忍きわまりない歴史を賛美する日本人はいないでしょう・日本には西欧の人権論以前からの美德があるのです。
自分たちは、キリスト教徒専用の条約など関係ないと言うのが、中国のやり方でしょうか。
勿論ISなどの中東のゲリラ勢力は米英主導で作った国際秩序など問題にしていないでしょう。
中国には元々正義の基準がない・・自分がやれるようになった以上は何をやっても良いと言う価値観の国です。
庶民は儒教と関係なく生きて来たと何回も書いて来ましたが、支配層もこの程度の価値観の国です。
・・昔から勝てば相手の武将を辱めるだけ辱めるのが中国のやり方であることを何回も書いてきました。
こう言う価値観の「中華の栄光」復活を掲げる習近平氏には、元は野蛮だった西欧が過去に積み上げて来た経験・・条約など勉強する気持ちはハナからありません。
ところで1907年ハーグ条約には中華民国は加盟していますが当然中華人民共和国は当時存在していないので守る義務がないと言えば言えるのでしょうか。
建国後加盟したのかな?
南シナ海を巡る国際司法裁判所判決など相手にしない態度ですし、国際ルール無視の知財強取?恐喝行為をしているのは、国際条約・欧米価値観など関係ないと言う立場でしょうか?
中国は人類が確立して来た来た(欧米キリスト教徒に都合の良い?ルールなど学びたくないと言う姿勢・・時々本性を表すところが嫌われているのですが、中国としてはそれが脅し・・プラスになると思っている面があるでしょう。
ヤクザが「舐められないようにしている方が得だ」と思っているのと同じ価値観です。
日本の場合は遅れて西欧列強の仲間入り・・参加しても、人道的思想や「人の物を取っては行けない」「約束はままもる」と言うルールは早くから国内的に確立していました。
ウエストファリア条約以来の歴史があると威張られても・・そんな条約を作らないとやっていいことか悪いことかの区別も分らないのか?と日本では逆に驚きます。
「豺狼のごとき」西欧列強の餌食になるのを恐れて幕末に大騒ぎになったのですから西欧よりも人道意識や道徳観が数段・数千年進んでいました。

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