安保理拒否権行使2とロシアの孤立1

話題をロシアに戻しますと、ロシアの方ではアメリカの空爆事件に巻き込まれても何も反撃できないと却って面目を失うので、プーチンの政権維持にマイナスになるので、困ってしまう関係でしょう。
そのつもりで(ロシアの客観状況がどうなっているかを)ネットを見ると以下の記事が出てきました。
以下に紹介するのは今年2月の事件ですが、自国民兵が米軍の攻撃で約200人も死亡していても5人だけとしか発表できないのがコワモテロシアの現実です。
中国でどのような大騒乱や災害が起きても発表できる死傷者数の最大人数が「35人」に限定されているから、それ以上の大災害が発生することはないと言われている・もちろん根拠ない憶測ですが・・のと似た感じで、居丈高の割には自分より強い米軍の前では、縮こまっていることを国民に知られたくないからでしょう。
https://matome.naver.jp/odai/2142319664095117501

中国で事故が起きた際、死亡者の上限が35人となっているのはご存じだろうか? その理由や原因まとめ
更新日: 2015年08月25日
“『ビートたけしのTVタックル』の中で中国で大勢の犠牲者が出る事故が起こると、なぜか毎回のように「死者は35人」と発表される理由について解説された。”
“「中国は大事故が多いので、数週間に1度はそういう事故が発生している。最初に最少人数を発表し、あとから数字を修正することも多い」と、あくまでも「35人」という数字に深い意味はないことを説明した。”
過去に起きた事件の死亡者数を見てみると確かに数多くの死亡者数が35人以下になっているのがわかる
2003年貴州省 ガス爆発事故 :35人
2009年 河南省 平頂山炭鉱事故 :35人
昨年の大みそか、30万人が駆け付けた上海のカウントダウンイベントで転倒事故が発生。発表によると、35人が死亡、48人が負傷という大事故となった。
997年5月深センの飛行機事故、2008年11月雲南省の土砂崩れ、
2011年7月高速鉄道の事故、
2013年11月山東省の石油パイプライン大爆発など、
日本でも報道された大事故において「死者35人」という不可解な数字が何度も発表されている。
<過去に起きた事件 死亡者が35人以下のもの>
以下多数事例省略

以下紹介する今年2月の事件は不思議にもロシア民兵と称する軍団が、最強を誇る米軍基地攻撃を計画して撃退されてほぼ壊滅した事件らしいです。
ロシアとしては、自国兵が米軍基地を正面から攻撃したとは言えないので、自国関与を否定するのは当然としても、死傷者数くらいまともに認めても良さそうですが、それが出来ない様子です。
この後で書きますが、米軍基地をロシア民兵と名乗って正面から攻撃する図太さ・・オバマが「世界の警察官をやれない発言」以来、世界中の無法者が我が物顔に羽を広げている状態がわかります。
こんなことをされているのでは、ロシア疑惑を書き立てられているトランプ氏が国内政治対策上も放置できなかったでしょう。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2018-02-13/P43FS16K50XT01

シリアのアサド政権を支持するロシア人を中心とする雇い兵部隊がデリゾール県で先週、米軍と有志連合が拠点とする基地に攻撃を仕掛けて失敗し、200人以上の兵士が死亡した。米当局者1人と事情に詳しいロシア人3人の情報で明らかになった。
かつての冷戦で対立した両国にとり、これまでにない数の犠牲者が出たもよう。
ロシア軍はこの攻撃には一切関与していないと表明。米軍もロシア軍の主張に異議を唱えていない。

https://www.cnn.co.jp/world/35115132.html

ロシア、「多数の」自国民死傷認める 米軍によるシリア空爆で
2018.02.22 Thu posted at 19:33 JST
(CNN) ロシア外務省は22日までに、シリア北部デリゾール近くで今月初旬、アサド政権支持の武装勢力が米軍支援の「シリア民主軍(SDF)」に攻撃を仕掛けた際、米軍による空爆の反撃で多数のロシア人が死傷したことを初めて認めた。
負傷者数は「数十人規模」としたが、死者数には触れなかった。
ロシア政府はこれまで多くのロシア人が死亡したとの一部報道を否定、死者については最大5人としていた。
戦闘にロシア軍兵士は関与していないとも主張。死亡したロシア人の遺族は、ロシアの民間軍事企業「ワグネル」に所属していたことを明らかにしていた。
マティス米国防長官はこれら雇い兵とは関係がないとするロシア政府の主張を疑問視する見方を示していた。
記者団に先週末、「257人の武装勢力が自らの判断で敵対勢力の領地に進攻し、砲撃や戦車の攻撃を実施したとは思えない」と疑問視していた。

上記のようにロシアは自国兵または民兵の被害を認めても、米軍へ報復できないから政権の威信に関わるから政府と関係ない民兵だといい、しかもわずか5人という発表しかできない状態です。
これではウクライナに展開している偽装?民兵が、米軍の空爆を受けても文句言わないのかな?
このような弱腰状態のロシアが、拒否権行使の結果米英仏のシリア空爆で自国兵が被害を受けたと主張して対米報復戦・・戦線の拡大などする勇気はないでしょう。
ということは、拒否権行使は政治的失敗だったことになります。
合同調査団派遣に同意していれば、空爆を先送りできたしその調査方法や結果に対する評価など色々交渉の余地があるのですから、これを頭から拒否した外交能力の拙劣さが際立ちます。
平昌五輪をチャンスに北朝鮮がギリギリのところで交渉に応じる姿勢を見せたのは、米軍の単独武力行使威嚇に対して、中国もロシアもせいぜい武力行使は遺憾の意を表する程度で具体的に動いてくれない・・「北朝鮮が自力で米軍に対抗出来るか否か」だけと見極めたからでしょう。
自分がある程度対抗できると思っても米国がそうは思わないで突っ込んでくるとなれば、大変です。
北朝鮮とすれば、交渉に入って仮に決裂してもその期間(平昌五輪から見れば約半年前後は時間を稼げるでしょう)だけ稼いで先送りできるメリット(半年あまりの違いでもっと核兵器運用準備が進む?)だけです。
・・この間に中韓を取り込める・・引きのばし交渉に米国が怒っても交渉うち切りは乱暴だなどと主張すると、その程度のことならばもうちょっと譲歩しても良いかなどの立場の違いを利用して欧米諸国分断チャンスもあります。

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