フェイクニュースと思想の自由市場論6

中国に世界支配されたくない日本人としては、今のところアメリカによる中国叩きの激化を喝采している雰囲気が多いようですが、これまで世界支配者であったアメリカ圧倒的優位を前提にした「思想の自由市場論」にのっかって、情報操作してきたのを中国もロシアも同じことをアメリカにしたことを怒っていることになります。
情報操作・・フェイク報道の破綻を見てきましたが、17年12月19日頃から23日頃まで紹介した「法曹実務にとっての近代立憲主義」という本でも思想自由市場論とヘイトスピーチ論の関係が論じられています。
同書59pからの論文では、思想の自由市場論を守るためにか?安易なヘイトスピーチ禁止論を取らない立場を堅持していますが・・。
2018年1月にトランプ氏がCNNなどを対象にしたフェイクニュース大賞を発表したことをFebruary 13, 2018,「表現の自由と思想の自由市場論2」 に引用紹介しましたが、トランプ政権と大手メデイアとのフェイク発信に対する非難報道が加速して来ました。
これに対する日本メデイアの報道は政権による報道圧迫として批判一色の印象ですが、以下の記述もあります。
https://news.infoseek.co.jp/article/japanindepth_38145/

日本にもフェイクニュース大賞を
Japan In-depth / 2018年1月22日 18時0分
古森義久(ジャーナリスト・麗澤大学特別教授)
日本の主要新聞はフェイクニュース自体認めず、トランプ氏によるメディアの抑圧であるかのように扱っている。
・メディアの正誤のチェックは重要。日本でもフェイクニュース大賞を設けたらどうか。
主要メディアの報道や論評のなかで、最もひどい虚偽や誤断、さらには捏造とみなせる実例を指摘して、順位をつけ、「賞」の対象にするというこの行為は一見、ふざけた冗談のようにみえても、ちょっと考えると、実はきわめて重要な意味があることがわかる。
日ごろアメリカでも日本でも、新聞やテレビ、雑誌などニュースメディアが強大な影響力を発揮するなかで、虚報や誤報は明らかに多数、存在する。だがその誤りを制度的に認定し、訂正するメカニズムがないからだ。つまり報道される側の一般国民や組織、団体にとってメディアのミスにきちんと反撃する方法が訴訟という極端な方法以外にはないのである。メディア側のたれ流しともいえるのだ。
こんな背景のなかでは、報道され、論評される側がメディアのミスを定期的、制度的に正そうとすることは民主主義の基本ルールにも合致するだろう。それでなくてもメディアのおごりが目につく今日このごろである。
主要メディアの側はこのフェイクニュース大賞に対して、「トランプ大統領が自分を批判するメディアに対してただ攻撃しているだけだ」と、なお傲慢な反応をみせる。だが現実には同大統領側が指摘した報道や評論類はみなまちがっていたことが証明されているのだ。その点に触れず、ただ批判すること自体がけしからんと開き直るメディア側の態度はまさに傲慢と評するほかない。

なかなかの卓見です。
今回表面化しているトランプとクリントン候補のどちらがより多くフェイクニュースに関与したかで終わらず、中期的にはネットに限らず放送全般へのフェイク・変更の有無→その後の結果との合致率のチェック報道・チェック論・健全な思想競争の土俵作りが始まると見た方がいいでしょう。
アメリカ(日本のメデイア・思想界も同様)は自分が世界の言論市場を完全支配している時には「思想の自由市場に委ねるべき」などといってきたのですが、アラブがアルジャジーラの放送開始で自己発信力を入手し一方でネット発信が普及して発信者が草の根化してくるとスパイ等を利用したメデイア支配に無理が出てきました。
アメリカは自分のコントロールできている間は、「思想の自由市場を守れ」といってきたのに、アメリカのいうことを聞かなくなると取り締まりの必要を言い出したイメージですから自分勝手な印象です。
アルジャジーラに対するコントロールが効かないことに対するアメリカとその応援を受けるサウジの鬱憤が以下の事件を引き起こしました。
サウジのカタールに対する昨年5月の断交・包囲網作りは、アメリカ得意の思想の自由市場論ではどうにもならなくなって、(アメリカが背後で?)アルジャジーラの全面圧迫に動き出したことがわかります。
アルジャジーラに対するアメリカの露骨な圧迫があったでしょうが、アラブ社会の支持でしぶとく生き残り、いつの間にかサウジ王家の存続を脅かすまで育って来たようです。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/07/1-44.php

サウジアラビアなどによるカタール断交から1カ月以上が経過した。受け入れ困難な13項目の要求を前に、カタールは国家主権を盾に拒否している。衛星テレビ局アルジャジーラの閉鎖など、大半の要求は主権に関わる問題で受け入れ難く、長期化は必至の情勢だ。サウジ側は、カタールをバーレーンのような属国的な存在にすることで独自の外交政策の骨抜きを狙う。最終的にタミム首長体制の転換に至る可能性があるとの見方も浮上している。

https://www.newsweekjapan.jp/hosaka/2017/06/5_2.php

もともとサウジアラビアのメディアが英BBCのアラビア語放送を引き継ぐかたちでアラビア語のニュース・チャンネルをつくろうとしていたところ、カタルが横から入り込んで、ジャジーラを設立した経緯があり、しかも、そのジャジーラが周辺国にとって都合の悪い放送をすることで人気を得たため、サウジのみならず、同盟国のGCC(湾岸協力会議)諸国まで激怒させる結果となっていた(ちなみにアラビーヤはサウジがジャジーラに対抗するためにつくったニュース専門チャンネル)。
よくジャジーラを自由なメディアという人がいるが、もちろんそんなはずはなく、局員のなかには特定の政治的イデオロギー(有体にいえば、ムスリム同胞団)をもつものが少なくないし、何よりカタル現体制にとって都合の悪いことは一切いわない。

アメリカがメデイア支配によって言論界を支配しているときには、アメリカ発の「思想の自由市場論」のまやかしで、自国有利な情報だけ一方的に流す制度保障をしていたことになります。
これがネットの発達でマスメデイア支配だけでは統制支配できなくなった・大規模資本がなくとも個人が発信できるようになると、これをロシアや中国の影響を受け始めたことに対する反撃の必要性に目覚めたことが背景にあるのでしょう。
これまでは他国思想侵略するばかりだったのが、自分が攻撃支配される側に回ってしまったということです。
この辺は自分が核武装するのはいいが、北朝鮮が核武装することにイキリたっているのと構図が同じです。
日本にとっては中国や北朝鮮にのさばって欲しくない人がおおいでしょうが、それとは別にアメリカの自分勝手さをここでは書いています。

フェイクニュースと思想の自由市場論5

モンゴルが急速に支配地を増やしたのも同じ原理で、交換すべき産物のないモンゴル族は接触した異民族と交易交渉出来ないので、略奪しかない・武力勝負・・勝つか負けるか・・隷属させるしかなかったことによります。
蒙古襲来も世界帝国になると交換手段の金貨が必須・・日本の金や銀が欲しければ、交易交渉すれば良かったのですがそのノウハウがなかったので、海戦の経験もないのに武力勝負に出て失敗したことになります。
清朝皇帝がイギリスの使節に対して何も欲しい物はないと威張ったことが有名ですが、実際にイギリスが交換すべき特産品が何もない点は今も同じです。
イギリスは仕方なしにアヘンを売り込むしか出来なかったのは、むべなるかなと言うところです。
アヘンを売れなくなったので、今では金融でかすめ取ろうとするのが金融支配の問題です。
金融は血流同様に重要な機能ですが、それと関係者がどん欲過ぎて良いかは別問題です。
必須と言えば、飲料水も電機もガスも物流も電池も医師・法律家も政治家も清掃業も不動産業も皆重要です。
アメリカのペンス副大統領の10月4日の演説以降、中国のアメリカに対する情報操作スパイの浸透工作→「侵略」に対する関心が高まってきました。
February 15, 2018「思想の自由市場論4(中国の挑戦)」の続きです。
フェイクニュースが議論の表面に出てきたのは、トランプ氏の方ではメデイア支配に対する不満がその動機と思われますが、アメリカ全体で言えばアメリカによる思想の自由市場支配がネットの発達で変わりつつあることへの焦りが大統領選挙戦で表面化した結果と思われます。
トランプ氏と支配メデイアが攻防を繰り返しているうちに、実は真の敵はアメリカによる「世界情報支配の終わりが始まっていること」に双方が気がついて、アメリカあげての中国非難の大合唱になったと見るべきでしょう。
中東・・アルジャジーラの放送開始以来・・中東アラブ世界では徐々に英米系メデイアの支配力が落ちてきていた・・逆転してきた結果に対する焦りもあるでしょう。
世界各政府に対するアメリカの影響力の強さ→中央政府による電波割り当てによるアメリカの間接支配の及ばないロシア、中国(孔子学園による中華思想浸透への反発が米国でも強まっています)によって、ハッキング、サイバーテロその他の方法による思想浸透の逆襲を受けるようになっていました。
ついに我慢できなくなっていたところに国際的ネット網利用によるゲリラ的思想発信によって(それまでロシアその他でアメリカの「気に入らない政権があるとすかさずスキャンダルを撒き散らして反政府運動を煽ってきたアメリカが)逆に国内政治に介入されるに至りこれに対する規制必要論が盛り上がって来たと見るべきでしょう。
情報戦で圧倒的に優位な時にはやりたい放題でしたが、負け始めていることの自白ではないでしょうか?
この数週間では、中国による大学やメデイア企業その他隅々に至るまで中国の浸透工作に対する批判がペンス副大統領によって講演されて以来、規制どころか対中全面戦争すら辞さない強硬論で、世界中の話題になりました。
いわば全面戦争の宣告みたいな公開演説ですが、今までのように鷹揚に構えていらなくなった・・水面下でやり返せな良い状況でなくなった・・そこまで追い詰めれられているということでしょう。
情報機関で言えば、相手のスパイ批判しなくともスパイ同士の戦いで勝っていれば、相手のスパイを捕捉して闇から闇で処理できるので強い方は黙って処理すればたります。
「スパイを送り込むとはけしからん」という必要がありません。
映画で言えば、侵入してきた忍者を自分の忍者が撃退すればいいことで、自分の忍者が負けて相手忍者の屋敷への侵入を防げなかった結果、相手忍者が自分の屋敷に侵入したことを公式非難するのは忍者同士の戦いで勝てないことを表明しています。
この頃、ロシアによる西欧での傍若無人な「自国もと諜報機関員の殺傷や、中国政府による中国系アメリカ人のアメリカやオーストラリア国内での拉致誘拐の頻発・各種情報窃取のカラクリなど批判は、自分の方はやり返せないことの暴露でもあります。
ただし、要人警護の場合も不意打ち襲撃に備える方が不利ですが、双方暗殺拉致の打ち合いの場合、アメリカや先進国にはそういう無茶をやる仕組みがありませんし、知財盗み合いで言えば盗まれるべき先端知財や技術のない後進国の方が有利です。
「金持ち喧嘩せず」と言いますが、こういう泥仕合になると生活水準の低い方が強みを発揮します。
数年前に、ロシア空軍機をトルコが撃ち落としたときにトルコとロシアの禁輸の脅しあいでは生活水準の高い方が同じ不便に対する耐性が弱いことをちょっとコラムで書きかけてそのままになっている原稿があります。
以下は、10月4日ペンス副大統領の演説全文の紹介記事ですので関心のある方はお読みください。
https://www.newshonyaku.com/usa/20181009
・・・・しかし米国国民が知っておくべきことがあり、そのことをお伝えするために私はここに来ました。それは、中国政府が、政治、経済、軍事的手段とプロパガンダを用いて、米国に対する影響力を高め、米国国内での利益を得るために政府全体にアプローチをかけているということです。
中国はまた、かつてないほど積極的にこの権力を利用して影響力を及ぼし、我が国の国内政策や政治活動に干渉しています。
以下いろんなことを言っていますが、省略します。
これに便乗したのか?中国製半導体チップにチップの入り口を仕組んでいるというニュースも駆け巡りました。
これまでは、(ネット言論は別でしたが・・)トランプ氏と対立するメデイア界の報道姿勢からトランプ氏がアメリカ国内で孤立しているかのような印象操作されてきましたが、ペンス副大統領の演説以降、アメリカ国内では共和党だけではなく民主党支持者でも対中強硬論が多くなっている・・対中強硬論は国民的主張になっているという意見が増えてきました。
「アメリカがやる気になったのでもう中国は終わりだ」という期待論がネットで多いですが、負けすぎていて手が出ないのであれば、貿易等の不正や知財強制移転を今後やりません」という中国との合意程度・・抽象論で終わりで実効性のある対策をアメリカには打つ手がないことになります。
スパイをやめろといって相手が同意してもこちらに防諜能力がなければ、相手の違反阻止する方法がないことになります。
北朝鮮の核合意同様で口先約束だけで矛を収めるしかないとすれば、相手は守る気持ちにならないでしょう。

フェイクニュース8と思想の自由市場論1

米大統領選挙によって表舞台に飛び出したフェイク論議はアメリカによる報道支配・・アメリカ憲法学者の言うアメリカ支配に都合の良い「思想の自由市場」の崩壊・陰りが原因です。
憲法学者のいう思想の自由市場論は、マスメデイアを支配する勢力に迎合する意見発表の自由論です。
メデイア支配者の意に沿わない発言があると・メデイア界で袋叩きにして有力政治家でもすぐ失脚させてしまう実力を持つ社会・言葉尻を捉えて見せしめ的に発掘しては吊るし上げて「失言」ですら如何に怖い目に遭うかを見せつけて自由な発言を萎縮させる社会でした。
日本では安倍政権が誕生するまでは、政治家を続けるには(アメリカ支配・その手先としてメデイア界勢力を張ってしまった中韓勢力の)「メデイアを敵に回したらおしまい」というのが不文律になっていました。
安倍政権はこの不文律に挑戦したので、当初歴史修正主義者・アメリカによる戦後秩序否定論者のレッテル張りされていました。
メデイア界総力あげて彼の追い落としを画策していて、第一次安倍政権では、(根拠なく)如何にも頼りなさげな表情ばかり選んで報道する印象づけ報道で、あえなく退陣に追い込まれましたが、第二次政権では上記に懲りた安倍総理の正面突破作戦でメデイア界の雄であった朝日新聞とフジテレビが逆に追い込まれました。
中国による尖閣諸島海域侵犯行為と反日暴動プラス韓国による慰安婦攻勢激化に対してメデイアが米国による戦後秩序維持・非武装平和論・周辺国に何をされてもじっと黙っている図式を宣伝しても国民が納得しなくなったからです。
昨年夏の小池劇場では、「メデイア(護憲派が選挙のためにだけ改憲派小池氏に近づき選挙が終わったら民進党系多数を頼んで党方針を護憲政党に引き戻す戦略)に逆らったから負けた」とメデイアが宣伝していましたが、私は国民が左翼寄りメデイアの上記策略を拒否したからであることを昨年夏頃に連載しました。
日本では、政治家や公務員等がメデイアの意(結局は米中韓の利益)に反することを言うと「〇〇がそんなことを言って良いのか」という非難の嵐で謝罪に追い込み議員辞職に追い込むのが普通でした。
自由な思想市場など全くない状態です。
大手新聞は朝日、毎日、読売、日経4社の次に中堅の産経が続く程度の寡占市場ですし、テレビ界もほぼ同様です。
この独占的言論市場を占領軍が抑えた上で、その支配を続けるために見張り役を残す英米流の継続支配が続きました。
こういう「自由な思想市場」に任せるとどうなるか?
これが戦後70年も続いた結果、自国のためになることをうっかり言えない・正論は仲間内で「もぞもぞ」としか言えない社会になっていました。
米国→占領終了後は、日本監視役/手先として韓国系を使うようになった結果、今では中韓系多数が入り込むメデイア界では、(将軍家側用人が権力を握るように)アメリカの意向で動くよりも本国中韓の意向反映の方が色濃くなってきました。
靖国参拝問題の政治問題化以降アメリカの手先としての行動よりは、中韓の反日運動目的の軸足を置くようになって来たのですが、それを効果あらしめるために「錦の御旗として」「アメリカの作った戦後秩序・東京裁判を否定するのか!」というテーマにすり替えて来たことになります。
ブッシュ元大統領が日本訪問時に自ら靖国神社参拝を求めたのは、むしろこんな非生産的紛争にアメリカが利用されるのを嫌がっていることを(リップサービスか否かの解釈は別として)意思表示した事になります。
http://www.news-postseven.com/archives/20140510_255131.html

ブッシュ元大統領 靖国参拝申し出たが日本側が明治神宮変更

以後、尖閣諸島や慰安婦騒動等になってくると米国利益のための手先としての行為より中韓の利益が正面に出てくるようになってきました。
アメリカの意向と関係がないからこそ、日本も果敢に反撃できるようになった面がありますし、逆から見れば、「迷惑だから早く収束してほしい」というアメリカの圧力にもなっています。
ただ中韓系人材がアメリカのために日本の内情報告したり日常的細かなアメリカの対日世論誘導工作協力はそのままですから、アメリカは中韓系人材を切ることも出来ず、板挟みになっているのではないでしょうか。
世界政治での日本の存在が大きくなってくると、ついにアメリカも態度をはっきりさせるしかなくなり慰安婦騒動では日本有利な調査結果を出したので、朴槿恵が窮地に追い込まれることになりました。
アメリカは日中韓3国中で日本をとる意思表示を示したのですが、もともと安倍総理敵視から始まったことを想起すれば、ここまで逆転したのは安倍外交の勝利・大成功でしょう。
メデイアと民意の乖離に戻します。
民意=普通は国益を実現するものですが、これとメデイアの誘導したい方向との乖離が起きる原因は、日本の場合、占領されていた後遺症から基本的に国外勢力がメデイア内部を牛耳る体制が確固として構築されていることによると思われます。
アメリカの息のかかったメデイア界を作っておいて「思想の自由市場」で学問の方向を決めて行くといっても、アメリカの意に反する多数意見が成立する余地がないし、この20年ばかりではその手先になっている中韓の意向に反することをちょっと言おうものならばメデイア界で袋叩きになる仕組みでした。
アメリカ支配の時にはまだ婉曲的でしたが、その手先に使っていた中韓が影響力を持ってくると(ソフト能力が低いので)やり方が露骨になったこともあって、彼らの影響力行使が国民にはっきりしてきました。
多数意見・メデイアのでっち上げ(中韓利益擁護)「思想の自由市場」?に頼る社民や民進党が無記名選挙で苦戦するのはこのせいです。
最近英語でもPC(ポリティカルコレクトネス)の弊害が言われるようになってきましたが、英語圏でさえ大手メデイア・主としてリベラリスト・グローバリスト?のでっちあげる「正義」に耐えられない人が増えてきたのでしょう。
国民の健全な意識に反するメデイアに対する不満の爆発現象をフェイク批判のキャッチフレーズで表現しているのがトランプによるフェイク批判ですし、トランプ旋風のエネルギーであったように思われます。
トランプ氏の政策の基本が反グローバル化(国際多角的合意の破棄)であることから見れば、彼の標的がフェイクかどうかではなかった・メデイア界の手放しの(合理的規制不要の)グローバル化賞賛思想支配に対する挑戦であったことが明らかです。
トランプ氏当選以来問題化しているフェイク論争は、実はフェイクかどうかの事実認定の問題ではなく、メデイアによる一定方向への脚色誘導報道に対する反感の問題ですから、フェイクそのものに矮小化してその区別を議論していても解決にはなりません。
メデイア界は、自分らの痛い点に焦点が行かないように意図的に的外れ議論をしているように見えます。
2月4日の「フェイクニュースとは?1」で紹介したように、フェイク対策のために「ファクトチェック体制構築する、あるいはした」と言っていたフェイスブックが、昨年末にこれをやめて参加者の共感度で決めていくと発表したのは、「メデイア界はこの論争をうやむやに終わらせたい」からと深読みすることも可能です。
「ファクトチェックをやめることにした・共感度次第」ということは、事実上放任ですからこれでフェイク論争を自然消滅させようとしていたように見えます。

フェイクニュース7(フェイク拡散防止策1)

産地偽装表示や無農薬表示あるいは薬や化粧品の効能書きがその表現から消費者が受け取るイメージと違っている場合に、不当表示や薬事法違反などとする規制が発達していますが、これに対して「表現の自由」憲法違反として頑張っているのを聞いたことがありません。
輸入産品についても製品化のどの段階までを原産地表示すべきかのきめ細かい規則が発達していますが、それが表現の自由・憲法違反という主張や争いもありません。
食品内容の比率次第で(例えばそば粉何%以上含有で「そば」と表示できるか?の規制があるとした場合など)特定商品名を表示できるかの問題も同じでしょう。
これら規制を見ると商品として流通させる以上は、消費者保護のために一定の商品表示には一定の規格範囲の性能品質がなければならないという社会の要請があります。
自分の好みで自己使用や親しい人に無償で配るのに一定率以下のそば粉しか入れないで、これを自己流の「そば」と言っているのは個人の勝手・表現の自由でしょう。
私は、子供らが小さい頃に自宅の庭で真っ白と焦げ茶色のガチョウ2羽を飼っていたことがありますが、名前をシロとクロと付けて呼んでいました。
これを仮に商品として売る場合には、クロと言うのは家庭内の名前であって、黒い色ではないと説明しないで「シロとクロ各1羽」として売れば表示・契約違反となるでしょう。
以上のように、商品名表示や事実表示の定義については、「業として流通させる場合」には、規制当局がココまでの内容があれば、この表示ができると規格規制していても、それは表現の自由の問題ではないという国民合意が出来上がっていることがわかります。
自分が一般と違った意味で使いたければ、「業」的に流通させないで個人的に利用する範囲で変わった表示をするのは勝手ということでしょう。
ネット発信は個人会話と違うのですが「業」商品として流通目的で発信しているとも言い切れないのでややこしいのですが、個人的に言いたいことを(私のように自己満足で?)書いている人と拡散目的で書いている人とでは規制基準が違うべきでしょう。
目的など内心の意思は判定不能ですが、外形からざっくり言えばSNSへの投稿は「ソーシャル」というとおり拡散率が高いのが特徴ですから、内心目的如何に関わらず実際に流通が予定されている以上事実を適時した発信には合理的根拠を必要とすべきでしょうし、金儲け目的が表示されているアフィリエイト系?などはより厳重基準を適用すべきでしょう。
業として表現する場合には、消費者・視聴者等を誤解させないためにも、表現行為のウチで、物品名だけではなく、事実表示と、他人の意見表明部分の紹介記事、さらには発信者の意見(意見の中での論建て前提事実の場合それも区分けする)とを明確に区分けをして発信するルールを大手メデイアの方から率先して行って手本を示してから、その応用ルールを個人の行うネット発信者にも課していくのが現実的でしょう。
人材の揃った大手メデイアがこれらの区分表示を怠ったまま曖昧に自社意見を事実に混入して垂れ流したまま、ネットのフェイク性だけを強調しても迫力がありません。
特に意見の紹介になるとA意見発表があったことが事実としても、ABC意見のうち自社の気に入ったA意見ばかり優先的・好意的に紹介するのでは、不公正になります。
これが放送の中立性に反した偏向報道の問題です。
大手支配の裏の勢力(日本では敗戦→占領支配・・国外勢力が・米ソ中韓と軸足を移しながら事実上牛耳ってきた疑いが言われています・憶測です)が「表現の自由論」で安住しながら「ネット発信が広がるとこれを目の敵にして?「規制すべし」というのは矛盾ですから・・。
日本では敗戦による米軍占領以来外国勢力によって報道機関を支配されてきた歴史もあって、トランプ氏が選挙戦で偏向報道を指摘する前から、慰安婦報道以来これが大問題になっています。http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/755c0843633b7d1a9d901171fee94662

高市早苗総務大臣は、2016年2月8日の衆院予算委員会で、放送局が「政治的に公平であること」と定めた放送法4条の違反を繰り返した場合、電波法に基づき電波停止を命じる可能性に言及しました。
高市大臣は
「行政が何度要請しても、全く改善しない放送局に何の対応もしないとは約束できない。将来にわたり可能性が全くないとは言えない」

この発言が表現の自由を侵害するかのような危険視する批判がメデア界では大方ですが、元々報道の中立性を求める放送法自体を憲法違反というならば別ですが、中立を求める法がある以上は事案によっては「法の適用がありうる」という答弁は当たり前ですから、この批判論はあたかも大手メデイアには一方的な報道権があるかのような開き直りにしか理解できない「思い上がり」でしょう。
電波の希少性によって事実上独占業界になっている「放送利権」については2月10日現在のウイキペデイアによると以下の通りです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/放送利権

今日、所轄官庁である総務省から新規に地上波放送局の免許を得ることは至難、よって新規事業者の参入がおよそできない状態にあり、日本の放送局は既得権益化しやすい[。
日本放送協会(NHK)を含め、地上波放送は基本的に都道府県ごと(県域放送)であり、民間放送局(民放)であれば、これより派生して、東京にある放送局が事実上地方局を支配しているキー局制度、新聞社が放送局の株式を保有するクロスオーナーシップ[1]、放送局が番組の著作権をもち、制作会社や制作者には著作権があたえられにくい映画の著作権なども放送利権としてあげられている。また日本の放送局は、いわゆる「電波オークション」によるものではないことや、諸外国に比べ格段に安い電波利用料なども議論の対象となっている。
免許事業であり、法によりある種の保護下に置かれていること、加えて新規事業者の参入の心配がおよそないことから、既存局あるいは既存系列同士での、複雑な競争と共栄関係が「両立」している。結果、以下のような実態がある。
・・・・。

有限の電波割り当てを受ける特権的立場・「思想の自由な市場競争」の成り立たない放送事業でさえ、「中立違反を放置しろ」と言わんかの如き放送業界と違い、何らの特権も享受していない「ネット発信者だけフェイク規制しろ」というのは無理・・これがアメリカでフェイスブックの自主規制が腰砕けになった原因でしょうか?
上記の通りいろんな商品表示に関する規制も表現の自由に関係するとしても直ちに「憲法違反」という観念的議論ではなく、実態に即して見て行くことが一般的ですが、思想表現も、商品の1種として市場提供されるようになると、ネット配信の場合、民泊の紹介事業者やスーパーに当たるのがフェイスブックなので、事前規制が可能か?で議論になっていることになります。
大手メデイアは「表現の自由」「思想市場論」と言っても限られた電波の割り当てを受けている寡占市場を無視して市場競争論をふりかざせば視聴者の偏向批判を封じ込められたので一方的報道・・「何でもあり」の時代が続きましたが、その終わりが近づいた「危機感」が今回のフェイク騒動の底流的原因でしょう。

フェイクニュース6(拡散の原動力4)

日本のネット記事も、真面目に読めば根拠薄弱であることが分かるような「おもしろ」「誇大表示」記事らしいものが溢れていますが、政治記事では、面白いギャグだと笑ってばかりいられないとんでもない結果も引き起こします。
中にはクリントン批判のフェイクニュースに反応して店舗襲撃事件まで現実に起きたのが恐ろしいところです。
https://mainichi.jp/premier/business/articles/20170901/biz/00m/010

偽ニュースが起こした米国「ピザゲート事件」の“狂気”
2017年9月2日 清水憲司 / 毎日新聞北米総局特派員(ワシントン)
「私たちには自分を守れない人々を守る責務がある。いつの日か理解してほしい」。娘2人に宛てたビデオメッセージを撮影した後、男はワシントン市内のピザ店「コメット・ピンポン」に押し入り、ライフル銃を発砲した。
・・・幸いけが人はなかったが、フェイクニュースの拡散を象徴する「ピザゲート事件」として全米を驚かせた。
男は「ヒラリー・クリントン陣営が児童の人身売買に関わっている」というフェイクニュースを信じ込み、子供たちを助けるつもりだった。
・・・ピザゲート事件の発端は、暴露サイト「ウィキリークス」が流出させたクリントン陣営幹部のメールにあった「ピザ」の言葉だった。米メディアの分析によると、ネット掲示板では「チーズ・ピザ」が児童ポルノの隠語として使われており、匿名投稿者たちの妄想をかき立てた。オバマ前大統領の支持者が経営するピザ店「コメット・ピンポン」が次第にクローズアップされた。
無責任な連想ゲームは、繰り返されるうちに「ニュース」としてネット空間に拡散し、エドガー被告が聞いていたラジオ番組でも取り上げられた。3日間悩んだ末に、エドガー被告は自ら事実を突き止めようとピザ店に向かった。

伝言ゲームで知られるように、多くの人を介すれば内容が大幅に変わって行くことが多いのですが、この種冗談や過激な表現はこれに「尾ひれ」をつけた拡散流布自体でこれを見る人は「フェイクかな?」と思いながらも信じないまでも相応のマイナスイメージ刷り込みが出来上がることが多いのです。
デマでもそれを大手メデイアが大規模な話題にすること自体で洗脳効果があります。
トランプ氏は話題性のおかげでの選挙費用が少なく済んだと豪語していることとも符合しています。
https://wired.jp/2017/06/22/journalism-post-truth-era/

TEXT BY JASON TANZ
TRANSLATION BY TOMOAKI KANNO
WIRED(US)
この数年の間にソーシャルメディア、特にFacebookが主要なニュースソースとして出現したことで急加速した。
プロのメディアが世論を方向付ける力は衰え続け、いまではほとんど失われている。ソーシャルメディア以前は、新聞の編集者が、どのネタを発表するか、それをどこに載せるかの最終決定権をもっていた。
今日、その役割を手にしているのは読者である。編集者は記事を発表できるが、それが誰にもシェアされなければ、書かれなかったも同然となる。
読者が新たなパブリッシャーだとしたら、彼らにニュースをシェアさせる最善の方法は感情に訴えることだ。主によくない感情に。
『Human Communication Research』誌に最近掲載された論文によれば、Facebookで情報をシェアするかを決める「重要な媒介メカニズム」は怒りだという。特定の主義に偏り、強い怒りを感じている人ほど、政治のニュースをネット上でシェアする傾向にある。そして、そうやってシェアされる記事は、それを読む人にさらなる怒りを抱かせることになる。「マーケットシェアを獲得するにはラディカルになる必要がある」と、フェイスブックの元プロダクトマネジメント部長サム・レッシンは言う。「穏当では何も得られない」

政治でのフェイクが騒がれていますが、発信者がもともと特定思想に凝り固まっていない純粋儲け主義・遊び感覚でやっていることが、却って拡散効果を発揮しているように見えます。
多くの読者を呼び込めば 多くのスポンサーがついて儲けられるのが基本ですから、彼らは内容の善悪など気にしない・絵空事でも、やらせ、奇抜・過激であればある程効果がある・・何でも良いのが基本です。
フェイクのレッテルを貼られるリスクを恐れない・・単に金儲けになるかどうか・・如何にして注目を惹きつけるかだけに特化する人には伝播性の競争では叶いません。
https://mainichi.jp/articles/20171114/k00/00m/040/021000c

フェイクニュース
作られ方 ブログ管理人が内幕語る
神奈川県座間市で9人の遺体が見つかった事件で、話題性の高い情報を載せているトレンドブログに「父親も共犯?」など事実無根の見出しや投稿を載せた管理人が、匿名を条件に毎日新聞の取材に応じた。
動機を「収益目的と世間のニュースやその裏を追いたい気持ち」と説明。ブログは個人で運営し、収入は多い月で10万円台後半になるという。
閲覧増やすため見出し過激に
トレンドブログは、事件や芸能人のスキャンダルなど注目の話題を取り上げ、クリック数などに応じて報酬が支払われるネット広告(アフィリエイト広告)を収益源とすることが多い。個人運営だけでなく記者を集めて組織的に運営するものもある。

いわゆる大災害時などに起き易い流言蜚語は出所不明の庶民の憶測発信が元ですが、今は日常的なネット発信が容易になった上に金儲けの手段になったこともあって、伝播力が半端でなくなったので量から質に変わったとみるべきべきか?の問題です。
許可制にしてルール整備するようにしているビットコインや民泊同様にして行く必要があるかの問題です。
フェイクの直接取り締まりは、事実認定の難しさの他に憲法の表現の自由の保護があって難しいですが、思いつき的でちょっと乱暴な意見ですが、(その道の専門家による緻密な論議が必要ですが)業法化してしまえれば、違反行為に対する何段階かの行政処分があって最終的には許可取り消し→無許可営業の場合は業法違反による刑事処罰法制化が可能になるので、大規模なフェイク発信だけでも防げるでしょう。
許可業種になり且つ全国展開的大手になると一定期間の(刑事処分まで行かなくくとも)業務停止処分だけでも業績に大規模な影響が出るので、内部チェック規制が厳しくなりフェイクの暴走を防げます。
例えば個人が空き家を利用している民泊の場合、なんらかの違反をしていて1〜2周間業務停止しても大した影響がありませんが、全国展開している仲介サイトが業務停止処分を受けるとその間従業員等の固定コスト負担があり、且つ信用毀損による大規模ダメージを受けます。
農産物の産地偽装や無農薬表示違反があった場合、その農家だけの問題ではなく、これを取り扱っている大手スーパーの方が、その何千倍もの損害を受けます。
農産物の産地偽装や無農薬表示違反があった場合、その農家だけの問題ではなく、これを取り扱っている大手スーパーの方が、その何千倍?もの損害を受けます。
この場合、大手スーパーが「当社は騙された被害者です」と言い張って済ませられないので必死になって再発防止に務めるが普通です。

©2002-2016 稲垣法律事務所 All Right Reserved. ©Designed By Pear Computing LLC