表現の自由と思想の自由市場論2

メデイア攻撃の手段であるフェイク論争を「自然消滅させてなるものか!」というのが、トランプ大統領による年明けのフェイクニュース大賞の発表でしょう。
日本メデイアでは、この結果アメリカメデイア界との論争拡大が必至であるかのように紹介されていますが、メデイア界は注目を浴びるのがマイナスなので多分黙っているしかないのでしょう。
私がこのフェイクニュースシリーズを始めたのは、フェイクニュース大賞の発表に刺激を受けたものです。
http://www.news24.jp/articles/2018/01/18/10383232.html

アメリカのトランプ大統領は、ツイッターで自らが考案した「フェイクニュース大賞」に、ロシア疑惑を含む11件のニュースが受賞したと発表した。報道機関を挑発する姿勢に批判が高まりそうだ。
トランプ大統領はツイッターで「2017年は不公平なニュース、正真正銘の偽ニュースの年だった」と強調。11件のニュースが「フェイクニュース大賞」を受賞したと発表した。
ニューヨークタイムズは、2016年の大統領選でトランプ大統領が勝利した時に「経済は回復しない」と主張したことを理由にし、CNNテレビは最も多い4件のニュースで受賞したとしている。
また、ワシントンポストは決起集会が始まる数時間前の写真を掲載し、会場がガラガラだったと間違って報道したと主張し、最後にロシア疑惑そのものがフェイクニュースで共謀はないと強調している。

上記を見るとトランプ氏の目的は、フェイク(事実無根)というよりもメデイアの誘導していた「トランプ政権になると景気が悪くなる」というマイナス評価報道に対する批判であることが分かります。
ついでに上記日本の紹介記事自体が、ノーベル賞学者クルーグマンの意見が批判された・安倍政権が彼を招聘したことがあることを引いて「安倍政権が赤恥を掻いた」と言う鬼の首でもとったかのような報道がまっさかりですが・日本メデイアの特質・安倍政権批判に使える記事を中心に紹介していることがわかります。
フェイクニュース大賞として日本メデイアの紹介記事を見ると、事実無根というよりは、一方に肩入れするメデイアの意見主張を批判したもののようです。
英語圏でもメデイアで流通している思想とサイレントマジョリティー・一般意識が乖離してきたからメデイア界のトランプ批判の大合唱にも関わらず草の根の支持を受けたのです。
従来メデイア世界では、英米系ジャーナリズムが思想市場を支配してきた状況を前提に表現の規制は許されない・・「思想の自由市場」=英米系思想/グローバル化思想に合致するかどうかで淘汰されるべきというものでした。
中国の思想統制はネットの発達によって、早晩崩壊するだろうという見立てが15〜20年ほど前には主流でしたが、ハードというかシャープ支配の中国は徹底したネット支配によって見事にこれを乗り切っています。
アメリカの場合、思想の自由市場論・政府規制しない建前にこだわっている結果、逆に教育支配やCIAその他利用による間接的規制が効かないネット空間の自由奔放?あるいはハッキングによる発信力をソフトパワーで誘導するには無理が出てきました。
ロケットを飛ばせるのに電気釜や車をまともに作れない中露の現状について、ロケットなど巨大技術はスパイで盗めるが電気釜やトイレットペーパーなど日用品まで手が回らないからだ書いてきましたが、アメリカによる大手メデイア支配は要路の買収や脅迫・スパイ網で容易だが、草の根のネット発信者を買収・脅迫しきれないということです。
中国のシャープパワーに対する欧米の自慢するソフトパワーとは間接支配の代名詞ですが、昨日紹介したように全国紙4〜5社の意見・(テレビ界はその系列です)で世論が決まっていくのが今までの日本社会でしたが、巨大利権のある電波利用特権あるいは巨大資本を背景にした情報発信独占の時代から、SNS利用・・日用雑貨並みになってきた情報発信支配には間接支配方法が無力化しました。
日本国内の直近の例でいうと朝日新聞の森カケ問題に関する報道にたいする小川栄太郎氏の批判に対してお得意の「思想の自由市場」での反論をせずいきなり5000万円もの巨額賠償請求訴訟を仕掛けています。
思想の自由市場論の代表ともいうべき朝日新聞が自分の得意とする「思想市場」でまともに反論をせずにいきなり個人の評論家相手に巨額賠償訴訟提起したと言われている(これも事実不明ですが、仮に言論市場で反論したならば、メデイアを利用していくらでも反論記事を広報できる筈ですがすぐには見当たりません)のは異常です。
http://blog.goo.ne.jp/momofyumi/e/b2f213421a952bc769ba4ab4973d7113

【小川栄太郎氏が朝日新聞の申し入れに反論
森友・加計問題報道 「朝日新聞よ、恥を知りなさい」
HPに回答書全文を公開】
http://www.sankei.com/smp/entertainments/news/171206/ent1712060016-s1.html
【小川栄太郎氏が朝日新聞の申し入れに反論
森友・加計問題報道 「朝日新聞よ、恥を知りなさい」
HPに回答書全文を公開】
2017.12.6 20:13【小川栄太郎氏(朝日新聞からの申入書への)回答書全文】
2017-12-07 17:30:18 | ネットで拾った記事の保存庫《朝日捏造新聞》
文芸評論家の小川栄太郎氏は6日、10月に出版した自著「徹底検証『森友・加計事件』朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪」(飛鳥新社)をめぐり、朝日新聞社から受けていた謝罪や訂正、賠償を求める申入書への回答書を発送し、自身が代表理事を務める「日本平和学研究所」のホームページで公表した。小川氏は朝日に対し「抽象的な苦情の羅列に過ぎない」などと反論した。全文は以下の通り。
回答書
朝日新聞よ、新聞社として恥を知りなさい。
朝日新聞からの申入書への回答に先立ち、貴紙による一連の森友・加計報道について、総論的な結論から申し上げます。
朝日新聞は日本を代表する言論機関です。
法的構成が不可能な言いがかりで一個人を恫喝するのではなく、言論には言論で勝負していただきたい。

以下省略
言論機関が権力による規制を受けて司法救済を求めるのは分かりますが、1個人の言論に対して言論で反論しないで司法権力を頼るのは不思議です。
小川栄太郎氏の意見は上記全文に詳細ですが、朝日の主張を検索しても見当たりません。
小川氏の主張通り、朝日新聞は言論戦を経ないで訴訟提起したのでしょうか?
言論に対して言論戦をしないで巨額訴訟提起するのは外形からみればアメリカで言われるスラップ・恐喝訴訟の疑いさえありますが、朝日新聞はなぜ大々的に反論しないのでしょうか?
言論機関の雄として日頃拠り所にしている筈の「思想の自由市場」は日本では機能していないことを前提にしているのでしょうか?

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