メデイアと学者の煽り7(軍国主義肥大化へ1)

5.15〜2.26事件(昭和11年)翌12年に盧溝橋事件発生→支那事変発生などが続けて起きたことで、国際情勢に通じている政治家や軍部内重鎮が若手過激派批判を恐れる風潮・・・若手将校が上層部軽視になり・政府中枢の紛争不拡大方針を無視した現地軍暴走を追招く素地になってしまったことが大きいでしょう。
日米戦争が米国の謀略にはまったと一部で主張されていますが、交渉で何を決めても現地軍の暴走を止めれらない現実を米国は冷静に見ていた結果、「ガツンとやらない限り暴走が止まらない」という結論に至ったものと読むことが可能です。
今の日本人が「いくら韓国と交渉してもだめ」という心境と似ています。
このような日本の統治能力の欠如・・不信感は、日比谷焼打事件で「日本の政府は一人前ではない」と米国に見られてしまったのです。
もう一度日比谷焼き打ち事件に関するウイキペデイアの記事を紹介します。
「上記のような暴動・講和反対運動が日本国内で起こったことは、日本政府が持っていた戦争意図への不信感を植えつける結果になってしまった。」
しかもその後の経過はその通りになっていくのです。
並行的関係として軍縮交渉以降の海軍の動きが証明しています。
以下は小説ですし、軍部用擁護的信条で書かれている面もあるでしょうが、一応の意見です。
https://ir.lib.hiroshima-u.ac.jp/files/public/3/39390/20160325133636253126/ReportJTP_1998_55.pdf
太平洋戦争直前の日本海軍の態度

マグダ・ボグツカ(ポーランド)
阿川弘之は「山本五十六」という本を書いたが、その中で日本海軍が太平洋戦争に反対
したということを強調した。その不戦派海軍のエースが米内光政、山本五十六、井上成美の三人だった。
ことに山本提督の場合は、連合舷隊司令長官として自らは反対だった戦争の指揮をとらなければならなかった。
「その人間的な苦悩というか苦衷は大変なものだ」
阿川弘之の言葉だ。
他に太平洋戦争のことを研究する評論家の森本忠夫は
「軍人というのは、国家が戦争を決断したら、たとえその戦争に反対であっても、戦わなければならない。それが軍人の宿命だと,思いますが、ただし太平洋戦争の場合は、勝算はもちろん、どうやって戦争を終結させるかという明確なプログラムがないまま、しかも、なしくずし的に開戦が決まってしまっただろうJ
と書いた。
山本五十六は、アメリカと戦ったら、日本は間違いなく、負けると確信していたようだ。
1926年から1928年まで彼はアメリカ駐在武官を経験していて、その前、1919年から、1921年にかけてもアメリカに駐在していた。その時デトロイトの自動車工場とテキサスの池田を見て、経済学の知識はなくても、戦争が起こったら、アメリカのウォーポテンシャルがいかに膨大なものかはよく感じていた。
彼はよく「アメリカの工業力は日本の十倍だぞ」と言っていたそうだ。
しかも、山本元帥だけでなく、アメリカを敵にまわして百パーセント勝てると考えてい
た海軍軍人は、少なくとも上層部には一人もいなかった。
1941年のGNPを計算してみると、アメリカは日本の十二・七倍だった。そんな大国を相手に戦って、勝てるわけはないということは、上層部はみんな分かつていたはずだ
好戦的な国民世論の影響も無視できないということだ。
なにしろ当時の国民は、徹底的な皇国史観教育を受けていたから、ある面では軍人よりもはるかに好戦的だった。そうなると、アメリカと戦ったら、必ず負けると考えている提督たちも沈黙せざるをえなかった。対米慎重論を口に出したとたん、右翼には狙われるし、世論からは袋叩きにされるからだ。

上記は小説の筋ですから、事実とは大きく違うでしょうが・・。
上記記事を前提とすると軍部が戦争好きで報道界や学者・文人が平和愛好家という戦後教育は大間違い・・歴史に反する大嘘であることがわかります。
開戦に踏み切って勝てそうか否かの判断では、軍人の方が相手との能力差や戦力差〜継戦能力等をよく知っているので、むしろ軍部の意見を尊重すべきです。
日露戦争でいえば、初戦でどの程度勝てそうか、初戦における(シベリア経由の相手の補給がどのくらいの時間差で届くのか?)補給前の武器弾薬の性能差と、初戦で勝ち進んでもどの程度奥地まで攻めこんでも兵站線維持が可能か、(モスクワまで攻め込む能力がないことは誰でも知っていたことです)陸上戦の第一ラウンドが終わった後にバルチック艦隊に勝てそうか負けそうか、負けた場合満州派遣部隊の退路どうするかなどの意見は軍部の専門分野でしょう。
開戦してからの国内経済や武器弾薬補充資金をどうするか、どこが売ってくれるか、どの辺で講和会議をしてくれるかの外交上の施策を講じるのは政府の分野です。
古代から軍の戦略判断自体は軍師の意見優先原則でしたが、近代では開戦するには国際協力関係の影響や経済問題などの総合判断が必須ですので、実務政治家の判断になる・これが近代以降の文民統制の原理の基礎です。
海外派遣自衛隊日報の有無がかまびすしいですが、あるかないかの問題ではなく、これは文民統制の原理に関わるという意見が出ていますが、軍関係の日報の詳細まで文民が口出しする権利まで言い出すと行きすぎでしょう。
明治に戻しますと無責任に勇ましいことを言う外野(メデイアや反主流政治家)の煽りに軍部トップが屈服する仕組みの方がおかしいのです。
軍部の暴走どころか、メデイア•エセ学者が軍部をバックに行われたために軍部も肥大していき日本を敗戦に導いたのです。
日清戦争講和後の三國干渉が如何に理不尽であっても、これに対して政府が冷静対処できたような環境が約10年経過の日露戦争当時には民主化?が進み、メデイアによる民衆の煽りが威力を持つようになっていたので政府が引きずられてしまい冷静対処能力が失われてしまったことがわかります。
民主主義とは、暴徒や騒動の規模によって決める政治の意味ではないでしょう。
合理的民意を前提にした制度です。
今、アメリカ大統領選へのロシアの選挙介入疑惑(昔流に言えば怪文書を選挙直掩にばらまく方法・・ヒラリー重病説、中国と特別な関係があるなどの偽情報をネットで拡散してそれを信じ込んだ国民が多かったと言われてます・これ自体がフェイクかどうかを知りませんが・・)が大問題になっているのは、アメリカ国民の合理的民意形成を歪めた疑いがあるからです。
意見は前提情報によって形成されるのですから、偽情報の拡散は民主主義にとって致命的攻撃になります。
1昨日だったかアメリカ連邦議会証言をしたフェイスブック社長の記事が出ていますが、同社の収集した膨大なデータからいわゆるAI技術を駆使して膨大な利用者の政治傾向や好みなどを分析して、どういう政治傾向の情報に反応しやすいかの分析によって個々人向けに加工したフェイクニュースを流し込んでいく操作をしていた疑いです。
フェイスブックが直接やっていたというのではなくイギリスの研究者が契約違反してどこかに基礎データを横流ししていたことが発覚したことが騒動の発端らしいです。
http://www.bbc.com/japanese/43650517等からの一部引用です。
フェイスブックのデータ不正共有疑惑「8700万人に影響」
2018年04月5日
フェイスブックは4日、最大でフェイスブック利用者8700万分のデータが選挙コンサルティング会社の英ケンブリッジ・アナリティカにより不適切に共有されただろうと発表した。それまで発表していた対象利用者数から大幅に増加した。
フェイクニュース
フェイスブックをめぐってはここ数年、いわゆる「フェイクニュース」の拡散が問題となってきたほか、ロシアがフェイスブックを通じて米国の有権者に影響を与えようとしたという裏づけが得られたと指摘されている。今回のケンブリッジ・アナリティカによるスキャンダルは、この流れに関連するものとして、注目されている。
ザッカーバーグ氏は一連の問題について、英下院での証言を拒否した。
https://www.cloudsign.jp/media/20180326-fbca/
何が起こっているのか
それらによれば、2014年ごろに、ケンブリッジ大学(名前は「ケンブリッジ」だがCA社とケンブリッジ大学は無関係)に在籍するロシア系アメリカ人学者 アレクサンダー・コーガン氏が、心理クイズアプリを作成。約30万ダウンロードされたそのアプリに仕組まれたフェイスブックAPIを経由し、ダウンロードユーザーとその友人ら約5000万人分のユーザー情報をコーガン氏が取得。コーガン氏からCA社(内部通報者ワイリー氏が当時在籍)へと売却され、CA社がそれを利用してスティーブ・バノン率いるトランプ陣営をはじめ複数の選挙活動をサポートした、というストーリーです。
米国外の外国人・外国企業が選挙活動に加担したという状況でもあり、公職選挙法にも触れるとあって、今後FTCや議会がフェイスブック幹部に対するヒアリングを行うことで調整が進んでおり、フェイスブックもこれに応じる構えとのこと。また別の報道では、株主代表訴訟・集団訴訟が複数件提起されたという情報もあります。
さらには、英国のBrexitの国民投票においても同社のデータが悪用されたと証言する内部告発者も現れており、問題は収束しそうにありません。

https://www.sankeibiz.jp/macro/news/180412/mcb1804120500027-n1.htmフェイスブックCEO、初の議会証言 信頼回復へ謝罪と協力 (1/2ページ)
2018.4.12 06:00

ザッカーバーグ氏は上院の司法、商業科学運輸両委員会の合同公聴会にスーツとネクタイ姿で出席。「私の誤りだった。申し訳ない」と議員らを見ながら陳謝した上で、FBがフェイク(偽)ニュースやヘイトスピーチの拡散、ロシアの米大統領選挙介入に利用されるのを防げなかったが、今後は改善すると弁明した。

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